「つまんないなぁ〜」
都会の喧騒から少し離れた裏路地。キョウコは先ほど受け取った数枚の紙幣を財布に収める。
金を稼ぐのに働く必要はない。こうして下着を売るだけで遊ぶ金は十分だった。だが、その金を使って友人達と騒いでいても、それを冷静に見ている自分がいる事を感じていた。
= カラオケ行かない? =
携帯にメールが入る。この間初めて会った男からだ。話は面白かったが、食事をしている最中に体に這わされる視線に興を殺がれ、最後までは行かなかった。そう言えば、最後に「また会おう」と約束したような気もする。
キョウコはそのまま携帯をしまい、裏路地を歩き始めた。返事をしないのが拒否の意思表示だ。
「つまんないなぁ〜」
キョウコはぶらぶらと表通りに向かって歩いていた。
「ふぐぅぅぅっ!」
先ほどの店から更に奥まった場所。表通りの喧燥は完全に届かず、日が傾いただけでビルが影を落す。その袋小路で、キョウコは数人の男に組み敷かれていた。
「おい! ちゃんと見張ってろよ!」
「ちょっ……なにすっ……うぐっ」
大声を上げようとした瞬間、口に布を詰め込まれる。猿轡をされ、吐き出す事が出来ない。
「さあて、しっかりと楽しませてやるよ。つまらなかったんだろう?」
男の一人が乱暴に胸を掴む。先ほど店でブラを売ってしまった為、Yシャツごしに男のゴツイ指が感じられる。
強く揉み上げられ、痛みが走った。痛みで体が跳ね上がる。それを見て、男はニンマリと笑みを浮かべた。
「何だ、乱暴にされて感じてんのか? おい、足も広げろよ!」
「しょうがねぇなぁ……」
腕を押さえていた男とは別の男が、キョウコの右膝を掴んで横に開く。もう片方も胸を揉んでいる男に広げられ、キョウコは店で履き替えた新しい下着をオトコ達の前に晒す事になった。
「ふっ……ふううぅぅっ」
首を激しく振るが、動かせるところはほとんど無い。
Yシャツを引き千切り胸をあらわにされ、ぬめっとした舌が這う感触が襲う。その感触は内腿にも感じた。その感触のおぞましさに身を震わせるが、その反応を見て男達はますます行為を強める。いつしか下着は破り取られ、キョウコのアソコは男の唾液でべとべとになった。
『なんで……こんなヤツらに!』
激しく抵抗する自分を冷静に見ている自分がいる。これから行われる行為に対する嫌悪よりも、抵抗できない自分に憤りを覚えた。
「さあて、準備は出来たようだ紙、俺が最初に頂くぜ!」
男はズボンのチャックを開け、見にくいものを取出す。それは既に猛り、そそり立って先端はぬらぬらと光っていた。
『力が……欲しいか?』
「!?」
声は頭の中で響いたような気がした抵抗する事を忘れ、辺りを見渡す。男達は抵抗がやんだのを観念したと勘違いし、ますます好き放題にいじり、嘗め回している。
『力が欲しいなら、力をやろう』
キョウコが視線を上に向けると、上空に人影が浮いていた。包帯のようなもので頭を覆い、日本の物ではない衣装を身に着けた小男。キョウコを犯す男達は上空に立っている男に気付いていない。
「さあて、いくぜぇっ」
ぬらぬらした男の先端が、キョウコの大事な場所に押し当てられる。
こくんっ。キョウコはひとつ、空中の小男にうなずいた。
どくんっ。
キョウコの胸の奥から、何かが目覚める。殻に閉じ込められた炎は、キョウコの全身に行き渡り、身を焦がすように蹂躪した。同時が激しくなり、体温が上昇しているのが分かる。
『なっ……なにこれぇっ』
『押さえられれば、お前は力を得る。押さえられねば、そのまま燃え尽きるのみ』
『んなっ。楽しい事何も無かったのに、こんなとこで死ねないッス!』
キョウコの身体から、熱風を伴う衝撃波が放出され、男達を吹き飛ばす。
「なっ……なんだあっ!?」
男の拘束を逃れたキョウコは、ゆっくりと立ち上がった。
「ううううぅぅぅ……うあぁぁぁっ!」
自らの心のままに、キョウコは周囲に炎を撒き散らす。路地に起きる爆発。男達は声を上げるまもなく燃え尽きた。
「……ふううううっ……」
「押さえたか、道を得る資格があったようだな」
空中にいた男が燃え広がった炎の中に降り立つ。しかし、彼に熱は伝わっていないようだ。
「あなた、ナノモンっす?」
「私はシン。お前のような素養を持つものを集めている。私と共に世界を変えてみないか?」
「んー……それって、面白いっすか?」
静まりかけている炎の中から、自分のバッグを探し出し、拾い上げながら言うキョウコ。中身を確認したが、辛うじて無事なのは携帯くらいだ。
「ああ、退屈な世界ではなくなる」
「じゃあ、いきますっ」
キョウコは、バッグを炎の中に放り投げ、シンにむかって笑顔を向けた。
「んで、どこに行くッスか?」
炎の中で陽気に聞く。とりあえず上着を羽織り、スカートの泥を払えば、体裁は整う。
シンはそれには答えず、炎の一方に目をむけた。キョウコが視線を追うと、その空間が裂け、中から長身の美形の外国人女性が現れる。
「この子? まだ子供じゃない」
「力を持つものに年齢は関係ない。行くぞ」
シンは女性の脇を摺り抜け、裂けた空間の中に入り込む。
「ま、そうね。さ、あなた、来なさい」
「えーと、こちらさんは?」
「エキドナ。見つかると面倒だから、早く来なさい」
「はぁーいっ♪」
キョウコの明るい返事に、顔を顰めるエキドナ。脇を摺り抜け、空間の裂け目を越えるキョウコを睨み付けている。
「あ、自己紹介がまだでしたね。私はキョウコって言います。よろしく、エキドナ姉様♪」
「……よろしく。ねえ、シン。こんな奴使えるの?」
「訓練次第だ。教育はお前に任す」
「私が?」
「よろしくおねがいしまーっす!」
「……よろしく」
エキドナの顔はますます渋った。
「違う!」
アジトに戻ってすぐに、エキドナはキョウコを連れて訓練室にこもった。道を使う為の体力、身体能力が、彼女には圧倒的に足りない。それを強化しない事には、道の使い方を教える所ではない。
「姉様ぁ……少し休みましょうよぅ……」
ヘタれた声を出すキョウコ。着替えも無く、教われた時のままで既に30分動きつづけている。
「姉様って言うのはやめなさい。そんなんでへばってたら、いつ使い物になるかわからないわ」
「せめて、シャワー浴びさせてもらえませんかぁ? 身体ベトベトできもちわるい……」
その言葉に、エキドナは無言でキョウコに近づく。甘ったれた考えをただそうとぐいっとYシャツ襟を掴み上げた。
「あんたねぇっ……っと……」
キョウコの胸元には男達が蹂躪し、内出血がいくつも残っていた。この距離まで近づいて初めて、キョウコのものではない男の匂いが漂う。
「あんた……」
「お願いしますよぉ……姉さまぁ」
エキドナはキョウコの瞳をじぃっと見る。その目は媚びている時のものだが、どこか悲しみの光が宿っているように感じた。
「……シャワー室はそこ。浴び終わったら私の部屋まできなさい。良いわね」
その言葉に、ぱぁっとキョウコの顔が晴れる。
「ありがとうございますっ。じゃ、早速つかわせてもらいますね」
そう言ってにぱっと笑うと、いそいそとシャワー室に入っていった。
エキドナの部屋がノックされる。
「姉様〜?」
ドアの向こうから、キョウコの声が聞こえてくる。エキドナは、黙ってドアを開けた。
「おっじゃましま〜すっ」
元気な笑顔を向け、キョウコが入って来る。破れたYシャツと薄汚れたスカートのままだ。
「うわぁ……綺麗なお部屋ですねぇ。ベッドもおっき〜」
珍しそうに部屋を見渡しているキョウコ。そのキョウコを尻目に、エキドナは棚から小瓶を取出していた。
「ベッドに寝て、汚れるからスカートは脱ぎなさい」
「えっ? いやー。実は、ノーパンなんっすよ。姉様」
「分かってるわ。でも、薬を塗らないと。跡になったら嫌でしょう? ついでだからYシャツも脱いじゃいなさい」
「大丈夫っすよ。これくらい」
「私の言う事には……」
「逆らわない……でしたね。はぁい」
キョウコはスカートとYシャツを脱ぎ、ベッドに入る。エキドナがこちらを振り向いて寄ってくると、やはりシーツで胸などを隠してしまう。
「ほら、寝転んで。まずは背中ね」
ころん……と、うつ伏せにされ、シーツをよけられ、背中をあらわにされる。地面での行為はキョウコの背中に無数の傷を付けていた。
エキドナは軟膏を手に取り、傷口に塗り込んでいく。
「ひゃっ」
ひんやりした感覚に、思わず声が出る。シャワーは傷に染みたのだが、この薬は痛みが無い。
「ふふ……特別製だから、すぐに良くなるわよ」
「なんか……エステみたいできもちいーです……んっ……」
「ふぅ……明るいのね、あなた」
エキドナが薬を擦り込みながら聞く。白い繊細な指が、キョウコの白い肌に無残に付いた傷の一つ一つを丹念になぞって行く。薬を塗り込んだ場所は、すぐに白い肌へと変わる。道の力による薬は効果も高い。
「……暗くなっても、しょうがないッスから。はっ……きゃうっ」
「強いのかしら……?」
「あ……ん……何にも考えてないだけッスよ……あんっ」
肩甲骨の辺りをつぅっと触られ、身体をのけぞらすキョウコ。既に傷は跡形も無く、先ほどからエキドナの指は薬を付けずに這っていた。
「はっ……えと……姉様?」
「ふふ……どうしたの?」
含み笑いと同時に背筋をなぞる。
「きゃうっ……あの……なんか……ヤバい感じが……」
「そう? もう良さそうね?」
「はい……もう大丈夫ですぅ……」
「じゃ、反対ね」
す……と、エキドナの指がキョウコの背から離れ、肩を掴まれてゆっくりと仰向けにされる。腰の辺りをシーツで覆われている以外は全裸のキョウコはいつもは武器にしている自慢の胸を隠しもせずに上気した頬で荒い息を付いていた。
「こっちも痛々しいわね……」
またも薬を手に取り、首筋、胸元、脇などに擦り込んで行く。男達が吸った跡が内出血として残っており、白い肌が赤く汚されていた。
キョウコの肌をエキドナの指が滑る。その微妙な感覚にも、興奮したキョウコの肌は敏感に反応を返す。
「あっ、うっ……ん……あっ、お姉さまぁ……」
「ん? なあに?」
「あの……私、そういうケはないんッスけど……きゃうっ」
「ふうん……じゃ、やめる?」
「いや……そう言われると……はんっ……もうちょっとされてても良いかなぁ……とか。んっ!」
「ふふっ……そう。じゃあ、もうちょっとね」
エキドナの愛撫が激しくなる。既に薬の塗り込みは終り、内出血は綺麗に消えている。しかし、上気したキョウコのはだは全身をうす桃色に染めていた。
「えっ、あっ……ちょっ……あっ、はんっ。やっ……あうっ」
胸を愛撫され、キョウコが反応する。知らずに声を上げてしまい、その声で更に高まって行く。
「ふふふっ……じゃあ、他のところも治さなきゃね……」
するする……っと、シーツを剥ぎ取って行くエキドナ。高揚したキョウコはそれに気付かない。キョウコの下半身があらわになった。やはりそこも、男達の行為で内出血を起こしていた。
「さ、少し足を開いていてね。膝は立てときなさい」
軽く指示をして、膝をおこす。キョウコは素直に従い、心持ち両膝の間隔を開けた。
「んっ……ああっ」
つ……と、男達が残した後をエキドナの指がなぞって行く。今度は薬を絡め、ぬるっとした感触。
「あっ……そこは……」
エキドナの指が最後にキョウコの中心にたどり着く。ちゅく……と、濡れた音が漏れた。
「ふうん……こんなになってるのね」
「たはは……はずかしいッスよ〜」
キョウコは二の腕で顔を隠す。
「恥ずかしさなんて、忘れさせてあげるわ」
エキドナは薬瓶を側の棚に置き、寄り添うように寝転ぶ。両の手を使い、片方を胸に、片方をキョウコの秘所を責め立て始めた。
「あっ……んっ……やっ……すごいっ……ああんっ」
「くす……かわいいわよ。んっ」
胸と秘所を同時に責め立てながら、耳元でささやき、耳たぶを甘噛みするエキドナ。その刺激に、キョウコはびくんっ……と背筋をのけぞらせた。
「やっ……姉様……ちょっ……あんっ……このままじゃ……ああっ」
「ふふ……いいわよ」
エキドナの愛撫が激しくなり、キョウコの隠れていた花芯も探り当ててきゅうっとつまんだ。
「ああああぁぁぁっ!」
背をのけぞらせ、全身を痙攣させるキョウコ。汗が噴き出し、秘所からもどろりと粘性のある液体を吐き出す。
「はぁ……はぁ……あふ……」
「くすくす……まだまだよ」
「うわぁ……」
朦朧とする意識のなかで、かろうじて声を上げるキョウコ。目の前ではエキドナがラフな服を脱ぎ、徐々に裸身を晒して行く。
「どうしたの?」
「きれいだなぁ……っておもってぇ」
「ふふ……ありがと」
エキドナはキョウコに寄り添い、右腕で腕枕をして左手の手櫛でキョウコの髪を梳く。
「はう……なんか、ふわふわしますぅ」
「まだ薬が効いているからね。何されても気持ち良いわよ」
「いや……それはちょっとコワイかなぁ……んっ!」
エキドナが髪を撫でていた手を、キョウコの胸に下ろしていった。指一本でかするかどうかという微妙な刺激でキョウコの肌をすべる。キョウコはどこを触られても、身体をぴくぴくと震わせる。
「だめですよぉ……イッちゃったすぐで、敏感になってるからぁ……」
「でも、ここは準備できているみたいよ」
「きゃぁうっ!」
キョウコの股間に指がはう。キョウコのものではない。エキドナの左手はキョウコの胸の上を踊っている。右手は腕枕でキョウコの頭の下敷きだ。予想外の刺激に、キョウコの興奮は一気に高まってしまう。
「あっ……なっ……なにっ? この……指……お姉サマ?」
「ふふ……そうよ……ほら、こんなとこも……」
「きゃうんっ」
「こんな事も……ね」
「あんっ……あああぁぁぁっ!」
エキドナの耳元でのささやきとキョウコのアソコをいじる指は同じように動く。間違いなくエキドナの指なのだろう。
「なん……で……? んっ」
右手を見ようと視線を泳がすキョウコを遮るように、キョウコの唇を奪うエキドナ。腕枕した右腕の手首から先は、空間の狭間に飲み込まれている。その空間はキョウコの股の辺りにつながっており、キョウコの愛撫を続けていた。
「んっ……んんんっ……うんっ……」
「ふふ……さて、もうちょっとハードにいくわよ」
くちゅっ。
たっぷりと分泌した蜜を掻き分けエキドナの指がキョウコの割れ目の中に侵入する。びぐんっとキョウコのからだが跳ねた。
「いたぁっ!」
エキドナの指がキョウコの中の皮膜に触れる。
「あら、あなた、バージンなの?」
意外そうな声を上げるエキドナ。指は皮膜の周囲をほぐすように動いている。
「え……へへ……なんか……機会が無くて……」
「そう、じゃ、私が貰っても良いわね?」
「それは駄目っ……と……」
思わず上げてしまった厳しい声に、キョウコ自身が驚く。
「思ったより大事にしてるんじゃない」
「えへへ……なんか、やっぱり初めては決めた人にあげたいなぁ……っておもうんですよぉ」
「誰か相手がいるの?」
「いや……まだみつかってないんっすけどね」
「そう……じゃ、その時の為に少しほぐす程度にするわね」
す……と腕枕を解くエキドナ。右腕は既に元に戻っている。今度は直接キョウコの秘所に手をもってゆく。
「あの……エキドナさん?」
「大丈夫、破らないようにするから」
笑みを浮かべながらキョウコの割れ目に押し入っていくエキドナ。処女の証に指が触れる直前、エキドナの指が消え、その先の誰も触れた事の無い場所に現れた。
「あっ……えっ? なに? あっ……ああっ……ああああっ」
指を抜き差しする。エキドナの指はキョウコの奥までかき回している。しかし、キョウコの痛みはない。慣れない感覚に戸惑いはしたが、その感覚は既に快感へと変わっている。当然、キョウコの処女膜は傷一つついていない。
「あっ……あっ……あっ……奥まで……きてるよぉっ。すごいっ。エキドナさんっ……姉さまぁっ!」
「ふふ……良い感度ね。これなら、貴方の王子様も喜ぶわよ」
ぐちゅぐちゅずちゅっ
いやらしい音がキョウコの秘所からあふれる。キョウコはこれから来る不安で腕は引きつりながらもエキドナの背にまわり、ぎゅぅっと抱きしめ、その飽満な胸に顔を埋める。
「んっ? 大丈夫よ……まかせなさい」
「あっ……んっ……あっ……はむん」
何かで気を紛らわせようと、キョウコは近く似合ったエキドナの乳首にむしゃぶりつく。ぴくん……とエキドナが一瞬身を震わせるが、キョウコへの抜き差しは止まらない。
「んっ……いいわよ。もっと舌で転がして……」
「はっあっんっあむっ……んっあんっ……」
「ふ……あふ……ん……いいわ……気持ちいいわよ」
「あ……ああ……もう……アタシ……」
「ん。いいわよ」
エキドナは空間の切断場所をわずかに替え、キョウコの膣内の上辺を刺激する。
「あっ……ああぁぁっ……駄目っ……もう……ああああぁぁぁっ!」
びくびくびくん……とキョウコの身体が跳ね。キョウコはかつて無いほどの快感に襲われた。入り口を触っていただけでは味わえなかった電流が全身を流れ、意識は宙へと飛んだ。
「はぁ……はぁ……あふ……ん……」
まだ余韻が残ってぴくりと動くキョウコは、エキドナに抱かれながら次第に寝息を立てるのだった。
FIN