「ナマイキな奴・・女にやられる程ヤワじゃないぜ俺は・・。」
イヴに宣戦布告を受けて、リオンは不適に笑った。それは駄目大人をかばうような甘い
奴にさらさら負ける気がないといった自信の表れでもあった。
「女の子だからって、男の子より力がないとは限らないわ」
空(くう)を自在に操るリオンの力・・、普通の人間であれば到底勝つことは
できないであろう。しかし、トランス能力を持つイヴは、ことごとくその攻撃
をはねのけ、予測できない攻撃を繰り出していった
「ぐう・・、お前なんかが俺に勝てるわけないんだ・・。」
リオンの自信は揺らいだ。子供の・・まして女に負けそうになっている自分に
無性に腹が立った。
「お前みたいに・・甘ったれたやつに・・!」
「・・・・・。」
「くっ。」
勝利を確信した目をしているイヴにリオンはたじろいだ。そして自分の信念をここで
終わらせまいという強い気持ちが芽生えた。
「どんな手を使っても!!」
「ゴオオオオ!!」
リオンはものすごい突風をイヴにぶつけた。イヴの着ていた衣服は吹き飛び、
イヴは下着だけの姿となった。
「やっ!」
イヴは思わず体を隠すような格好をした。
「ええっ!?」
木の下で休んでいたケビンが思わず目を手で塞いだ。もちろん指の間からしっか
りと見ていたのだが・・。
「な、なぜこんなことを・・。」
下着姿のイヴは顔を赤らめながら言った。
「クリードから教えられたのさ、女という生き物は衣服がなければまとも
に戦えない不便な生き物だとな。こんな戦法は不本意だが、お前に勝てれば
それでいい。」
ブラジャーとパンツだけの姿のイヴは頭がパニックになっていてトランスに
必要なイメージを練る余裕がなくなっていた。
「・・・・。」
「どうした、さっきまでの威勢が感じられなくなったな。」
「・・・・。」
「もっと大人しくさせてやろうか?」
「・・・・・・!?」
リオンはスカイボードでイヴの横に超高速で移動した。
イヴは裸に近い自分の近くに男が近寄ることに、今まで感じたことのない不快
感を覚えた。
「そ、それ以上近づいたら・・」
「ふん。(ガッ)」
リオンはブラヒモを掴むと、それを勢いよく引きちぎった。
「うあ!」
胸につける下着がなくなったイヴは胸を両手で隠すような格好になった。
「・・も、もう許さない!!」
イヴは無意識のうちに髪の毛で硬いこぶしを作り、リオンに向かって放った。
ビリビリビリビリッ
しかしそれは空気の壁によって完璧に阻まれた。
「そんながむしゃらな攻撃くらうわけないだろ。 ・・・・・・・・。」
リオンは裸同然の女の子を目の前にするのははじめてだった。その境遇から、異性
に興味を持つ暇もなかった少年であったが、その瞬間、女性に対する欲求が膨れ上
がった。
「こ、来ないで!」
イヴは両手で胸を隠したまま、後ろにたじろいだ。普段、冷静なイヴであったが
状況の打開策が浮かばず、心は乱れていた。
リオンは自分の中に抑えきれない欲情を感じていた。
「(こ、この欲望は・・なんなんだ!)」
裸の女を前にした、正常な男子の反応である。しかし、正常な理性を学んでい
ないリオンはその欲をどう操作すればいいのかわからなかった。
リオンはイヴに近づき、逃げるイヴを羽交い絞めにするように後ろから抱きついた。
「くっ、やめ・・!」
他人に抱きつくということすら初めてだったリオンは妙な安堵感を感じた。そ
して欲情のままに利き腕である左腕でイヴのパンツをずり下げた。
「・・ダメッ!」
リオンはそこであることに気づいた。
「(ーで、俺は何を・・すればいいんだ!?)」
マスターベーションすら未経験のリオンは自分は何をしようとしているのかが
わからなかった。性に対する欲情がほとばしる中、性知識のかけらもない少年
は少女に抱きついたまま凍りついたように考えていた。
「くっ!むうっ!」
生まれたままの姿で羽交い絞めにされているイヴは、必死にリオンの呪縛から
逃れようとしていた。しかし、身体能力を異常に強化しているリオンの力に、
非力なイヴがかなうはずがなかった。
リオンは自分の下腹部が熱くなっていることに気づいていた。しかし、セックス
という言葉すらも知らない少年は、その意味を理解できなかった。
ただ、無性に今抱きしめている少女の体を触りたいという衝動がこみ上げてきて
いることは何度も体が教えていた。
「は、離して・・よ!」
「・・・・・。」
リオンは羽交い絞めしている腕を緩め、おもむろに両手でイヴの胸を掴んだ。
「あっ・・!」
それは彼が今まで感じたことのない心地よい感触だった。胸の豊かな人間から
クローンとして生み出されたイヴの胸は、男を満足させるには十分な大きさになっ
ていた。
「あっ、あっ、や、やめ!・・んっあ。」
リオンは無我夢中になって何度もイヴの胸を揉みしだいた。
自分の体にまだ強い興味を持っていなかったイヴは、自分の体に起こっている
反応にとまどっていた。
「んっ、あっ、か、体が熱い・・。」
頭の中が真っ白になり、制御できなくなったナノマシンが彼女の体の中で微刺激
を与え始めた。逃げようにも、もうすでにうまく力が入らなくなっていた。
そんな状況をケビンははたから見ていた。肩に受けた傷のことなどもう意識になく、
目の前に起こっている出来事をまばたきもせずに見入っていた。
「うっ、んっ・・。」
リオンは執拗なまでにイヴの胸を触り続けた。そして次第に、無我夢中であっ
た状態が解けていき、普段の落ち着きを取り戻していった。
「(・・へえ、女のここってこうなってるんだ・・。)」
リオンは左手の指をイヴの秘部に持っていった。
「うっ、ああぁああぁ。」
「お前・・、さっきからなんで悶えてんの?」
「ハアハア・・」
「ここ触ると何でそんなに反応するんだ?」
「や、やめて・・ううっ」
初めておもちゃを手にした子供のように、リオンは興味のままに、欲のままに
イヴの体をもて遊んでいた。彼の両手は少女の胸、尻、ふともも、局部、腹部
いたるところを這い回り、女性特有の柔らかい質感を楽しんでいた。
「・・・・・はっ!」
その時ケビンは我に返った。
「今なら・・・。」
ケビンは2丁拳銃を装備し、気配を隠しながら二人に近づいていった。
「(ぼ、僕は何をボケッとしていたんだ。今こそが彼を倒す最大のチャンス!)」
じりじりと二人に近づく。
風の少年リオンは普段は殺気だった神経を張り巡らせているのだが、そのとき
は一人の少女に完全に気を取られていた。
「(くらえっ!!)」
ドガガガガガッ!!
ケビンの放ったその銃弾は、イヴに一撃も当たることなく、確実にリオンに致
命的なダメージを与えた。
(とりあえず一部完!)