ブラックキャット  

コックをひねると、すぐに湯が溢れでた。  
その湯でリンスは石鹸の泡を洗い流しつつ、ふぅ、と溜息をついた。  
ジェノスと行動を共にするようになってからというもの、一人になれるのはバスルームか  
ベッドくらいなのだ。溜息がでるのも仕方がない。  
一通り泡を流し終わると、リンスはシャワーの湯を出したまま座り込んだ。そして自らの胸に手を伸ばし、  
揉みしだき始めた。  
「ん、っ・・・」  
普段であればこういう行為は寝室で行うのだか、今は薄壁隔てた向こうに  
ジェノスがいる。相手はクロノ・ナンバーズの一人なのだ。隣の部屋の声を聞きとるくらいたやすいだろう。  
その点、バスルームなら水音で多少声はかき消されるし、  
まさかジェノスが聞き耳をたてていることもないはずだ。  
そんな安心感のせいか、大胆になっていたのかもしれない。  
指先が乳首に触れると、リンスは  
「あんっ」  
と、大きな声をあげた。  
「はあっ、ああっ・・・んっ」  
指の動きに合わせ、声も大きくなる。やがて胸だけでは足りなくなったリンスは、  
下半身に手をやった。  
秘裂が愛液で濡れているのが解った時、ガチャ、という音を立ててドアが開いた。  

リンスは慌てて自慰をしていたことを隠そうとしたが、もう遅かった。  
ドアを開けた張本人、ジェノスはいつもの笑いを浮かべて言った。  
「へえ・・・リンスちゃんえらく風呂が長いと思ったら、こんなことしてたんだ」  
「う、うるさいわねっ。それより何のつもりよっ」  
いきなりバスルームに入ってくるなんて、とリンスはジェノスを睨みつける。  
しかしジェノスは悪びれた様子もなく続ける。  
「君がなかなか出て来ないから、倒れてるんじゃないかって心配でね。  
ま、倒れてないならいいけど、セックスって二人でやる方が楽しいと思わない?」  
ジェノスは服が濡れるのも構わず、バスルームに踏み込んできた。  
「あんた何入って来てんのよっ」  
必死でジェノスを押し出そうとするリンスだったが、力が及ばず抑えつけられた。  
また元通りに座らされる。 

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