掃除屋三人組は、とある町のアジトで三日目の朝を迎えた。しばらく仕事不漁で
スヴェンは毎日その斡旋に追われていた。
いつも通り、朝食の場にはイヴとスヴェンの姿があった。トレインはいつも昼頃
に朝飯を食べている。
「イヴ、すまんが今日も仕事を探しに行ってくる。今日も適当に時間を潰して
いてくれ。」
「あっ、うん。」
「ところで昨日は何してたんだ? 」
「本読んでた。」
「他には?」
「他にはって・・他にないけど。」
「何ぃ?それじゃ一日中部屋にこもりっきりで本を読んでたっていうのか!?」
「・・・うん。」
親としての役目も果たしているスヴェンにとっては、イヴが閉じこもりきりに
なっていることがとても心配であった。
「・・・そういう生活は不健康だからな。何か考えておこう。」
「・・別に一日中、本読んでるの嫌いじゃないよ。」
「いいや、将来立派なレディになるためには決してよくない。もっと違うことも
しないとな。」
そうして朝食の時間は過ぎていった。
スヴェンが出かけ、イヴはいつものように本棚から本を選び、自室で本を読み始めた。
最近では学者用の難解な本まで読むようになってきた。
午前10時、イヴはトイレをすませてドアを閉めた。
「ピンポーン」
インターホンが鳴る。
「・・・誰だろう、スヴェンかな?」
イヴは玄関に向かい、のぞき穴をそっとのぞいた。そこには笑顔で立っているリンスが
いた。
「リンス?」
「あっ、その声はイヴちゃんね!遊びにきたわよ〜、開けて!」
「う、うん。」
ドアを開け、リンスを向かいいれる。その瞬間にリンスの強烈な愛飛沫に見舞われた。
「きゃあ〜、今日もかわいいわねイヴちゃん〜!」
「い、いたいリンス・・・。」
「本当にうっとりするくらい可愛いわ〜、ん〜〜チュッ!」
「リ、リンス、どうしてここが?」
「ああ、紳士さんがね、しばらくこの町に滞在するから遊びにこいってTELして来たのよ。」
「(考えとくってリンスを派遣することだったんだ・・。)」
「紳士さんは仕事探しでしょ、んでトレインはどうしてるの?」
「寝てるよ。起きてるとき何してるのかは知らないけど・・。」
「ふーん。まあいいか、じゃ、イヴちゃん遊ぼっか!」
「・・・・うん。」
普段、男二人と暮らしているイヴにとって、リンスは(多少愛情表現が激しくても)大切
な存在だった。女同士でしか教えられないような悩みもたくさん教えてもらっていた。
年の離れた姉妹のような二人は、揃ってイヴの部屋に入っていった。
「・・・、何か女の子の部屋とは思えないほど質素な部屋ね。」
「どうせ、またすぐここ離れることになるし・・。」
「そりゃそうだけど、人形の一つもないとねえ・・。」
「・・・・。」
「・・あっ、お人形さんみ〜〜〜け!!」
ガバッ。再びイヴに抱きつく。イヴはたまに、リンスのおもちゃにされる。
「きゃははは・・んっ?あれ?イヴちゃん、ブラまだしてないの?」
「・・う、うん。」
「ダメヨー、もう男の目を引くほどに大きくなってるんだから、そんな胸を強調した
ままじゃスヴェンに襲われるゾ!」
「えっ・?ス、スヴェンが・・?」
「あっはっは、間に受けてるなんてかわいいーー!」
「・・・・。」
「ふふふ、ごめんねイヴちゃん。まずブラ買いに行こうよ。」
「う、うん。」
「じゃあ、メジャー探してくるわね。えーと、紳士さんが変な発明(?)をしている
部屋にありそうなんだけど・・・。」
リンスは部屋を出て探しに行った。イヴは今まで自分の胸の大きさを気にすることもな
かったが、胸が大きくなったということを言われ、不思議な嬉しさがあることに気づいた。
自分で触ってみる。ふかふかしている。ちょっと前までは触ると痛かったのだが、もう
それはなくなっていた。
「あったわよ〜、イヴちゃん!」
リンスが巻尺式メジャーを持って駆け込んできた。
「これでグルッと胸を巻いて計るからね。」
「うん。」
「じゃあ、まず、上着だけ脱いで。」
「・・え?脱ぐの?」
「ふふ、別に女の子同士なんだから照れることないのよ。」
「・・・・。」
イヴは上着をそろそろと脱ぎだした。
「ふわああぁぁぁああああ」
馬鹿あくびをして目覚めたのは2階で寝ていたトレイン・ハートネットである。元々寝癖の
ような髪型をしているので、いつもの風貌とあまり変わりはないが、その気の抜けた顔からは、
決して昔、伝説の殺し屋だったとは誰も想像できないであろう。
「んー、10時半か。やべ、えらい早起きしちまったな・・。」
スヴェンがいたらつっこみ的鉄拳が飛んでいるところである。彼はいつもどおり、一階に降り
て便所に入ろうとしていた。
しかしその時、イヴの部屋から声がしているのに気づいた。
「んっ?」
いつもは、いても気づかないほど静かなイヴの部屋であったが、今日は盛んな話し声が聞こえてい
た。ふと、トレインはのぞいてみようとその部屋に向かった。
普通はノックの一つもするものだが、デリカシーのかけらのないトレインはそのままドアノブ
をまわした。
ガチャッ
「姫っち、誰か来てん・・・の・・・・・・・・・・・・・・・。」
トレインの目には上半身裸のイヴが飛び込んできた。トレインの動きが止まった。
「・・・・・。」
イヴの動きも止まった。
ガアアアン!!!!リンスの投げたフライパン(何故か持ってる)がトレインに直撃した。
「スケベ〜〜〜!!のぞき!!変態!!!ロリコン!!!!出てけ〜〜〜!!!」
ドガッ!!トレインは蹴りだされた。
ー数分後
「姫っちすまん!のぞく気はこれっぽっちもなかったんだよ。」
いつになく必死に謝る元イレイザー。
「っていうか、女の子の部屋に勝手に入ってくるなんて、あんた馬鹿!?」
まるで自分が見られたかのように怒っている泥棒稼業の女。
「・・・・・。」
被害者だが、いつも通り無表情な姫。
三者三様の姿がリビングにはあった。
「あなたねえ!いたいけな少女の裸を見てただですむと思ってんの!?」
リンスがかみつく・・。
「だからなあ!見たくてみたわけじゃないっての!」
「イヴちゃん!この男、煮るなり焼くなり好きにしていいわよ!」
「・・・・。」
イヴは怒ってはいたが、別にそれほど怒るべきことなのか不思議に思っていた。
トルネオの屋敷に実験体としていたころも、もっと幼くはあったが、男の前で
裸になることも珍しいことでもなかった。少女はその境遇から、正常な性に対す
る感覚を学んできてはいなかった。
「別に・・私は許してもいいけど。」
リンスはきょとんとした顔をする。
「えっ・・、いいの?」
「う、うん。」
「姫っちサンキュー!じゃあ、そういうことで。」
トレインはそそくさと朝食を取りに台所へ向かった。
「イヴちゃん、バシッとやっとかないと駄目よ!こういうことは。」
「けど・・・。」
「・・まあいいや。じゃあ、お買い物に行こう!」
「・・うん。」
二人はイヴのブラジャーを買いに街へと出かけた。
ブランチを食べ終わったトレインは、屋上に上がっていた。精神統一をしてイメージを
する。彼はイメージの中で実践さながらのトレーニングをする。
そして、次に指立て伏せ、腹筋運動をはじめる。彼は日々、身体能力に磨きをかけることを
怠らない。
3時間後、彼のトレーニングは終了した。真っ先にシャワーを浴びに行った。
バタンッ
その頃、イヴがリンスとの買い物を終えて帰ってきた。リンスは仕事の都合で一緒には
帰ってきてはいなかった。イヴはその手に買ったばかりの4〜5つのブラジャーを手に
していた。
「ふー、いい湯だった。」
黒猫が水浴びを終えて浴室から出てくる。
「あっ、ト、トレイン。」
ちょうどリビングで遭遇する二人。
「よお、姫っちお帰り。んっ?何を買ってきたんだ?」
「えっ、あの・・・。」
「さては食い物か!?俺にもくれよ〜」
「えっ、違うって。」
「またまた〜。」
トレインはイブの持っていた紙袋をひったくった。
「ん〜、何が入って・・・・これは・・ブラ?」
「そうだよ。」
「・・・すまねえ、さっきのことといいちょっとデリカシーがなさすぎたな・・」
さすがにちょっと反省しようと思ったトレイン。
「いや、別にいいけど・・」
またも、予想外の返事をするイヴ。
「姫っち、普通そこで怒るもんだろう。何で・・・。」
「私には、何で必要以上に恥ずかしがる必要があるかわからないの・・。」
「へっ?」
「だから別に気にしないよ。」
「あ、そ、そうなの・・か・・。」
トレインは戸惑った。裸を見られて恥ずかしがらない女など今まで考えたことも
なかった。
「(姫っちは特殊な環境で育ってきたからなあ・・性に関して恥ずかしいと思うべきことも
どうでもいいことだと感じてしまうのか・・。そうか・・・ふふふ。)」
トレインはある悪だくみをとっさに考えついた。
「じゃあ姫っち、ちょっとここ座ってみろよ。」
「えっ。う、うん。」
トレインはソファにイヴを座らせ、自分もその右隣に座った。
「何するの?」
「うんとな。」
ムニムニ。トレインは右手でイヴの左の胸を揉み始めた。
「えっ?何??」
「こうすると気持ちいいんだぜ?」
「んっ、うん・・気持ちいいけど・・。」
「だろ?」
トレインはイヴの後ろに回り、両手でイヴの胸を鷲?みにして揉み始める。
「んっ、ん・・ん・・。」
「(やらけえ〜〜。)」
「トレイン、これ・・なんなの?」
「遊びだよ、遊び。」
トレインは、イヴの胸を執拗に揉み続けた。
「姫っち上着を脱いで直にやったほうがもっと気持ちいいんだぜ?」
「えっ・・?」
そういうとトレインはイヴの上着を無理やり脱がし始めた。
「あっ・・。」
「おっ、かわいいブラしてんじゃんか。」
「・・・・。」
「ほら、これも脱いで・・と・。」
イヴは抵抗もしない。
まだ熟れきってないが、それでも十分豊満なイヴの胸。トレインは十指全てを使って
その感覚を楽しむ。
「ほら、気持ちいいだろ〜、姫っち。」
「あっ、あっ、あ・・あ・・。」
ガチャッ・・・。ふいにドアが開いた。
そこには家路へと戻ってきた一人の紳士の姿があった。
その紳士が見たものは、一人の少女のさらけだされた胸を、興奮気味で揉みしだいてい
る相棒の姿だった。
「あっ、スヴェン、お帰りなさい。」
いつもどおりなイヴ。
「ス、スヴぇ・・・。」
凍りつくトレイン。
無言で、懐から鋭利なナイフを取り出すスヴェン・・・・。
トレインは地下室に閉じ込められ、飢え死にする半日前に尋ねてきたリンスによって救出
された・・。