「こ・・・ここは」  
クレアが目を覚ますと、そこは薄暗い部屋の中だった。正面には鉄格子が嵌められ、何やら  
物々しい雰囲気が感じられる。どうやらここは、囚人を収監しておく場所らしい。  
「気がついたか」  
鉄格子の向こう側から、浅黒い肌をした男がクレアに問いかける。見た目は軍人上がりか、無  
頼の徒といった感じだ。  
「ぴくりとも動かないから、死んでるのかと思ったぜ」  
ギッと椅子をきしませながら、男は立ち上がる。屈強な体つきをしていた。  
 
「ここはどこ?」  
「悪いな、答えられないんだ」  
クレアの質問をいなし、男は鉄格子のそばまでやって来た。背も高い。百九十センチ近くはある  
だろう。  
「ここから出して!」  
キッと眉をひそめてクレアが叫んだ。半ば無意識に胸元を押さえたのは、男の表情になにか含  
みを感じたからである。これは、女としての防衛本能といっていい。  
「まあ、そう言わずに・・・な。仲良くやろうぜ」  
「ふざけないで」  
クレアは鉄格子から身を離し、男と斜に対峙した。向こうは間違いなく、いやらしい下心を持って  
いる。それが、肌で分かったのだ。すると、男は悪びれもせずに呟いた。  
 
「あんた、クリスって男を探してるんだろう?」  
「クリス?あなた、兄を知ってるのね?」  
クレアの心が逸る。この男は、行方不明の兄を知っている──そう考えただけで、いてもたっても  
いられなくなった。  
 
「あんたの態度しだいじゃ、ここから出してやらんでもない。それと、クリスとやらの事も、  
俺が知っている範囲で、何でも教えてやる」  
男がズボンのベルトに掛けた鍵を見せ付ける。兄の情報と、ここから脱する術。今のクレア  
にしてみれば、もっとも欲しい物であるが、男の物言いにはやはり含みがあった。  
「どうすればいいの・・・?」  
不安を抑え、敢えて問うクレア。格子の向こうから自分へ注がれる淫靡な視線で、男の要求  
は分かっていた。しかし、心情として聞かざるを得ない。  
 
「ジーパンを脱いで、ケツをこっちに向けるんだ」  
「・・・」  
分かってはいた。しかし、面と向かって告げられれば、クレアは戸惑うばかりである。しかし、  
男の要求に従わなければ、ここから脱出する機会すら与えられそうにない。男とねんごろに  
なれば、少しは希望が見られるかもしれないのだと、クレアは覚悟を決める。  
「・・・いいわ」  
処女という訳では無かった。それでも、望まぬ相手との性交には、抵抗感がある。クレアは  
伏せ目がちにジーパンを脱ぎ、パンティごとくるぶしの辺りまで引き下ろしていく。  
 
「物分りがいい方で良かったぜ。さあ、ケツをこっちに──」  
クレアにつられるように男もズボンを脱ぎ、体格に見合った肉棒を取り出した。それはすでに  
大きく反り返り、木の幹のような野趣をそなえている。  
「コンドームは無いの?」  
「ある訳がない。大丈夫、変なものは持ってないぜ」  
「・・・信じるわ」  
クレアが馬乗り遊びの馬のような姿勢を取り、鉄格子にヒップを押し付けた。尻たぶには鉄棒  
が食い込み、冷たい感触を彼女へもたらしている。  
 
「ずいぶん綺麗な色をしているな。まさか、バージンって訳じゃないよな」  
「減らず口はいいから、さっさと済ませてよ」  
ぱっくりと割れたクレアの女肉は、薄桃色に輝く極上品であった。女唇は薄めで、若草も適度に  
繁っている。花弁が守る肉穴からは適度な粘液がしたたり、女として成熟している事を表していた。  
 
「じゃあ、いくぜ」  
男は格子越しにクレアの尻を掴み、肉棒をねじ込んでいく。女に飢えているようで、優しい前戯も熱  
い抱擁も無かった。  
「ううッ!」  
肉穴がググッと開いていく──クレアは目を閉じて、女を貫かれる瞬間に身を竦めた。今、膣穴を満  
たしているのは、愛する男では無い。弱みに付け込んで性交を望む、薄汚い男の欲望がその相手  
なのだ。普通であれば決して甘受出来る筈は無く、兄の消息を追う一心だからこそ、この恥辱に耐え  
られる。忌まわしくはあったが、クレアは男を少しでも早く絶頂へ導こうと、懸命に膣口に力を込める。  
 
「キュウキュウと締めつけやがる・・・あんた、いいモノ持ってるな・・・」  
男は狭い肉穴の中で、蕩けんばかりの快楽を味わっていた。クレアの女は肉棒をそっと襞で包み、湿  
り気がたっぷりの洞窟内で愉しませてやっている。その上、膣口の締めが見事で、男は体ごと女の胎  
内へ吸い込まれそうな錯覚に陥っていた。  
「アッ・・・アアッ・・・」  
自ら腰を使い、クレアも少し気分を出し始める。肉棒で愉しませて貰っている訳ではない。ただ、男を  
知った体が、勝手に反応してしまうのだ。熟れている──この事は、彼女自身も認めなければならない  
事実だった。  
 
「手を後ろに回せ」  
男が格子向こうのクレアの両手を取り、力任せに引っ張った。そして、馬の手綱を引くように  
体を引き寄せると、いっそう激しく腰を使い出す。  
「アアッ!む、無茶はよして!」  
「俺は、カウボーイに憧れてたんだ。あんたは、牝馬だ。そらッ!」  
両者の間には鉄格子がある。その間隙から、男は肉棒をねじ込み女尻を犯していいるのだ。  
まるで馬のごとく扱われたクレアは、たまったものではない。  
 
「やめて──こんなのってないわ!」  
「黙れ!黙って腰を使え!」  
手綱を引かれる牝馬。クレアはそんな感じの姿で犯されていた。体の自由が奪われ、高く突き  
上げられた性器だけを男へ捧げているような、惨めきわまる格好である。  
「中出ししてやる。俺の子を孕んでも、恨むなよ」  
「アアッ!お願い、それだけは許して!」  
体格差があるため、今のクレアは真下から肉棒をねじ込まれている状態だった。体は少し前傾  
しているが、こうまで手を引かれては座位で犯されているようなものだ。しかも、尻たぶに鉄格子  
が食い込んでいるので、逃げることさえ出来ないでいる。それにつけ込み、男は膣内射精を強要  
した。  
 
「出すぞ、しっかりプッシーを締めるんだ」  
「やめて──ッ・・・」  
男の爆発はあっという間だった。肉棒の鼓動と共に、生温かい粘液が胎内の奥へ注がれていく。  
クレアはそれを悟り、がくりとうなだれてしまった。愛してもいない男による強制受精の恐怖が、  
意識の混濁を招いたのである。  
 
 
十分後、クレアは鉄格子が嵌った部屋から脱出していた。男は彼女を犯した後、律儀にも  
約束を守り、鍵を開けたのである。  
「俺は、約束は守る男でね」  
クレアの肉穴へたっぷりと粘液を放出した男は、いやらしく口元を歪めながら言った。この時  
の顔を思い出すと、クレアの心に憤怒がふつふつと沸いてくる。  
「殴ってやればよかったかな」  
いまだ膣内でぬるむ男の子種が忌まわしい──そう思わざるを得ないが、彼女にはこれから  
兄を探すという大事がある。だから、敢えて男には何も言わなかった。もちろん、手に銃でも  
あれば迷わず撃ったのだが。  
 
「今は、兄さんを探さなきゃ」  
男からの情報により、ここはある貴族が持つ孤島だと知った。クレアは今、確信をしている。  
クリスは、兄は、必ずここに居ると──そして、最初の扉を開けた。  
 
おしまい  
 

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