「沙石集」などに見られる、和泉式部が夫との復縁を願い  
貴船神社へ参詣した際の逸話をもとにしました。  
もとにしたといっても、かなり蛇足を加えてますが。  
長文&駄文すいませんが・・・  
 
 
 
近頃、夫と妻の距離はすっかり離れていた。  
もともと妻は多くの貴公子たちと浮き名を流したことで知られる  
才女であり、それだけの女だという自尊心もあった。それゆえに、  
道長公が薦めただけの男であるとはいえ、現在の夫に対して、  
どうにも強気に出がちであった。しかし、夫も当代随一の武人と讃え  
られ、また文武に通じた男である。当然ながら面白いわけがなく、次第に  
妻を疎んじるようになって、他の若い女へと気がむくようになって行った。  
夫の名を藤原保昌、その妻を和泉式部といった。  
 
いかに自分がもう既に娘もいる姥桜であるとはいえ、かつて幾人  
もの貴公子たちが式部を求めてきたし、また彼女もそれに値する  
だけの容姿と才知、情熱を持っていた女である。その高嶺の花を、  
少し武芸にすぐれ、文才もあるだけの男が幸運にも我が物としな  
がら疎んじている。それは、式部にとって自尊心を傷付けられるに  
充分だった。しかしながら、今更どうするという手も思いつかな  
かったので、式部は有る時、男女の仲については様々な霊験  
のあるという貴船神社へと一人こっそりと足を運んだ。  
 
神社には男女の仲に関する術や祈願に精通した巫女がいた。式部は  
早速その巫女に、保昌の心を取り戻す「敬愛の祭り」なる祈祷を  
行わせたが、巫女が様々な怪しげな作法のあと、なんと式部に  
裾をめくって陰部を出すように要求してきたのだ。  
「な、なにゆえそのような・・・」  
あまりの要求に、流石の式部も顔を赤面させる。そして  
 
「ちはやふる神の見るめもはずかしや身を思とて身をやすつべき」  
 
と詠んで拒絶の意を示した。しかし巫女は  
「よいですか、そこ(陰部)を叩くことで、この秘術は意味をなすのです」  
平然と言い放つ。そしてさらに  
「天下に多くの浮き名を流した和泉式部様ともあろうお人が、たかが  
保昌様ごときお方に疎まれた挙げ句に、他の女子に逃げられてしまうとは、  
さぞや泉下の親王様方も嘆いておられましょうなァ」  
と、式部の自尊心や過去の恋人たちの事に触れてくる。そして、  
それに従わねば祈祷の霊験など現れぬとまで言い、式部に迫った。  
 
式部にしても、夫の心をこのまま失うのは嫌だしまた癪でもある。  
そして、なんだかんだ言いつつも保昌のことは悪しからず思っていた。  
そこでやむなく巫女の言う通り、式部は頬を染め、うつむきながらも  
裾をめくり上げ、巫女に自らの女陰を見せた。すると巫女はけったいな  
舞を披露したかと思うと、にわかに式部の開かれた股へと顔をよせ、  
小さな采配のような神具で式部の陰部を叩く・・・というより撫でこすり始めた。  
昔の様々な男と逢瀬を重ねていたころの式部ならともかく、近頃は保昌との  
仲が離れつつあったために、陰部はこの僅かな刺激にも激しく反応し始めた。  
 
「・・・・っ、あぁ・・・」  
式部の口から艶かしい吐息が漏れる。すると、巫女は  
神具ではなく自分の指で式部の陰部をいじりはじめた。  
陰唇のあたりを指が滑り、陰核を捻る。  
「くぅっ・・・あぁ、な、何を・・・」  
想定外の事態に動揺しつつも声をあげる式部。すると巫女は  
「これが祈祷でございます」  
と嘯いてさらに指の動きを激しくした。それに呼応して式部の  
喘ぎも激しくなる。  
「・・・・あっ、はぁっ・・・・あふぅ、・・・はぁ・・」  
巫女はさらに式部を攻め立てる。そして、巫女の手は上半身  
にも及び、式部の胸元をまさぐり、裾を開かせた。すると、  
豊かに実り熟れた乳房が姿を見せた。巫女はそちらには  
口をつけ股間のみならず、体のあちことを愛撫していった。  
そしてついには男女が睦みあっている形を模した張形  
が用いられた。  
「・・・あっ、あっ、・・・んん・・・、はうぅ、はあぁ、ああ、あっ」  
式部の反応もますます激しく、より淫らになっていった。  
そして数分の後、  
「・・・んん、・・んああぁっ!」  
式部が絶頂に達し、巫女からも「敬愛の祭り」が済んだ事を告げた。  
 
しばらくは夢心地でぼうっとしていた式部であったが、巫女に  
揺り動かされ正気に返ると、巫女の前での乱れぶりや、女に  
肌をゆるして悶えてしまった己の痴態に焦り、早々に神社を  
出て帰ろうとした。外は夕方になっていた。本宮から降りる  
石階段の途中で何者かが彼女を呼び止めた。  
 
「おく山にたぞりて落つる滝つ瀬の玉ちるばかりものな思ひ」  
 
「誰?」  
式部はその歌を詠んだ声の方に問うた。すると木陰から一人の男が現れた。  
「そなたが密かに出て行ったようなので、すこし探らせてもらったのよ」  
声の主は、見るからに頼もしげな風情の男だった。それは式部の夫・保昌だった。  
「全て見させてもらったが、そなたにも斯様な、いじらしいところがあったとはな。  
 俺はてっきりまた、新しい男とでも逢瀬を楽しむかと思うたわ」  
「もし、私がそのようになさったら?」  
「さあて・・・」  
保昌はそういうと弓を射つポーズを真似てみせた。そして、次には式部の腕を  
つかみ引き寄せた。  
「可愛らしいことよ・・・」  
そして、式部を抱きかかえると、神社の外で待たせておいた  
自分の牛車へと向かって行った。  
 
そしてその夜・・・・。  
「・・・ああっ、はぁっ・・・ふぅ・・」  
久々に式部と保昌は夫婦の営みを行っていた。  
保昌は顔を妻の胸元に埋め、指は体のあちこち敏感な箇所を這っていた。  
式部は式部で両手両足を保昌に絡め、悩ましげな嬌声を響かせていた。  
 
これが霊験かどうかは分からないが、ともかく式部夫妻の仲は  
一応の落ち着きを取り戻すのだった。  
 
終わり  
 

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