数字を入力して鍵を開け、中に入る。何とかヘリに間に合えば・・・・・。
確かに人の唸り声はしないようだ。だが動物達はどうだろう、きっと・・・。
デ「フン、また鍵か」
デビットが戸締りしてあるドアに向かって、掃き捨てるように呟く。そして
腰の道具入れから何かのツールのような物を取り出し、ペンライトを
口に咥えながら鍵を開けてしまった。何とも器用な青年ではないか。青年?
その時、低く迫る地響きと共にみなに戦慄が走る・・・・! 何かが来るッ!
シ「キャアアアアァァァァァァッッ!!!」
象だ! 感染して凶暴になった象が門を壊して突進して来た! 逃げなければ!
デ「来い」
私たちは顔色一つ変えないこの冷静沈着な男について行く。心強い味方だ。
デ「くだらんショーなど・・・」
エレファントショーのステージに来るとシンディは悲しそうな顔をする。
シ「大好きだったのに・・・・・もう見られないわよね・・・・・・」
そう言い足元に目を落とすとシンディは何かの鍵を見付けた。事務所のらしい。
ハシゴから降りてきたデビットが目を閉じ、首を振りながら歩いて来た。
デ「電力を復旧させる」
事務所に入ると生存者がいた。と思った矢先、彼は象にさらわれ死者になる。
私たちは窓から離れ、奥へと進む。デビットを見ておやっさん、と勘違いした
生存者がもう1人いた。どうやらおやっさんと呼ばれ慕われる男がいるらしい。
シ「パスワードがいるみたい・・・・・」
デ「チッ! ・・・・・またか・・・・・・」
私たちはパスワードの手掛かりを探しに、事務所を出る。やはり動物もゾンビだ。
デ「正門へ行く。来い、動物舎を抜ければ早い」
ジ「ん? あれ? 何だこれ」
マ「どうした」
ジ「ンー・・・・コイン? メダル?」
マ「どれ」
ジムから渡されたメダルを見てみると、アライグマの絵のここ専用の
メダルのようだった。どこかで使うのかもしれんな。持っておこう。
ジ「それ持ってたらラッキー上がるかな?」
マ「ハハハ、上がるかもな」
俺はジムにメダルを渡す。ここは人のゾンビはいないようだが、
身を潜めた何かの気配を感じる。ベトナムで培った嗅覚がそう言っている。
ジ「ライオン見に行ってみない?」
ジ「ヒイイイィィィィィッッ! やっぱイヤだあああああ〜〜ッ」
マ「ジム! こっちだ! 水路に来い!」
ジ「アワワアワワ・・・・ほんとにほんとにx2ライオンだッ」
ジムは水路に降りるとあがった息を整える。ここは観光気分では死ぬ所だ。
ジ「あ! メダルみぃ〜ッけ!」
・・・・・・まったく・・・・・。───俺達は動物舎のチェーンを切ったり
鍵を開けたりしながら正門広場へ向かう。だが、シャッターが下りていて
ここから出られないようだ。どこかに開ける仕掛があるのかもしれない。
何の手掛かりも無いが、とりあえず戻ってみよう。気休めにメダルを持って。
いろいろと寄り道をし、何だかんだと随分メダルが集まった。事務所に来ると
生存者が仲間の情報を教えてくれた。良かった! 彼らも無事でいるのか!!
集めたメダルをラクーン君の置物に入れていく。やはり仕掛だ、床が光る。
胸像を移動させ、壁の絵が持ち上がると、エンブレムが出て来た。これは!
正門広場に行くとズタズタ、血みどろのジャンパーが落ちてたわ。ひどい話、
中身も少し残ってたみたい・・・・・・。そこでデビットがメモを拾った。
パスワードの事が書いてあるみたい。まず電気をどうにかしないと、ここの
シャッターも開かないかも。私たちは事務所に戻りパスワードを入力した。
そして生存者からの情報、ほっと安堵の息を漏らす私たち。合流しましょう!
デ「あのやかましい象を黙らせる」
デビットについて行き、象ステージで待つ事に。私はパレードの音楽を流す。
・・・・・・・オスカー・・・・・? オスカーが塀を軽々乗り越えて来たわ!
シ「来ないでゾウさん!」
デ「追い払ってどうする」
そう言ってデビットは表門を閉め、オスカーを閉じ込めた。これで一安心ね。
私たちは再び正門へと向かう。その前に、ここに来ているらしいマーク達を
捜さないと! ジョージのアイデアで、とりあえず監視所に行く事になったわ。
そこから見渡せば、もしかしたら彼等を見付ける事ができるかもしれない!
何とか監視所に辿り着いた。例の「おやっさん」はこの人の事だったのね。
オ「ああ、そいつらなら今し方ここへ来た。正門へ行くと言っていたな。
赤と青のエンブレムを持ってたから、シャッターを開けるつもりなんだろう」
ハ「これを貸してくれないか?」
オ「ご自由に」
ジョージは棚から双眼鏡を取ると外に出る。私も出て、遠くに目を凝らした。
・・・・ここから見渡せる所には誰も居ないみたい。私たちは再び中へ戻る。
窓から外を見ると正門の先に路面電車が見えたわ。そこでジョージが息を飲む。
ハ「大変だ・・・・・!」
手渡されたグラスを覗くと正門でライオンに追われるジム。マークが柱の影から
ジムを手招きしてる。無事に猛獣をまき、隠れる2人。私は電車に焦点を絞った。
ゾンビを撒いて一息つき、辺りを見回すと動物園の入り口が見えた。
はは、懐かしいな。学生の時分はこの路面電車でバイトに来たもんだ。
ここは金払いが良かった。特に俺は猛獣地区に割り当てられてたからな。
いや・・・・・・感慨に浸ってる場合じゃ無い。この電車動くのか?
俺は路面電車のドアへと歩いて行く。その時、後ろの方で何かが
降り立つような音がした。俺はホルスターに手をやりながら振り向く。
おやおやおったまげたなこりゃ。ライオン様の御通りときたもんだ!
ケ「仕事よりは退屈しねぇが・・・・・・」
ん? ・・・・おい・・・・・待て・・・・・・まさか・・・・・・?
ケ「おいマックス! お前マックスだな? なあお前だろ!? マックス!!」
間違いねぇ・・・・・・あの毛色・・・・・・・マックスだ!!
ケ「随分とでっかくなったなオイッ! 王者の風格になっちまって!!」
マックスがゆっくりと歩いて来る。俺がバイトでいた時は、まだほんの
子供だったのによ・・・・・・・よくダッコして遊んでやったもんだ。
ケ「久しぶりだなッ! 元気でやってたか?」
マックスが走って来た! もちろん俺の肉を食いにだ。俺は直前でかわす。
ケ「Heyマックス! 感動的な再会だってぇのにひどい仕打ちじゃねぇか!」
俺は銃を構える。マックスは俺との間合いを保ったまま低く吼えた。
ケ「そうか。今逝かせてやる、動くなよ。苦しまないで逝ってくれ」
構え歩きしながらマックスの眉間に3発撃ち込むと、身をよじらせて
大きく叫ぶ。が、持ち堪えて走って行き、路面電車の屋根に跳び乗った。
ケ「こらこらそんなとこ乗るな、来いよマックス! 遊んでやる」
マックスの野郎なかなか知恵が付いたな。弾の当たらない所行きやがって。
俺は得物をリロードし、他のに持ち替えマックスを狙う。が、当たらねぇ!
ケ「マーーーーーックス!! 降りて来いよ、メシの時間だッ!!」
あの野郎、俺を馬鹿にしてやがるな? 千仞の谷に突き落としてやるッ!
デ「ん・・・・・何だあれは・・・・」
ここから見える路面電車の屋根に猛獣が乗っていやがる。
苦労して電力を復旧してこれか。あんなものに居坐られちゃ乗れん。
デ「クソが・・・・・」
シ「デビット、見て? あれもしかしてケビンじゃない・・・・?」
双眼鏡で電車を見ていたシンディが俺にグラスを覗かせる。見れば、
ケビンらしきものが屋根のライオンに向かって何か叫んでいるようだ。
デ「フン・・・・あいつだな」
オ「あんた、これを使え。仲間を助けてやってくれ」
一部始終を見ていたオースチンが俺にライフルを差し出した。
デ「・・・・・すまない」
オ「おっとこれもだ」
俺は黙ってスコープを受け取ると、ライフルに取り付ける。
俺は屋根の端から端を行ったり来たりするライオンを容赦なく撃つ。
ライオンは激しく体を震わせ、下にいる喰えない奴の所へ降りた。
オ「それはあんたにやろう。・・・・持って行け」
そう言いオースチンはライフルを見やる。
デ「あんたは・・・・どうする、行かないのか?」
オ「俺はここでいい」
シ「でも・・・!」
デ「いい」
俺はシンディの言葉を遮る。オースチンは懐からありったけの弾を出し、
俺達に渡す。最後にパイプに葉を詰め、吹かしながら遠い目で笑う。
オ「生きろ」
あんたもな。俺達は抜け道を潜り、路面電車に向かった。
マックスの奴が前振り無く苦しそうにshoutする。・・・どうした?
そのすぐ後に銃声、どこかから狙撃されたらしいマックスが降りて来る。
俺はすかさず45オートで狙い撃ちだ。早く逝かせてやりたい・・・・
マックスが激しく吼えながら震え歩く・・・・俺を射抜くように見てから
倒れ痙攣すると、停止した・・・・・。俺はやり切れないような気持ちで
目を伏せる。こうするしか無かったのか・・・・・? ・・・いや・・・・
・・・これで良かったんだ、そう思いたい。なあ? MAX、許せよ・・・・。
俺は路面電車に乗って移動しようかと思ったがやめた。どうせどこへ
行ったって同じ事だ。ここから歩いて署へ向かおう早く、あいつらが
気になる。無事でいるといいんだが・・・・。ふう、何て有様だ・・・・・。
45の装填を終えると署までどの道を行こうか考える。ここzooでの思い出は
楽しかった事ばかりだ。マックスのお陰でたんまりと稼がせて貰ったしな。
オスカー担当の先輩にflannelのレア物のシャツも貰ったっけか。今となっちゃあ
何の意味もねぇが。俺は振り返り、逝っちまったマックスの遺骸を見やると
・・・・・・・茂みから飛び出し、他のライオンが現れた。メスライオンだ。
そいつはマックスに駆け寄り、マックスの周りをウロウロしている。
見た所身重だ。・・・・・・・街がこんな事にならなければ、マックスJr.を
見られたのかもしれなかったのにな・・・・・・・・残念だ・・・・・。
ケ「Adiosマックス」
俺は霧の立ち込める夜のラクーンへとかけて行く。Back into the darkness.
もう得体の知れない生きモンになっちまったラクーンの、暗闇に戻ろう。
生きて必ず脱出するんだ、何があっても・・・・・生き延びてみせる・・・。
何かがおかしい、ああおかしいさ。狂ってやがる。唐突に全てが狂い始めた。
いや前から狂ってたのか、緩やかに狂わされてたのか。教えてくれ・・・・・。
隠れて少しするとメスライオンはどこかへ行った。・・・・・・・助かった。
ジ「あ、あれ? もしかして・・・・・・・!」
ジムの指差す方を見ると・・・・・・・仲間だ! 3人とも無事なようだ。
ハ「ハーイ」
俺達はそれぞれの持つ武器の弾を渡し合い、リロードを済ませる。さあ行こう。
ジムがエンブレムをはめ込み、シャッターが上がった。全員動物園から出る。
デ「油断するなよ・・・・・・」
ジムが路面電車に近づいたその時! 本能が強烈な警鐘を響かせる。何か来る!
ジ「オ・・・・オレ・・・・なんかゾウっとして来たかも・・・・・・」
マ「いかんッ! みんなここから離れろ、電車の方へ駆けるんだ!!」
咆哮、破壊、狂った眼・・・・・・! 象だ! すかさずデビットが包丁を手に
向かって行き、象の脇腹を斬り付ける。ライフルを小脇に抱えたジョージは走り、
象から遠ざかる。そして目の高さで構えたが、すぐに腕を下ろした。彼の背後で
メスライオンが吼えたからだ。俺達は一先ずZOOの門の内側に避難する。象は
門に入れないとわかると、ターゲットをジョージに変えたらしい、突進して行く。
シ「行かないでゾウさん!」
ジョージは危機一髪で逃げ、象に撥ね飛ばされずに済んだ。そのかわりに象は
メスライオンを撥ね、突き上げ、踏み潰す。その隙にシンディが屋台へ走り寄り
ラジカセでカセットをかけた。パレードのBGMだ。象が怒り狂いこっちへ来る!
ハ「シンディーーーーッ! 逃げるんだ! 早く門へ!!」
象は屋台に激突し、屋台は爆発した。そしてライフルの銃声、銃声。怯む象、
リボルバーで眉間を狙うジム、連続して斬るデビット、俺もボブの銃で撃つ。
ジョージの元へ駆けて行くシンディ、弾を込めたジョージが放つ銃声、銃声。
象が長い鼻を振り回す。俺達は一旦離れて再び門内に。シンディが木の棒を手にし
駆け戻って来て、上手く門の内側に逃げ込む。デビットはその棒で素早く槍を作り
シンディに手渡す。シンディは、またジョージの方へ行きそうな象に槍を投げた。
シ「オスカーごめんね・・・・ありがとう、そしてさようなら・・・・・」
最後の咆哮・・・・・・象は倒れた。途端にガクッと崩れ落ちるシンディ。
デビットが駆け寄って起こし、支える。そして駆け付けたジョージが抱いた。
ハ「もう大丈夫だシンディ、もういいんだ、大丈夫だよ。終わったんだ」
シ「ジョージ・・・・・何とも無い? 平気? ケガは・・・・」
ハ「いいんだ」
ジ「っあー・・・・・・(いいなー・・・)」
2人は熱いHugを交した。ジムはさっさと電車に乗り込み運転席へ向かう。
俺も乗り込んで、車内にゾンビがいないかを見て回った。デイヴは座席に腰掛ける。
───電車が動き出した。そして脱線、停止、窓の外の地獄絵図・・・・・・。
もう街はお終いだ。どこにも逃げ場は無い・・・・この有様を目の当たりにし、
自分が今、何故生きているのかが不思議な位だ。だが今はそれ所では無い。
より安全な場所を求め、逃げ続けるしか無い。この者達を守りながら・・・・。
俺達は電車を降りゾンビの少ない方へと逃げ落ちる。安全に移動できないものか。
───ちょっとした通りに出た。周囲を見回しゾンビが居ない事を確認すると、
デビットがマンホールの蓋を開けて降りて行く。なるほどそういう手があったか。
今は彼について行ってみる事にしよう。俺達も続いて地下へと降りて行く。
薄暗がりをどんどん進むデビットを見失わないよう、俺達は小走りで追いかける。
デビットが立ち止まった。ここから上に抜ける事にしたらしい。出てみるとそこは
大学の前の通りだった。ちょうどいい、大学に逃げ込む事にしよう。頭数を数える。
マ「ジムはどこだ!」
シ「え? ・・・・・あ・・・・そう言えば急に静かになったと思ったら・・・・」
またジムを見失ってしまった。だが追い立てられるように大学へ駆けるジョージ、
追うシンディ。俺達はこれ以上逸れない為に、彼らについて大学へ行く事にした。