19になって少し経った頃の事です。私は街を歩いていて  
知らない人に声を掛けられました。  
「ヨーコ君」  
ヨ「・・・・・・・・・・(誰?)」  
私が警戒していると、いつの間にか私の背後に回った人達に  
取り押さえられ、車に連れ込まれました。私は大声を出して  
助けを呼ぼうとしたのですが、無情にも車は発進してしまいました。  
「どこまで覚えてるかね?」  
 
私はその後信じられないような話を聞きました。私の記憶の無い  
数年間はこの街の巨大製薬会社、アンブレラ社で研究に携わって  
いたというのです。研究が一段落したのでプロジェクトを解散し、  
関係者の記憶を操作し、普通の生活をさせているという事でした。  
また何かの研究で頭脳が必要になった時には結集させ、記憶を  
呼び覚まし研究に利用する・・・・・そういった事をアンブレラは  
やっているのです。私はトップシークレットに関係していた事と、  
洗脳に対して耐性が無かったお陰で、殺されずに済んでいたのでした。  
 
専用の個室に連れて行かれ、空白の数年間が徐々に目を覚まします。  
「今非常事態になりつつあってね・・・・それに派閥もできた」  
また研究に戻される時が来たのです。私の命は傘に握られました。  
「ひと月猶予を与えるから、身の回りの事は奇麗に片付けなさい。  
誰にも嗅ぎつけられないように。傘のやり方はよく知っているね?」  
私は通称「くすりや」の寮で暮らす事になります。今までの  
平和で楽しい生活とはさよならしなければなりません・・・・・。  
学校のみんなとも・・・・・・・・ケビンとも・・・・・・・・。  
 
ケ「ヨーコ、たまには遊んでくれよ。暇してんだ俺は」  
夜ケビンと会って、ハイウェイをドライブしました。私は  
いつ話し出そうかとずっと迷って、ケビンの方を見られません。  
ケビンは始終私のももや手を触ります。ちゃんと運転して・・・・。  
ヨ「大事な話があるの・・・・・・・・・」  
 
すっかり遠くまで来てしまいました。パーキングはあまり手入れが  
されておらず、所々電気が切れたままになっています。長距離  
輸送らしきトラックも出て行き、私達は二人っきりになりました。  
ヨ「前みたいに・・・・ただの友達に戻りたいの・・・・」  
ケビンは黙って笑っているだけ・・・・・真面目に聴いて・・・・・。  
ヨ「もう・・・・・よ・・・・良くないわ・・・・いつも会う度  
・・・その・・・・あの・・・・これ以上は・・・・・」  
 
私はなかなか核心に触れる事が出来ずに、悪戯に時間だけが過ぎます。  
私も浅はかでした。ケビンが私の言う事を聞いてくれる筈がありません。  
結局私はそう広くは無い車内でケビンの肩にしがみ付いて、甘美な波に  
身を任せていました・・・・もう私をこれ以上中毒にしないで・・・!  
ケ「ああそうだ・・・で・・?話の途中だな、何の話だった・・・?」  
まさか自分が男性の体に依存症を起こすとは思ってもいませんでした。  
「練習だから」って・・・ただ手解きを受けてるだけ、ホルモンの  
バランスの為、健康の為・・・・そう割り切っていたつもりなのに、  
次第に・・もう・・。誰と付き合ってもここに戻って来てしまう・・・。  
いつしか馴染んで・・・・・離れられない体に・・・・・いけない、  
これでは・・・・・・私・・・・すごく・・・だらしがない・・・・。  
はやく・・・・はやくしないと・・・・・巻き込まれたら・・・・  
巻き込みたくない・・・・・でも・・・もう・・・・・虜に・・・。  
 
記憶が無かったり、傘の敷地に近づくのを異常に怖がっていた私。  
そんな変な私に何も聞いてこないケビン・・・どうして・・・?  
もうどんどん日が過ぎて行くというのに、私は本能の赴くままに  
逢瀬を重ねていました。そんな私に時々いじわるをするケビン・・。  
ケ「Yoko,俺を歓迎してくれよ」  
ヨ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
ケ「なぁ・・・・・・ほら・・・・・・・うん?」  
・・・またいじめるの?・・・じらさないでお願い・・・・。  
ヨ「・・・・Welcome sir・・(ようこそおいで下さいました)」  
ケ「Yeah・・・・(フッフッフ)」  
ヨ「Please・・・・come in・・・go ahead sir・・・・・・  
(お入りになって下さい・・・さあどうぞ・・)」  
ケ「Thanks a lot〜♪(こりゃどうも)」  
ヨ「You are welco・・・・・・ああぁ・・・・・」  
そんな風に私に恥ずかしい思いをさせるのです・・・・。  
私、どんな顔で言っているのか・・・・考えたくありません・・。  
ケビンは私が何も答えられないのを知っていてわざと囁く事もあります。  
簡単な会話なら話せるようになったケビンが片言の日本語で・・・・。  
ケ「どんなだ、huh?ヨーコ・・・」  
ヨ「んっ・・・・・・・はぁぁッ・・・・あぁっ・・・・・あっ・・・」  
ケ「Uh-huh・・・・Honey・・・oh・・・・・オレもとてもイイ・・」  
 
そんな事を繰り返して現実から目をそらしていると、例の男の人が  
私に脅しを掛けてきました。・・・・・・尾行られている・・・・。  
「君のご執心のあの警官、あれは良くない。あれの署長はうちの  
息がかかっているがね・・・・彼は何も知らない、お気楽極楽だ。  
君に纏わり付き嗅ぎ回るようなら、傘としても容赦はしないが?  
・・・知らぬが仏だ・・・・・死人に口無し、だったかな・・・?」  
 
私は引越しが数日後に迫った頃、ケビンのうちに行って打ち明けました。  
ヨ「もう会えないの・・・・もう私に近づかないで・・・」  
私の真剣な訴えに、ケビンは鳩が豆鉄砲な顔をしていました。  
その数日後に私は何も告げずに引越しをし、アンブレラに戻りました。  
折に触れて、私の世話役の人がケビンのその後を教えてくれます。  
「思ったより聞き分けのいい男じゃないかあの極楽トンボ。命拾いしたな」  
ケビンは少しして、よその街に引っ越して行ったという事でした。  
 
ケビン、それでいいの・・・それで・・・アンブレラには係らないで・・  
そのまま遠い地で・・・・・ずっと・・・・・ケビン・・・・・  
ケビン・・・・・!どこにも行かないで・・・・・・そばにいてお願い  
私を見捨てないで置いて行かないで・・・・ひとりにしないで・・・!  
いいえダメ・・・・これで良かったの・・・・・これで・・・・  
これで・・・もう・・・終わり・・・終わったの・・・・行って・・・  
さようならケビン・・・・・さようなら私のいい人・・・・ケビン・・  
どうか元気でいて・・・私を許して・・・・全て忘れて下さい・・・・・  
いいえ忘れないで私を・・・・・ダメ!忘れて・・・・・さよなら・・・。  
 
私は深層から湧き出る記憶の処理に追われて、悪夢に魘される  
日々を送りました。泣きながら起き上がり寝汗でびっしょりの夜、  
心を落ち着かせる為にケビンが前、私に言った事を思い出します。  
ケ「人生で転んでも泣くな」  
植え付けられた記憶上の20歳を迎えて間もない頃、アンブレラは  
「くすりや」城下町のここラクーンを舞台に大災害のシナリオを  
現実のものとしました。ちょうど私がくすりやから逃げようと、  
変装して街なかをうろうろしてる時に、突発的大流行は始まったのです。  
ああ神様!ケビンがよその街に行っていて本当に良かった・・・・・・!  
 
 
最近俺のsweetの様子がおかしい・・・・・・・・何か隠してる。  
酔わせても喋らねぇ、こんな事は初めてだ。何かあるぞ・・・。  
そんなある日、遂にイヤな予感は的中!もう近寄るなと言う・・!  
・・・・・一体何だ!?何があった!?意味がわからねぇ!!  
ヨ「本気で聴いてケビン・・・!」  
男か?本命が出来たのか。いや、そんな素振りは無かった。  
ヨ「ねえ聴いて・・・・!」  
心変わりじゃない、自分に気持ちが向いてるかどうかなんて  
肌を合わせればわかる、違う!!  
ヨ「ああぁ・・・・・ケビン・・・・・ケビン・・・!」  
男じゃないッ!じゃあ何だ!!何を隠してるッ!!言えよ!!  
ヨ「・・・私達どこかへ・・・・・いいえダメ・・・そんな事・・」  
ケ「何だ最後まで言えッ!チキショー泣くなッ!!」  
訳がわからねぇよッ!!どうしたんだ急に・・・・一体・・・!  
ヨ「もう最後なのケビン・・・・最後・・・・もう会えないの・・」  
何だそりゃ!!何だそのこれから死にに行くみたいな覚悟は・・・!  
納得出来ねぇ・・・・!説明してくれ!どうして・・・・・!!  
ヨ「私を捜さないでお願い・・・・・絶対に・・・・捜さ・・・・」  
・・・・・・何かヤバい事件に巻き込まれたのか・・・・・?  
どんな事件に巻き込まれたんだ・・・!?何故俺に何も言わない!!  
俺は帰ってきたら問い詰めてやろうと胸に決め、まだ寝てる  
Sugarをそのままに仕事に出掛ける。もちろん遅刻だ。  
帰って来て、さあ!と思ったが電話も無視、居留守も固い。  
ケ「おい!!返事をしてくれ!なあっ!!」  
いつもなら大体根負けしてドアを開けるんだが・・・・・・・・  
一向に出て来ない・・・・・・俺は様子を見る事にした。  
 
夜には駐車場で張り込んで、ヨーコの部屋を見上げる。  
数日は電気が点いていたが、ある時からピタっと人気が無くなった。  
電話も不通、携帯も解約、学校にも居ない、卒業扱いだ。  
俺はサツの特権を行使して管理人に鍵を開けさせる。  
わかってはいたがもぬけのカラだ。もうヨーコはここには居ない。  
それから間もなくして新しい入居者が住み始めた。  
 
・・・・こんな事があってたまるか。a bolt from the blueだ。  
まさにsprung up like mushroomsだ・・・ア?こりゃ違うな。  
とにかく・・・・落ち着けよ俺・・・鉄則だぜ、こんな時こそ。  
・・・・まだこの街にいるような気がする・・・・全くの勘だが。  
俺はサツだから居所なんて調べようと思えば幾らでも調べられる。  
だがそれはしなかった・・・・・・できなかった・・・・・・。  
ヨ「捜さないでッ!!絶対に!!」  
マジ顔で迫られたからだ、あんな顔見た事無い。余程真剣だ。  
Okeyわかったよヨーコ、もう手を引こう。俺は物分りのいい方だと  
自負してる。くそぅ・・・・わかってんならもっと・・・クソッ!  
 
転勤願いに辞令はすぐ出た。マービンやリタは手放しで喜んでる。  
ここを離れてもっと暖かい所へ行く。ヨーコの野郎ッ!見てろよ!  
向こうのbeachでblondeのbitchを大勢はべらせてやるぜ!shit!!  
あと3日もすれば俺も引越しだ・・・こんな街オサラバしてやる。  
少しでも・・・・・戻る気があるんなら・・・戻ってくれ・・・。  
Baby come back,please don't go・・・・don't let go・・・・  
あぁーー・・・・チクショーッ覚えてろ!・・・あのbitchめ!  
引越しも無事終わり、俺は大人しく新しい街で暮らし始めた。  
 
とにかく休む間もなく仕事がしたい、忙しくしてなきゃダメだ。  
余計な事を考えちまう。来て間もない頃は忙しくもしていられた。  
環境にも慣れ余裕が出てくると、自然とラクーンでの事を思い出す。  
Sleepless night俺はフラフラと夜の海岸まで来てPのいい位置に車を停める。  
周りはカップルだらけだ。デートスポットになってるらしい。  
街の姉妹都市から貰ってきたとか言う発光プランクトンだか何だかが増えて、  
波がぼんやりと光る。そういえば公園にはコアラがいたな・・・・・。  
何でも姉妹だな。それも貰ってきて殖えたんだろう、生態系は大丈夫か?  
ガキの頃ジィサマが「ありゃ変わった犬だ!」なんて言ってたが・・・  
確かに犬にしちゃ変わってるな。俺はそんなどうでもいい事を考えながら  
うねる波に見入ってると、たくさん停まってた車も一台、また一台と減り、  
みな行く所へ行く。とうとう俺1人がポツンと残された。  
Lonely wolfになっちまった。  
 
ヨーコ・・・今頃どうしてる・・・おっとやべぇやべぇ、やめだ・・・。  
あぁ・・・・・・・随分と引きずるじゃねえか、何なんだ俺は?  
Just be freeの筈だろ・・・もういいかげんサムライになろうぜ。  
・・・・畜生あの野郎ッ!・・・俺から逃げられると思ってんのか!?  
・・・・・・チキショーーーーーッッ逃げられたッ!!くそったれ!!  
まさか・・・・こんな風になるなんて・・・思ってもいなかった・・・。  
今までのは一体何だったんだ・・・・・・いっそ忘れてしまえば・・・  
女なんてどこにだっているんだ早く忘れろ、湿っぽいのは苦手だぜ。  
・・・・そうやってなぁ・・・・・・・・騙し騙しやってきたけど、もう  
認めざるを得ない、どうやらJapanese magicにやられちまったらしい。  
俺もヤキが回ったもんだ、みっともねぇ・・・今俺に必要なのは  
鎮痛剤だ・・・麻酔が欲しい。麻痺させねぇとやってらんねー・・・・。  
俺は車を出し、近くのコンビニ兼リカーショップに酒を買いに行った。  
 
牧草ハーブが一本入ってる酒を選んでレジ待ちをしてる時、何気に見た  
アイスコーナーでヨーコの好物のやつを見付ける。俺は思わず買って来た。  
海まで戻ると早速酒を半分程ラッパ飲みする。うぅ甘い・・。  
・・・・ちっとも回らねぇな・・・・誰かさんのせいで・・・・。  
俺は袋の中からアイスを取り出す。大して甘い物好きでも無いのに  
何やってんだ俺は?・・・・・誰が食うんだ・・・・・・。  
 
ヨ「あ、ねぇ見て。私このアイス好きなの・・・・おいしいのよ?」  
ケ「それじゃあそれも買って帰るか」  
部屋に戻るなりヨーコは蓋を開け始める。  
ヨ「溶けちゃうから・・・・早くしないと・・・・・」  
アイスは溶けるもんだ。  
ケ「待て待て、俺が食わせてやる」  
俺はアイスをちびちびとスプーンに取り、たまに手を引っ込めたりして  
ヨーコに食わせる。親鳥がヒナにエサやってる気分だ、おもしれぇ。  
ヨ「そんな少しずつじゃなくて・・・・もっと・・・」  
やたらと濃厚な味のマッチャを美味そうにゴキゲンで食うヨーコ。  
そうだ・・・そうだろ・・・笑っててくれればそれで良かった・・・。  
ヨ「・・・・・おいし」  
と言って舌をペロッと出して唇を舐める。それがエロく見えて  
仕方が無かった俺は餌付けもそこそこに、つい組み敷いてやっちまった。  
アイスもいいが、ほかのとこも溶かしてみたかったんだな、あんときゃ。  
懐かしいな。やべえ勃ってきた・・・。あの野郎ッ!タダじゃおかねぇ!  
 
俺はアイスを食い始める。気持ち風味がほろ苦いのを掻き消すぐらいの  
甘ったるさだ。ここん所苦い思いばかりしてるってのに・・・・。  
あぁ・・俺のハチミツちゃんは一体どこに行っちまったんだ・・・・?  
 
いつになっても恥ずかしがって・・・・それでもちゃんと応えて・・  
・・・・不器用で控えめで・・・ぎこちない愛し方さえ愛しい・・・。  
ヨ「ケビン?・・・・あの・・・・き・・・今日は私が・・・・・・」  
そう言ってためらいがちに俺のナニに唇を這わす。慣れないなりに  
そっとやるのがツボで、妙にイイ・・・!あどけない顔しやがって、  
粋な事やってくれるじゃねぇか・・・!おかげで俺の獣性に火が付いて、  
これまた思いっきりやり倒しちまった・・・・これでもかってぐらい。  
・・・蟻の門渡り教えとくんだったか・・?俺は頭を振り額に手をやる。  
アーダメだダメだこんな事ばっか思い出しやがる。こりゃビョーキだな。  
 
もう帰ろう。あいつは俺を捨てたんだ・・・そうだ!死んだ事にしよう!  
そうだよ、ヨーコは死んだんだ!天然痘だ。もう追ったってしょうがない、  
死んだんだからな。後の事は任せて、心置きなく成仏してくれよヨーコ。  
俺は車を出し、寮に帰る。部屋に戻ると残りの酒を空けてベッドに  
身を投げ出す。かすれた声で俺を呼ぶのが堪らず好きだったのにな・・。  
ハハ・・ハッ・・成仏出来てないのは俺の方だ。もう思い出すなよ・・。  
 
M「代わりましたマービ・・ああお前か。どうだ、元気でやってるか?」  
#「ああ。お前の所からきたやつ様々だよ全く。出世した!本当だ、  
あれのお陰でな。こんな棚ボタ罰が当たるよ、でな、やつをお前の所に  
返そうと思うんだが。ところでお前、あんな部下何で手放したんだ?」  
M「Huh??何の話をしてる?返すって、まさかケビンをか!?」  
#「ああそうだ。お前も出世するぞきっと。俺だけいい思いするのもな」  
M「待ってくれ話が見えない、ケビンの話をしてるんだよな・・・?」  
#「そうさ、奴がビシバシほしをあげてくれるお陰で、上司である俺が  
トントン拍子に出世したってわけさ。異例の出世だって言うじゃないか」  
 
M「お前他のケビンの話をしてるぞ?うちから行ったのはライマンだ」  
#「ああ、そのライマンの事だ。うちにケビンは1人しかいない」  
M「冗談はよせッ!ライマンはRPDで核弾頭指定されてた男だぞ!?  
何か変だ。まず俺の知ってるケビンを言おう。兎に角だ・・・・・  
遅刻はする勤務中に酒は飲むナンパはする婦警に卑猥な事を言って  
総スカンを喰らうそれも素面でだ署員を誘い夜勤に賭けポーカーをする  
昼寝はするヒゲ面は香具師の特長だと?自分の無精ひげはどうなんだ  
・・・・・・ハァハァ・・・・・ハァ・・・・・それに・・・・・  
無駄に撃ちたがる始末書をあげない黙ってイスに座ってられない  
時間にも金にも女にもルーズ面倒な事は同僚にやらせるPCの私物化  
PCをタクシーのように使う俺の名前でツケをする俺の胃を破壊する  
飲酒運転スピード違反ハーッハーッ・・・・・・・・それから」  
#「もういいもういい、わかった。どうも信じられんな、聞けば。  
俺の見ている限り、至極模範的な警官なんだがな。おかしいな」  
M「遅刻は?当然のようにするだろ、悪びれず。あいつのな、  
I'm sorry sirはまたやるからよろしくな、って意味だ」  
#「少し早めに来るし、ネクタイもビシッ制服もビシッとしてるぞ?  
普段は大人しいから婦警にもそこそこの評判だ。影のある横顔が  
ステキーとか何とか、憎いな。それに銃を握らせるとピカ一だしな」  
M「それだけは認める。どんなバカでも取り柄ぐらいはあるもんだ」  
#「まあどちらかと言うと現場主義・・・的な所はあるかもしれん。  
アグレッシヴな仕事っぷりを見せてくれる、キレた一面と言うかな。  
この間もあったな、プッシャーとカーチェイスを繰り広げたんだが、  
車の窓ガラス割って星を車外に引きずり出してたぞ。何マイル出てたか  
忘れたが。あんまり凄むんで、ホシ達は良く泣きながら漏らしてる。  
これ、と目を付けた★は必ずあげて来るな。毎度毎度が大捕物だ」  
M「・・・一体どうしたんだ奴は・・・頭でも打ったのか・・?」  
#「まあ大方、神の道にでも目覚めたんだろうさ。で、戻す話だが・・」  
 
ラクーンから脱出して半年そこそこで、俺はまたラクーンに  
戻る事になった。形式上は栄転扱いだそうだ。どういうわけか、  
アライグマとは縁があるらしい。切っても切りきれない何かが。  
またマービンには世話んなるな。俺が居ないのも寂しいだろう、  
早く行って顔見せてやんないとな。仕事の引継ぎや引越しの  
手続きを終えると、俺の心はもうラクーンに飛んでいた。  
俺は愛車のオイルとエレメントを交換し、軽くメンテして洗う。  
明日の昼間、ドライブがてらのんびり向かおうと思ってたがやめた。  
気が逸って、とてもじゃないが眠れねぇ・・・・!気付くと俺は  
Ride on!!イグニッションを回して暖気していた。  
 
日付が変わる頃俺は上に乗る。オラオラてめーらチンタラ走ってんじゃねえ!  
アライグマとの道開けだ、どけ!道を空けろ!ベタ踏みさせてくれ!  
都市を抜けると極端に車が減った。俺はパネルをちょいといじり、  
燃料を濃くする。full throttle!!来たァーッ!!バケットに体が沈む。  
ケ「YOOOOoooooohOOOOoooooooッッ!!!!」  
これだ!このG!たまんねえ!!脳ミソ置いてかれっちまうッ!!!  
Limiter?そんなもんねぇよ!ギア比も変えてある。誰か俺をチギれ!!  
ハッハーッ楽しくなってきたぜ!待ってろよラクーン!戻ってやるぜ!!  
 
ラクーン出口手前のPで、コーヒーを飲みながらボンネットを開ける。  
ちょっとヒートし過ぎたな。しかしこの車でスッとばすと何時ぞやのあの  
イケイケねーちゃんを思い出すな、じゃじゃ馬っぷりがそっくりだ。  
俺はガスをフルタン入れ先を急いだ。ラクーンに入ると街は出た時のまま、  
代わり映えしてないようだった。懐かしい空気だ!向こうに置いてきた  
少しばかりの荷物は、3日後に業者が届けてくれる手筈になってる。  
それまで新居はカラだから、シティホテルのりんごに泊まる事にした。  
 
宿に向かう途中、通い慣れた職場の前を通る。俺が寄り道しない  
訳が無いだろ。車から降り、署の屋上に上がる。空を見上げると  
溶けかけの月が俺を見ている。こいつだけが一晩中追いかけて来た。  
朝日が遠くの時計塔の後ろから顔を出した。帰ってきたぜ?ラクーン!  
遠路はるばるやって来た俺に、何か言ってくれよラクーン!なあ!!  
 
俺は朝日に目を細めタバコを咥える。J'sバーのライターを  
車内に置き忘れてきたらしい。俺はポケットを掻き回して  
プラグ型ライターを見付け、火を付けようとする・・・・・・・が、  
ケ「ヘーーイ・・・・カマ〜〜〜ン・・・・」  
畜生め!わざと付きづらい造りにしやがって。マニアの心を擽るな!  
タバコに火が付くと俺は自分に語りかけるように独り言ちた。  
ケ「・・・・You've come a long way」  
 
新居にお馴染みの職場にJ'sバー。またあの毎日が始まる。で、即終了だ。  
それからふた月ぐらい後に、街に死神がやって来てdisasterに晒される。  
あの平和だったラクーンはもう戻って来ない。街は様変わりした。  
俺は死にゆくラクーンと共にいて、街の最期を看取ったって訳だ。  
街の今際の際に見た夜明けは本当に美しかった。一緒に街を脱出した  
仲間達と生きている事を噛み締めて、俺は前へとだけ進んで行く。  
寂しい事だが、ラクーンは思い出の中にだけ生きている。いいんだそれで。  
 
一体俺は、どんな運命の輪に乗っかってるんだろうな?輪を回す者は  
気まぐれで正転、逆転を繰り返す。俺はそこから落っこちないよう、ただ  
ひたすら走り続けるだけさ。折角の刺激ある人生だ、楽しまないとな!  
 

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