家族はどうしているだろうか・・・・この惨劇を知っているのか?
いや、知らん方がいい。ヘタな心配はさせたく無い。間は良かった、
女房は知人と海外旅行、息子は遠くの学校に通う為によその街の寮。
まったくもって、神に感謝せねばな。ボブは・・・・・・Goddam!!
ケ「単独行動はマズいかもな」
マ「俺はアップルインに行って、警備室の様子を見たい」
ジ「イヤだよゥ! オレも警察署に行くんだ!」
ケ「今はごった返してる」
マ「俺はアップルインに行く」
ジ「オレ行かないッ」
ケ「仕方ねぇ、ついてくか。・・・ジム、来いよ」
ジ「ぃヤダッ」
ジムが走って暗がりに消え、はぐれてしまった。あいつを見ると
息子を思い出す。せめて守ってやりたいが、奔放な様まで一緒とはな。
ケ「やれやれだな、知らねぇぞ」
ホテル中庭に入ると、ものすごい爆音と共にドアが吹き飛び壁に亀裂が走る。
ケ「ウゥ〜♪ ヘヴィだな! 俺はこっちから行く」
ケビンが吹き飛んだドアに消えた。おい、単独行動はマズいはどうした。
俺は倒れた遺体をどかし、そのドアから中に入る。中は・・・・大火事だ、
暑い・・・・! どうやらこうなる前にみな避難したらしい。ほとんど
人の気配がしない。何にしても・・・・・・命懸けの老後だな・・・・。
もしかしてまだ誰かいるかもしれん、守るべき誰かが。とにかく
行ってみよう。俺は一部屋一部屋チェックして行き、このホテルの
仕掛を解いていく。ここの事なら何でも知ってる、シャレたつもり
なんだろうが、こんな余計な仕掛はいらん。無駄の極みだ。
3階に来た。燻し出されるように窓から外に出ると、行き止まりだ。
俺は壁伝いに向こう側へ渡って行く。スリリングだな! 途中、
死んじまったのに起き上がったらしき客の女が窓を叩いていたり、
窓が炎を噴いたりと忙しい。ん? ありゃ何だ、落ちかけの奴がいる。
ケ「よォよ、ヘッポコ大将。調子はどうだ」
ジ「ヒイイィィィ〜あんたかヨ! 落ちる落ちる落ちる落ちるぅッ!!」
どうやらあの後戻って来て、俺が301号室を物色してる間に
先に進んだらしい。俺は踊り場にひとっ飛びし、ジムを引き上げる。
このヘッポコはそこいら中の貴重な薬草を食い散らかし、人のまで欲しがる。
デビットから渡された飛び道具を有効活用するでも無く、逃げ回り
挙句死んだ振りときたもんだ。「キュンッ」じゃねぇ!! 撃てよ!!
ケ「ジム、お前にいいもんやる。こいつだ」
俺は水道管様の鉄パイプをくれてやる。お前にはこれで充分だ。
ジ「え? 何? 何? 何かな、ウワオ! ・・・ありがとォ〜・・・・・!」
くそぅ、予想に反して真面目に喜ばせちまったらしい・・・・チッ!
ジ「ピ〜ンっとね」
奴はポケットからコインを取り出すとトスを始め、いつまでもやってる。
ケ「先行くぞ」
ジ「あいよ」
ドアを閉めるとまたあの熱気が戻って来た。外じゃジムが騒がしい。
ジ「表表表表! 来いッ! 表! 来たあァァーーーーッ!!!!」
俺は特殊な鍵のドアだけを選び、先に進んで行く。鍵はほぼ開いてる。
きっとマークが先回りして片付けてくれたんだろう、合流しとくか。
俺は少し戻り、カードリーダー付きのドアを開けて警備室に入った。
警備室で武装を整え終わると、マークが入って来た。
マ「お前か」
ケ「ジムも無事だ」
マークはポケットから赤い宝石を取り出す。
マ「これなんだが」
ケ「ん」
俺はいかにも隠し扉あります、といった本棚を力任せに押す。
カチッといった後、マークが胸像の胸に宝石を嵌め込んだ。
俺達はロビーに出るとハシゴを下ろし、下に降りる。誰も居ない。が、
俺達がドアから出ようとしたその時、天井の蓋が落っこちて来た。
警戒して離れる・・・・・・ほぅらな、やっぱりだ。主が出た!
ケ「マークよけろッ!」
俺達は素早く化けモンから離れた。そこへジムがやって来て、ハシゴから
降りるなりアタフタし出す。足元をすっぽんぽんの奴が這い回るからだ。
ジ「ベベベベロベロベロッ!! 舌! 舌! アワワワワ助けてッ」
そしてhelterskelterしながらカウンターのベルを鳴らして叫ぶ。
ジ「もしもーーーーーーーし!!」
ケ「でかしたジム! どうやらそいつら音で混乱するぞ! マーク、今だッ!」
マークが駆けて行き、脳天ズル剥けを思うまま蹴っ散らかす。いいぞ!
やっちまえマーク! どぅれ、俺はこっちの相手をするか! 相棒を引き抜く。
ケ「ケッ! 俺もモノノフだァ! サシで勝負と行こうじゃねぇか! ヨオッ!」
俺は45オートを構え、こんがり焼けたオチムシャに狙い撃ちする。
余程いてェらしい、激怒して奇声を上げながら舌をぶん回して来た。
ケ「どうした! 降りて来いよッ! タマぁ取ってみろ!!」
楽しいぜぇ〜ッ! 撃ち切ると、ベロの化けモンはもんどり打って落ちた。
───単独はマズイってのに、署に向かう途中俺達ははぐれてしまった。