「ちょっ、あなたがっつきすぎよ」  
己の股間に取り付いてしつこく割れ目を舐めまわす夫に  
彼女はすこし慌てたような声をあげる。  
まだ服はほとんど脱いでいない。  
サンダルもそのままなのに、夫はそんなこと我関せずといった風だ。  
 
「や、やめてってば、どうしたのよ」  
早くも我慢できずに喘ぎ声を漏らしながら、戸惑い気味に尋ねる。  
しかし相変わらず一心不乱に舌を伸ばす男は  
彼女の腰をがっちり掴んで離さない。  
「ねえ、ん、ちょっと、返事くらい、しなさい、よ」  
 
後ろに手をついてなんとか起き上がろうとする。  
と、夫の舌が軽くクリトリスをかすった。  
「きゃひぃぃっ、っくぅぅん」  
一番の弱点をつかれて一気に腰が砕ける。  
そんな様子に勢いを得たのか男は目の前の膨らみをくわえ込み、  
その根元を軽くかじったり一気に吸い上げたりとやりたい放題だ。  
彼女はその責めにあっさりと意識を失ってしまった。  
 
目の前の姿見に映る自分の姿は、もうずいぶんと昔のものだ。  
色気が少しばかり足りないが、かわりに瑞々しさに溢れている。  
自分が最も輝いていた瞬間だった。  
「はぁ」  
しかしその口から出るのはため息が一つ。  
程よく日焼けしたその顔に、本来あるべき表情が無い。  
 
「時間よ、準備できた?」  
戸口から顔を覗かせたのは姉だ。これもまた若い。  
そんな姉に、自分が元気の無い声であいまいな返事をした。  
「ちょっと、あんたらしくないわね。今更緊張してるの?」  
歩み寄ってきた姉は、すっと手を出して額に当てる。  
「まぁ、熱は無いか。うん、いつもどおりやってきなよ」  
 
励ますような明るい声に推されるように部屋を出た。  
その先に見える庭の風景は、おぼろげながら見覚えのあるものだった。  
ああ、あの時の屋敷だ。  
 
相変わらず表情は冴えなかったが、客のいる部屋を前にするとなると  
それが一変して満面の笑みに変わるのだから我ながら大した職業病だ。  
そして、宴会の場に男の姿があった。  
おかしかったのはその姿がほとんど変わっていないことだった。  
「本日は私のような者をお呼び下さいましてありがとうございます。  
 拙いものではございますが、どうかご覧になってください」  
 
エジプトで覚えてきた舞はどこでも大人気だった。  
もっとも男にだけ、女は私の姿を見ると大抵は眉を顰めたものだ。  
この手の芸当に慣れているはずの姉ですら  
困ったような顔をしていたのを覚えている。  
 
果たして目の前の男たちは、ある者は目を凝らすように、  
またある者は鼻の下を伸ばして露骨ににやけた顔をしている。  
世間では身分相応の尊敬を払われている男たちだが、  
その表情ときたら並の役者ではとてもできないような滑稽なものだ。  
そしてあの男も、顔の前にワインの杯を掲げて表情を隠してはいるが  
その口元はきっと吊りあがっているに違いない。  
 
「あ、姉さんおかえりなさい」  
滴る汗もそのままに初めにいた部屋に戻ると、そこには妹がいた。  
「んー、やっぱりまだまだ姉さんには敵わないか」  
陶器のコップに注がれた水を腰に手を当てて飲み下していると、  
その姿を見ながら妹が残念そうな口調で呟く。  
甘えん坊の妹はもういい歳でしかもいい女に成長したのになのに  
どうにも子供っぽさが抜けていなかった。  
リビアから戻った時には成長したその姿にびっくりしたけれど、  
年甲斐も無く飛びついてきたのには困ってしまったほどだ。  
 
「あんたね、もうちょっと自分に自信持ちなさいよ」  
誰も見ていないとなると横着な姿勢になるのは今も昔も変わらない。  
衣装を着替えもせずに籐製のいすに浅く腰掛けて、  
日に焼けた脚を組んでもたれかかる。  
すると妹がその脚をすっと右手の人差し指で撫で上げた。  
 
なんとも言えない感覚がゾクゾクっと背筋を駆け上がってくる。  
思わず恍惚としてしまうような、  
そんな感覚に無意識のうちに背筋が反ってしまう。  
「きゃあ」  
浅く腰掛けていたのが災いした。  
背を反らした弾みでものの見事にいすから落ちてしまい  
なんとも可愛らしい悲鳴をあげてしまったのだ。  
 
「あわわ、ご、ごめんなさい」  
大慌てで妹が傍に寄ってくる。  
口元に手を当てておろおろする姿は、傍から見ると可愛らしいのだろうが  
そんなことを気にする余裕などあろうはずもない。  
「っつぅ、あんたいきなり何するのよ」  
文句を言って腰のあたりをさすりながら立ち上がろうとした時、  
今度は布が裂けるような音がする。  
 
「こ、これはどっちのせいとも言えない、よね」  
恐る恐るといった風に妹が声を絞り出す。  
妹と私の足が、衣装の裾を踏んでいた。  
思わず妹を罵倒する大声が喉元にまでこみ上げてきたが、  
途端に疲れがそれを打ち消した。  
「もういい、お互い落ち着いていきましょう」  
その口調に反して、目は笑っていなかっただろう。  
 
しばらくしてどこからか部屋に戻ってきた姉の目には  
不安げな顔でそわそわしている妹と、むすっとした表情でいすに腰掛ける私  
という対照的な姿がおかしなものに映ったのだろう。  
「あんたたち、どうしたの」  
その表情も口調も、何とも不思議そうだった。  
 
「まったく、あんたってどこに行っても引っ張りだこよね」  
着替え終わったとたんに、姉に連れられて再び廊下を歩く。  
「ま、気分の悪いもんじゃないし構わないわよ」  
しかしこの頃はそう思ってはいなかった。  
リビアから帰ってくるときに苦労したせいか  
自分の将来に不安を感じていたからだ。  
この頃の不調も、つきつめればそれが原因だったのかもしれない。  
 
「今日のお相手は大物よ、皇帝の甥だって。  
 まあ四十過ぎらしいけどね」  
あの男だ。しかしこのときの私は気の無い返事を返すのみ、  
この後どんな運命が見舞うことになるのか想像できるはずもないのだが。  
「ま、頑張ってくるわ」  
「うん、釣り上げるくらいの気持ちで行ってきな」  
冗談半分、いや完全に冗談だったのだろう。  
その言葉が事実になろうとは姉も思っていたはずがない。  
 
「おい、いつまで寝ているんだ」  
目を開けると、すぐ前に人影があった。夫だ。  
気を失った私の肩の両脇に手をついて上から覗き込む格好だ。  
不機嫌そうなその表情に思わず微笑んでしまった。  
「あなたは、変わらないわね」  
 
そんな最初の一声に怪訝そうな顔をする夫。  
首筋に腕を絡めて引き込むと、顔がすぐ目の前に迫ってきた。  
「あなたは昔からそう、マイペースなんだから」  
そう言ってから唇を合わせる。  
舌が絡みあうまではあっという間だ、やがて涎が私の頬を伝っていく。  
 
「今度は私がやるわ。あなたには任せられないもの」  
不承不承といった顔の夫を半ば強引に押し倒した。  
そのペニスはすでに準備万端、歳の割には勢いがある。  
くわえ込んでやっても反応は無い、少なくとも口に出しては。  
もちろんいつもの事だから一々気になどしない。  
そして私は自分の股間に左手を滑り込ませた。  
 
「まったく、人のモノをくわえ込みながら自分を慰めるとは。  
 テオドラ、器用すぎるぞ」  
「これでも元役者よ、これくらいの芸当こなせないようじゃ  
 食べていけなかったし」  
息継ぎのために口をペニスから離すついでに  
おどけた調子で言ってやると、どうやら笑ったようだ。  
顔は見えないがあの気難しげな表情がどう変わっているのだろうか。  
 
「もういい、このままお前の口に出すのも悪くはないが  
 お互いもっと楽しみたいだろう」  
ペニスを舐めまわす私の頭を押しのけるようにしながら言う。  
「一度出したらもう続かんからな、歳はとりたくない」  
よく言う。確かに昔ほどの勢いはないが、夫は十分に精力的だ。  
 
「ん、じゃあきてよ。私のほうもいい感じに、できあがってるから」  
夫とベッドの上で場所を入れ替えた。  
脚を開いて膝を立てる。その股間のスペースに夫がにじり寄ってきた。  
「お前は感じやすいからな。もうぐっしょりだ」  
割れ目にペニスを添えて狙いを定めながら言った。  
それに何か言い返してやろうと思ったとたんに、それが押し入ってきた。  
 
「くぅぅぅぅん、ひゃっはあぁぁぁ」  
最初の一撃でこれだ。奥底を突くその動きに堪らず声が上がる。  
「相変わらず、弱いな、お前は」  
続けて腰を打ちつける夫に答えを返すことが出来ない。  
何かを考えようにも靄のかかった頭ではまとまるものもまとまらず、  
口から喘ぎ声と共に次々漏れ出していくかのようだ。  
 
そして、あっという間に下半身から湧き上がってくる快感が  
全身を駆け巡り、手足の指先をぎゅっと縮みこませる。  
気を抜いたらあっという間にイッてしまうだろう。  
それだけは避けなければ、プライドが許さない。  
「くっ、何だ、妙に、気合が、入って、いるようだな」  
無意識のうちに脚を夫の腰に絡ませていたようだ。  
そのせいか荒々しかったその動きが幾分緩くなる。  
 
「負けてはいられぇんん、いられないから」  
なんとかこのくらいは言い返すことが出来た。  
すっかり下半身を痺れさせていた快感も引き時なのだろうか。  
「よく言う」  
そう呟いた時の夫の顔ときたら策謀家が奇計を思いついた、  
あるいは悪戯っ子が悪戯を思いついた、そんなある種の意地悪さに満ちていた。  
 
「ひっっっつうぅぅぅ」  
夫の手がクリトリスを揉み、指の間でそれを転がす。  
右の乳首も同じ責めを受けている。  
と、腰に絡まっていた脚がピンと伸び、再び激しい動きが股間を襲った。  
もう耐え切れない。  
 
「あ、ああぁぁやぁぁぁ、いああぁぁぁ」  
私は、四肢を完全に投げ出してしまっていた。  
開きっぱなしの口からは、喘ぎ声とも呻き声ともつかない音が漏れ続ける。  
いよいよ、最期の瞬間がやってきたようだった。  
 
「いく、いくのぉぉぉ」  
涙が溢れて止まらない。と、夫も両手を再び私の腰に添えて  
一気に勢いをつけ始めた。  
どうやらこちらも来るところまで来たようだ。  
「くるの?くるの?きて、きてぇ」  
涙で潤む視界の中で、夫の顔が何かをこらえるように歪んでいる。  
必死に両腕を夫の首に巻きつけて引き寄せると  
私はむさぼるようにその唇を奪った。  
「んんんんーーーっ」  
腰の動きがピタッと止まった瞬間、夫は勢いよく吐き出したようだ。  
そして同時に一匹の獣が、喉を反らせて歓喜の叫び声を上げていた。  
 
 
「だから済まないと言っているだろう」  
皇帝を平謝りさせることができるのは皇后だけ。  
ベッドの上の彼女にひたすら頭を下げ続けるその姿は実に滑稽だ。  
「別に怒っているわけじゃありません。あなたと初めて一夜を共にしてもう10年、  
 もうそれくらい慣れてますよ」  
白々しく落ち着いたその口調に、皇帝は安心しない。  
その調子が、妻が怒っている証拠であることを  
彼もまた年の功から知っているからだ。  
 
「まあ、あなたが私の機嫌を取ってくれるなら、歓迎するわ」  
また宮殿の一つくらい作れと言い出すのだろうか。  
使うところには惜しげもなく金をつぎ込むかわりに  
普段はケチな皇帝は内心でため息をつく。  
「あら、あまり乗り気じゃないようね」  
思わずはっとなる皇帝。皇后の視線が冷たく突き刺さる。  
 
と思いきや、皇后の腕が皇帝の首に巻きついた。  
「簡単なこと、もっと私を満足させてちょうだい」  
すでに彼女の頬は紅く染まり、吐く息は熱い。  
「んふ、歳ばかり言うけど元気じゃない。  
 さすがは偉大なる皇帝陛下ね」  
嬉しそうな口調で言う皇后に、皇帝は冷たいものが背筋を滑っていくのを感じた。  
だが彼もまた、妻のそうした奔放な一面を深く愛しているのだった。  
 
 
374 名前:363 投稿日:04/08/02 18:23 ID:+bD4FpS2 
以上です。  
人名をほとんど出していないので誰だこりゃとなるかも知れませんが、  
がメインキャラです。  
 
と言うと「ストリップシーンはどうした!」という声があがりそうな気もするんですが  
どんなものなのかトーシローなボクにはわかりませんので回避しますた(^^;  
 
 
各自想像力全開で脳内で再現してください>ストリップ  
 

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