・甘々です。  
・竹村よしひこ氏の漫画「魔幻型発見マル秘物語」の後日談。  
・一本釣とオアシスは「喧嘩するほど仲が良い」関係。  
・オアシスとアリババがヘブンシティの病院に入院中。  
・幻神たちは皆、実体。  
・神帝たちはヘッドバージョン。  
・次界とヘブンシティと天聖界は飛行機(のような乗り物)で行き来できる。  
 
以上のことを前提として、お読みください。  
 
 
 
◇◇◇  
 
 
 「退院、明後日だって?良かったな、オアシス」  
 「うん……」  
 ここはヘブンシティにある病院の、屋上。  
 院内と屋上をつなぐ扉のすぐ近くに置かれたベンチに、二人の女の子天使が座って  
話をしていた。  
 白いワンピース風の寝巻きの上に浅葱色のショールを羽織っているのが、オアシス幻神。  
魔幻型発見の際、パートナーの一本釣神帝をかばって怪我をした彼女は、しばらくの間この病院に  
入院していた。  
 ここに運び込まれた当初は体中、包帯だらけで、洗面所に行くのも一苦労という状態だったが、  
退院を間近に控えた今は、左腕と右足に少しの包帯と、右頬に小さな絆創膏を残すのみである。  
屋上までの階段も、介助なしで上れるほどになっていた。  
 もう一人の菫色の髪の天使はレスQ幻神。オアシスの入院中、頻繁にやってきてはリハビリを  
手伝ったり着替えを持ってきたり、何かと世話を焼いてくれた。  
 「なんだ、嬉しくないのか?」  
 浮かない顔のオアシスに、レスQが不思議そうに聞いた。  
 「……あいつ、来なかったなーって思って」  
 「あいつって……ああ、一本釣か?」  
 所狭しと干された、洗い立てのシーツに午後の陽射しが反射する。  
その光に目を細めながら、こくりと、オアシスは無言で頷いた。  
 オアシスの入院中、レスQの他にも、オーロラや如面などの幻神仲間は何度か足を運んでくれた。  
 アーチ天使同士として顔なじみの明星クィーンも、同じくこの病院で療養中のアリババ神帝を  
見舞うついでに、よく顔を見せに来る。  
 また、故郷のお守り・みぞ堀一兵も、オアシスが入院したとの知らせを受け取るとすぐさま、  
見舞いに駆けつけてくれた。  
 それなのに。一番来てほしい人物は、未だ姿を見せていないのだった。  
 「忙しいんだろ、色々とさ」  
 それくらいは、わかっている。  
 次界に辿り着いたとはいえ、悪魔との戦いは未だ収まる気配はない。また、次動ネブラの復興と  
ともに聖フラダイスという大都市の建設も行われているというし、神帝たちが忙しいであろうことは、  
オアシスも承知の上だ。  
 しかし。  
 「……それならそれで、手紙の一枚でも寄越してくれたっていいじゃない」  
 それすら出来ないほど忙しいというわけではないことは、レスQが自分の恋人から週に一度はもらう  
手紙が、証明している。  
 「だよなぁ」  
 「私って……あいつにとって、その程度の存在だったのかしら……」  
 はあ……。  
 オアシスが、病室から持ってきていたクッションを両手で弄びながら溜息をついたとき。  
 院内に続く扉の方から、ガヤガヤと騒がしい声と階段を上がる足音が聞こえてきた。  
 
 そして。  
 勢いよく扉が開かれ、  
 「よう!」  
 そこに立っていたのは、オアシスが長い間待っていた人物であった。  
 ただし、別れたときの少年の姿ではなく、がっしりとした体格の逞しい青年になっていた。  
 
 「病室にいないからびっくりしたぜ。海母精に聞いたら、多分ここだろうって……」  
 「もーっ!信じられない!!なんで今頃来るわけ!?」  
 オアシス幻神は立ち上がって、クッションを大きく振り上げたかと思うと、こちらへ近づこうとして  
いた聖界一本釣に向かって投げつけた。  
 「うわっ!」  
 「へっ!?」  
 一本釣がすんでのところで避けると、クッションはすぐ後ろに立っていたヤマト爆神の顔にぶつかり、  
床に落ちた。  
 やれやれといった表情で一本釣はクッションを拾い上げ、軽く埃を払う。それから、ずかずかと  
オアシスに歩み寄り、持ってきた花束と一緒に、彼女に押し付けた。  
 「仕方ないだろ。こっちは色々と忙しいんだ、わがまま言うなよ」  
 「わ、わがままですって!?」  
 綺麗な花に一瞬、顔をほころばせたオアシスだったが、彼の言葉に再び顔を歪ませた。  
 「ひどーい!命の恩人に向かって、よくそんなこと言えるわね!」  
 「お前こそ、せっかく見舞いに来てやったのに、物を投げつけるなんてひどいじゃないか!」  
 「ふんだ、お見舞いのつもりなら、もう少し早く来なさいよ!」  
 「なんだと!?」  
 「なによー!?」  
 
 「あーあ……また始まったよ」  
 扉の外で、聖幻ピーターは溜息をついた。  
 「あいつら、よく飽きないなー」  
 聖遊男ジャックも、呆れたような声を出す。  
 「つきあってられないよ、まったく……。なあ、僕たちは先にアリババのところに行ってようよ」  
 痴話喧嘩のとばっちりを受けたヤマト爆神の提案に、反対する者はいなかった。  
 
 「おーい、一本釣!」  
 ピーターは扉の前から、一本釣に声を掛けた。  
 「ん?」  
 「僕たち、先にアリババの病室に行ってるからな。君は後から来いよ」  
 「ああ、わかった」  
 仲間たちはぞろぞろと階段を下り、院内に戻っていく。  
 彼らに軽く手を振って、オアシスの方を振り向いた一本釣の顔に、先程渡した花束が投げつけられた。  
 今度は、避けられなかった。  
 「わっ!?」  
 「なによ、なによ!!私が入院してからどれくらい経つと思ってるの!?もう明後日には退院なのよ!  
 それなのに連絡一つ寄越さないで、退院間際にやっとお見舞いに来たと思ったら、なぁに、  
 アリババ神帝のついでなの!?もう、いや!一本釣なんて……一本釣なんて、大ッ嫌い!帰って!  
 さっさとアリババの所でもどこでも行けばいいでしょ!!」  
 オアシスはそう叫ぶとクッションを抱えたまま走り出し、風にはためくシーツの群れの向こうに姿を消した。  
 「な、なんだよ、訳わかんねー……」  
 「ちょっと、一本釣」  
 それまで黙って見ていたレスQ幻神が、一本釣を険しい目付きで睨んだ。  
 「お前なぁ、もう少し気を遣ってやってくれよ。相手は怪我人だぜ?女の子だぜ?」  
 決して大声ではなかったが、強い調子でレスQは一本釣を責めた。  
 「故郷から離れた、見知らぬ土地の病院に長い間いたんだ。寂しかったに決まってるじゃないか。  
 俺やオーロラじゃだめなんだ、お前に一番会いにきてほしかったんだ」  
 その言葉に、一本釣はハッとする。  
 アーチ天使として、生まれ故郷から外に出たことのないオアシス。そんな、外の世界をろくに知らない  
彼女が何のために次界まで駆けつけ、大怪我をしたのか―――。そう、他でもない自分のためではないか。  
 「……すまん」  
 「俺に謝ったってしょうがないだろ」  
 もう一回、行ってこい、とレスQはオアシスが駆けていった方を指した。  
 
 一本釣が三枚ほどシーツの下をくぐったとき、ようやくオアシスの後ろ姿が目に入った。  
 彼女は手すりのそばのベンチに腰掛け、俯いていた。その肩が、かすかに震えている。  
 「オアシス……?」  
 近づくと、小さくしゃくりあげる声が聞こえてきた。  
 彼女の隣に座り、くしゃくしゃになってしまった花束を、とりあえず自分の足元に置く。  
それから、オアシスの頭をそっと撫でた。  
 「ごめん、オアシス」  
 答えはなかった。  
 「お前が病院に運ばれる時にさ。俺がスーパーゼウス様にもらった勲章をやるって言ったら、  
 お前がいきなり怒り出して、また喧嘩になったろ?正直その後、見舞いに行きたいなんて皆に言い出し  
 づらくてさ。喧嘩するだけの元気があったんだから大丈夫なんて、自分に言い聞かせて、ごまかしてた。  
 手紙も、そう。お前に出したと知れたら、からかわれるんじゃないか、とか思って、避けてきた」  
 「……そんなの、言い訳よ」  
 ぽそりと、オアシスが俯いたまま小さく呟いた。  
 「ああ。間違いだった。今日だって、やっと皆の都合がついてアリババの見舞いに行こうって  
 話になって、そしたらフッドとピーターが、オアシスんとこにも顔出そうって言ってくれて。ヤマトや  
 男ジャックはからかいやがったけど、やっとお前に会えると思ったら、そんなの全然気にならなかったんだ。  
 だからもっと早くに、見舞いに行くか手紙を出すかするべきだった。本当にごめん。でも、ずっと気には  
 なってた。心配してた」  
 「……ほんとに?」  
 「本当だよ」  
 「……そんなこと急に言われたって、信じられないわよ」  
 相変わらず彼女の視線は一本釣の方に向けられない。   
 「じゃあ、証拠を見せてやるから、顔上げて、こっち見ろよ」  
 まだ不満気な表情を保ったまま、それでもゆっくりとした動きで顔を上げ、ようやく一本釣と向かい合う。  
 「……証拠って?」  
 「これさ」  
 言うなり、一本釣はオアシスの頬に口付けた。  
 「ひゃっ!」  
 オアシスは驚いて、思わず後ずさる。だがここは狭いベンチの上。彼女はあっという間にバランスを崩し、  
ベンチから転げ落ちた。  
 「いったーーーい!」  
 「お、おい、大丈夫か!?」  
 一本釣は素早くオアシスを抱き上げ、再度ベンチに座らせる。  
 「頭とか腰とか、打ったか?どっかひねったりしなかったか?」  
 「だ、大丈夫、尻餅ついただけみたい」  
 ほーっと、一本釣は安堵の溜息をついて、自分も隣に座り直した。  
 「ったく、びっくりさせんなよ……」  
 「びっくりしたのはこっちよ!いきなり、キス……するなんて……」  
 「だって、お前が証拠見せろって言うから」  
 「い、言ってないわよ!っていうか、キスが何の証拠なの!?」  
 「俺が、お前のこと大事に思ってるって証拠」  
 「……………ッッ!?」  
 オアシスが頬を真っ赤に染めると同時に、一本釣も耳まで赤くなった。さすがに自分でも恥ずかしく  
なったのだろう。だが、彼女を見つめる彼の瞳に、嘘は感じられなかった。  
 「じゃあ、じゃあ……もう一回、してくれたら……信じてあげる。ほっぺじゃなくて……ここに、よ」  
 オアシスは人差し指で、自分の唇を指し示した。  
 
 一本釣の大きな両手がオアシスの頬を包み込む。顔と顔、唇と唇がだんだんと近付いて―――。  
 くちゅり。  
 水音が響いた。  
 「ん……っ」  
 舌で軽く突付くと、彼女の歯は驚くほどあっさりと一本釣の侵入を許した。  
 「んん……っ、ん……」  
 オアシスが全く抵抗しないのをいいことに、一本釣は夢中で彼女の舌を弄んだ。混ざり合った二人の  
唾液が溢れ出て、顎や首筋を濡らすが気にならない。むしろそのくすぐったさも、今の彼には欲が  
増すだけの媚薬であった。  
 「オアシス……」  
 彼女の頬から手を離し、肩を撫でる。今までのように硬い金属の手触りではなく本物の、やわらかな  
オアシスの体に久しぶりに触れられることが、嬉しかった。寝巻きの上からなのが残念などと思いつつ、  
ふにふにとした二の腕、引き締まった腰へと順繰りに手を移動させていく。  
 「ちょっ……、え、待って、一本釣……!」  
 彼の手の動きに気付き、オアシスは慌てて一本釣の体を押し戻した。  
 「ん?どうした?」  
 「ど、どうしたじゃないわよ!」  
 口元を手で拭いつつ、周りをきょろきょろと見回す。  
 「こんな……ところで……?こんなところで、する……つもりなの……?」  
 「できなくは、ないだろ」  
 さらりと言ってのける一本釣に、オアシスは一層困惑する。  
 「だ、だって、レスQが……」  
 「アリババの病室に行ったよ」  
 「でも、誰か来るかもしれないし……」  
 「シーツの取り込みの時間まで、あとどれくらいあるんだ?」  
 「え!?……えっと、あと2時間くらい……かな」  
 急な質問の意図がわからず、口ごもりながらオアシスは答えた。  
 「なら、余裕だな。シーツを干してる間は屋上は立入禁止なんだろ。なのにお前がちょくちょく出てくから  
 困ったもんだって、海母精が言ってたぜ」  
 「でも……、でも……!」  
 実を言うと、一本釣は元々はここで押し倒そうなどと思っていたわけではなかった。ただもう少し、  
オアシスのやわらかい感触を堪能できれば良かっただけであり、彼女の早合点だったわけである。  
 しかし、顔を真っ赤に染めておろおろするその姿は、普段の勝気で溌剌とした彼女からは全く想像できない。  
それが一本釣を心地よく刺激して、ついその気になってしまったのだった。  
 一本釣の開いた両手から、さらさらと水が流れ出す。薄く薄く広がったそれは小さな天幕のようになり、  
ベンチに座る二人を覆った。  
 「結界、張ったから。もし誰か来ても、俺たちの姿は見えないし、声も聞こえない。これなら、いいだろ?」  
 「…………でも……」  
 「今、ここでしたいんだ。……頼むよ、オアシス」  
 もう一度オアシスを抱き寄せ、耳元で囁く。耳に暖かな呼気を感じて、彼女は肩をふるわせた。  
 「……った」  
 「ん?なんだって?」  
 「……わかった……から……っ!耳……だめ……」  
 一本釣は満足そうな表情でオアシスの頬にまた口付けた。  
 
 肩にかかる彼女の金髪を掻き分けて、寝巻きのボタンを一本釣がひとつひとつ外していく。  
 布地の間から、綺麗な曲線の、白い双丘が見え始めた。  
 「オアシス……下着、は?」  
 はっと、オアシスが息を呑む。  
 「ち、違うから!違うからね!今日は午後イチに診察があって、レントゲン撮って、そのとき  
 パンツ以外は脱いだまんまで……。今日はもうレスQしか来ないと思ってたから、それで……」  
 「そりゃいいや。脱がす手間が省けた」  
 落ち着かせるように、一本釣は彼女の頭を撫でる。  
 「……ちゃんと前もって連絡してくれたら、寝巻きだってパンツだって、もっと可愛いのにしたのに……」  
 「今度からはそうする。……ほら、ここに座れよ」  
 寝巻きの前面をはだけさせたオアシスは、言われるまま、彼の開いた両足の間にちょこんと座った。  
 「なんだか、子供みたい。……ちょっと、恥ずかしいな」  
 「何言ってんだ、子供だったらこんなにおっぱいデッカくないだろ」  
 一本釣はニッと笑い、後ろから手をまわして彼女の豊かな乳房をむんずとつかんだ。  
 「ひゃうっ!」  
 わずかに、オアシスの体が強張る。だが、抵抗する様子はなかった。  
 「……もうっ!一本釣こそ……何、言ってんのよぉ……っ!」  
 「ははは、悪い悪い。それにしても、あー……やわらかいな……」  
 軽く触れただけで、優しく押し戻される自分の手。  
 指の間からこぼれ落ちてしまうのではないかと思うくらい、柔らかく滑らかな手触り。  
 ぷにぷにという音が聞こえるかのような錯覚。  
 それがおもしろくて、いつの間にか懸命に彼女の乳房を揉みしだいていた。  
 「……ぁ……一本釣……」  
 オアシスはとろんとした目で一本釣にもたれかかっていたが、  
 「ん、ん……っ!」  
 頂上の突起を一本釣の掌が押し潰すたびに、少しだけ大きく、声をあげた。  
 「ん……?これか?」  
 両手の人差し指と親指で、その薄桃色の突起を摘む。  
 「や……っ、だめぇ……」  
 そのまま中指も加え、三本の指の中で突起をころころと転がすようにしてやる。  
 「い……っ!あ、んんっ……一本釣ぃ……っ」  
 「おもしれー、ここだけ少し、かたいんだ」  
 「ひあぁ……っ!ば、か……ぁっ、あ、あぁ、あ……っ」  
 
 時々、頬や首筋に舌を這わせ、彼女の喘ぎ声だけに集中しながら、思う存分オアシスの  
胸を弄んだあと、一本釣はゆっくりと片手を下ろし、彼女の下着の中に突っ込んだ。  
 僅かに湿り気を帯びた布の中を、薄く柔らかな茂みを撫でつけるようにして進んでいくと、  
やがてぬるりとした感触の、あたたかい部分に指先が触れた。  
 「あ……そこは……っ」  
 オアシスは一本釣の腕を掴み、止めようとした。が、その両手は彼のもう片方の手で、あっさりと  
絡め取られてしまう。  
 一本釣が指を中に挿し入れると同時に、かすかな水音が聞こえた。  
 「やあぁ……っ、あ、だめ、だめぇ……っ!」  
 既に、彼女の中は蜜が溢れそうなほどに満ちていた。  
 「オアシス……すごい、ぐっちゃぐちゃになってる」  
 「ばかぁ……っ、そんなこと、言わないでよ……」  
 何度か抜き差ししただけで、蜜はあっという間に溢れ出し、一本釣の手を濡らした。  
 「ひ……っ!いっ……あぁ……」  
 オアシスは、未知の感覚に震え、喘ぐことしかできないでいた。  
 自分で弄ったことが、ないわけではない。ただ、自分の細い指と、一本釣の逞しく大きな指とでは  
余りにも違い過ぎた。こんなに力強く、けれど優しく。そして奥まで彼に触れられている。  
 恥ずかしくて、嬉しくて、気持ちよかった。  
 だからだろうか。  
 はじめはかすかだった水音が、徐々に大きく、淫猥になっていく。  
 「あぁ、あっ……やぁあ、ああぁ……っ!」  
 中で動かしているうちに、触れると他とは反応の違う部分があるのに、一本釣は気が付いた。  
 ―――胸も、こっちも、同じなんだな……。  
 “そこ”に狙いを定めて更に弄る。  
 「やっ!あぁ……っ!なん……で……っ、そこ、ばっかりいぃぃ……っ!!」  
 「だって、ここが気持ちいいんだろ?」  
 「そ……だけ、ど……っ!ふぁあ、あ、あっ!も、だめ……っ、あああぁぁんっ!!」  
 びくびくと大きく震えたかと思うと、一本釣の手の中に新たな蜜が、とぷりと注がれた。   
 
 「ずるい……一本釣ばっかり……ぃっ」  
 手についた彼女の白液を満足そうに舐めていると、オアシスがおもむろに振り向いて、  
一本釣の顔をじっと見つめた。  
 「ずるい?」  
 「そうよ、一本釣ばっかり楽しんで、ずるいじゃない。私にも……やらせなさいよ」  
 「……何を?」  
 「そのっ……胸、とか……いじるの……」  
 きっと睨むような目つきで、けれど少し潤んだ目の彼女に見つめられ、一本釣は体温が一気に上昇する。  
そして、下半身にその熱が集中していくのを感じた。  
 「うはっ……!オアシス、やばいってソレ……」  
 「だめなの?」  
 「だめっていうか……いや、やっぱだめだな」  
 彼女の喘ぐ声や、体から伝わる振動で、もう充分に興奮しきっているというのに、今そんなことを  
されたら、とてもじゃないが我慢できない。  
 女の子からしてもらうのは、男にとって嬉しいことには違いない。  
 だが今は、彼女の中以外で達してしまうことは、もったいないというか、とにかく、避けたかった。   
 「悪いけど、それはまた今度な」  
 「え……、きゃっ!」  
 言い返されないうちに、一本釣はオアシスの肩を抱いて立たせ、ぐっしょりと濡れた彼女の下着を取り去る。  
 「もう、我慢できそうにないんだ」  
 そして、自分も腰布と下着を外した。  
 
◇◇◇  
 
 「い、一本釣、それ、って……っ」  
 既に限界な程に硬くなり、怒張している一本釣のモノに目をやったオアシスは、愕然とする。  
 「この前見たときより、すっごく、大きい……っ」  
 「あ、あれと比べんな!あん時ゃ、まだガキだったし、水に落ちた後だったし……。  
 とにかくさ、そろそろ、オアシスの中に入れさせてくれよ、な?」  
 一本釣は正面から彼女の腰を抱え、座った自分の上に引き寄せた。  
 「え……っ、待って、待って!そんな大っきいの、入るわけな……」  
 オアシスの柔らかい入口に自分の先端が触れたのを確かめると、彼女の制止の声にも構わずに、  
腰を抱えた腕に力を込める。  
 
 
 「ひ、ゃあああぁぁ……っ!!」  
 僅かばかり入ったところで、動きが塞き止められる感じがした。  
 「あ、だ……めぇ……っ、だめぇぇっ!!」  
 まだほんの少ししか入れてないというのに、ベンチの上に乗せられたオアシスの膝はがくがくと震えている。  
 充分にほぐしたと思ったのに、どうしてこんなにきついのだろう、一本釣には不思議で仕方がなかった。  
 ―――こんなんじゃだめだ、もっと奥まで……!  
 彼女も辛いだろうが、それよりも今は、全てを彼女の中に埋めたくて。一本釣は心の中でうっすらと  
罪悪感を感じながらも、先を拓くために力を込めなおした。  
 「い、た……っ、痛い、一本釣……っ!!」  
 オアシスは耐え切れなくなったのか、悲痛な声をあげて体を震わせる。顔中を朱に染め、堰を切った  
ように、ぽろぽろと涙が溢れ出て、止まらない。  
 「悪い……もう少し、だから……っ」  
 「ふぁ……あっ……!あぁ、あ……っ」  
 
 壁を越えた、気がした。  
 「あっ……んああぁぁっ!!!」  
 つい、そのまま一気に奥まで突き上げた。彼女の一番奥、先ほど指で触れた部分に、今度は自身の  
先端が辿り着いたのが、分かった。  
 「……入っ……た……っ」  
 「や……は……っ、あぅ……」  
 目を潤ませたオアシスが、何か言おうとして口を開くが、上手く言葉に出来ないようだった。  
 「オアシス……大丈夫か?」  
 「…………っあ……」  
 左手で頬を包み込み、目を見つめると、言葉を紡ぐのは諦めたように、こくこくと頷くオアシス。  
 一本釣は彼女の背と腰をしっかりと抱きしめた。応えるように、オアシスも彼の背に腕を回す。  
 
 ゆっくりと、彼女の体を持ち上げ、そしてまたゆっくりと、下ろす。それをニ、三度、繰り返した。  
 「ああぁぁ……っ、一本釣ぃ……っ」  
 「オアシス……あったかいよ、オアシスの、中……っ」  
 「んぁぁ……っ!!あっ、い、一本釣……の、も、熱いいぃぃっ……!」  
 「まだ……痛いか?」  
 これ以上激しく動いても良いものか、不安だった。  
 「ん……痛い、けど……」  
 「けど?」  
 「…………少し……気持ちよく、なってきた……から、我慢する……」  
 「オアシス……ッ!!」  
 ああ、もう、抑えてなどいられない。どうして彼女の何もかもが、こんなにも愛しいのだろう。  
 「あ、や……っ、一本釣……っ!?ひぁああああんっ!!」  
 今ので完璧に頭に血が上ってしまった一本釣は、オアシスを強く抱きしめたまま激しく何度も突き上げた。  
 「オアシス、オアシス……ッ!俺の……オアシス……」  
 「やっ、熱い……熱いよおぉぉっ!一本釣……わた、わたしっ……!もぉ、だめぇ……っ」  
 「俺……も……っ」  
 「あ……っ、ひぁっ!あああああぁぁぁぁっ!!」  
 「オア……シス……!!」  
 全身をわななかせて絶頂を迎えたオアシスの中に、一本釣も同じように震えて、どくどくと自分を  
大量に注ぎ込んだ。  
 繋がり合った部分から自分の精と彼女の蜜、そして破瓜の証が混ざり合ったものが溢れ出る。  
二人の足を伝って滴り落ちたそれらは、ほどなく水の幕に吸い込まれていった。  
 
 
 「……大丈夫、か?」  
 事が済んでしばらくしても、オアシスは少し呆けたような様子でいた。ひょっとして乱暴にし過ぎたのかと、不安になる。  
 「あ……うん……もう、平気」  
 一本釣の膝の上で、ゆっくりと呼吸を整えながらオアシスは答えた。  
 「でも、もう少し、こうしててもいい?」  
 うっとりとした表情で、彼の肩にしがみつく。  
 「ああ」  
 一本釣は、オアシスの頭をくしゃくしゃと撫でた。指に絡む柔らかい髪の感触が、心地良い。  
 「なあ、オアシス。お前、退院したら天聖界に帰るのか?」  
 「うん。村の皆も心配してるだろうし、まだ理力が回復しきってないから」  
 「そうか」  
 そこで、一本釣は一呼吸置いた。少し考え込み、やがて決心したように口を開く。  
 「あのさ。次界に来ないか?聖フラダイスに」  
 「え……」  
 思いもよらない申し出に、オアシスは目を丸くする。  
 「もちろん、怪我と理力が全快してからの話だし、都市建設の手伝いがイヤじゃなければ、だけどな」  
 「イヤじゃないけど……でも、私なんかが行っても、いいの?」  
 「人手は多い方がいいに決まってる。いずれ大々的に移民を募集するつもりだし、……何より、俺が嬉しい」  
 彼の素直な物言いに、オアシスは思わず赤面する。元より、思ったことをすぐ口に出す性格の彼であった。  
それに加え、先程、自分の思いを全て吐き出したせいか、もう変な意地を張る気は全くなくなったようだ。  
 
 「う、うん……。考えとく」  
 そう答えるのが、精一杯だった。  
 「ああ、考えといてくれ」  
 頬を染めてうつむく彼女の頭を、一本釣はもう一度、撫でた。  
 
 「ところでさー、俺が勲章をやるって言った時、何であんなに怒ったんだ?」  
 「呆れた!まだわかってなかったの!?」  
 急にいつもの調子に戻った一本釣に、オアシスはくすくすと笑い出す。  
 「体は大きくなったくせに、中身はちっとも変わってないじゃないの。……なんだか安心しちゃった」  
 「なんだよ、教えろよ」  
 「やぁよ、内緒。恥ずかしいもん」  
 「ほーぅ?オアシスはまだ、恥ずかしい目に合い足りない、と」  
 一本釣の手が、またオアシスの胸を鷲掴みにし、乱暴に揉みしだく。  
 「きゃぁっ!や……もぉっ、絶対、教えな……い、から……っ!」  
 オアシスがもがくと、一本釣の動きがぴたりと止まった。  
 「やべぇ、また勃ってきちまった……。な、もう一回、やっていいか?」  
 「………もうっ!最っ低!!」  
 
 ばちーーーん!!!  
 
 彼女の右手が、一本釣の頬にヒットした。  
 同時に水の結界が解け、一本釣は頭から水をかぶってずぶ濡れになる。  
 「ぶはっ!なんだぁ!?俺まだ結界、解いてねーぞ!?」  
 彼が驚いている隙に、同じようにびしょ濡れになったオアシスは腕の中からするりと抜け出す。  
 「水を操るのはあなただけの専売特許じゃないってことよ。しばらくそこで頭を冷やしなさいっ!」  
 そう言うと、寝巻きのボタンをしめ直しつつ、すたすたと歩き出した。  
 「お、おい、待てよ!悪かった、ごめん!」  
 一本釣も慌てて着衣を正すと、後を追う。  
 「もう、知らない!」  
 「ごめんってば!!」  
 「知らないったら、知らない!!」  
 
 
 ――― ヘブンシティは、今日も平和である。  
 
 《END》  
 

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