「よっ…と…。」  
「…あ、あの?」  
リオンとの闘いに勝利したものの、歩く体力すら失ってしまったイヴ。  
イヴはケビンに自分を置いて先に進むように言ったのだが、  
ケビンは有無を言わさずイヴを背負って歩きだしたのだった。  
「君には二度も助けたれたんだ。この位して当然さ。」  
「でも…。」  
「それに命の恩人をこんな所に放ってはおけないよ。」  
「…。」  
自分ではそれほど特別なことをしたつもりはなかった。  
だがケビンはそれに感謝し、自分を労ってくれている。  
イヴはそれ以上は何も言わず頭をケビンの背中に預けた。  
(あの子にも、この感覚が理解できる日が来るのかな…。)  
自分が人を守れば、人は自分を守ってくれる。  
いつも一緒にいるスヴェンたち以外で、このことを実感して、  
イヴは心の中がどこか温かくなるのを感じていた。  
「ところで君の正体を道すがら教えて欲しいな。これじゃ気になって夜も眠れないよ。」  
「はぁ…。」  
(今更隠すことも出来ないし、この人になら教えても良いかもしれない…。)  
イヴは自分が持つその能力についての全てをケビンに語った。  
 
「そうか、それで…。」  
自分がトルネオの作った殺人兵器だった過去、そしてスヴェンたちとの出会い。  
イヴは自分でも不思議なくらい饒舌にケビンに全てを打ち明けていた。  
自分に似た境遇のリオンと会ったことで、イヴの中で何かが変わったのだろうか。  
「だから、あの子を救ってあげたかった…。私に似たあの子を…。」  
「そうか…。イヴ君は優しいんだね。」  
「えっ!?」  
今まで言われたことのないことを言われ、イヴは一瞬戸惑った。  
「だから、あの子の優しさを信じているんだね?」  
「…はい。」  
少し照れ臭さがあったが、イヴはケビンの問いに頷いた。  
(私がそうなれたのはスヴェンが救ってくれたお陰だから…。)  
だからこそイヴは、スヴェンのパートナーとなって恩返しがしたかった。  
しかし当のスヴェンには、まだまだイヴを子供扱いする節があった。  
だからといってライバルのトレインに相談なんて出来ない。  
(でも、ケビンさんなら真剣に話を聞いてくれる気がする…。)  
 
「あの、降ろしてもらえませんか?」  
「えっ? もう大丈夫なのかい!?」  
「いえ…。その、もう少しお話したいから…少し休みませんか?」  
事実、ケビンもケガをしている身。  
いくら小柄なイヴとはいえ、余り長く背負っていると自分も  
疲れてしまい、いざ戦闘となったときに不利になりかねない。  
「それじゃ、さっきの川沿いの方で休もう。」  
クリードの城の方へ直線に森の中を進んでいたケビンだが、  
イヴの話に付き合うべく、ふと脇に見えた先程の川に向かった。  
「よっ…と。大丈夫かい、イヴ君?」  
「はい…。」  
ケビンが膝を曲げると、イヴは足が地に着いたのを確認してケビンの背中から降りた。  
イヴは少しは回復しているのか、ケビンが振り向くのを立ったまま待っていた。  
「ん? それじゃ、座ろうか?」  
「はい。」  
二人はそれぞれ、適度な大きさの岩に腰を掛けて向かい合った。  
 
「それで話っていうのは何だい?」  
「…私、スヴェンのパートナーになりたいんです。」  
ケビンは一瞬誰のことかと思ったが、あぁ、という顔をして尋ねた。  
「スヴェンっていう人は、確かさっき話してた君の恩人だよね?」  
「はい…。今回もスヴェンたちと来ました。」  
イヴの言っていることが分からなくなって、ケビンは少し唸った。  
「えっと…、そのスヴェンという人と一緒にいるのにパートナーっていうのは…。」  
すでに行動を共にしている人間のパートナーになりたいというイヴの願いが、  
ケビンには一体どういうことなのか理解が出来なかった。  
「スヴェンのパートナーはトレインだから…。」  
「あ、あぁ…、わかったよ。君はスヴェンにまだ一人前に見てもらえないということかな?」  
「はい。」  
俯き加減だったイヴは、ケビンがようやく理解を示したことで顔を上げた。  
「そうか…。でも君はボクの見た限りでは掃除屋としての実力もあるし、精神面も立派な大人だ。」  
イヴは真剣な表情でケビンの話を聞いている。  
「だってほら、さっきもあの男の子を救ってあげたんだからね。」  
そう言ってウインクをするケビンだが、イヴの顔は曇ったままだった。  
 
「でも、スヴェンは私をパートナーとして認めてくれないんです…。」  
「う、うーん…。」  
弱ったなぁという顔をするケビンを見て、イヴは再び下を向いてしまう。  
そんなイヴに対して、ケビンも相談に応じた以上は、  
何とかして答えを探してやりたい気もあるのだが…。  
「ひょっとしてイヴ君、スヴェンが一人の男性として好きなのかい?」  
「えっ!?」  
ケビンの質問に、イヴはハッとして顔をあげた。  
そして少し考えてから…。  
「…そうかもしれません。」  
「だったら掃除屋としてはスヴェンはイヴ君を仲間として認めているはずさ。トレインさん同様にね。」  
「そうですか…?」  
「イヴ君が不満なのは、スヴェンがイヴ君を一人の女性として見てくれないことじゃないのかな?」  
「…なるほど。」  
ようやくイヴは納得したような表情を見せた。  
 
「しかし、こればかりはどうしようも…。」  
外見はどう見ても少女にすぎないのだから、子供扱いされるのは仕方のないことだ。  
スヴェンが正常な女性の趣味の持ち主ならば尚更のこと…。  
「やっぱりケビンさんから見ても、私は子供なんですね…?」  
「い、いや、そういうわけでは…。」  
ケビンは困った様子で頭をポリポリと掻いた。  
年頃の女の子の扱い方なんて、掃除屋協会では教わったこともない。  
(まさかイヴ君を抱いて大人の女に、なんて許されるわけもないし…。)  
「参ったなぁ…。」  
「今、何を考えてたんですか?」  
「えっ? 参ったなって…。」  
「その前です。」  
イヴに言われてケビンは思い返してみる。  
「って、ダメダメ!! それは駄目だ!!」  
「何が駄目なんですか…?」  
「あ、いや…。」  
ケビンはイヴに迫られて、言葉を濁した。  
 
「うーん…。」  
ケビンの焦りの表情から、イヴはケビンの考えを読み取った。  
「…私も同じことを考えていました。」  
そういってイヴは立ち上がると、突然自身の服に手をかけた。  
「ま、待つんだイヴ君!!」  
服を脱ごうとするイヴを、ケビンもまた立ち上がって制止した。  
「どうしたんですか…?」  
「イヴ君はスヴェンが好きなんだろ? そんな君を抱くなんてボクは…、しまった!!」  
言い終えて慌てて口を抑えるケビン。  
だがイヴは表情を全く変えることはなかった。  
「…気づいてたのかい?」  
ケビンの問いに、コクリと頷くイヴ。  
「まったく…。ボクはすぐに表情や口に出てしまうクセがあるから…。」  
と、苦笑いを浮かべて何とかやり過ごそうとするケビンだが…。  
「私を抱いてもらえませんか…?」  
「イ、イヴ君…。」  
イヴのストレートな要求に、さすがに参ってしまう。  
 
「君たちの年頃はセックスをすれば何か変わると考えがちだが、実際はそんなことないんだよ?」  
だがケビンの言葉に動じることなく、イヴは真っすぐにケビンを見ていた。  
「それにスヴェンのことが好きなら、尚更スヴェンのためにも…。」  
「…。」  
さすがにスヴェンの名を出すと、イヴは表情を一瞬だけ強ばらせたのだが…。  
「良いんです…。スヴェンは初めての女じゃないといけないとか拘らないだろうから…。」  
「し、しかし…。」  
「なら…、掃除屋としてケビンさんを雇います。それで私を抱いてください…。」  
ここまでの覚悟を決めたイヴに、もはや説得の言葉は意味を持ちそうもない。  
ケビンは息を飲んで、もう一度確認のためにイヴに尋ねることにした。  
「本当に…良いんだね…?」  
目を逸らすような真似はせず、ケビンもまた真っすぐににイヴの目を見た。  
「…はい。」  
「わかった…。ボクはイヴ君を抱くよ。ただし掃除屋としてではなく、一人の君を愛する男として…。」  
「私を…愛する…?」  
イヴはケビンの口にした「愛する」という言葉にドキッと心臓が高鳴った。  
 
「イヴ君を決して後悔させないためにもね…。」  
「えっ…?」  
イヴがケビンの言葉に戸惑っている間に、ケビンは服を脱ぎ始めていた。  
「あ…。」  
そしてイヴもまた、ケビンだけを裸にさせまいと、いそいそと服を脱いだ。  
イヴが脱ぎ終わって振り返ると、ケビンはイヴを見つめていた。  
「…!!」  
何だか急に恥ずかしくなって、イヴは身体を手で隠してケビンから視線を降ろした。  
「!?」  
しかしそれが不味く、イヴはケビンの男性器を思い切り目にしてしまう。  
「あ、あの…。」  
顔を真っ赤にしたイヴは、ケビンから完全に目を逸らした。  
すると、ふっとケビンがイヴに近づいて来て、その腕でイヴの身体を包み込んだ。  
「…ケビンさん?」  
「こうすれば恥ずかしくないだろ?」  
ケビンの言葉通り、抱き合うことで互いの身体は見えず、  
肌の温もりは、先の恥ずかしさを吹き飛ばしてくれた。  
 
「イヴ君、目をつぶって…。」  
ケビンの言葉をすぐに理解して、イヴは言われるままに目をつぶった。  
「ンッ…。」  
イヴの唇にケビンの唇が重なった。  
それで終わりかと思いきや、そのままケビンの舌がイヴの口内に割って入って来た。  
「…ンンッ!?」  
イヴは最初は戸惑ったが、すぐに息をするのも忘れてケビンと舌を絡め合った。  
「ンムッ…、はぁ、はぁ、はぁ…。」  
「おっと…。」  
力が抜けて、膝から崩れ落ちそうになったイヴの身体をケビンは抱き支えた。  
「イヴ君には大人のキスは、まだ早かったかな?」  
「い、いえ…。」  
ボーッとする頭でイヴは返事をした。  
そしてイヴは立ち上がろうとするが…。  
「いったん座ろうか?」  
そうケビンに促され、イヴは平らな岩盤に腰を降ろした。  
 
「それじゃ、横になってくれるかな?」  
ケビンはイヴの頬に優しくキスをしてから、イヴの身体を仰向けに寝かせた。  
「あの…。」  
「イヴ君は心配しなくてもいいから。大丈夫、ボクに任せて。」  
そう言ってケビンは、イヴに体重を掛けないようにしながら覆いかぶさって来た。  
ケビンの唇は軽くイヴの唇に触れ、そのままイヴの首筋へと移動する。  
「んっ…。」  
それが妙に擽ったくて、イヴは思わず声を漏らした。  
続いてケビンの唇は、まだ小さいながらも確かな膨らみを示すイヴの胸に向かった。  
「あっ…。」  
ケビンが膨らみの先端を咥えて、軽く吸った。  
それは少しずつ硬度を増して行き、ケビンが口を離すと、  
つんとして空を向いて立っていた。  
「ケビンさん…。」  
ケビンはイヴの呼びかけを聞き流し、更に顔をイヴの下腹部へと移動させる。  
そして、イヴのヘソにキスをしてケビンは…。  
「あっ!!」  
イヴの淡い茂みをまじまじと覗いていた。  
 
「ここがイヴ君の…。」  
「…。」  
イヴはどういう反応を示せばよいのかわからず、ただオドオドするだけだった。  
するとケビンによってイヴの足はゆっくりと開かれて…。  
「チュッ…。」  
「!?」  
ケビンが何をしたのか、一瞬イヴにはわからなかった。  
「チュッ…チュク…。」  
「ケビンさん!?」  
イヴは思わず上体を起こし、両膝を曲げて座るかたちとなった。  
だがケビンはそのままイヴの秘所を舌で愛撫し続けた。  
恥ずかしくて、こそばゆくて、不思議な感じがした。  
(ケビンさん、私のことを愛してくれてるんだ…。)  
「あの…。」  
イヴの中でケビンと早く一つになりたいという思いが生まれていた。  
 
「どうしたんだい?」  
ケビンがイヴの股間から顔を上げて尋ねた。  
「もう…大丈夫だと思います…。」  
だからといってイヴには直接的には少し言いにくかった。  
「そうか、それじゃ…。」  
ケビンは上体をずらし、イヴの上になる。  
「覚悟は良いね、イヴ君…?」  
すでに勃起したモノをケビンは、イヴの秘裂に押し当てて最後の確認をした。  
イヴは声に出さず、ケビンの目を見て首をゆっくりと縦に振った。  
「行くよ…。」  
それを見て、ケビンは少しずつ腰を前に突き進めて行く。  
「くっ…。」  
破瓜の痛みでイヴは、食いしばった歯の間から声を漏らす。  
「一気に行くよ…。ふんっ!!」  
「っ!!」  
ケビンは長くイヴを苦しめないために、一気にイヴを奥まで突いた。  
イヴはその衝撃を、何とか声を殺してケビンの背中に爪を立てつつも堪えた。  
 
「おめでとう、イヴ君…。」  
ケビンの声でイヴは我に返り目を開けた。  
目の前にいるケビンがイヴに微笑みかけていた。  
そしてイヴは確かなものが、自分の中に収まっているのを感じた。  
「私たち、一つになれたんですね…。」  
「あぁ、そうだよ。それじゃ、今終わるから…。」  
そう言ってケビンは、ゆっくりとイヴの中から出ようとする。  
「待って下さい!!」  
「ん? どうかしたのかい?」  
「私もケビンさんを愛します…。だから…最後までしてください。」  
「イヴ君…。」  
しばらくして、ケビンはその答えの代わりに再び腰をイヴに打ち付けた。  
「んっ!!」  
しかしそれは止まることなく、再び引き抜かれ、そしてまたイヴの奥を突いた。  
 
「あっ、うんっ…、んっ、んぅっ、あぁっ…!!」  
ケビンの腰は衰えることなくイヴを攻め続ける。  
それにつれてイヴの喘ぎは、始めの痛みを堪えたものから、  
徐々に鼻にかかった甘いものに変わってきていた。  
(イヴ君…、感じているのか…!?)  
わずかにイヴも腰をケビンに合わせて動かしているようにも思えるが…。  
「くっ、まずいっ!!」  
ケビンは久しぶりの行為に、そろそろ限界に近づいてきていた。  
「イヴ君っ…、ボクはもう…!!」  
「ケビンさん、来て下さい!!」  
イヴのその声に引きずられるように、ケビンはイヴの最奥を突き上げた。  
「イヴく…んっ!!」  
「あぁっ!!」  
『ドビュグッ、ドビュッ、ビュルッ、ビュクッ、ドピュッ、ビュッ…』  
欲望のままにケビンはイヴの胎内に精を放った。  
それを受け、イヴもまたその小さな身体を僅かに痙攣させた。  
「良かったよ、イヴ君…。」  
ケビンの言葉を他所に、イヴの目には光るものが滲み出ていた…。

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