私ジル・バレンタインは切に願っていた。
トイレ(小)に行きたいと………
この化け物だらけの館を探索する事、早2時間。死体・犬・化け物に襲われ続けた
緊張から空腹・排泄はまるで感じなかった………あの部屋に入るまでは。
窓ガラスを割り、犬に襲われながらもその回廊を抜けた先の扉。危険が無いかを確かめ
ながら進んだ先に一つの扉が現れた……探索の基本は『扉が在ったら開けてみろ』である。
……どうやら洗面所らしい、部屋には洗面台・バス・トイレが備え付けてあり、まぁ
一般的な洗面所である……洗面台に埃が積もり、バスに汚水が溜まり・トイレが異臭を
放つのを抜かせば。
安全を確かめ、ジルが一息付いたのと同時に、汚水から腐り掛けの腕が持ち上がった……が
そこは百戦錬磨のSTARS、腕の後から浮かび上がった死体の頭に鉛弾を一発、哀れ死体は
汚水の中へ……「またか」とウンザリしつつも部屋を探索し、役に立つ物も何も無いと確信
し、部屋を後にした………
そしてホールに戻ったまでは良かった、が……尿意を催してきた、館一階の探索も一通り終わり
緊張が抜けたのが悪かった、そこにきて先程の洗面所である。忘れていた尿意が込み上げて来た。
そこでジルは考える……どうしようかと。
洗面所→×あんな汚い便座には座りたくないわ
外は?→×柵の外に犬が数匹いたわね
どこか適当な部屋で→×はしたない
あれこれ考えてはその案は却下される、が私にも羞恥心と言うモノがある。……それは良いが
それでは尿意は治まらない。
どうしようか……と思ったその時、ジルの頭に一つの部屋が思い立った。
それと同時にジルはダイニングの二階を通り、荷物を纏めてある部屋入ると『除草剤』を持ち出し
その部屋へと向かった。
私レベッカ・チェンバースは切に願う
着替えたい……と
正直に言えば私は、そんなに戦闘能力は高くない。イヤむしろ低いと言った方ががいい。
STARSとはいえ、戦闘要員だけでは無いのだ……専ら私はそのサポート。
だから当然逃げる、死体・犬、とにかく襲ってくるモノからは延々と逃げ続けた、中には倒れ動かなく
なっている死体が起き上がって、猛烈な勢いで私に向かって来たが、逃げた。
だから、汗だくなのだ……嗚呼着替えたい………
ただ着替えるだけなら問題は無い、今持っているクローゼットの鍵を使い、それを開ける→中に入っている
服を手に取る→着替える→到って簡単。
だけど体を拭きたいのだ、汗でベトベトしているまま着替えても、それは何の解決にならない。
この様な状況下だ、お風呂に入りたい等とは言わない……がせめて体を拭きたい。
ふとレベッカの頭にある部屋が思い立つ………
「そういえば、噴水のある部屋があったわね」
そう呟くとレベッカは、クローゼットから代えの服を手に取り、その部屋へと駆け出した