ALL FIRED UP  
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ぼくの昔を教えてくれ。  
 
宙空にたたずむ女。  
紅蓮の長い髪が陽炎のように揺れている。  
 
「ちょうど良かった。」  
一歩進み出て、至近距離で見つめる。  
紅い唇に口づけた。  
 
けれど、眉ひとつ動かさない。  
情熱的な外見とはうらはらに、氷のような眼差しの女。  
 
(いつも笑顔だった彼とはずいぶん違う。)  
「私も知りたいことがあってな」  
もう一度、唇の柔らかさを確かめるように、唇を重ねた。  
 
 
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ここはハムラビシーゲル率いる悪魔軍の本拠地。  
彼が言うには、もうすぐ悪魔の王となるべき者が誕生するらしい。  
(もっとも、裏で糸を引いているのが誰かは、しらないが…。)  
どちらにしろ、来るべき決戦に備え、全軍準備をすすめている。  
その合間にも悪魔たちは興奮を押さえきれず、  
小さな天使の村を殲滅に行く者、つまらない小競り合いを起こす者、  
日夜仲間と宴を催す者、さまざまだ。  
 
(悪魔というのは、元気なものだな)  
自分の欲求に正直なのだ。  
とにかく騒いでいないと落ち着かない。  
彼らは生まれつき心の中に理由もない「焦り」と「恐れ」を持っていて、  
それらを「悦楽」でかき消そうとしている、  
……ようにも見受けられる。  
 
などと、悪魔について考察したりしながら、  
ハムラビの用意した、なかなか快適な一室の、  
なかなか快適なベッドで時間をつぶしていた。  
かくいう自分も、悪魔化の影響だろう。  
胸の内が少しざわざわとして、寝付けない。  
 
ごろごろするのも時間がもったいないので、  
散歩でもしようかと、窓の外を見たその時…  
 
彼女…「ヴァンプピーター」がそこにたたずんでいたのだった。  
 
 
 
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ベッドに腰かけさせ、甲冑を脱がしていく。  
見た目程には重くないのだが、とにかくトゲトゲのギラギラの、  
「いかにも」悪魔的、ヘビメタ的重厚感あふれる意匠。  
私も同じタイプの甲冑だが残念ながら趣味ではない。  
戦闘時以外はさっさと脱いで軽装になるが、彼女はいつも着けたままだ。  
あまり着るものには頓着しないほうなのか。  
 
ともあれ。複雑な留め具を順調に外していく。  
慣れたパズルのようものだ。  
当の女を見やると、興味無さげにそっぽを向いていた。  
いつだってこの調子なのだ。  
 
鎧は素肌の上に直接を着用しているようだ。  
その上、背中から脚の部分は露出が多い。  
それは単に敵の攻撃などくらわないという「自信」の現れなのだが  
後ろに控える諸悪魔の面々は、さぞかし目のやり場に困るだろう。  
鎧がヘビメタなだけに、柔らかそうな肌が一層艶かしく際立ってしまう。  
 
それだけではない。天使を凌ぐ美貌。しなやかな肢体。  
時折発せられる鈴の音のような声。  
欲望に正直な悪魔どもの事だ。彼女をどんな目で見ているか容易に想像がつく。  
だが、うっかり手を出そうものなら、その強さ。  
超高温の炎に焼き尽くされ、一瞬で消しクズになってしまうだろうことも、  
容易に想像がついてしまうのだ。  
(力の弱いものなら、炎髪の熱だけでやられるな。)  
極上の餌を眼前に、おあずけを食らっている犬コロのような悪魔たち。  
ああ、なんと哀れなことか。  
 
などと、男として心底同情しながら、パズルを解き進める。  
背中の紐をほどくと、胸部のパーツがはずれ、やわらかな胸が露になった。  
それまで圧迫されていた膨らみは、十分な重みを持っていて、  
甲冑部分が完全に外れると、たぷん、と揺れた。  
肌は透けるように白く、滑らかで、二つの突起は艶かしく色づいている。  
鼻腔を刺激する甘い甘い女の香り。  
 
「ほんとに女なんだな」  
くらりとして、思わず当たり前の事をつぶやいてしまった。  
 
いやいやいや、当たり前ではない。  
私にとっても、彼女にとっても。  
 
私の間の抜けた感想にも女は相変わらず返事をしない。  
どうでも良さげにそっぽを向いている。  
 
(触っても構わないのだろうか。)  
他の部分の甲冑はそのままで、白い乳房だけ露出して。  
こういう姿はひどくそそられる。おあずけ犬になる前にさっそく触ってみよう。  
丸い稜線にそって手のひらをそえてみた。やわらかい。  
指の腹に吸い付くような肌だ。押すとどこまでも沈んでいくが、  
力を緩めるともとの形に戻ろうとするほどよい弾力。  
普段甲冑に押さえつけられて窮屈だったろう。  
日頃の窮屈さをねぎらうように、もみほぐしてみる。  
(いつもお仕事お疲れさまです。)  
手に収まりがたい十分な大きさは心地よい重みをたたえて、  
両手にぴったりと吸い付き、動きに合わせて面白い程形をかえる。  
(これは……はまっちゃうかもしれない。)  
好奇心のわくまま、もみしだきつづける。  
 
尊敬と敬愛を持って縦横無尽に動かしていた親指の腹が、  
ふいに先端の突起に触れた。  
「……っ…」  
息を飲む音が、かすか聞こえた。  
目をやると、やはりそっぽを向いていて、表情は良くわからない。  
が、体は少しばかり緊張しているようだ。  
ああ、つい夢中になっていたから……。  
持ち主様を忘れていた。  
まったくけしからん乳である。  
 
気を取り直して、桜色の先端を指先でつまんでみる。  
「あっ…」  
声があがる。今度は確かに聞こえた。  
更に強くつまんで、指先でもてあそぶ。くりかえし。  
「……。ぅん…。」  
吐息の色が見える。  
声を我慢するタチらしい。プライドが高いのだろうか。  
まあ、そういうのも悪くない。かえって責めたくなるというもの。  
そうだ、舌も使ってみよう。  
片方を責め続けながら、もう片方のふくらみの円を描くように刺激する。  
「…っ…、…あっ…。ん…。」  
効いているようだ。  
「…はぁっ…。…やっ。」  
ふいに突起まで、つぅとなぞりあげる。  
「…あぁぁんっ!」  
なかなかかわいい声じゃないか。  
満足していた私を、女が見つめてきた。  
まっすぐな大きな瞳は涙で潤んでいて、切なげだ。  
ほほも上気している。  
 
むう。これは申し訳ない事をした。  
無感動な女だと思っていたが、どうもそうではないらしい。  
 
「ん?どうした?」  
わざと聞いてみる。  
女は、少し間を置いて(呼吸を整えようとしているのかもしれない)  
またそっぽを向いた。すかさず、先端をつまはじく。  
「ぅぁんっ…」  
体がはねた。だが、呼吸を整える暇は与えない。  
両手を両方の乳房に添えて、もみし抱きながら  
かわいい突起を口の中で転がす。  
 
ちゅく…ちゅくっ……ちゅる……  
「…ぁんっ…はぁっ…あぁん!」  
時折歯をたてたり、吸ったり。  
その度に女の声は甘い響きを持ち、呼吸は荒くなる。  
 
「ああっ……うん……はぁ…」  
「どうした、と聞いているんだ。…おっと。」  
たまらず胸を隠そうとした腕を絡めとって、自由を奪う。  
華奢な腕だ。  
「黙ってちゃ、わからないだろう?」  
耳元でささやく。  
顔を良く見たかった。  
苦しそうに眉根を寄せ、瞳を固くつぶっている。  
「どうした?」  
潤んだ瞳を、もう一度見たい。  
責めを少し休めると、従順にまぶたを上げた。  
濡れたまつげが小刻みに震えている。  
 
「……こんな感じ…………知らない……」  
 
戸惑いの色だ。  
いつもの冷めた色とは違う、熱を帯びた瞳。  
ぞくぞくする。背中の毛が逆立つような感触を憶えながら、  
深く口づける。  
最初のより随分とろみがついていた。  
 
ヴァンプは困惑している。  
無理もない。急に女性体になったのだから。  
男にはわからない快感に戸惑っているのだ。  
 
首筋に、肩に、背中に、指先に、触れられ、舌を這わせられる度、  
びくんびくんと反応する。  
吐息が漏れ、白い腹がうねる。  
「女は全身に性感帯を持つ」というのは本当らしい。  
また、一説によると、「放出すれば終わり」の男に比べて快感は底なしという。  
高まりが体の中に溜まっていくのだそうだ。  
 
ヴァンプは、体じゅうを這う快感に、戸惑えば戸惑うほど敏感になり、  
敏感になればなるほど、快感が逃げずに体の中に溜まっていって  
……また戸惑ってしまう、そんな風体だった。  
 
 
「素肌に鎧は、跡がつくだろう」  
鎧のパズルを続行した。  
「はぁ…はぁ…別に。…興味な…い。」  
荒く息を弾ませながら、彼女は答える。  
「もったいない。玉のようなのに。」  
太腿に口づける。  
「んっ…」  
「わたしの知っているお前の昔は、そんなではなかったぞ」  
 
こっちを見た。瞳が詳しく教えろと言っている。  
「待った。わたしの調べものが先だ。」  
意地悪してみる。  
少し批判めいた表情をしたが、愛撫を続けるとまた素直に喘ぎ始めた。  
そろそろ何も考えられなくなっているのかもしれない。  
 
腰の部分の鎧をはずす。  
下着の中に指を差し入れて、まずは構造を確かめる。  
「…ふぁっ」  
柔らかい下腹部。女の部分。筋とその先にある敏感な突起。  
「良かった。ここもちゃんと女だ。」  
 
突起の固さを確かめるように、指先でつまむと、  
女の体がはねる。  
「あぁぁっっ…んんっ!」  
涙目だ。声が漏れるのを防ぐこともできないようだ。  
これもしようがないだろう。もっとも敏感な部分と言うしな。  
自分にこんな部分がある事すら知らなかった可能性もある。  
かまわず、くにくにと指先でもてあそんでみる。  
「んっ!…ああっ!…あんっ!」  
ひときわ大きな声。他の部屋の悪魔にも聞こえてしまうかもしれない。  
まあ、私は気にしないが。  
 
「やっ…やめ…!ああんっ!」  
淫核が心なしか固く主張してきたようだ。  
この小さい部分に男性器と同じだけの快感神経が凝縮されているというのだから  
刺激されること自体、相当な快感だろう。  
ふと、思いついて、皮と核の間に舌先を差し入れてみた。  
「えぇっっ?…やぁぁぁっ!」  
そのまま輪郭をなぞるようにゆっくりとなめ転がす。  
「ふぁぁっ…!あぁっ…!なに、これっ……っ、やだぁっっ!」  
相当に感じているらしい。声を押さえることも忘れているようだ。  
それはそうだろう。  
皮と核の間をこんなにされるなんて、自分に置き換えて考えてみても……  
だめだ、気持ち良すぎる。  
 
「やめて……。やめて…お願い…。」  
堪らなくなったのか、弱々しく懇願してきた。  
「だめ」  
という返事の代わりに、淫核をちゅうぅ、と吸い上げる。  
「あああああああああああああっっ」  
ああ、予想以上の反応で、本当に可愛らしい。  
 
 
「ぼく…ぼくは……ぁんっ…昔の話を…聞きたかった……だけで」  
無駄な懇願が続く。  
「そのかわり、私の調べものにも協力すると言っただろう?」  
「でも、こんな……」  
かまわず指で秘裂に触れる。  
「ひっ」  
十分濡れているようだ。指を一本入れてみる。  
「ひあっ」  
「それにしても、どうして私にそんな事を聞きたがるんだ?」  
中で指を動かしながら聞いてみた。ぴちゃぴちゃという水音。  
指の動きが柔壁を刺激するその度に、女の体が反応する。  
どこが一番感じる部分なのか、触診する。  
「やっ…、あっ…もう…はあっ、もう…もうやめ…」  
「感じてばかりいないで、私の質問に答えてくれ。」  
どうしても意地悪がしたくなるのだ。かわいすぎるのがいけない。  
 
「んんっ!…あの…ワニが……」  
「ワニが?」  
指の動きをいっそう激しくする。  
「ああんっ…へ…変な目で……ぼくを見るからぁっっ。」  
ワニと言うのは彼女の、若神子の頃からの腐れ縁悪魔の事だ。  
「…別に…ぁんっ、興味ない……んだけど…んぁんっ!ぼくだけ知らないのは……」  
癪なのだろう。とはいってもワニも哀れな男である。  
彼も宿敵(自分でそう思っているだけだが)ピーターが  
急に悪魔になっていて相当戸惑っている。無理もない。  
いつか倒してやろうと追って来た相手が、知らない間に味方側についていては  
振り上げた拳のおさめ先に困る。  
しかも相手には昔の記憶は無く。性格は似ても似つかず。体は女性。  
極めつけは、ワニの事なんて全く「興味ない」。  
それがワニを戸惑わせる。  
「好き」の反対は「嫌い」ではないという。  
「好き」の反対は「どーでもいい」なのだ。  
ワ二はピーターを憎んで憎んで憎んできたが、  
ヴァンプに無関心でいられると、何か寂しい。  
それは失恋のようなものだったのかもしれない。  
 
(わたしはワニに恨まれるかもなあ)  
 
今でもワニはヴァンプの後方で、彼女の悩ましい後ろ姿と  
ピーターへの恋心の間で悶々としているのだ。  
 
ちなみに私には過去の記憶はある。  
土の大層親子に封じ込められはしたが、次第に思い出した。  
思い出すにつれ、私の心体を蹂躙してくれたことに腹がたってきて、  
親子ともども、殺した。  
胸の晴れる思いだった。  
ヴァンプも同じように自分を悪魔化した兄弟を焼き尽くしたというので、  
多少は記憶があるのだと思っていたが、ワニの狼狽ぶりを見る限りそうでもないらしい。  
 
私には記憶があって、彼女にはない。  
それはなぜか?私が知りたいのはそこだった。  
 
「そうか…しかし…」  
 
この女がワニの挙動不審ごときで私に頼み事などするかな。  
頭の端で思いながら、明らかになっていく敏感な部分を責めたてる。  
その度に女が良い声で啼く。音階が高くなっていく。  
快感に耐えられなくなって、  
少しでも熱を外へ逃がす為に、切なくも声を発しているのだ。  
秘裂からは蜜がしたたり、私の指をつたう。  
ぐちゅぐちゅと、いやらしい音をたてている。  
「あっ…んんっ…あんっ…」  
我を忘れる女。  
いい眺めだ。考え事がよくまとまる。  
 
なんてな。  
実のところ私ももう、つらい。  
彼女に覆いかぶさるように体制を変えた。  
指を抜いて、片足を持ち上げる。  
 
「質問なんだが、お前、わたしのことも憶えてないのか。」  
「えっ?…あ……っあぁぁぁぁあぁあああんっっ…」  
 
油断させておいて、一気に貫いた。  
十分濡れていたそこは、私のものをずぶずぶと銜え込む。  
熱い。無論、男など招きいれた事がないはずで  
柔らかな肉がきつく締め付けてくる。  
「あっ、あっ、あああああああああああっっ!!」  
「ほら、啼いていちゃわからないだろう?」  
襲い来る快感にめまいを憶えながら、かろうじて平静を保つ。  
先に果ててしまっては、より楽しむことはできない。  
逃げようとする体を捉えて、無理矢理奥まで進み入れる。  
 
「わたしの事は、どれくらい憶えている?」  
「はぁっ、ああっ、知ら…ない、知らないぃ…っ」  
泣きそうな声で答えられる。  
「そうか」  
全く憶えていない、か。  
それはそれで悲しいような、ほっとするような。  
 
突き上げを開始する。  
「しかし、なんでまた、私に?」  
「あんっ、あんっ!あんっ!!ああっ!!」  
豊満な胸が縦横無尽に揺れる。脚を持ち上げて、より深く腰を沈める。  
再び突き上げ始めると、その度に白い喉をのけぞらせ、喘いだ。  
「あっ、…あっ、…あっ……!!」  
「昔の事なら、ワニだって良く知っているぞ」  
「はぁんっ…そう…じゃなくてっ!ふぁ…んんっっ!!」  
「そうじゃなくて?」  
意識を持って行かれそうになりながら、必死に答えている。  
「君には………あぁあっ…聞こえ……ない?」  
 
聞こえる?  
 
「誰かの……声が……」  
潤んだ瞳に、影が落ちた。  
 
 
 
声だと?  
ヴァンプは目を伏せた。様子が変だ。  
「その、声は、なんと言っているんだ?」  
「………。」  
 
答えない。考えたくない、といったそぶりだ。  
「ヴァンプ、答えるんだ」  
「やっ…あんっ!…はぁん!…ぁああんっ」  
再び、腰を打ち付けた。タガなどはずしてしまえ。  
 
「声はなんと?」  
「はぁっ…!…っ…やめてって…。ぁんっっ…殺してはぁ……だめだって…。」  
女の中は熱く、柔壁は蠢いて私のモノを程よく締め付ける。  
「そう、言っているのか?」  
「…うん、…うん。」  
私の質問に答える度、嬌声を上げる度、きつくなる。  
私自身、快感が高まりすぎるのを押さえるため、頭を働かせた。  
 
いったい誰だ?  
声の主に思いをめぐらす。  
他の若神子達だろうか。  
 
「戦いは…ぁぁっ!なにも…うまない……って!」  
それとも、赤毛の大天使の神託か?  
 
「あぁっ…炎の力なん…て……似合わないって」  
似合わない?  
それはまた、俗っぽい語り口だな。  
 
 
「……そんなの……美しくないって」  
……。  
…………アーチか。  
 
一人の若者に思い至る。  
アーチというのはかつて私たち若神子に力をくれた天使たちのことだ。  
一人に一人ずつ。その結びつきは強く。時空を超えて駆けつけて来てくれたこともある。  
ピーターのアーチはオーロラ。氷の力を持つ、颯爽とした若者だ。  
ふたりは美意識、価値観、正義を愛する心、すべて瓜二つで、  
お互いの間に言葉が要らないという程、仲が良かった。  
 
しかし、今は違う。ヴァンプは、かつてのピーターではない。  
氷の力は炎に代わり、恐怖の悪魔として恐れられ、  
女の体で、私に抱かれている。  
 
ここではないどこかでオーロラは、自分の半身の変貌を批難しているのだろう。  
「美しくない」、その形容が奴らしい。  
(余計なお世話だ)  
 
ヴァンプは涙をこぼした。  
オーロラの「声」が聞こえる度にこみ上げる、  
理由の分からない悔恨の思いに、涙を流しているのだ。  
かわいそうに。なぜか無性に腹が立ってきた。  
 
 
後ろを向かせ、ベッドにうつぶせにする。  
「もういい」  
不機嫌に抽送を再開する。  
別の男の話はもう聞きたくなかった。  
「あぁうっ!…声がぁっ……また……」  
「やめろ」  
強く打ち付ける。だが、彼女の懺悔はなおも続く。  
「っ…はぁんっ…命を奪ってはだめだっ…って…あんっっ」  
細い背中がのけぞる。敷き布をぎゅうと握りしめる。  
「……言わ…ないでっ!…だってだってだって……!!」  
奴の声が今も聞こえてくるのか。耳をふさいでかぶりを振る。  
叫ぶたびに、膣内がきゅうきゅうと締まる。  
いまいましい。負けたくない。彼女の中から奴を追い出したい。  
その一心が私の動きを激しくさせる。  
ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ……!!  
「だって…!あぁんっ!…そんなの…あんっ…!嘘だ……!」  
私からの刺激と奴の声。快楽と苦痛に一度に襲われ、  
蜜壷はしたたって、もうぐちゃぐちゃだ。  
いやらしい音をたてて、私のモノを銜え、ぬるぬると蠢く。  
「くっ……!」  
あまりの気持ち良さに、理性が何度も飛びそうになる。  
「ヴァンプ、もういい…!」  
「長引いて…戦い続けて……ぼく達はたくさんのものを…失った!」  
髪を振り乱して、泣き叫ぶ。  
うごめくうなじと白い背中、のけぞる度に揺れる胸を  
汚 し た い。  
ずっと押さえていた焦りと衝動が溢れ出してくる。  
 
「誰かが!ぼくが!容赦しなければっ!」  
「もう…っ。……いいんだ……!」  
叫ぶ度に膣内が締まる。細い背中、肩の骨、全身で激情を蠢かせている。  
「戦いなんて!……あぁっ…すぐに終わったかもしれないのに!」  
「ヴァンプ!」  
振り絞るような声がたまらない。もう我慢がきかない。  
「はぁっ……ぼくが……!ぼくが……!ああああああああああああっっ!!!」  
「……くぁっっ…!」  
どく、どくどくどくっっ。  
たまらず、女の中に精を吐き出した。  
 
 
---------------------  
 
「はぁ……はぁ…はぁ……」  
引き抜くと白濁がどろりと尾をひいて、彼女の内股を汚す。  
頭が痛い。ああ、なんという快楽だろう。  
「あぁ…ああ……うぐっ…ひっく……」  
女はくたり、として、嗚咽を漏らしている。  
涙と汗と男の精で濡れた体は、淫らで美しい。  
 
(わたしのほうも答えが見つかった。)  
 
ヴァンプに記憶がない理由。  
彼は、理性が強い天使だった。  
だから、記憶をなくし、女にならなければ、彼の望みは叶えられない。  
 
 
彼女は絶頂の興奮さめやらぬまま、まだ泣いている。  
後ろから抱きすくめた。  
「そうだ」  
耳元でささやく。  
「そのとおりだ」  
できるだけ優しい声を作る。  
「全てを焼き払えば、戦いは終わる」  
ヴァンプは顔をあげて、こちらを見やった。  
できるだけ、優しい微笑みを作る。  
「言ってやれ。その声に。今自分に必要なのは炎の力なのだと。」  
彼女の心を乱す天使さまに、私は苛立っている。  
まるで、フラれた男の愚痴のようではないか。  
 
「……いいの?」  
子どものような瞳で聞いてきた。  
「……焼き払っても……いいの?」  
心の動く音が聞こえる。救済を求めている。  
昏い喜びがわたしの中に満ちていく。  
「いいとも」  
 
「君はやりたい事をやる、それでいいじゃないか。」  
だって、悪魔だろう。  
 
「現に私もそうしている。」  
優しく口づけた。ついばむように。  
「…んっ」  
彼女も、少し戸惑ったようだったが、  
私の言葉に安心したのだろうか、瞳を閉じて、舌を絡めてきた。  
両手を差し伸べて、私のほほに触れる。  
くちゅくちゅと淫猥な音がする。  
没頭。その感触をむさぼるように。  
体の芯からまたざわざわと何かがわき上がってくる。  
 
唇を離すと、お互いに熱い吐息がかかる。  
頬を涙で濡らしたまま、熱っぽい瞳が私の瞳を覗き込んでいる。  
心の奥まで見透かされそうな、瞳。  
(さっきまでとは、違う)  
「ふふっ…」  
妖艶に微笑むと……  
深い口づけでまた固くなっていた、私のモノに白い指を添えた。  
腰を進め、するすると自分から差し入れる。  
 
「くっ……」  
「んっ……はぁっ……」  
呼吸を緩めながら、奥まで腰をすすめていく。  
私を全部飲み込んで、先端は奥にあたった。  
「…ふぁっ……気持ち……いい…」  
その言葉が聞きたかった。  
「ああ、もっと気持ちよくなれる」  
君が我慢なんかしなければ。  
 
彼女を持ち上げ、寝転がった。  
「…あんっ」  
彼女が私の上に乗った格好になる。  
「こうやって動くんだ」  
彼女の腰を両手で持ち、前後にスライドさせる。  
「ひあんっ……はぁっ……あんっ…」  
じゅぷじゅぷとひときわ大きな音がする。  
先ほどの私が流し込んだ精と、彼女の蜜がぐちゅぐちゅかき混ぜられて  
余った分が溢れ出し、音をたてているのだ。  
「あんっ…はぁんっ……、いい……ねぇ、もっと、もっと、して」  
「いくらでも」  
「ふふっ…、あんっ……、いい…。いいよお…。」  
恍惚の笑み。魅惑的だ。  
私の動きに合わせて、自分でも腰を動かしている。  
「…あんっ!…気持ち…いい…あぁぁんっ!……」  
形の良い乳房が律動に合わせて、ぷるんぷるん揺れる。  
白い首筋、紅蓮の髪がゆらめく。  
ははっ。いい眺めだ。  
「全悪魔が、君を欲するだろうな」  
「んっ…あんっ……強い男としか、…しない…あんっ…」  
嬉しい事を言ってくれる。  
私の雄の部分がますます固く大きくなる。  
「あぁぁっ!…大きくっ なっ…あんっ…感じるっ…」  
もうわかっている敏感な部分を、責め立てる。  
「…あはぁんっ…もう…だめっ!…だめぇぇっ!……」  
「そうか?」  
 
それなら、と、細い肩をつかみ、組み伏せた。  
覆いかぶさったまま、荒々しく突き上げ続ける。  
「うふふっ…あはっ…あんっ!…ああんっ!……はああっ!」  
私の首に腕を回し、背中に爪を立てる。男を喜ばせる仕草。  
「あああああああああああっっっ!!!」  
歓喜の声と共に、のぼりつめた。  
 
 
 
 
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足下には見渡す限りの焦土。  
 
朝日に照らされて、たち昇る幾筋かの黒煙。  
鉄や肉や、色々なものが焼ける嫌な匂い。  
親でも亡くしたか。遠くで子どもの泣く声も聞こえる。  
先刻まで戦場だった街では、あちこちで勝軍の略奪が行われている。  
 
その宙空にたたずむ女。  
紅蓮の長い髪が陽炎のように揺れている。  
髪の先端は炎と化していて、いまなおちろちろとくすぶる。  
重厚な鎧は傷一つなく、白い肌は汗一つかいてなく。  
いつもと同じく無感動に遠くを見つめていた。  
 
私の気配に気づいて、ふと振り返る。  
「なに見てるのさ。」  
鈴の音のような声で、涼やかに言い放つ。  
この調子で、夜半の内に天使の街を焼き尽くしたのだ。  
事もなげに。  
 
「いや…、さすが美しいな。」  
素直に見たままを答えた。  
 
「ふん。興味ないね。」  
そう言うと女は空高く舞い上がった。  
横顔が、心なしか微笑んでいるようにも見えた。  
 
 
ヴァンプ。  
君は何も悪くない。  
悪も正義もひどく相対的なものだ。  
私なんて元々どちらもあまり信じちゃいないから、  
悪魔化した上、記憶も残って、のうのうとしている。  
 
まあ、こんな機会はめったにない。存分に暴れるのも面白い。  
悪魔にも、天使にも、まだ、会うこともできない元凶にも、たてつくのも悪くない。  
無論、私はつきあおう。  
 
全てに火をつけろ。  
灼熱の女神よ。  
 
 
 
おまけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  
 
ワニ「フッド様〜、ヴァンプ様ったらひどいんですよ〜〜。  
   敵だけでなく、味方も全滅寸前ですよ〜〜。」  
フッド「ああ、つまりお前達はいらないってことだろ。」  
ワニ「ひどい……。」  
 
 
 
 

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