カリスマデビルは、タケルさんたちによって倒されて。  
 今、このゾーンは歓喜に包まれている。  
 そんな中、私は人々の疲れを癒すため、理力を注いで温泉の維持に努めていた。  
 夜も更けて、人々は皆休み、ようやく私も自室に戻ってることができた。  
「…ふぅ」  
 結い上げた髪を下ろして、私は大きく息を吐いた。  
 何だかたくさんのことが一気に起きて、疲れてしまった。  
 もともと、このヘルスゾーンは天使と悪魔の共存地域。  
 平和で、変わらない日々が、過ぎていくべきゾーンなのだから。  
「…そう、あのお方がここにいらっしゃった時から、変わりはじめた…」  
 カオスがこのゾーンを覆い、私はそれを退ける力を得た。  
「緑のシャッポのお方…」  
 初めての恋。  
 男らしくて、逞しくて、何より本当に温泉を愛するとっても素敵な方だと思った。  
 一度はびっくりしてしまったけど、でも…。  
「やっぱり、素敵…」  
 諦められない思い。  
 大切な人がいらっしゃるって、分かっているのに。  
 怪我だらけで、ここにいらっしゃったとき、ほんの少しだけ近くに行くことができた。  
 近くで見ると、その身体は本当に大きくて。目つきは鋭くて。  
 私は恥ずかしくて、少し怖くて、お話しできなかった。  
「…今、何をされているのかしら…」  
 私は立ち上がり、鏡台の前に座りなおした。  
 効能扇を振るうと、外の風景が映し出される。  
 あのお方の魔力を思い出しながら、ゆっくりと集中していく。  
 …ああ、こんなこと、していいのかしら?  
 思いつつ、恋しい思いは止まらない。  
 
 そして、私が見たのは、女性と愛し合う、あのお方の姿…。  
 

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