曹真と、言い争いになった。  
 
朝廷からの勅使による帰還命令が決定打となり、ついに魏軍は陳倉からの撤退を決定した。  
問題は、対する蜀軍の動きである。  
敵軍である蜀軍の総指揮官である諸葛亮に対し強い警戒をもつ司馬懿は、  
蜀の追撃を防ぐために伏兵を用意し、しかしそれだけでは安心せず、蜀軍の動きを分析する。  
その結果、  
『蜀軍はこれを期に示山を奪い、後の足がかりを得ようとしている』  
これが、導き出された予測だった。  
「最早蜀は、我が軍の退却を追撃しようとは思っていない。  
 伏兵を恐れ、無駄足であると気づいているのだ。  
 となれば、あの狡猾な諸葛亮が狙っているのは、示山だ。  
 我が軍が此処を通り過ぎるのを待ち、斜谷・箕谷の両谷から示山を攻略しようと企んでいるのだ!!  
 証拠として、事実、蜀の軍はまったく動いていない!」  
示山は、地形が入り組んでおり伏兵を配置するのにも便利、何よりもこちらの進軍の重要な経由点である。  
ここを取られるわけにはいかない。そう思い、必死に総司令官である曹真を説得するが、彼は首を縦に振らない。  
「司馬懿よ、長雨で通路は遮断されている。そもそも我らが退却するという事さえ知る筈もあるまい」  
「相手はあの諸葛亮ですぞ!」  
つい、声を荒げる。  
あの男の事となると、冷静になれない自分がいた。  
 
「蜀の先主・劉備による三顧の礼に答え、その死の淵で後事を頼まれた稀代の軍師。  
 都督殿には、何の理由があってあの男をそう侮られるのか!!  
 ふたつの谷に伏兵を置き、十日を待てば必ずその間に蜀は攻め込んで来る筈です!!」  
一息に怒鳴る司馬懿を見て、曹真はため息をつく。  
「ならば、賭けをしよう」  
曹真が、言った。  
「賭け?」  
「ひとまずお前のいう事を聞いてやる。十日待とう。  
 言うとおりに蜀が攻めてくれば、帝から賜った玉帯一本と、馬一頭を進呈しよう。  
 その代わり、攻めて来なければ…」  
曹真の目が、好色そうにきらめく。  
かつて見た覚えあるその光に、司馬懿はぞくりと身を震わせた。  
「紅を引き、白粉を付け、女の装いをして私の元へ来い…可愛がってやる」  
「あ、貴方という人は…」  
おぞましい。まさか、戦場でそんな事を言われるとは。  
「…い、良いでしょう」  
目を瞑り、込みあがる嫌悪感と怒りを抑え、そう言った。  
「では、将軍殿には即刻、軍勢を率いて斜谷口に駐屯して頂く。私は箕谷口の方に――!?」  
鎧の腕が、司馬懿の体を引き寄せる。  
「な、何を!?」  
「期限の十日までにはまだ大分ある。暇潰しに付き合ってもらおうか」  
 
「暇ではない!!」  
身に纏う鎧を剥がされる。  
元々最前線に出る武将のものではない為、造りもひどく単純で、簡単に着脱ができるものだった。  
「十日までの間に、蜀の軍勢は攻めてくる!だからわが軍は斜谷口と箕谷口に駐屯して――」  
「攻めてなど来ない」  
近づいた曹真の顔の開いた口から舌が出て、頬をべろりと舐める。  
ぬめりを帯びた舌はそのまま顔面を這って耳の中に侵入した。  
「止めろ!気持ちが悪い!」  
「普通なら確かにそうだろう。  
 しかし、もう戦になって随分と経つ。…お前程度の器量なら、十分に事を成せる」  
耳元で囁く。羽交い絞めにされたまま耳朶を甘噛みされた。  
頭の中が痺れる。思考が飛ぶ。  
「止め…られよ…」  
抵抗を現す声も弱々しくなってきた。  
もう戦になって随分と経つ。それは確かだ。  
体の中に植えつけられた、異常な快楽がじんわりと蘇る。  
「そう怯えるな。…可愛がってやる」  
曹真の声がして、衣服に手が掛かる。その瞬間に、司馬懿は意識を取り戻した。  
長期の遠征。女に飢えた軍の男達の中に、ただ一人。  
もし、ここで自分が女であると知られたら…  
「……」  
湧き上がる悪寒に、ぞくりと身を震わせる。  
知られる訳にはいかなかった。  
 
「…“子丹”殿…」  
字で呼んで、目の前にある曹真の顔に近づける。  
「服を脱がす必要は無い」  
言い、曹真の脚の間に座った。  
顔を見ないようにうつむいて、両手で曹真を脱がし、勃ち上がった男根を手に取る。  
「し、司馬懿…」  
驚きつつも、喜びを帯びた声で、曹真が言う。  
それと同時に根元にべったりと舌を当て、じわじわと嘗め上げた。  
割れ目まで到達すると、その先端を含む。  
「くっ…」  
曹真の声が、頭上から降ってくるのが聞こえた。  
そのままくびれを唇できゅっと挟んだ状態で、亀頭全体を舌でこね回す。  
どくん、びゅくっ…  
くちびるに当てた男根がぶるりと震え、顔面に白濁液が飛んだ。  
咄嗟に口を開けて受け止めたが、すべて入らず、白い飛沫が口唇の周囲に飛び散った。  
「…はぁ、はぁ…な、なんだ…随分と慣れておるではないか…」  
精液を指ですくって舐めとる司馬懿をじっと見、曹真は言った。  
「さあ、これからどうするつもりだ?」  
曹真の男根は、すでにもう一度勃ち上がっていた。  
黙ったまま、司馬懿は曹真の体を仰向けに倒すと、その上に乗り上げる。  
自ら下穿きをずらして自分のもとに当てがおうとした。  
 
「…”仲達よ”、可愛がってやると言っただろう」  
声がした。  
字で呼ぶ声に一瞬の気を取られたその隙に、曹真が起き上がり司馬懿の体を抱き上げた。  
「都督どの!? は、離されよ!!」  
驚愕し叫ぶが、曹真は構わず司馬懿を机上にうつぶせに乗せた。  
中途半端に緩んだ下穿きを引き下ろされる。大気に肌が触れるのを感じた。  
突き出した尻を左右に開いて、曹真が顔を埋める。  
「止め…っぁあんっ!!」  
ぬるりと滑る、生暖かい感覚。曹真の舌が後ろから侵入してくる。  
司馬懿は体を固く強張らせて、必死に快感に耐えた。  
「はっん、ぁあ、あぁっ…」  
くちびるから、甘い声が漏れる。  
ぴたり閉じている太腿を擦り合わせると、潤いだした秘裂が擦れて微かに粘膜の擦れる音がした。  
「ああっ…ああぁっ…」  
ともすれば自ら秘裂に手を伸ばし、花弁を弄り自慰をしたくなる衝動を抑えた。  
袖をギリッと噛んで、必死に快楽を殺そうとするが、曹真の舌の動きに翻弄されて、その決心も揺らいでいく。  
「はは…こらえ性のない奴だ」  
曹真は顔を上げてそう言い、双丘に自分の男根を当てた。  
 
「うう…」  
びくんびくん、と、脈動する熱い塊が押し付けられている。  
愛液が流れ出る感覚を覚える。体の芯が熱くて、頭の中がぼーっとした。  
ずぶっ…  
「ひっ…あああっ…!!」  
直腸に、曹真の男根が押し入ってくる。  
舌で散々弄ばれ、唾液でぬるぬるになった壁が擦れて、えも言われぬ快感が湧き上がる。  
「ああっ…いやだっ…」  
なかば無意識的に、体の下に両手を滑り込ませた。  
下穿きに突っ込み、両手の指で無茶苦茶に花弁を弄る。  
「んあっ、あひっ…」  
ぐちゅっ、ずちゅっ…  
粘膜の擦れる、卑猥な音が天幕内に鳴り響く。  
それが曹真の出し入れをする音なのか、自分の手による自慰の音なのかは分からない。  
右手の指をまとめて二本、膣内に差し入れた。  
(ああ…女だと知られたら…でも…)  
机上から自分の体の間隔は狭く、指を出し入れすることなどできない。  
そのまま奥深くまで差し入れて、指のはらで膣壁を擦り上げた。  
「こらこら、私を無視して一人で楽しむな」  
ついに自らを慰め始めた司馬懿を見て、曹真は苦笑しながらそう言った。  
ずぶりと奥まで突き立てられて、司馬懿の体がびくんと大きく跳ねた。  
「あああっ…!!」  
 
「そちらがその気なら、遠慮なく行かせて貰うぞ」  
曹真の腰の動きが速さを増す。  
ずぶっ、ぐちゅっ…  
もう既に乾いている筈の、潤滑剤代わりであった唾液が、激しく音を立てた。  
「んあっ、あひいっ…ああっ…!!」  
膣内に侵入している自分の指が、びくびくと動く。  
愛液が溢れ出して、脚を伝ってぽたぽたと机上に落ちた。  
「どうだ司馬懿。言ってみろ。私の男根を突き入れられて、どうだ」  
「い…は、腹が…熱くて…ああ、わ、わたしの、裂け、裂ける…裂けるぅっ…!!」  
目を開けている事もできなかった。ぎゅうっと瞑り、叫ぶ。  
嬌声を抑えることもなく漏らす。  
「ああっ、都督どの…は、早くっ…もっと熱いの、を…」  
「よし…出すぞ…」  
びくんっ…  
直腸の中で、曹真の男根が一瞬だけ体積を増すのを感じた。  
流石の異物感に、じんわりとした熱が収まってゆくのを感じる。  
「もう終わりか?まだまだそんなものではないだろう」  
曹真が言い、司馬懿の体を持ち上げる。  
仰向けに寝かされ、中途半端に脱げた下穿きに手が掛かる。  
「――!!」  
はっと意識を取り戻して、脱がされてしまわない様にそれを抑えた。  
 
曹真が訝しげにこちらを見る。  
「何だ?」  
「ま、待たれよ!!別に脱がなくても事は…」  
「何を今更…」  
ため息をついて、曹真は腕に力を入れる。  
「や、止めろっ!!」  
びりびりと音を立て、布が裂ける。  
「何!?」  
そこに男にあるべきものを見とれなかった曹真は、驚きの声を上げた。  
散々の自慰によって捲りあがり、愛液で濡れた秘裂が息づいている。  
「女…だというのか…」  
言ってにやりと笑みを浮かべた。  
「ひっ…!!」  
恐怖に身がすくむ、その瞬間に上衣を引き剥がされる。  
曹真は司馬懿の身体を抱き上げると、引き寄せて膝の上に乗せた。  
「止めろ!」  
「なんだ、そうか…それでは尻では不満だっただろうに」  
脚を無理矢理開くと、指を秘裂に滑り込ませた。  
「ひうっ…」  
固く大きな節のある指で、膣内を掻き回された。  
ぐちゅ、ぐちゅ、と、粘膜の擦れるいやらしい音が響く。  
 
「止めろぉ…」  
「声が震えているな。身体もだが…」  
挿入された指が、そのまま、花芽を擦る。  
「あぁっ…!!」  
「司馬懿」  
おとがいを持たれ、そちらを向かされる。身体を前に向けたまま、顔の正面は後ろへ。  
司馬懿の首は、簡単に、普通の人間には出来ないほど曲がる。  
「降雨の中にも駐屯を重ね、幾度も滞在の期間を延ばした。  
 兵たちは疲れきっている…今、お前が女だと知れたら、どうなるか分かっているのだろうな?」  
「……」  
「口外しないでやる…続きは、自分でしろ」  
嫌だ、とは言えなかった。  
「こちらを向け」  
曹真が司馬懿の腰に手を伸ばし、身体を浮かして体勢を変える。  
向き合う形になって、正式に視界に入った曹真の目が、早くしろと訴えかける。  
司馬懿は、自分の尻の下に突きつけられている曹真の男根に、手を伸ばす。  
「ひ…うぅ…」  
腰を浮かせ、熱を放ち脈動する男根を秘裂へと埋めていく。  
「まだるっこしい」  
言い捨てて曹真が、両手で司馬懿の腰を押し込んだ。  
ずぶっ、ぐちゅっ…  
 
「あああああーっ…!!」  
「ほら、こっちに欲しかったんだろう? ちゃんと動け!」  
「うぅ…」  
曹真の身体に腕を回し、自ら腰を動かす。  
「あっ、ああっ…あひぃっ…」  
次第に嬌声も甘くなっていく。  
ぐちゅ、ぐちゅっ、という音が耳に響いて、痺れて動かない筈の身体が、自ら快楽を求めて速度を増していく。  
「いいぞ…いい締め付けだ。散々使い込んだ癖にな」  
「い、言うなッ!!」  
「今まで、何人の男にそのように身体を預けていたのやら…」  
「ひうっ、や、止めろッ…あ、あぁっ…」  
嬌声が大きくなる。  
身体を支える両手が曹真の身体に食い込んで、がくがく言う身体を支える。  
「ああっ、あんっ、あ、い、いっちゃ…いっちゃ…」  
「まだだ。我慢しろ。女だと言うぞ」  
「だめ、だめです…言わな…っぁあああっ!!」  
曹真が司馬懿の花芽を摘み上げる。そのまま左右にぐりっと動かした。  
「あああああああああっ!!!」  
びくんと身体が跳ね、焦点を失った瞳が曹真を見つめる。  
そのまま曹真の胸に倒れこんで、司馬懿は静かに呼吸を繰り返した。  
「何だ…ろくに人の言う事も聞けんのか…」  
言って司馬懿の腰を掴み、びくびくと名残惜しげに震える膣内に出し入れし、精液を放つ。  
 
司馬懿の膣内に気の行くまで出し終えた曹真は、そのまま司馬懿を後ろへ倒した。  
ずぷっ、と音がして、膣から男根が抜ける。  
入りきらなかった精液をどろっと吐き出した司馬懿の秘裂を見て、曹真はくくっと笑う。  
「さぁ、司馬懿」  
言って顔に、精液と愛液で汚れた男根を突きつける。  
「お前のせいで汚れたのだから、お前が綺麗にすべきだな?」  
司馬懿は黙って、こくりと頷いた。  
(十日間…せいぜい楽しませて貰うとしよう)  
もはや賭けなどどうでも良くなっていた。  
適当に、二・三回駐屯するふりでもしてやれば約束を守ったことにはなるだろう。  
自分の男根にしゃぶりつき、舌を這わせる司馬懿を見て、曹真は再度笑みをうかべた。  
 
 
――了  
 

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