ちょっとした油断から、ジルは、ロープで吊し上げられてしまった。  
 両手首を縛るロープは、中二階の通路の手すりに結わえつけられている。ブーツのつま先がようやく床面について、体を支えていた。  
 両の足首にも、ロープが巻きついていて、自由に動かせない。  
 あまりにも不注意だった。  
 家族を殺され、ゾンビに脅えている中年男が、自分に牙を剥くとは思わなかった。  
 ひとりで裏口から外に出ようとした矢先に、声をかけられた。  
 振り向いたとたん、ショットガンの銃把で思いっきり殴りつけられ、不覚にも気が遠くなった。  
 そして、気がついたら、このざまだ。  
 コンテナの中に引きこもっていたはずの男が、今は、ショットガンを手にして、目の前に立っている。  
「どういうつもり?」  
 ジルは、男の顔を見すえた。たしかダリオ・ロッソというラクーン・シティの住民だ。  
「おまえが外にでたら、化け物どもが入ってくる」  
「この倉庫だって、そのうちゾンビたちに見つかるかもしれないじゃない。戦うしかないのよ」  
「うるさい、黙れ!」  
 ロッソは、ショットガンをジルの胸の前に突きつけた。  
 ジルは、口を閉ざした。男の手が震えている。これ以上興奮させて、暴発されたらたまらない。  
 銃口が、バストの膨らみに押し当てられた。  
「それより、もっと楽しいことをしよう」  
「なに・・・、言ってるの」ジルの声が固くなる。  
「こんなセクシーな体をして、意味がわからないはずはないだろ」  
 男は、ショットガンの尖端で、ジルの左胸を、服の上からつつき回した。  
 美しい半球が、くにくにと歪んだ。  
 
 なにしろ銃を扱っているのが素人なもので、ジルの緊張は高まる。  
 わきの下に、いやな汗がにじみでた。喉をコクッと小さく鳴らして、唾をのみこんだ。  
「感じているのか?」  
 男の言葉に、ジルは首を振った。  
「お願いだから・・・。銃は向けないで」  
「それは、あんたの態度しだいだな」  
 ロッソは左手をジルの背中に回して、服をとめているボタンをふたつ外す。チューブトップの上端を、思いっきり下にずらした。  
「ウウッ・・・」  
 ジルがうめく。  
 ブラジャーはつけてなかった。  
 はちきれそうな乳房が、ブルン、と揺れながら、姿を現した。  
「これなら・・・」ロッソの瞳がいやらしく輝く。「銃をおろしてやってもいいかな・・・」  
 ショットガンを床におくと、両手を伸ばして、ふたつの乳房を鷲づかみにした。  
 むにむにとこね回しながら、つややかなピンク色の乳首を口に含む。張りのある乳輪を舐めまわし、乳頭を思いっきり吸いたてた。  
「いっつ・・・」  
 ジルは、顔をしかめた。技巧のかけらもない、欲望のままの、荒々しい責めだった。  
 興奮しきったロッソは、すっかり理性を失った。  
 娘以外の若い女の肌に触れたのは、実に久しぶりだ。いや、こんないい女をもてあそぶのは、生涯で初めてかもしれない。  
 豊満な乳房はとても柔らかく、揉みたてる力にあわせていくらでも形を変えるのに、手のひらを重たげに弾きかえしてくる。  
 舌を思いっきり伸ばして、ふたつの丘はもちろん、胸の谷間や、わきの下を舐めまわした。  
 ミルク色の肌が、汗と唾液にまみれて、輝いた。  
 
 もちろんジルは、このまま蹂躙されるつもりはなかった。  
 なんとか男を丸めこみ、腕のロープを外させることを考えていた。  
 反動をつければ足の先で、蹴倒すことはできる。しかし、腕を縛られたままでは、すぐに反撃をくらってしまう。  
 目をつぶり、男の責めに耐えながら、方法を模索していた。  
「乳首が立ってきたぞ・・・」  
 ロッソが、目を輝かせた。  
「く・・・」  
 ジルは、悔しそうに、視線を落とす。男の言葉どおり、固くなった乳首が、ツンと上を向いている。  
「やはり・・・、感じているんだな」  
「こんなの・・・」ジルは目をそむけ、感情を抑えた声で答えた。「ただの条件反射よ」  
「ほう・・・。ならば、ここはどうかな」  
 ロッソは、ミニのレザー・スカートの裾をつかむと、一気に腰までまくり上げた。  
 下着は、薄い水色のスポーツショーツだった。  
 シンプルなシルエットが、かえって太腿から腰にかけての女らしい曲線を強調している。  
 太腿の付け根は、Uの字形に、ムックリとせり出していた。  
 足首を縛られているために、鍛えあげられた両脚は、ぴっちりと閉じられている。股間の真下にだけ、小さく三角形の空間があいていた。  
 男は左手でスカートを押さえながら、右手を内ももの狭間にこじいれた。  
 たまらない密着感だった。ピチピチとした肌が、中年のがさつな手を締めつける。  
 その手を股間までずりあげると、ショーツの下の縦筋を探るように、前後に擦りたてた。  
「うぉっ・・・、イ、イヤ」  
 ジルは嫌悪感に顔をしかめた。  
 
 ジルは、ショートカットの髪を左右に打ちふる。体をくねらすたびに、腰に巻いた白いセーターが、ひらひら揺れる。  
 男の指は、股間をねちっこく、こする。ぷにぷにとした感触が心地よかった。  
 ショーツの上から、クリトリスの位置を探りあて、小刻みに揺する。  
「ァ・・・」  
 ジルは、頬を紅潮させながら、小さな声を漏らした。緊張感の連続が、彼女の神経をいつもより敏感にしている。  
 ロッソは、自分の責めに女が反応しているのを知り、やや落ち着いてきた。  
 女が特殊部隊の一員だとは知らないので、中年男らしい図々しさを取り戻す。  
 指の動きに強弱のリズムをつけた。  
 今では、ジルの性器の輪郭がつかめていた。下着は、ほんのりと湿り気を帯びている。  
 媚肉に食い込むショーツのサイドラインから、指先を内側に忍びこませた。  
 柔らかな陰毛を、さわさわと撫で、2本の指で縦筋をこじ開ける。狭間は熱く濡れていた。  
 指先を細かく震わせながら、クリトリスと膣口のあたりを同時に責めたてた。  
「ァンッ・・・、ウッ、ック」  
 ジルは顔をそむけ、二の腕に唇を押し当てる。今は我慢する時だ、と自分に言い聞かす。  
 男が指を動かすたびに、ショーツが尻に食い込んだ。  
 
 ジルの美麗な肉体を前にして、じっくりと責めることなどできない。  
 ロッソは、中腰の姿勢になって、ショーツをブーツのところまで下ろす。足首のロープもほどき、左右の脚を肩にかついだ。  
「や・・・やめて」  
 ジルは形ばかりの抵抗をした。  
 必死に開脚を拒めば、男の力に抵抗できたかもしれない。しかし、この非常事態に無駄な時間が流れるのも惜しかった。  
 太ももの力を、すっと弱めた。  
 中年男の顔が太ももの間に現れると、ひざのあたりのショーツが、左右にピーンと伸びた。  
「す・・・、素晴らしい眺めだ」  
 ロッソの声がふるえた。  
 長く美しい脚にふさわしい、きりりとした性器だった。  
 明るいブラウンの陰毛に飾られた割れ目から、ピンク色の花弁が顔をのぞかせている。肌の乳白色との対比が鮮烈だった。  
 ロッソは、生唾を呑み込んでから、瑞々しい股間にむしゃぶりついた。  
「NO!・・・あっ。ああッ」  
 ジルは、手首を縛っているロープをにぎりしめ、おぞましさに耐える。  
 腰を引こうとしても、尻を男の手にがっしりと捕まれていた。  
 ロッソは、舌先で花びらを舐めたおしながら、若い女の甘酸っぱいエキスをじっくりと味わった。  
 いつまでも飽きが来ないというように、舌と唇を割れ目のあちこちに這わす。チュル、チュルルと、湿った音が、ほの暗い倉庫に響く。  
 やがて、上唇で割れ目の上部を押し開き、クリっとした肉芽を舌で転がす。肉莢の間から現れた真珠ほどの尖端を吸い上げた。  
(あ・・・、ダメ)  
 ジルはひそかに心の中で叫ぶ。食いしばった歯の間から、熱い吐息をもらした。  
 男のねちっこい責めに、肉体の制御がきかなくなってきた。  
 もう一度、クリトリスを吸い上げられると、下腹部が勝手にわなないた。股間がジーンと痺れ、膣口から愛液をトロリと漏らした。  
 
 ロッソが、割れ目に息を吹きかけながら喋る。  
「どうせ、倉庫の外に出たって、怪物に殺されるだけだ。・・・このまま、ふたりで楽しもうじゃないか」  
 ジルは、男を見下ろした。潤んだ瞳の奥に、強い意志を見せながら答える。  
「・・・でも、このままの格好じゃいや・・・。お願いだから、手首のロープは放して」  
「そうか・・・。いいぞ」  
 ロッソは、すぐさま中二階の廊下に走り、「おれだって、イタリアの伊達男の血が流れているんだ」などと、独り言をいいながら、ロープの結び目をほどいた。  
 つり上げる力が弱まったと見るや、ジルは手首を下ろした。  
 ・・・が、喜びもつかの間。ロープは、腕を下ろせるほどに緩められただけで、相変わらず手首と廊下の手すりはつながったままだ。  
「ねえ・・・、手首がまだ、縛られたままなんだけど」  
 戻ってきたロッソに、ジルは媚びてみせる。  
「若い娘は、平気で男をたぶらかすからな。・・・信用できない。ロープを外すのは、もっと私を喜ばせてからだ」  
 そう言いながら、中年男はズボンをずらし、逸物をとりだした。  
「あ、ちょっと・・・」  
 反射的に、ジルは男をそむける。  
「はっは。ここだけは、若い者には負けん・・・。しゃぶっていいぞ」  
 口調は柔らかいが、逆らうことの許されない命令だった。  
 ロッソは、ジルの肩を押し下げて、その場にひざまづかせた。  
 ペニスは、すっかり凝り固まっている。尖端には、透明な液がねっとりと染み出ていた。  
「そんな・・・」  
 亀頭が、唇に押しつけられた。  
 ジルは、しばらく迷う。が、意を決すると、「ハオッ」と吐息を漏らしながら、尖端を口に含んだ。  
 
 怒りや屈辱感を胸の奥にしまいこんで、ジルは男根につかえた。  
 若い男に負けない硬さだった。いや、年をとっている分、色も形も醜悪で凶暴な感じだった。  
 ロッソは、彼女のつややかな唇が、ペニスに沿って上下するのを見守った。整った顔の下では、張りつめた乳房が、プルンプルンと揺れている。  
 土壇場に来て、人生最高の瞬間がやってきたと思った。こんなに思いっきり勃起したことなど、もう10年以上もなかった。  
「し・・・、舌を使うんだ」  
 ショートカットのさらさらした髪を撫でながら、ロッソは命令した。  
「・・・ん、ンググ」  
 ジルは、ペニスを口に含んだまま、肯定の返事をする。  
 言われなくても、そのつもりだった。たっぷり喜ばせて、相手を油断させようとしていた。  
 いったん顔を引き上げると、唾液にまみれた亀頭の裏側を、れろれろと舐め上げる。唇を幹に這わせながら、舌先を小刻みに動かす。  
 再び尖端を含むと、舌を傘の裏側に絡ませる。そのまま深く呑み込み、舌と上顎の間で幹をこすりつけた。  
「ウオオッ!」  
 ロッソは、超絶テクニックに感激した。ねっとりとした舌の動きに、ペニスがとろけそうだった。  
 ほとんど泣きそうな顔をしながら、ジルの頭を両手でつかんだ。  
 射精の瞬間を、少しでも伸ばそうと、上を向いて耐える。  
 と、その時。  
 ジルがペニスを口から吐き出し、ロッソの体を力いっぱい押しのけた。  
 やや離れた床面まで体を転がし、ショットガンを拾い上げる。  
 銃把をわきの下にはさみ、縛られた両手首で、なんとか銃身を支えた。特殊部隊では、体を束縛された状態で銃を撃つ訓練も受けていた。  
 乳房と下腹部の翳りを剥き出しにしたまま、ショットガンを構える様子は、異様にエロチックだった。  
 が、ショットガンを間近に見て、ジルは愕然とする。  
 散弾が装填されていなかった。  
 
「だから言ったろ。私は、若い娘を信用しないんだ」  
 ロッソは、積み荷の上に置いてあったハンドガンを手にとると、銃口をジルに向けた。  
「これは、君がもっていた銃だから、弾丸は入っているよ・・・。こんな拳銃をもっているなんて、お父さんは警官かな?」  
 ジル自身が警察の一員とまでは、想像が働かないらしい。  
「まあ、いい。・・・立ちあがるんだ。そして、後ろを向いて、そこの鉄柱をつかめ」  
「・・・」  
 彼女は、役立たずのショットガンを床に落とすと、言われた通りにする。悔しさに唇を噛みしめている。  
「そうじゃない」ロッソが苛立つ。「鉄柱は、もっと下の方をもつんだ。床から1mくらいの高さを・・・」  
 指示に従うと、自然に前屈みになり、尻を後ろに突き出すポーズになった。その姿勢のまま、手首が縛り直され、柱に固定されてしまう。  
 ロッソは、ショーツをつま先から抜くと、脚を60度ほどに開かせた。  
「プリプリした、いい尻だ・・・」  
 ミニスカートからクリンと顔をだした生尻を、ムニッとつかむ。  
「ウッ・・・」  
 おぞましい感覚に、思わず声をもらす。男は、構わずに、両尻をもみしだいた。  
「だが・・・。反抗的な娘には、お仕置きも必要だな・・・」  
 男の指先が、深い谷間を滑りおりて、ぴたりと後ろの器官に重ねられた。  
「い。・・・いや」  
 思わず腰を引く。が、すぐに静止するしかなかった。右の尻たぶに銃口がつきつけられていた。  
 アナルの表面をしつこく揉まれ、大臀筋がピク、ピクと反応する。  
「こっちも好きらしいな・・・」  
「そんな、ウァッ」  
 答えきらないうちに、ひとさし指がヌンッと狭い入口を潜り抜けてきた。  
 ジルは、ふくらはぎ引きつらせながら、のけぞる。全身から、どっと汗が出た。  
 幸い痛みは感じなかった。しかし、壮烈な衝撃だった。  
 
「痛くないらしいな・・・、見込みがあるぞ」  
 ロッソは、中ほどまで貫いた人指し指をくるりと回転させる。アナルの内側をなぞりつつ、親指を膣に差し入れた。  
 前後の穴に挟まれた筋肉を揉みたてるように、指をゆっくりと出し入れする。  
 やがてジルは、いてもたってもいられないような感覚に、身をよじらせ始めた。  
「ッォア・・・、クンッ・・・、ウッ、ウッ・・・」  
 認めたくなかった。しかし、ずっしりとした快感が、波動のように湧きおこる。  
 肩や背筋に力を入れて体を押さえようとしても、乳房が勝手にプルプルと震えた。先端の乳房が、痛いほどに立っていた。  
 ロッソが、指の動きを速める。  
「ォン・・・、だめ・・・、許して」  
 アナルの入口が、ぬぽぬぽ、と小気味いい音をたてる。対照的に、膣からは、ぬちゃぬちゃと湿った音が響いた。  
 指の出し入れが滑らかになるにつれ、魂が抜かれてしまったみたいで、抵抗する気持ちが失せた。  
 ロッソはしゃがみ込み、尻を舐め始めた。丸い丘を口にあてがって、形がひしゃげるほどに吸い上げる。  
 両指に力を入れ、膣壁をつねあげる。ハンドガンの銃身を、クリトリスにあてがい、強く押しつけた。  
「ィヤ・・・、ア、うっ。・・・ンアッ」  
 ジルは、太ももをおののかせながら、男の指にどっと蜜液を浴びせかけた。  
 
 指が抜かれると、ジルは思わず、がくっと膝をついた。  
 ロッソは、怒張を尻の狭間に滑り込ませる。休む間もなく、プッシーの中心をヌプリと貫いた。  
「ゥアッ・・・」  
 ジルは、ゾンビに襲われたみたいな悲鳴をあげる。  
 悔しいという気持ちはある。しかし、すっかり濡れきった蜜壺が、勝手に男を呑み込んでしまう。  
 ロッソは、ヴァギナの締め具合を確かめるように、じっくりとペニスを押し進めた。  
「うむむむ・・・」  
 根元まで入れおえると、極上の料理を口にした時のような、嘆声をもらした。  
 胎内は、暖かく、瑞々しかった。粘膜が幹全体をねっちりと包み、傘の裏側の窪みにまで襞が吸いついてくる。  
 しばらく、その感触を味わったあと、ゆっくりとストロークを開始した。  
 ハンドガンを床に落とし、女の体が逃げないように尻に両サイドをしっかりとつかむ。もう凶器で、脅す必要はないと思った。  
 たるんだ腹を、まろやかな尻にぶつけるようにして、ペニスを力強くぶち込む。  
 ジルは、鉄柱を強く握り、下唇を噛みしめて耐えた。が、我慢できたのも、つかの間だった。  
「ッウ・・・、ッアッ・・・、ッン・・・」  
 責めが速まるにつれて、喉の奥から、か細い嗚咽をもらしはじめた。  
 男に打ち抜かれるたびに、体が前後に揺れ、豊かな乳房が、ぷるん、ぷるん、と震えた。  
 
 ロッソは、腰をひねったり落としたりして、ペニスの角度を変えた。  
 時には、わざとゆっくり出し入れして、幹にまとわりつく膣壁の感触を味わった。  
 尻を鷲づかみしているので、谷間の奥がよく見えた。  
 引き抜くときには、充血した小陰唇がめくれあがる。ペニスの表面は、ジルの愛液で、すっかり濡れ輝いていた。  
 再び連打を送りこむ。  
「アウッ・・・、ハウッ・・・、ッンフ、ア・・・、ンク、ゥハ」  
 ジルの、すすり泣くような声が、だんだん高くなった。  
 その合間にも、気を確かにもとうと、何度か首を振った。が、ズブッと、膣奥をえぐられるたびに、我を忘れてしまう。  
 逃れたい、という気持ちが、いつしか消え失せていた。  
 いったん諦めると、快楽の奔流に身を任すしかなくなった。  
 ロッソが、ジルの背中に体を重ねる。  
 両手を胸にまわし、乳房を絞り上げるようにして揉みたてる。  
「ィイッ・・・、ッァハン」  
 ジルの声が、ひときわ大きくなった。  
 男はラストスパートをかけた。このまま、この女と死んでも構わないという気持ちになり、激烈な速度でペニスを打ちつける。  
 中年男の情念を浴びて、ジルも急速に登りつめていった。  
「アァン、ォアアアア」  
 ジルは、すっかり自制を解いて、女豹のような絶叫をあげる。  
 次の瞬間、男性の先端から、濃厚な液がほとばしった。  
「・・・!!」  
 体内に広がる樹液の熱さが、彼女を絶頂へと押し上げた。  
 開いた内ももをふるわせ、四肢を硬直させ、蜜壺でみっちりとペニスを締めあげていた。  
 
 終わってみれば、あっけない感じがした。  
 ジルは、体の中でペニスが萎えていくのを感じながら、セックスの余韻の中に漂っていた。  
 ロッソの手が顎にかかり、顔を後ろにねじ向けられる。ぶつかるようにして唇が重ねられ、舌を入れられた。  
 口の中に入ってきた舌を、ジルは反射的に舐めとった。ふたりの唾液がとけあった。  
(なんで・・・、こんな恋人のようなキスをしているんだろう)  
 ジルは、はっとして、理性を取り戻しはじめた。  
 が、唇を離そうとしたとき、膣の中でペニスが、ビクン、と動いた。  
(うそ・・・)  
 唇の裏側を舐められながら、ジルは目を見開いて驚く。まだ熱気の冷めてない体内で、ペニスがあっという間に息を吹き返した。  
 彼女の美麗な肉体が、中年男に10代の少年のような回復力を与えてしまったのだ。  
「あ、待って・・・、アン!」  
 再びペニスが抜き差しされ始めた。男の樹液を浴びたままの膣は、ヌッチャ、ヌッチャ、と卑猥な音をたてた。  
(・・・なんてこと)  
 もう一度、喜悦の波が押し寄せてくる。ジルはいつしか男に向かって尻を差し出していた。  
 
 数時間後・・・。  
 ジルは、ゾンビだらけの町で、脱出口を探しまわっていた。  
 ダリル・ロッソからハンドガンを奪いかえし、自由を手に入れるまで、結局、3回も精液を受け入れるはめになった。  
 いまいましい中年男は、改めて、コンテナの中に叩きこんでやった。ゾンビたちが見つけやすいように、倉庫のドアの鍵は閉めずに来た。  
 今は、警察署に近い裏路地の物置小屋で体を休めている。ここは、なぜかゾンビたちに見つからないようだ。  
 しばしの安息の時を過ごしながら、先月の夜、クリスのアパートに呼ばれたことを思いだしていた。  
 こんなことなら、彼ともっと楽しんでおけばよかった、と、ため息をつく。  
 ・・・早くヨーロッパに渡って、彼に抱かれたい、と思った。  
 しかし実際は、このあと、とてつもなく乱暴な怪物にいじめられるまくるのだった。 
 
 凄まじい暴力の嵐だった。  
 黒いトレンチコートを着た巨大な怪物に、ジルは次第に追いつめられていった。  
 これまでは、うまく撃退したり、逃れられたりした。  
 しかし、ダウンタウンを離れたことで、少しが気が緩んだのか。  
 それとも休まることのない戦いの連続に、やや体力が弱まっていたのか。  
 ここ時計台のホールでは、なぜかやつの攻撃をかわしきれない。  
 争ううちに銃はもぎとられ、素手で戦うはめになった。  
 突き出される右腕をかいくぐろうとした時に、こちらの動きを見きられた。  
 太い腕でなぎ倒され、転がったところを蹴りまくられた。  
 革靴で横腹や太ももをこづかれるたびに、ジルの体が大理石の床の上を滑る。  
 隙を見て攻撃を逃れようとしたが、どかっと足を背中に載せられ、うつ伏せに抑えこまれた。  
 頬に触れる床石が、冷たい。  
 ジルは察し始めていた。  
 今、追跡者は(彼女は、そういう呼び名を知らなかったが)、わざと手を抜いている。  
 ひと思いに殺さず、楽しみながら獲物をなぶっている。ちょうど猫が鼠をからかい、シャチがアシカの子で遊ぶように。  
「Haaaa・・・、Starrrrr・・・s」  
 心なしか、追跡者の漏らす息も、喜びに溢れているようだった。  
 やつは足をずらし、ヒップの上に置いた。革のミニスカートに包まれた豊かな膨らみを、ぐにぐにと踏みまわした。  
 ジルはショートヘアを揺すって、襲いかかってる男を睨みあげた。  
 これ以上の屈辱はなかった。  
 
 このまま屈服するつもりはない。  
 ジルは、体を素速く回して足の重みから逃れる。やつのすねを蹴ってから立ち上がると、近くの出口を目指して走り始めた。  
 とにかく逃げることだけを考えた。  
 またもや信じられないスピードで、荒い息が迫ってくる。  
 床の上を、ズザザザザと滑るように、巨漢が近づいてくる。  
 ドアノブのはるか手前で、ジルは思いきり背中を引っ張られた。  
 胸に巻いているサイドパックのストラップに、追跡者の手がかかったらしい。  
「クッ!」  
 ジルの体は、そのまま持ち上げられてしまった。  
 つり上げられたまま体をくるりと回され、追跡者と正対する位置で止められた。  
 これまでの戦いでは、顎をもって、持ち上げられることが多かった。  
 今は、追跡者の左手が背中に回っている分、ふたりの位置が近い。  
 すぐ目の前に、歯をむき出しにした醜悪な顔があった。熱い息が顔にかかった。  
 た・・・、耐えられない。  
 ジルはもがく。  
 ストラップが突っ張っているので、手の自由はきかなかったけど、足でやつの体をところまわず蹴り上げた。  
 しかし、まるで蚊に刺されたほどの痛みも感じないらしい。  
 追跡者は、ジルをつり下げたまま、平然と立ちつくしていた。  
 その口から、太い声が漏れた。  
「ジーーーー、ルーーーー」  
 彼女は、慄然とした。  
 意味のある言葉は、STARSしか聞いたことがなかった。その一員だからつけ狙われているのだと思っていた。  
 しかし、今、やつははっきりと自分の名前を口にした。自分を、個体として認識している。  
「ジーーーー、ルーーーー」  
 ねばっこい声が、もう一度響いた。  
 
 追跡者がぐいっと手首をねじると、ふたりの顔が、ほとんど接するほどに近づいた。  
 ジルは顔をそむけようとした。が、追跡者の右手で顎を押さえられ、もとの位置に戻されてしまう。  
 この時はまだ、女としての恐怖は、感じていなかった。  
 鋭い歯に顔が食いちぎられるのではないか、と恐れた。  
 だから、唇にヌメッと柔らかいものが押しつけられた時も、何が起こったのかわからなかった。  
 事態を知って、初めて身震いした。  
 追跡者の舌が、彼女の唇を舐めていた。薄桃色の唇の上を、ヒルのような舌先が這い回っている。  
(な・・・、なにをしてるの?)  
 ジルは、やや混乱した。戦いの中では、あまりにも異常な行為だった。  
 追跡者の舌が、ぐいっと上下の唇を割る。歯茎をなぞり、白く健康的な歯を一本ずつ舌先で味わっている。  
 やつは、舌の筋肉まで強靱らしい。  
 ジルの口をこじ開け、彼女の舌に吸いついてきた。  
(・・・ジーザス!)  
 彼女は、侵入してきた舌を噛みきろうとしたが、まるでゴムのように固い。  
 口の中の粘膜を、好きなように掻きまわされた。無理矢理、舌を絡ませられ、ローリングされた。  
 くちょ、くちょ、と、イヤらしい音が聞こえてくる。  
 悔しいけれど、自分の唾液がやつに舐めとられている。  
 熱っぽい息と舌の感触に、口の中はもちろん、脳髄まで汚染されていくかと思った。  
 ジルは再び体を震わせた。  
 その拍子に、美しく盛り上がったバストが、ぷるん、と揺れた。  
 
 ようやく唇が解放された時は、口のまわりがほとんど麻痺してしまっていた。  
 ジルは、しばらく唇を閉じるのを忘れていた。上下の唇が、唾液でぬめ光っている。  
 追跡者の顔は相変わらず無表情だったが、その中にもどことなく満足げなものを感じさせた。それが腹立たしかった。  
 ブン、と、風切る音に、彼女は警戒心を取り戻す。  
 追跡者が右腕を振ると、先端が触手状に様変わりした。  
 ジルの脳裏に、警察署前の光景がよみがえる。  
 一瞬のうちに硬直化し、ブラッドの喉元を貫いた、あの触手だ。  
 自分もいよいよ突き殺されるのだろうか。  
 ジルは、触手の先端から目を離さなかった。諦めたら終わりだ。挽回のチャンスはどこかにあるはずだ。  
 頭のてっぺんから足のつま先まで、緊張させて待ちかまえた。  
 が、触手の動きは、あっけないほどに、ゆっくりしていた。硬くなっている様子もない。  
 のそのそっと先端を持ち上げ、彼女をあざ笑うかのように、顔の前で止まった。  
 そして喉元ではなく、チューブトップの上から覗く、胸の谷間を目がけて動きはじめた。  
「ア・・・」  
 なすすべもなかった。  
 フランクフルトほどの太さの触手が、白い豊丘の間に、するりと入りこむ。  
 
 ジルは、ダリル・ロッソのいる倉庫から逃げ出した後、商店街のブティックに寄り、ストラップレスのブラジャーを付けていた。  
 しかし、そのわずかな防備も、追跡者の触手の前には意味がなかった。  
 二つのカップを結ぶ部分が、あっさりブチッと切られてしまった。  
 服の下で、ブラジャーがずれ落ちるのがわかった。  
 締めつけを失った乳房は、ブルルンと、ひとまわり膨らんだように動く。  
 いつもなら心地よい解放感を覚える瞬間なのに、今は、心細さしか感じられない。  
 バストの真ん中を進んだ触手は、くるりと向きを変え、左の乳房をなぞり始めた。  
 ふくよかな下端の丸みが、生暖かい触手に包まれた。その弾力を確かめるように、揉み上げられた。  
「ンッ・・・クッ・・・」  
 ジルは奥歯が折れそうなほどに食いしばった。  
 乳房を揉みたてる間も、触手の侵入はやまない。  
 先端は乳暈をなぞり、乳首をまさぐった。  
 追跡者の触手は、微妙に硬さや形態を変えながら、驚くほど繊細な動きが可能らしい。  
 女としての成熟を迎え始めた乳頸を、びん、びん、と弾くように突き動かす。  
 かと思うと、そっと吸いたてるように、乳首の尖端を押し包む。  
 ジルは、胸のあたりを見下ろし、あまりにもおぞましい光景に、顔をしかめた。  
 服の下で触手がとぐろを巻いている。  
 そのとぐろが動くたびに、乳房がむにむにと形を変えているのが、はっきりと見てとれた。  
 

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