ラクーン署へ着きました。私達はホールでお互いの肩を抱き合って、
励まし合います。お医者様───ジョージは私達を労わり、座らせました。
そして参ってしまった神経が落ち着くようにとカプセルを何錠かくれました。
私も1つ飲み、美術館様のホールを見回します。中央の女神像を祈るように
見つめていると、緊張の糸が切れ、私はいつの間にか眠りに落ちました。
時計をしていなかったので、どれ位の時間が経ったのかわかりません。私は
仲間の話声で目を覚ましました。彼らは病院に行く計画を立てています。
ヨ「・・・私も行きます・・・・・」
やはりケビンの事が気掛かりです。捜しに行かないと・・・・・!
ド「いや、ここにいなさい」
ここへ運んでくれたお巡りさん、Mrドリアンが私達に歩み寄りました。
ヨ「でも・・・・・」
ハ「病院の皆は無事でいるだろうか・・・・・・」
ア「あたしは行くわ、原因を突き止めてみせる。じゃ!」
ド「君、待ちなさい!」
ア「心配しないで。すぐに戻るわ」
ハ「アリッサ! 私も行かなくては!」
シ「ジョージ待って、危ないわ!」
ハ「君はここにいてくれ!」
シ「ダメよ私も行くわ!」
ヨ「あ、私も・・・・・!」
ド「いかん」
駆けて行く3人を追いかけようとしましたが、私はMrドリアンに捉りました。
それ以降は私の視界の中に必ずMrドリアンがいます。彼Mrドリアンはケビンに、
私達が出歩かないように見ていて欲しいと頼まれたのだそうです。みんなは
行ってしまいました。無事で帰って来て・・・危なくなったら逃げて・・・。
私は諦めて、大人しく待つ事にしました。ホールのパソコンの前では
お巡りさん達が集まって、何か只ならぬ様子に見えます。そうかと思うと
パッと散り、急に辺りが慌しくなりました。私はMrドリアンに状況を聞くと、
対侵入者用の神経ガスが誤作動し始めたという事でした。今の所は
ホールのパソコンで何とか制御できるそうですが、そのうち・・・・・・・。
──オフィスで会議をすると言うので数人が向かいます。私達も呼ばれました。
お巡りさん達が輪になって会議を始めました。一人が古い地図を広げます。
聞こえて来る話によると、署のどこかに隠されている通路を探しているようです。
私も何か手助けしたい・・・・・・! 居ても立っても居られないの・・・・・・!
そう、せめて万が一の時の為に、武器になるような物でも集めておかなくちゃ。
そうだわ、ケビンなら何か持っているかも。ケビン、私物見せて・・・ね・・・。
私はMrドリアンに署内を歩く許可を願い出ました。訝しがる彼に事情を話すと
ケビンの上長の方に掛け合ってくれ、彼──Mrマービンは鍵の束を出します。
M「デスクの鍵は知らんがロッカーの鍵ならスペアがある。これだ」
私はロッカーの鍵を受け取りました。そしてMrドリアンと宿直室に向かいます。
ド「右が奴のロッカーだ」
私はスペアキーでロッカーを開けると、武器になりそうな物を探してみました。
古い、味のある重そうな革のジャケット、煙草のカートン、度の強いお酒の瓶、
電動シェーバー、ひしゃげて青カビの生えたパン・・・・・・・・ありました。
銃の弾です。私は弾を取ると、その陰に隠れて変わった鍵があるのを見付けました。
道化師の絵が印されたハートの形の金の鍵です。とりあえずこの鍵も手に入れ、
私達はオフィスに戻りました。すると、戻るなり呼ばれ、足りない人員補充の為に
Mrドリアンは狩り出されて行きます。彼にホールにいるよう言われましたが、
Mrマービン達の会話が聞こえてきて、私は女神像がとても気になり出しました。
みんなが戻るまで私は1人ぼっち。でも、できるだけ署の仕掛を解いてみせます。