「えぇいっ!!そこ退けぇいっ!平家の腰抜けども!!」  
 赤と白の旗がひしめく戦場に、一人の女の雄叫びが響き渡る。  
けたたましい馬の嘶きが聞こえてくると、鎧兜を纏った一人の女が、  
平家の兵たちに迫ってくる。兵の矢を長刀で払い除けながら、  
その長刀で矢を放った兵たちを、一人また一人と切り捨てていく。  
 「あ、あれが巴…御前……!」  
 たった今、彼女によって切り付けられた兵の一人が、息も絶え絶えに、  
自らを殺そうとした者の名を呟く。  
 その勇猛さは、屈強の男たちにも引けを取らぬ武者姿の女。巴御前。  
平家討伐の密勅により挙兵し、京の都を目指す木曾義仲の妻である。  
 数時間後、この合戦は義仲軍の勝利に終わった。地面に倒れた平家の赤い旗を、  
義仲の傍に付き従う巴の馬が踏み潰す。彼らが目指す京の都は、あと二百里近くのところにある。  
 
 
 その日の夜、合戦場の近くの村で、義仲軍は野営をしていた。  
村と言っても、戦の影響でほとんどの村人が逃げ去り、  
義仲軍の者以外では、若干名の逃げ損ねた村人しかいない。  
 「ちぇっ、平家の奴らをやっつけに来たと言うのに、そろいもそろって逃げやがって」  
 「せめて、別嬪の一人、二人、いてくれればありがたいのによぉ…」  
 陣地の外れで、兵たちが愚痴を零す。倶梨伽羅峠の戦いを皮切りに、激戦に告ぐ激戦を  
潜りぬけた彼らにとって、酒を飲む以外には楽しみなど無いのだ。  
 「でも、都に行けば、俺たちは好き放題やれるぜ。何たって、平家を討伐した官軍なんだからな」  
 「あぁ、それに京女は美人揃いだって言うしな。へへへ……」  
 「おめぇ、何、今からおっ勃ててやがんだ!」  
 下卑た笑い声を上げる兵の股を見ながら、別の兵が言う。京女を弄るところでも想像したのか、  
彼の股は服越しに盛り上がっている。その場にいた仲間たちの笑いに、彼は気まずい顔をして俯く。  
 「それにしても、巴様はすげぇよなぁ…」  
 また別の兵が、突然、巴御前の話をふってきた。  
 「おぉ、色んな女見てきたけど、巴様のあの勇ましさはただもんじゃねぇ。  
男どもがいくら束になっても、かなわねぇんじゃねぇか」  
 「でも、よく見ると別嬪だよなぁ。願わくば、じっくり味わいたいぜ」  
 「とんでもねぇ事言うんじゃねぇ!殿に殺されちまうぞ!!」  
 「いや、殿が手を下す前に、巴様が直々に嬲り殺すぜ。  
巴様が平家の奴らを殺していくところ、見なかったか?」  
 巴御前の猛戦ぶりを思い返した兵たちは、顔を青ざめて縮み上がった。  
 「そんな巴様と、殿はどのようにしてやってるんだろう」  
 「殿を馬代わりにして跨って、契ってんじゃねぇか?」  
 「いや、あの殿に限って、それはありえないな。でも、興味はあるよな」  
 「ちょっくら、覗いて見るか?」  
 「馬鹿。そんな事したら、ホントに殺されちまうぞ」  
 仲間の一人が言うと、兵たちは巴御前の話を止めて、再び酒を飲み始めた。  
 
 
 村の奥にある寺の本堂に、義仲と巴御前がいた。本堂と言っても、10人が入れば  
満杯になるような小さな部屋である。  
 薄明かりの中、義仲と巴は鎧を脱いだ。背後から巴を抱き締める義仲の手が、  
衣の裾を潜り、巴の胸を弄る。  
 「あぁ、殿……もっと激しくこねくり回してください。ずっと…ずっと、待ち焦がれておりました」  
 義仲に背後から胸を愛撫されながら、巴は義仲に懇願する。  
瞳を潤ませ、切なげな顔を見せる。その瞳の先には、その面前には、  
埃を被った小さな仏像しかいない。  
 「戦、戦で気が抜けぬ日々が続いたからな。その分、存分にそちを味わってやる」  
 義仲がそう言うと、衣の中に潜っていた義仲の手が、巴の胸を力一杯に揉んだ。  
 「あ、くぁ…!!」  
 愛撫する力を強める義仲に、巴は声を上げた。今度は、義仲の指が、巴の乳首を  
コロコロと転がす。  
 「殿、殿、すごい……体が疼いて……疼いてきます……あぁん…!」  
 義仲の愛撫に歓喜の声を上げる。  
数多の男の猛者に勝るとも劣らぬ女武者からは想像もつかぬその表情。  
唯一契りを交わす者からの愛撫に歓喜し、喘ぐその姿を、  
義仲を除く者たちは誰一人として見た事が無い。  
 「これくらいで、天に上るような心持ちでは困るぞ」  
 義仲が呆れながら下の方の衣を脱ぐと、固くそそり立つものが、巴の目の前に現れた。  
目を背ける事無く、巴は義仲のものをうっとりと見つめる。  
 「殿のもの……お久しゅうございます……」  
 義仲のものの前でしゃがむと、それを愛しそうに撫でた。そして、ものの先をやはり愛しそうに  
口付けすると、そのままゆっくりと咥えた。  
 
 しんと静まり返った本堂に、何かをしゃぶる音だけが聞こえてくる。  
 「んんっ、んんっ……!!」  
 さらけ出され、そそり立つ義仲のものを、巴は前後にしごき、しゃぶりながら、  
愛する男に心地よい刺激を与える。  
 「巴……武術の腕もさることながら、男を悦ばす腕も見事のようだな」  
 笑みを浮かべながら、義仲は目の前で自分のものを咥える巴御前の頭を撫でた。  
すると、巴の口が義仲のものから離れた。唾液の糸が男の先端と巴の口を繋ぐも、  
呆気なく切れた。義仲のものは巴の温かい唾液に塗れ、その先端には、先走った  
微かな汁が、女の唾液と混じってこびり付いている。  
心地よい行為を中断され、義仲は正直面白くなかった。その気持ちを包み隠す事無く、  
巴に向かって不機嫌な顔を見せる。だが…  
 「殿……私がこのようなふしだらな事をできるのも、殿がとても愛しいからでございます。  
殿のような勇ましい方が、私のたった一人の夫であるからこそ、私もこの身の全てを、  
その心も、全てを殿に捧げる事ができるのです。  
もし、私の夫となる者が、どこの馬の骨かわからぬ有象無象か、つまらぬ小物ならば、  
どんなに求められても、殿のように、この身を捧げてまで愛する事などできません」  
 「……ふっ、本当にお前は愛い奴じゃ。俺も、お前のような強さと愛しさを併せ持つ女を  
妻として娶ったことを、幸せに思うぞ」  
 頬を赤らめながら、真っ直ぐに自分を見つめる巴の献身的な言葉に、  
義仲は先程までの不機嫌な態度を忘れて、笑みを浮かべながら、巴の顎をその手で引いた。  
それが何を意味するのか咄嗟に理解できたのか、巴は唇と瞼を閉じた。  
 
 義仲は巴と接吻する。2,3回接吻をした後、半開きになった巴の口の中に、  
自分の舌を潜り込ませた。  
 「んく…んく……!!」  
 口の中を愛撫される巴の口から、小さなうめき声が漏れる。舌と舌が絡み合う音、唾液が  
交じり合う音が聞こえてくる。舌同士の濃厚な絡み合いは1分近く続いた。  
名残惜しそうに、義仲の舌が巴の口の中から去っていく。  
二人を結ぶ唾液の糸が切れると、義仲は巴に言った。  
 「上の口は中々上手かったぞ。今度は、下の口を味わいたいが」  
 義仲の言葉に、巴は着ていた服を全て脱ぐと、暗闇の中、一糸纏わぬ肢体を義仲に見せる。  
そして、脱ぎ捨てられた服の上に仰向けになる。  
義仲は巴の片足を上げると、顔を覗かせてきた巴の壷に、己が顔を近付ける。  
歳の割にはうっすらした茂みが、巴の壷を頼りなげに守っている。  
馬に跨り、男顔負けに幾多の猛戦を繰り広げたせいか、本来、もっと豊かであった茂みが  
寂れていったとも言われるが、これは定かではないし、本筋からは大いに逸れる事かもしれない。  
 しかし、義仲にとっては、そんな事などどうでも良い。彼の舌が、巴の壷をなぞり始めた。  
 
 ペチャペチャ…  
 
 「あぁ……ぅあ……!!」  
 
 舌なめずりの音が下の方から聞こえてくると、巴は下に敷いてある服の布を握り締めながら、  
身を震わせていた。義仲が壷を舐める度に、巴の体を痺れが襲う。  
だがそれは、忌まわしい苦痛ではなく、歓喜を伴っていた。  
しばらくすると、巴の壷を舐めていた義仲の舌が、何かを捉えた。ようやく顔を離すと、  
壷の中から蜜が零れてきた。蜜は瞬く間に、巴の下の口を濡らす。  
 「巴、お前の下の口が、お腹を空かせてよだれを垂らしておるぞ」  
 わざと意地悪っぽく義仲に、巴は上気だった表情を見せたまま、義仲を虚ろに見つめている。  
 「お願いです。もう、我慢できません。殿の…殿の熱い高ぶりを、私の中に……」  
 仰向けのまま、何もできない状態で、巴は自分を見下ろす義仲に懇願する。  
義仲はニヤリと笑うと、固くそそり立っている自分のもので、先程まで自分の舌で濡らした  
巴の蜜壷をなぞる。  
 「あぁぁ……」  
 義仲のものが、自分の大事なところをなぞるだけで、巴は歓喜に喘ぐ。  
義仲は自分のもので巴の蜜壷の状況を調べると、その先端を、ゆっくりと巴の中に入れた。  
 
 ズヌ、ブ……  
 
 「ぅ、あ……」  
 義仲のものが入る鈍い感触に、巴は声を漏らした。義仲のものが、どんどんと奥に入る。  
 「あぁぁ……!」  
 そうすると、巴もまた声を上げる。  
 「大丈夫のようだな…」  
 義仲はそう言うと、半分くらいまで入った自分のものを、全て、巴の奥へと一気に突っ込ませた。  
 
 ズブ……!!  
 
 「く、あぁぁぁぁぁぁんっ!!」  
 義仲のものが突進した瞬間、巴はありったけの声を上げた。間も無く、ハァハァと息を荒げて、  
義仲を見上げる。  
 「木曾を発って幾ヶ月…久しく抱かれず、火照り続けたこの体が、  
再び殿の熱いものを受け止めて……巴、これ以上の幸せはございません……!」  
 今にも泣きそうな顔を見せながら、巴は義仲に感激の言葉を伝える。  
 「お前は本当に最高の女じゃ。今まで抱けなかった分、激しくいくぞ!」  
 「はい。私も、殿の熱いたぎりを全て…あぁぁんっ!!」  
 巴が言い終わらない内に、義仲は律動を始めた。巴の中で、義仲の怒張は前後に  
ゆっくりと動くが、それは巴に言葉に言い表せぬ刺激を与える。  
 「あぁっ、あぁぁんっ!!……す、すごい……!!」  
 暗闇の中で巴が声を上げる。ゆっくりとした律動は、徐々にスピードを増し、  
二人が繋がっているところから、パンパンと肉のぶつかる音が響いてきた。  
 「あ!く…ぁ……!!」  
 容赦無い義仲の動きに、巴は声を上げる事すらままならくなっていく。  
義仲もまた、何も言わず、巴の中で自分のものを激しく突き上げる。巴の中の肉が、  
限界までに固くなった義仲のものを力一杯に締め付け、えもいわれぬ刺激を与えているからだ。  
 
 仰向けになっていた巴が、体勢を変えて、四つんばいになっていた。  
四つんばいの巴の背後から、義仲は引き続き、自分のものを巴の中で突き動かす。  
義仲はその大きな体を巴御前の背中に乗っけると、両手で、巴の両方の胸を揉みしだいていく。  
柔らかい胸の感触、自分の指でコロコロと転がる頂の固さを、下の感触と共に味わう。  
 「あぁ……殿の温かい感触が……我が身の隅々を舐め回しております……」  
 義仲の愛撫に、巴はか細い声を出す。  
 「く……名残惜しいが、そろそろ終わりが来たようじゃ……!」  
 そう言う義仲の中で、射精感がこみ上げてきた。久々に巴の中に自分のものを突っ込ませた時から、  
実は既に、いつでも己が精を吐き出せる状態にあったが、巴のその肢体を存分に味わいたくて、  
今まで我慢し続けてきたのだ。  
 「来て…来て下さいませ……殿の熱いたぎりを……私の中に……巴の中に……  
存分に注いで下され……!」  
 巴がそう応えると、最後の仕上げとばかりに、今まで以上に激しく腰を動かす。  
 「あぁぁぁんっ!殿、殿……何と凄い…何とたくましい御方……!」  
 「く……巴…覚悟せいっ…そろそろ……そろそろいくぞ……!!」  
 「あぁぁ……殿…殿……私も…私も……もう……!!」  
 「うぉぉぉ……うぉぉぉぉぉっ!!」  
 
 ドブ、ドプ……!!  
 
 獣の如き唸り声を上げた瞬間、今まで、抑えに抑え付けていた義仲の精が暴発し、  
巴の中に一斉に注がれた。  
 「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……いくぅ……!!」  
 同時に、巴も長い髪を振り乱しながら絶頂の声を上げた。そしてそのまま、  
ぐったりとうつ伏せになって倒れる。  
 
 義仲の腰の震えが収まった。情欲のたぎりを全て吐き尽くしたのだろう。  
巴の中の肉に咥えられていた自分のものを、巴の中からゆっくりと引っこ抜く。  
すると、引っこ抜かれたところから、ドロっとした液が漏れてきた。  
ぐったりしながら、ハァハァと息をする巴の腿を、義仲の情欲の液が伝う。  
 
 営みが終わってから10分くらい経った頃、巴の耳に、鎧を纏う音が聞こえてきた。  
ぼぅっとした表情で、脱ぎ捨てられた服を纏い振り返ると、義仲が鎧を着ていた。  
 「これから見回りに行く。もしかしたら、平家の奴らが夜襲を仕掛けてくるかもしれん」  
 「私も参ります」  
 「いや、そちはそこで休んでおれ。大分、精魂を使い果たしたようだが…」  
 「これしきの事、どうという事でもありますまい。それに、殿が敵の夜襲に備えておると言うのに、  
この巴が情欲の契りで動けぬとあれば、兵たちに笑われます」  
 そう言いながら、巴は覚束ない足取りで立ち、力の入らない手を動かしながら、  
自分も鎧兜を纏い始めた。  
 「はは……流石、俺の妻だけの事はある」  
 笑いながら巴に近付くと、義仲は鎧を纏った巴と再び濃厚な口付けを交わした。  
間も無く、見回りに出るべく、共に本堂から姿を現した。  
 
 
 「皆の者!目指す京の都は、もう目の前ぞ!天下は我らのものも同然じゃ!」  
 「だが、油断はできん!邪魔立てする者あらば、全て斬り捨ていっ!!」  
 翌朝、義仲に続き、武者姿の巴御前が兵たちに訓告すると、  
兵たちは"おー!!"と掛け声を上げた。淫らに愛欲を貪る女から、  
数多の男どもに引けを取らぬ勇ましい女武者に、また戻ったのだ。  
 白旗が翻る中、義仲軍は京への道を、一歩、また一歩と進む。  
 

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