夜勤明け、おまけに残業だ。  
今日は人が居ないんだ、まあ仕方無い。  
 
朝の忙しい時間帯を適当にやり過ごすと、俺は帰る用意を始めた。  
そこへ2Fから戻って来たエリックが俺に言う。  
「おいケビン、ウェスカー隊長が呼んでたぞ。帰る前に上に顔出せ」  
 
へえ、隊長が? 一体何の用だ?  
・・・・・ははぁ、STARS絡みだな? こりゃきっと朗報だぞ!  
俺は急いで2Fのオフィスへ向かった。  
 
赤い宝石を片手に掲げた像の所で、隊長とばったり行き会った。  
「ああケビン。ちょうど探していた所だ」  
「隊長! もしかして・・・・・・!」  
俺はついつい顔がほころんじまうのを抑えられない。  
早く言ってくれ・・・・・・・隊長!  
「・・・・・・(どうやら面接の件と勘違いしているようだな・・・・・相変わらず楽観的な男だ)・・・・・実は・・・・・」  
 
「食事会?」  
「ああそうだ」  
隊長が言うには、こないだの老いて尚壮んなじいさんのファイル3出演祝いパーティーを開くんだそうだ。  
「さっそく今から館へ向かってくれ。アルファとブラヴォーの隊員達ももう向かった筈だ。その前に、署長室に寄ってくれ」  
 
今からかよ! やれやれ忙しねェな。  
なんてのは照れ隠しだ。あのChickに会える・・・・・! 胸が躍るぜ!!  
・・・・・にしても隊長もニクイな。フフッ。  
会食の席で採用を発表しようってのか? イヤ〜なおっさんだあッ!  
俺はクイックターンすると所長室へ向かった。  
 
「お前か」  
署長は俺を見るなり新しく作った禿鷹の剥製を差し出す。  
「お前パーティーに行くんだろう? これを持って行け」  
VultureがVultureの剥製とはな。シャレがきいてるぜブライアン。いや、ほんの冗談だハハハ。  
俺は剥製を抱える。  
「壊さないようにそっと運ぶんだぞ」  
「イェッサ」  
 
「おっとそうだった。これも持って行け」  
署長は兜のマークのある鍵を俺に手渡す。  
「この鍵で開く2Fの部屋に、剥製のたくさん置いてある部屋がある。その部屋のどこか適当な所に置いておけばいい」  
そういえばあの館、戸締りをきちんとしてたな。  
ジョーカーを持って行くか。  
 
☆印の連中はヘリで向かったらしい。  
俺は足回りのソフトなパトカーを選び、剥製を乗せて館にやって来た。  
相変わらずでけぇ館だ。  
 
扉を開けると執事が出迎えてくれた。促されて衣裳部屋に向かう。  
そう言えば隊長が言ってたな。  
今日は仮装パーティーだから着替えて貰うとか何とか。  
 
部屋に入るとクローゼットを見た。  
様々な服やドレスが並んでるが、サイズの合いそうなのが幾つかあるようだ。  
中でもUBCSというのが気に入った。  
カルロス仕様とニコライ仕様とあるが、動きやすそうなんでカルロスにした。  
俺は制服を脱ぐとUBCSに着替える。  
 
こりゃ驚いた・・・・・・・何とアサルトまで付いてやがる!  
マガジンもある、見た目も重さもまるで本物だ! こいつぁ凝ってるぜ。面白くなって来た。  
ブラウンのコンタクトを入れて、整髪スプレーで髪色も少し変えて整える。  
さあできた!  
 
クローゼットを出ると巨大な鏡の前に立ってみた。  
「誰だこりゃ!」  
すげえ・・・・・! マジで仮装だ。  
俺はアサルトを構えてニヤリとした。  
 
脱いだ服を執事に預けると食堂に案内される。  
俺の席はジルとクリスに挟まれるような形だ。  
「ようクリス」  
「ケビン。着いたのか」  
クリスは背中に天使の絵のある革ジャンにズボン、と至って普段着だ。きっと合うサイズが無かったんだろう。  
 
「夜勤明けのその足で来たんだってな、大丈夫か?」  
「ああ。今日は内勤だったしな」  
ちょうど俺の後ろ辺りに大きな時計がある。  
振り返って時間を見ると、もう昼近くなっていた。  
「思ったより早かったじゃないケビ・・・・・ヒィッ! カルロス!?」  
「ん? この衣装そんなに有名なのか?」  
ジルはレトロな感じの白いスーツだ。  
似合うなあ、まったく何着ても似合う女だ!  
 
席に着いてざっと見回すと、STARSの連中の仮装の気合の入ってる事!  
流石だぜ。  
俺が感心してると厨房側のドアを開けてウェスカー隊長が入って来た。白衣にサングラスだ。  
 
「今ボブから連絡があった。腰痛が悪化したので来られないと言う事だ」  
ええぇ〜っ!? と客席からブーイングが上がる。  
おいおいじいさん、主賓が来ないたぁどういうこった。  
まあ・・・・・痛くて立ち上がれないくらいなんだろうが。  
 
そういえば天気図でハリケーンの予報をやってたな。超強力な熱帯低気圧・・・・・・えーと?  
アリッサだったかな。いやエカテリーナか?  
大方それの影響で腰が痛むんだろう。  
 
「せっかく集まってくれたのに悪いから、自分たちだけでパーティーを楽しんでくれと言っていた。お言葉に甘えるとしよう」  
ウェスカーはそう言うと上座に腰掛ける。  
そして事情を説明すると、給仕係が次々と料理を運び始めた。  
 
「お〜いしぃ〜♪」  
黒い、所々メッシュになったセクシーでタイトな武装スーツでキメて、髪を赤毛にしたレベッカが感歎の声を洩らす。  
ジルやレベッカは出された料理に大満足だ。  
確かに美味い。  
一流シェフがいるんだろう。  
俺も腹が減ってたから夢中んなって食う。  
やっぱ人間、食う寝るやるが満たされると幸せだよな。  
 
それにしても隊員の仮装はすげえ! 半端じゃねえ!  
STARSの間じゃ死体仮装がブームなのか? みんな顔色まで悪くしてる。  
さすが特殊部隊、特殊メイクもバッチリだな。  
 
どうやってるのか知らないが、ジョセフは犬か何かに噛み千切られたような痕を付けて血まみれだ。  
エンリコの旦那は引っかき傷と、撃たれたような傷痕で虫の息でいる。  
リチャードは上半身に大きな噛み痕がある。  
呼吸の度にそこから血のりがぴゅーぴゅー出る仕掛けだ。唇がチアノーゼのようになってる。  
いや唇だけじゃない。肌全体が紫がかった色だ。  
フォレストは鳥か何かについばまれたような痕があり、肋骨が見えてる有様。  
ケネスに至っては皮一枚で首が繋がってるような状態。顔半分の肉も無い。  
 
「俺が甘かった・・・・・・!」  
俺は自分の甘さを思い知った。  
スターズになるにはこれ程の気合が無いとダメって事なんだ。  
ウェスカーは俺にそれを教えようとしたんだな。  
 
よくわかったぜ!  
俺ももっと精進する。  
まずは次回の射撃コンテストでダントツの優勝を飾るとするか。  
今はパーティーを楽しむとしよう。  
・・・・・と思ってたら予期せぬ客が来た。  
 
チクタク時計の音に混じって何かが擦れ合うような音がする。  
ホール側の観音開きの扉が開いてるんで見てみた。  
「大蛇だ!」  
咄嗟にクリスが立ち上がり、懐から銃を出して構えた。それをウェスカーが制止する───。  
 
どうもここのうちで飼ってるペットらしい。  
人に慣れてるのか、給仕係達も怖がる素振りすら見せない。  
ここのうちは色々とペットを飼ってるな。  
大蛇、犬、蜘蛛、緑色のゴリラみたいなの・・・・・・。  
庭園の方には、この大うわばみの子供みたいな太くてでかい蛇がたくさんいた。  
ここのひよこをさらいに来た時に木から次々と飛び降りて来たっけな。  
 
うわばみは金のエンブレムの掛かってある小さな暖炉のような穴に、多少無理して入って行った。  
と思えばすぐにまたそこから出て来る。  
テーブルの周りをうろうろと這い回り、鎌首をもたげて俺達を見回す。  
「気にしないで食べてくれ。いたずら好きなだけだ」  
ウェスカーが総毛立った隊員達を座らせた。  
しかし奴のいたずらは続く。  
 
「こら! やめなさい!」  
うわばみは身を伸ばして二階の手摺りに顎を乗せると、通路にある石像を口で食んで下に落っことした。  
「ぎゃッ!」  
石像が真下にいたケネスにヒットする。  
そのせいで何とか繋がってた首の皮が切れてしまい、ごろんごろんと頭が転がった。  
ちょっと待て!  
これもパーティーの演出だってのか?  
ケネス、あんた気合入れすぎだ! もう勘弁してくれ・・・・・・。  
 
「っふ〜やれやれ」  
エンリコの旦那が立ち上がってケネスを拾い上げると、胴体の上にちょこんと置いた。  
「逆だッ!」  
俺は反射的に突っ込んでいた。  
料理に見向きもしないケネスの、ひゅっひゅっという息遣いだけが聞こえる。  
 
「向うへ行ってなさい」  
ウェスカーが手でしっしっとやり、大蛇を追い払うと会食が再会された。  
それから暫らくは静かだったが、メインディッシュが出る頃に大蛇は戻って来やがった。  
 
「来やがったな!」  
また俺達の周りをずりずりと這うと、俺の後ろでピタリと止まる。  
「どうやら気に入られたようだな」  
とクリス。大蛇は俺の首筋にちろちろと舌を這わせたり、顎を外して大口を開けたりしている。  
「メシどころじゃねーよッ!!」  
 
俺はウェスカーに何とかしてくれと言うと、ウェスカーは執事を呼んで二三話したようだった。  
少しすると召使の男が4、5人来て、ケネスとフォレストを連れて出て行った。  
蛇もそれについて行く。  
──やっと平和になった・・・・・。食事の続きをしよう。  
それからは蛇は現れなかった。  
 
「デザートは各人好きなのを選んでくれ」  
フルコースが進むと、ウェスカーが給仕長にデザートメニューを配らせた。  
メニューを見てみるといろいろあった。  
まあパーティーだし、シャレでやってるんだろうが・・・・・。  
ゾンビ犬の目玉とジュレ、ネプチューンの脳の蜂蜜がけ、タイラントエキスのアイス、プラント42の触手ケーキetc.・・・・・。  
 
「どれも甘いのか」  
「じゃ、あたしがカル・・・・・ケビンの分まで食べてあげる」  
「甘いのが好きでないのなら、プラント42のルートビアがあるが」  
「それがいい」  
 
女達はデザートをおかわりしまくって、きゃあきゃあ言いながら食ってた。  
ゾンビ犬の目玉を見せて貰ったが、精巧な作りだ。良くできてる。  
職人の匠気が見て取れる一品だった。  
 
───ひと通り食事と団欒が終わり、食事会がお開きになるとウェスカーが案を出す。  
「このあと用事の無い者は、その先で一杯やらないか? ちょっとしたバーがあるんだが。ピアノもある」  
「わあ〜っ、わたし行きますっ隊長!」  
レベッカが軽い足取りで厨房側へ行った。  
そうだなさっきの赤ワインじゃちっとも回らねえしな、飲むのも悪かないな。  
 
「どうするケビン、お前は」  
俺も、と言いたい所だ。  
だが眠い。  
食ったら急に眠くなった。それに剥製も運ばないとな。  
俺は仮眠してから向かうと言うと、ウェスカーは手頃なベッドをあてがってくれた。  
「住み込みの飼育係の部屋だったんだが、今は行方不明だ」  
 
「・・・・・・ふぅ・・・・・・」  
俺は飼育係の部屋に入るとベッドに腰掛ける。  
横になろうかと思ったがやめた。何かの気配を感じるからだ。  
立ち上がり部屋を見回す。  
するとデスクの上に日誌があった。  
読むと、ポーカーで負けた事や体の腫れ物の事が書かれてる。  
俺はページをめくって行くが、文字がどんどんおかしくなってきてるのがわかる・・・・・。  
崩れてスペルは違うし、筆記も無駄に間が空いてる。  
目を閉じて書いたような字だ・・・・・。  
 
”かゆい かゆい スコットー きた”  
 ひどいかおなんで ころし  
 うまかっ  です。  
 
”かゆい”  
 うま  
 
そのあとページをめくってみても何も書かれてない。  
いや・・・・・・・最後のページに書かれてあった。  
紙は引きずったような赤黒い染みで汚れてる。文字も間延びして斜めになっていた。  
 
” び きたー  かゆ  ーくわ”  
 あし  き      した。  
 のみーーーーーーーーーーーおれ  
 
やめよう。  
眠る気分じゃない。  
剥製を置きに行こう。  
俺は部屋を出ると一旦車まで戻り、剥製を持って戻って来た。  
 
2Fに行き、兜のマークのあるドアを探し出し、試しにジョーカーの鍵を使ってみた。  
「お・・・・・!? 開くじゃねぇか。へへ・・・・・こいつぁ悪いもんだ・・・・・」  
俺は剥製を適当に──ゆり椅子の上に──置くと執事を捕まえて聞いた。  
 
「ここの娘はどこへ行ったんだ?」  
執事は使用人に用事を言いつけ終わると向き直り、朝は見かけたが今は知らないと言う。  
気を使ってか、研究所に連絡を取ろうとしてくれたが俺は断った。  
仕事中ならいいんだ。  
 
やれやれ・・・・・・。  
日勤夜勤非番と問わずあれから毎日のように通ってみたが、会えたのはほんの3日だけだ。  
会食に出て来るのかと思えば来ない。  
・・・・・携帯を持たせるんだったな・・・・・・。  
ここにいなければ街の研究所の方にいるんだろうが・・・・・どうにも避けられてるような気がするのは気のせいか?  
 
まあいい。  
バーに行ってウェスカー達と飲んだくれよう。  
ウェスカーの旦那をへべれけに酔っ払わせるんだ。  
それで、新たにオメガだのボンジョールノだののチームを作って、それの隊員か隊長にでもして貰ってだな・・・・・・。  
俺は1Fのバーへ向かった。  
 
ドアノブに手を掛けようとするとピアノの音がする。  
練習中なのかつっかえつっかえの演奏だ。  
時折「あん!」だの「いやん!」だの、上手くひけない事に対する苛立ちのような声がする。  
にしても妙に艶っぽいような声だ・・・・・・。  
 
俺はノブに手を掛けた。が、開かない。鍵がかかってる。  
とその時、レベッカの悲鳴と鍵盤に両手を置いたような音がした。続いてウェスカーの声。  
「Like this! Like this!!(このようにな)」  
「キャァプテ────ッン!!」  
 
やってんのかよ!  
レベッカも入隊後の通過儀礼を無事済ませたってとこだな。  
俺はちょっと失敬して鍵穴から覗いてみた。  
グランドピアノの蓋が開いてるせいか良く見えないが、上は肌蹴てるようだ。  
多分演奏中に後ろからチャックを開けられたんだろう。  
ウェスカーは息が上がるでもなく、相変わらずクールな無表情で激しく後ろから攻め立ててる。  
 
ここはひとつ、そっとしとこう。  
畜生め! 酒はお預けか。  
まあいい。ちょっと腹ごなしに探索でもしよう。  
 
前にじいさんとここへ来た時は、あちこちの油絵を見て回る程度だったから、行ってない部屋もある。  
俺はホールから2Fへ上がり、テラスのような所に出てみた。  
遠くの山々が見渡せる。  
手摺りに身を乗り出してみると、ほぼ放し飼いにされてる犬達が草原や森を好き勝手走り回ってるのが見えた。  
俺は少し景色を楽しんでから一服しようとした所、カラスがわらわらと集まってきてしまい、賑やかになったんで戻る事にした。  
 
そういえばタバコは制服のケツポケの中に入れたままだな。  
執事が見付からないんで衣裳部屋に行ってみる事にした。───が、まただ。  
ドアには鍵、中からは乱れた声。  
ジルの半音高いようなとぎれとぎれの声だ。  
俺はまた鍵穴から覗く。  
 
おおっ!  
こりゃ見物だぞ、ジルクリスのファックだ。  
巨大鏡に手を付かせてクリスが後ろから攻めてる。  
こちらも立ちバックだ。  
クリスからは、ジルのやられてる姿が前からも後ろからも見えるって訳だな? スケベな男だなオイ。  
 
クリスはI have this!! とバリーの真似をしながら突っ込みまくりだ。  
ジルの切なげな声が長く尾を引く・・・・・。  
畜生め! 俺もやりたくなるじゃねぇか!  
食って元気になったらやりたくなるのが人情ってもんだ。  
こうなったら意地でもここの娘を探し出してやる!  
俺は行ってない部屋を見てみる事にした。  
 
その前にまず1Fの庭園へ抜ける側にある、娘の読書部屋のような部屋に寄った。  
部屋には誰も居ない。  
窓から外を見ると鬱蒼とした森が見えた。  
木の下で犬が昼寝してる。  
俺は本棚を探り、最後の書を見つけ出した。開くと中にはメダルが入ったままだ。  
地下施設には行ってないらしい。  
 
───2Fへ上がり、羊皮紙が掛かってるちょっとした暖炉のある部屋を通って、鍵を開けると奥の部屋へ入った。  
市松模様の床に、普通のピアノと大きな暖炉、隅の方にイスと小さなテーブルがある。  
・・・・・それだけじゃない。  
毒々しい柄のペットの大うわばみがとぐろを巻いて寝てる。大いびきだ。  
きっとなんか食ったんだろう。  
 
ところでこの大蛇にはどんな餌やってるんだ? 死んだ犬か何かか?  
と腕組して考えてたら、大蛇が俺の匂いで目を覚ました。  
緩慢な動きで、のそ〜っと体を伸ばして暖炉の穴に入って行く。  
腹がぼこっぼこっと2つ膨れてるのが見えたが、やはり食後だったか。  
 
うわばみが居なくなると、奴の寝ていた所に紙切れが落ちてるのを見付けた。  
俺はそれを拾い、見てみるとPass No.とあり、数字が並んでる。  
これは・・・・・きっとあれだ!  
俺は剥製部屋脇まで戻り──ここに違いない──ナンバーロック式のドアを開けた。Bingo!!  
 
まぁーったく!  
広すぎて迷うぜここんちは。  
俺はどんどん進み、青い扉に入る。  
どうやら図書室のようだ。小難しい本がわんさと並んでる。  
生物や薬物の専門書が目立つな。俺にはわからねぇ。  
 
「フゥ・・・・・」  
俺は壁添いにある置棚に寄り掛かって、一息ついた。  
「・・・・・おっ?」  
すると本棚は俺の体重で動いて、壁に何かあるのが見えた。俺は本棚を押しやる。  
 
・・・・・・・・・隠し扉だ!  
好きだぜ? こういうの。  
中に入り、窓から外を見渡すとヘリポートが見えた。  
ヘリが1機しか無い所を見ると、もう何人か帰ったようだな。  
俺は図書室に戻るともう一方の、奥まった所にあるドアの先へと進んだ。  
 
ここも図書室か。  
またしても専門書だらけだ。薬品関係の本が多い。  
俺は部屋を歩いて回ると、柱に妙なレリーフがあるのを見付けた。  
胸の所のスイッチを押してみる。  
すると本棚の隅にスポットが当てられた。  
見に行ってみると何かを置いたような形跡がある。  
俺は周りを見回し、いかにもな石像を押して持って来た。スポットの真下に置く。  
 
「やっぱりだ!」  
またもや仕掛けだ。  
本棚が横にずれ、隠し書斎が現れた。ついでにここの娘も現れた!  
 
「ひっ!」  
「こんな所にいたのか!」  
「だ、誰!? あなた誰ですかっ」  
娘は読んでいた本を投げ出すとすばやく書斎を抜け出し、じりじりと後退りする。  
「俺だ!」  
「知りませんっ」  
知らねぇだと? 言うなぁお前も!  
忘れたとは言わせねえ、イヤって程思い出させてやるッ!!  
 
「待てっ」  
「ご、強盗・・・・・?」  
娘はドアを背にした。  
ノブに手をかけようとしてる。そうは行かねぇよ!  
俺はドアを開けかけた娘に駆け寄った。  
娘がドアから離れ、脇に逃げる。  
 
「強盗だ!・・・おう!」  
慌てた娘は足を縺れさせて、勢い良く後ろにすっ転ぶ。  
スカートがめくれてパンツが丸見えだ!  
ナイスハプニング!  
なのはいいが怪我されちゃたまらん。  
俺は娘を抱き起こそうとするが、嫌がってしょうがない。  
娘は後ろにある本棚に手を伸ばすと頑丈そうな本を抜き取って、俺を殴る殴る! 叩く叩く!  
本の背や角で頭をすこーんとやられる。  
 
「いてッ! やめろ、おい!」  
これ以上バカんなったらどうしてくれる!  
「・・・・・誰か・・・・・誰か助けて・・・・・っ・・・・・おまわりさぁっ・・・・・んっ・・・・」  
「そのおまわりさんだッ!」  
「うそ・・・・・っ・・・・・うそっ・・・・・! 違うわ」  
「違わねぇ! 試しに挿れさせろ!」  
「いやあああああぁぁぁぁぁ〜」  
 
昨日その前からノンストップで動き回ってるせいか俺はもう、疲れマラでビンッビンだァッ!  
まずこいつを寝かせてくれ!  
 
「ヤあぁッ」  
俺は娘の服をひん剥き、その服で手首を拘束した。  
邪魔なアサルトを向うに放ってから、娘の体を舐め回す。  
「ひいいいぃぃぃっ」  
「美味いッ! 最高のデザートだッ!」  
おかわりおかわりおかわりッ!  
俺は娘の柔肌を唇でねぶり、舌で転がし、二の腕をちょっと噛んだりして味わい尽くす。  
 
「お前なぜ会食に来なかった! 俺を避けてるな!?」  
俺は娘のパンツも取り、一番敏感な場所にも挨拶する。こんちわ!  
敏感なだけあって、ちょっとキスしたぐらいで感涙だ! 最高!  
 
「これ以上溢れないようにちゃんと栓しないとな」  
「だめえぇーっ」  
余計溢れるかも知れないが、とりあえず栓だ。  
俺は娘の奥深くまで栓をした。  
「んんぅーっ」  
 
どうなんだよおいっ、思い出したか?  
「強盗ってのは強姦もしていくもんだ」  
今日はどうにもこうにも激しくせずにはいらんねぇ。  
ウェスカーやクリスのように立ちファックだ!  
俺は娘を抱えたまま立ち上がり、球場の売り子のようなスタイルで揺さぶった。  
 
が、軽くてやりやすいのはいいが娘がしっかりと肩に抱き付かないんで、安定が悪い。売り子はやめだ。  
本棚をバックに娘の背を押し付け、強く激しく突き抜く。  
ここは中にあまり本が並んでないせいか、ガタガタと棚が揺れる。振動で挿し棚が何枚か外れた。  
だが構やしねぇ、もう止められない。  
 
「アアアアァァァァァッ・・・・・・アアゥッ・・・・・アアンッ・・・・・ぁあぁ・・・・・っ」  
娘が締め付けを強くして、喘ぎと合わせるようにひときわ強く、俺を搾り取るように何度も引き付ける。  
「ンあァッ」  
たまんねぇ!  
これだから女だけはやめられねぇんだ・・・・・全て絞り取ってくれ!  
だが俺はまだ出ちゃいない。  
もっと突かせろッ!  
 
俺は栓を娘から引き抜くと娘を自分の足で立たせ、手首の拘束を解いた。  
後ろを向かせて本棚を掴ませて・・・・・突っ込む!  
「はぁぅッ!」  
うああ気持ち良過ぎだっ! これこそがパーティー!  
ただでさえ寝不足でハイな頭が、もっとどうにかなっちまいそうだ!  
いや、あんだけ殴られたんだ、もうどうにかなってる!  
 
「出すぜ!」  
「やめっ・・・・・・・・イヤぁ・・・・・ダメッダメッ・・・・ァ・メエェ〜ッ」  
「ぁあ出るッ・・・・・! 出るッ! ウ──っぅアッ・・・・・・ッ・・・ッハアァッ! アアッ」  
「イヤアァ──ッ・・・・ァァァ・・・」  
「パ! パーティー最高ッ!!」  
 
俺は娘を抱き寄せると繋がったまま床に寝そべる。  
こんなパーティーならいつでも呼んでくれ・・・・・!  
頭ン中はどうしようもなくハイホ───ッ!  
訳も無く笑い出したい気分だ。  
 
「とにかくサイコー!」  
もう眠いのもスッ飛んだ。  
体力を消耗して、けだるい動きになった娘をいつまでも舐りたおす。  
汗の味がこれまたクセんなる。きりがない・・・・・・・・・・。  
 
また催してきちまう前にさっさと離れないとな。  
俺は娘の服を着せ直すと何かの中辞典を重ねて枕を作り、寝かせる。  
そしてここで待つように言ってから執事を探しに行った。  
 
───制服一式を受け取ると元通りに着替える。  
執事の話だともうみんな帰ったらしい。  
ヘリの音も耳に入らないくらい、俺はデザートに夢中だった。  
 
「ここのデザートは最高・・・・・・・」  
「はは、そうですか。ありがとうございます。料理長も喜ぶ事でしょう」  
執事にお泊まりを勧められたが、俺は涙を呑んで丁重に断った。  
あまりの居心地の良さに入り浸るおそれがあるからだ。  
 
「またの機会に」  
「それは残念です」  
俺はパトカーに行って、娘へのみやげを取って戻って来た。  
 
来るたびに何か持って来たが、ここ何日も会えなかった。  
生ものや生花を買わなくて良かったぜ。  
娘はおまわりルックに戻った俺となかなか目を合わせようとしなかったが、プレゼントは喜んでたようだった。  
 
───日も落ちて犬達が遠吠えをするようになると、俺も時間が気になり出した。このあと夜勤が待ってるからだ。  
 
執事に礼を言って館を出ると、PCのエンジンをかける。  
2Fの窓からこっちを見てる娘に手を振って投げキッス。  
その時だった。  
 
「兄さん帰るのかの」  
「うん? ・・・・・・・・じいさん! 腰はもういいのか?」  
じいさんは電動式車椅子のようなのに乗って現れた。  
 
「皆は? 他の招待客はまだ来とらんのかえ?」  
「何言ってんだ。もうみんな帰ったぜ? ・・・・・どうしたんだ一体」  
「なぬ!? それはどういう事じゃ! 説明せい!」  
俺は事の一部始終を(色んなファックは抜きで)手短かに説明した。  
 
「・・・・・そんな事は聞いとらん!」  
おいおい年寄り特有の物忘れじゃねぇだろうな・・・・・。  
「ウェスカーがそう言ってたぞ」  
「あ・・・・・あんのグラサンBOWやめえぇぇ〜〜〜〜ッ!!」  
「なあじいさん落ち着けよ、何かの間違いだろ」  
こりゃやばパターンだな。  
上がって来ちまってる・・・・・・。またか? またキレんのか?  
 
「許さんぞ・・・・・わしをコケにしよってからに〜〜〜っ! この恨み、晴らさでおくべきかあぁ〜〜〜〜ッ!!!」  
逃げよう!  
「な、俺は仕事があるんだ。もう帰る。ウェスカーに用があるならスターズ宛てにかけてくれ。じゃあな」  
俺は車に乗り込みステアを握った。  
「まっ、待てっ! 兄さんっ! 貴様もグルだな!?」  
「違うッ!!」  
 
サイドを戻してからドアロックをかける。案の定じいさんはドアを開けようとした。  
俺はちょっとだけアクセルを踏んで車を出した。  
「逃がさんぞッ!」  
言うとじいさんは鬼気迫る形相で走り寄って、ミラーにしがみ付いて来た。  
おい! 立てんじゃねーかよ!  
「危ねえやめろッ! 離せ! 離せよオイ!」  
正直シルバーパワーをナメてたぜ・・・・・!  
ロウソクの消える前を見るようだ。  
 
「年寄りを担いで楽しいか!」  
「俺は知らねぇ、ウェスカーに聞いてくれ!」  
俺はミラーをたたむスイッチを押す。  
許せじいさん! オリャこのままじゃ遅刻だ!  
 
「もぶわっ!」  
じいさんは鈍い叫びをあげて派手に転がった。  
何でこのクリープ状態でそんなコケかたすんだよ!!  
「あいたあぁっ! 腰を打ったああああ! 若人にいっ! わし若人に虐められてるうううっ!!」  
 
・・・・・・・・・・俺は遅刻の腹を決めて車から降りると、じいさんを担ぎ起こした。  
「わざとやってんだろ!!」  
「寂しいんじゃ、寂しいんじゃ〜〜〜ッ! うおんおんおん・・・・・」  
 
話によるとあの電動風・車椅子様の物ではるばるやって来たという。  
誰かに迎えに来させりゃいいものを・・・・・。  
ウェスカーには全く違う事を言ったそうだ。  
腰に打って貰った注射が効いてから行きたいから、夜にしたかったらしい。  
 
俺はじいさんを元気付けると館に戻り、執事に頼み込んでじいさんを一晩預かって貰った。  
それからスッ飛ばして署に着けて、マービンが居やしないかとヒヤヒヤしながら顔を出す。  
 
「・・・・・・・ほっ・・・・・・・助かったぜ・・・・・・」  
日頃の行いがいいからだな。  
助かりついでに丁度いい所に丁度いい奴が来た。  
「また遅刻ぅ? しかもなんかシャツとかヨレヨレのシワだらけだし・・・・・・その格好で遊び回るのはよしてよ」  
「うるせえ。俺はもう寝るからお前ちゃんと仕事やっとけよ。これにこれに、これと、これも」  
「な・・・・・!(呆れて物も言えないよ・・・・・)」  
そこにアーロンがニヤニヤしながら割って入る。  
「どうせ起きてたってカードで俺達をカモるだけだ。平和な夜を過ごせるだろう? なあハリー」  
「ブツブツブツブツ・・・・・・・」  
「頼んだぜ」  
 
俺は宿直室に入ると脱いだ制服をベッドの2段目に放り、1段目に横になった。  
目を閉じて館の娘を思い出し、パーティーの余韻に浸る・・・・・・・。  
 
『次はいつ会える?』  
『あの・・・・・その・・・・・・・えぇ、・・・・・と・・・・・・・・・・後祝い・・・・・・で・・・・・・』  
 
後祝いか・・・・・!  
ちょっとだけワクワクするな。  
じいさん期待してるぜ? さあてと、寝て待つとしよう。  
俺はあくびを1つすると手を頭の後ろで組んだ。  
そして娘の髪の香りを思い出しているうちに、深い眠りに落ちて行った────────。  
 

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