ウ「女の事でも考えてるって顔ですよ」  
グラスを磨くバーテンがからかうように俺に呟く。  
デ「・・・・フン」  
俺は先日の動物園での事を思い浮かべる。  
 
俺はラクーン動物園の配管の仕事に来ていた。繁殖の為に搬入された  
メスライオンが檻ごと収容される建物の横の配管の仕事だ。  
作業に取り掛かる用意をしていた時の事だ。  
ア「今度はライオンでも狩りに来たの?」  
聞き覚えのある凛とした声に、俺は思わず顔を上げる。  
俺は言葉が出なかった。アリッサが俺の方へゆっくりと歩いてくる。  
ア「・・・・・何よ、化け物でも見るような顔して」  
デ「・・・・アリッサ・・・!」  
俺は立ち上がり手に持った道具を工具入れの中にしまう。  
 
ア「何してるのよこんな所で」  
アリッサは後ろの作業道具や俺をじろじろと見る。  
ア「デビットランドはどうしたのよ」  
デ「このシーズンだけここで人を雇って仕事をしている」  
ア「あらそうなの。奇遇ね、こんな所で再会するなんて」  
デ「お前は何してる」  
ア「あたしは取材よ。ライオンのマックスがハーレムを作ったって  
言うんで、どんな好色男か見に来たの。どこかに泊まってるの?」  
デ「アップルインだ」  
ア「いつまで」  
デ「あとひと月強で向こうへ戻る」  
 
2「親方ー!」  
1「ここの部品、これでいンすかー?」  
デ「待ってろ、そのままにしておけ」  
水路で作業中の若いやつが俺を呼ぶ。  
ア「忙しいみたいね、もう行くわ」  
アリッサはさっさと行こうとしたが、立ち止まって振り返った。  
ア「あ、そうだわ。さっきこれ買ったの、あんたにあげるわ」  
そう言ってポケットから紙袋を取り出すと、俺に放ってよこした。  
ア「トラがどうとか書いてあるわ。あんたに合いそうよデビット」  
 
シ「・・・・・さん?お客さん?」  
デ「ン・・・?」  
俺はグラスから顔を上げると、隣にはウサギがいた。  
シ「今日はダーツゲームの日なの。ぜひチャレンジしてね」  
ウェイトレスはトレーの上のダーツの矢を差し出してくる。  
デ「くだらんゲームなど・・・」  
ウ「真ん中に当たれば賞品が出るんです。今日は雨のせいか  
人もまばらですし、チャレンジしてくれる人もあまりいないんですよ。  
うちのちょっとしたイベントなんで、ぜひお願いしますよ」  
デ「フン・・・」  
俺は赤い矢を1つ取ると、カウンターに座ったまま的に当てた。  
シ「ハッ・・・!」  
ウェイトレスは前振りも無く矢を投げた俺に驚いたようだが、  
矢がどこに刺さってるか確かめに行った。そしてウェイターに頷く。  
ウ「おめでとうございます!大当たりです!さ、どうぞこれを」  
俺はバーの名前入りのライターを貰った。  
ウ「グラス片手に当てた人は始めてですよ」  
 
その日は俺のほかにライターを手に入れたやつは1人だけだった。  
びしょ濡れで店に飛び込んで来た、駅員風の男だ。持っている  
雑誌を傘代わりに使えばいいものを、わざわざ上着の内に入れ  
雨から守っていたらしい。ペンを取り出しページをめくる。  
ウェイトレスに声を掛けられると、大喜びでゲームに参加する。  
男はしきりにコインをトスし、ラッキーがどうのと騒いでいたが  
目を瞑ったまま矢を投げ、的の中央に当てた。  
 
アップルインに戻って来た俺は、汚れたつなぎのままベッドに  
体を投げ出す。まだ眠くない上に、これといってする事も無い。  
俺はつなぎの内ポケットにずっと入れたままの香水の小瓶を  
取り出し、動物園での事を思い出しながらしばらく眺めていた。  
俺は貰ったライターを分解し、香水を1、2滴垂らして染み込ませる。  
ライターを元に戻し火を付けたり消したりを繰り返していると、  
かすかに香水の香りが漂った。俺はライターの火を見ながら  
アリッサの事を考える。滞在期間や宿泊先を聞いてきたのは何だ?  
あれから一週間経つ。こっちからも会おうと思えばいつでも会える、  
カードケースにあった新聞社に居場所を聞けばいいだけの事だ。  
だがそれが何になる?・・・・・俺は何を考えている・・・・・。  
 
次の日も、仕事を終えるとバーで飲んだ。ペースもクソも無く  
飲んだせいか、したたかに酔った。俺は気分を変えて、近所の  
プールバーに行き、ただ黙々と玉を突いていると話し掛けられた。  
ケ「あんたよくJ'sバーで見かけるぜ」  
そう言うと男は台に腰掛けた。  
デ「フン・・・・お前もな」  
 
ケ「どうだ、一つ勝負と行こうじゃないか」  
負けた方がバーで一杯おごる事にして男と玉突きをした。  
ケ「おぅ、もうこんな時間か」  
デ「用事か?」  
ケ「ああ。おかんむりのお姫様に会いに行くのさ」  
デ「女か」  
ケ「勝負はおあずけだ、またそのうち会える。じゃあな」  
 
俺はアップルインに戻ると従業員にメモを渡された。  
デ「電話があったのはいつだ」  
30分程前だと言うのを聞き終わらないうちに、俺は  
踵を返していた。メモの住所に向かう。ここからだと  
歩いた方が早い。急いで来い?スタンガンが壊れただけでか?  
フン、笑わせる。・・・・・・・じゃあ何故俺は走っている?  
 
アリッサの家の前まで来るとブザーを鳴らした。  
ア「入って」  
インターホンの声が言う。鍵の開く音がしたので中へ入る。  
中は真っ暗だった。俺はゆっくりと進み、弱い明りの漏れている  
部屋を開けた。部屋はベッド横の薄明かり以外の明りは付いていない。  
アリッサがワインレッドの下着(スリップというのか?)一つで  
ベッドに横たわり、むくれて俺を睨んでいる。  
デ「・・・どこだ」  
俺は薄暗い部屋を見回し、テーブルに置かれているスタンガン  
を手に取る。試しに使ってみるが、ちゃんと作動する。  
念の為解体し、中まで見てみた。やはりどこも異常は無い。  
 
ついでにと電圧を少し改造し、組み立て直した。  
デ「どこも壊れ・・!」  
振り返った瞬間、アリッサの投げたクッションがもろに顔に当たる。  
ア「あたしを一時間も待たせるなんてどういうつもりッ!!!」  
そう叫んでもう一つ投げてよこす。  
ア「帰ってよ!!」  
来るなり帰れか。  
デ「・・・・ふざけやがる」  
俺はクッションを拾うと、ベッドに戻そうと近づいた。  
ア「来ないで!」  
アリッサは俺の手からクッションを取り上げると、それで俺を叩く。  
相当な荒れようだ。俺はアリッサの手を掴みやめさせる。  
ア「放してよバカァッ!!」  
トサカに来てるらしい。涙声で叫び、俺を押し返そうとする。  
俺はベッドに乗り、女を抱き寄せようとして平手を食らったが、  
構わずそのまま押し倒し覆い被さる。  
ア「ヤッて!グジャグジャに犯してよ!!」  
女は俺のつなぎを脱がそうと手をかける。が、上手く脱がせない。  
俺は面倒になりベルトを外し、床に放る。中の工具が音を立てる。  
ア「早く・・・・」  
女は俺の首に手を回し、噛み付くような強いキスをせがむ。  
都会の男じゃ物足りないか?  
デ「こんなになるまで放っておくな・・!」  
俺はつなぎも脱ぎきらないままに、女の熱く湿った中に腰を落とす。  
ア「待っ・・・・まだっ・・・・ダメ待っ・・・・・!」  
今更言うな。責任を取れ。  
 
この感覚・・・久しぶりだ・・・・・・。  
ア「ぁ・・・・デビッ・・・・」  
女が俺の背中に腕を絡ませ、指を食い込ませる。  
俺は弓なりにしなる女の体を抑え奥まで入り込み、  
女のやわらかい中に俺を押し付ける。すすり泣きのような  
息使いが俺を高揚させ、俺を止まらなくさせる。帰れだと?  
一体どの口が言う。俺は天邪鬼な方の口も塞ぐ。  
 
こいつは俺をその気にさせるのが上手い。気丈な所が  
俺の征服欲を激しく駆り立てる。  
ア「殺してッ」  
女の締め付けがきつくなり、体が汗ばんでくる。  
息が荒くなり、女は俺の下で悶えて首を振る。  
抑えられた下で力なく暴れ、女が望む所の小さな死を  
迎え、果てていく・・・・・。  
 
俺は着ている物を全部脱ぎ、放心状態でうつ伏せる女のも脱がす。  
座ってあぐらをかいた上に女を座らせ向かい合う。そして  
深い所まで入ったまま、イヤと言うほどくちづけをする。  
全く余計な手間を掛けさせやがって。この体でいいんなら  
いくらでもくれてやる。好きなだけ食え!いつでも言ってこい。  
ア「もう許して・・・」  
デ「駄目だ」  
火を付けたのはお前の方だ、気が済むまでやらせて貰う。  
自分のした事を思い知れ、後悔させてやる。  
これが俺のやり方だ。  
 
翌朝起きるとアリッサはいなくなっていた。テーブルの上に  
置手紙と分厚い封筒がある。封筒を開けると何かのファイルが  
入っていた。俺は時計に目をやり、ファイルをしまうと手紙を読む。  
”この間御用になったテロリストの私物よ。門外不出の物だけど、  
コピーで良ければ内緒であげる。こういうの見るの好きでしょ?  
専門的すぎて何が何だかさっぱりだけど、悪用はしないと約束して”  
 
俺は現場に着くと昨日の作業の続きを始めようとした。だが  
若いやつらは水路に降りるでもなく、コソコソと物陰で話し  
作業に取り掛からない。  
1「おい、うちのボスなんかヘンだぜ?」  
2「ああ・・。やけに爽やかな含み笑いだな・・」  
3「女物の香水の匂いぷんぷんさせてた。無精ひげだし」  
4「風俗か」  
2「や、親方はどこ誘ってもこねえ。1人でどっか飲み行っちまう」  
4「おい素人が相手かよ?」  
1「ありえねえな、あんな血生臭い男食っちまうのなんざ・・・」  
 
俺は視線を感じて振り返る。  
デ「さっさと仕事しろ!」  
寝不足のせいか多少ハイになりクラクラする。俺は気になって  
仕事が手に付かなくなり、アリッサに貰ったファイルを見た。  
それは、あらゆる爆弾の作り方を網羅したファイルだった。  
4「おい今度は笑ってるぜ・・・・やっぱ色ボケか?」  
3「まじかよ!どんな相手だよ!」  
1「血に飢えた野獣、ってぇとこだな・・・」  
2「・・・・・・・・・ちげェねえ」  
 

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