賑やかな港町に到着して二日目。  
シールケは昨日の目紛しい出来事を思い出しながら、  
ちっとも慣れない人ごみに戸惑い、歩いていた。  
宿屋のおかみから好意で譲って貰った服は、なんとなく気恥ずかしい。  
それでも人目を惹かずに堂々と歩く為には、気恥ずかしさは後回しだ。  
今は騒ぎを起こさずに、慎重に行動した方がいいに決まってる、  
そう考えながら石畳を歩いていたシールケに、誰かが声をかけた。  
「そこのお嬢ちゃん、おじさんが作った飾り物を見ていかんかね。」  
視線を向けると、初老の男が道端に座り、  
低い台の上に布を拡げて店を構えている。  
「これなんかどうだい、お嬢ちゃんの服に似合うだろう?」  
ごつごつとした無骨な手で、手作りらしいアクセサリーを示され、  
シールケは興味を惹かれて近づくと、台の上を覗き込んだ。  
「……これ、フクロウですか?」  
「そうだよ、おじさんが作ったんだ。  
お嬢ちゃんがつけたらきっと可愛いだろうよ。」  
にこにこと笑って男はフクロウのブローチを、  
シールケの胸元にあてがって見せる。  
木彫りの素朴なブローチは、胸元で笑いかけているように見えて、  
シールケは自然と笑顔になっていた。  
「これ、おいくらですか?」  
男が示した金額は、決して高いものではないが、  
かと言ってめっぽう安いとも言えない。  
これからどれだけ旅が続くか解らない状況であれば、  
無駄遣いは控えるべきと考えているシールケには、  
身を飾るだけの品を、あっさりと買うつもりにはなれなかった。  
どうしようと眉をひそめ、でも手放すのが惜しくて、  
掌の上でフクロウを転がしていると、背後から大きな影が差し、  
シールケの頭越しに逞しい腕が伸びて来た。  
「親爺、このブローチ貰うぜ。」  
揉み手をして愛想笑いを浮かべた男にコインを渡した腕に気付き、  
咄嗟に振り返ると、ガッツが口の端を僅かに緩めて微笑んでいた。  
「ガッツさん。そんな、結構です。無駄遣いはいけません。」  
「……ブローチの一個や二個、たまにはいいだろうよ。」  
ガッツが同意を求めるように振り向くと、  
大きな身体に隠れて見えなかった、セルピコが笑って頷いていた。  
「そうですよ、シールケさんも女の子ですからね。  
可愛らしいもの、綺麗なものは欲しくなって当然です。」  
「でも……お金は大切に使わないと……」  
「大丈夫ですよ、僕が何とかしますから。」  
シールケの手から取ったブローチを胸元につけてやり、  
にこにこと眺めるセルピコの背中に、  
ファルネーゼを置き去りにして駆け寄って来たキャスカが、  
後ろからもろにぶつかった。  
「ああー、あー、あー。」  
たたらを踏んで転びかけたセルピコの隣で、驚くシールケの胸元を指差し、  
キャスカが喚きちらすと、すぐにガッツが察し、その肩を掴んで首を振る。  
「駄目だ、それはシールケのじゃねえか。キャスカにも買ってやるから、  
ほら、駄々捏ねるんじゃねえ。」  
納得したのか、キャスカはきょとんとしてガッツの指差す方向を見遣り、  
指をくわえてあちこち目移りしながら悩み始めた。  
「……キャスカさん、急に走らないで下さい……」  
息を切らして追いついたファルネーゼが、  
キャスカに腕を引かれて、アクセサリーを一緒に選ばされている姿を見て、  
セルピコが肩を竦めて微笑み、遠巻きに見ていたイシドロが、  
けっと呟いて石を蹴った。  
 
結局、小鳥の形をしたブローチを買って貰ったキャスカは上機嫌で、  
胸元につけたそれを指先で触れながら、ファルネーゼと手をつないで歩き、  
他の仲間達がその後に続く。  
少しだけ離れて歩き、時々胸元に視線を落としていたシールケに、  
そっとイバレラが囁きかけた。  
「ちょっとちょっと、最近ぐっと優しいじゃないの、あの男。  
きっと、シールケに気があるのよ、きっとそう。」  
「……馬鹿な事は言わないで。ガッツさんは私が欲しがってたから、  
見兼ねて買ってくれただけ。」  
「そっかなあ、そんなことないと思うけどなー。」  
「そうなの。」  
きっぱりと言い返したシールケは、嬉しい反面、複雑な心境でもあった。  
確かにガッツはシールケに優しいというか、親切になった。  
シールケの忠告も、全部ではないが聞き入れてくれる事も多くなったし、  
口数も、僅かではあるが増えたような気がする。  
しかし、それがシールケに対する好意というよりも、  
ご機嫌取りにしか思えない。  
なぜなら、以前シールケがかけた魔法。あの魔法をかけて欲しい為に、  
ガッツは親切にしてくれている、そんな気がして仕方がなかった。  
 
夢の中で出逢う魔法。  
あの魔法をかけた翌日から、ガッツは確かに変わったと思う。  
共に旅していても拭い切れなかった刺々しさが薄れて、  
落ち着いた様子を見せている。  
キャスカも元通りとはいかないし、自由気ままに振る舞うのは変わりはないが、  
ガッツが近づいても態度を変えずにいるし、例えその身体に手が触れようとも、  
威嚇して怯える様子はない。  
たった一夜でこれだけ変わるものならば、そして、夢の中で愛し合えるのなら、  
もう一度、魔法をかけて欲しいと思うのは当たり前だ。  
しかし、まだ幽体の傷が完治していない状態で、  
激しい行為を繰り返すのは、どう考えてもよくないと思う。  
もう少し猶予を持って、魔法を使うべきだと思われたシールケには、  
ガッツの親切が無言の圧力にも感じて、時々気持ちが重くなる。  
『やらなければよかったのかしら……ううん、そんなことない。  
だって、ふたりとも、あんなに穏やかになって……  
そうよ、間違ってなんかない。……そうですよね?お師匠様……』  
考え込んで、仲間達から遅れたシールケは、  
帽子の上のイバレラにせっつかれると、慌てて歩調を速めた。  
 
鬱蒼とした森の中でシールケは杖を抱え、  
岩に腰掛けて大きなため息をついていた。  
結局、ガッツの無言のプレッシャーに負けて、  
魔法をかけると自分から言い出してしまった。  
慣れてない人間から見れば一見、無表情に見えるが、  
実はあからさまに嬉しそうな顔をしたガッツは、  
いそいそと装備を外してベッドへ潜り込み、  
きょとんとしつつも、倣うようにベッドに横たわったキャスカは、  
今、数メートルほど離れた、幻の芝生の上で、すでに絡み合っている。  
取りあえず、茂みの影に真っ赤な顔で逃げ込んだシールケは、  
そちらを見ないように見ないようにとしていたが、  
やはり気になる年頃でもあり、興味をひかれてつい視線を向けてしまう。  
怖い程に逞しい躯が、黒い肌のしなやかな躯を抱き、もつれ合い絡み合い、  
合間合間に咆哮とも唸りともつかない声が、辺りに響き渡る。  
キャスカも負けじと太い首に腕を回し、くびれた腰を突き上げては、  
ガッツの分身を奥深くまで迎え入れ、嬌声を上げて仰け反っている。  
茂みの影から伺っていたシールケは、いつしか息が荒くなり、  
頬だけでなく、全身が真っ赤に染まり熱く滾り始めていた。  
ガッツの分身と来たら、躯に相応しい大きさで猛り、触れるまでもなく、  
鋼鉄のように硬くなっているのだろうと、傍目からでも解る。  
そんなものを、あんな部分に……そう考えるだけでシールケは気が遠くなる。  
月のものすら何度か体験したばかりで、  
女性の秘められた部分がどうなっているのかは、  
知識としてはあっても自分の部分も、シールケはまじまじと眺めた事もない。  
必要以外で指先を触れさせたことのない部分は、  
どう考えても、あんなに大きなものを納めきれる筈がないのに、  
女性としては鍛えられた躯とはいえ、キャスカはあんなに細い腰で応戦し、  
あまつさえ歓喜の声を上げる程に喜んでいる。  
『大人になると、あんなに大きなものですら、平気で入るものなのかしら……』  
高鳴る鼓動を聞きながら、無意識に熱い部分に指先でそっと触れて、  
シールケは未知の行いに耽る、ガッツとキャスカから視線を逸らせずにいた。  
 
そんなシールケと、ガッツ達を挟む位置で、  
ファルネーゼは自慰に耽っていた。  
ぴったりとしたズボンと下履きを膝まで降ろして膝立ちになり、  
胸のボタンを全て外し、形の整った小さめの乳房と、  
自分の指先に慣れた秘所を捏ね回し、  
真っ赤に紅潮した顔を仰け反り気味にして、  
茂みの向こうで繰り広げられる、  
ガッツとキャスカの肉弾戦を見詰め続けていた。  
『……怖いくらいに、大きい……きっと、私が相手をしたら……  
……壊れてしまうに違いない……壊されてみたい……  
……からだが、縦に裂けても、構わない……』  
股間から全身に広がる快感に、膝ががくがくと震えて上半身を支えきれず、  
ファルネーゼは乳房を掴んだ手を咄嗟に離すと、芝生に手を突いた。  
 
その背後に、セルピコがいた。  
夢の中とは思えない、匂いも感触もそのままの木に片手を突き、  
いつもの無表情さは崩さず、しかし心の中は千々に乱れていた。  
何年か前、セルピコの前に躯を投げ出したファルネーゼが、  
今、目の前で無防備な姿態を晒している。  
たぶん、セルピコが見ているとは気付いてないのかもしれない。  
いつぞやの夢の中でも、ガッツとキャスカの事ばかり気にして、  
お互いの存在に気付かないままだったせいもあり、  
他の人間と夢を共有している事実を忘れてしまったようだ。  
四つん這いの姿で夢中で股間を擦り、堪えた喘ぎ声を上げ、  
ファルネーゼは自分の快感に酔い痴れている。  
そんな狂態を眺めていたセルピコは、自分の中に、数年来感じていなかった、  
欲望というものが湧き上がっている事に気付いた。  
 
もの馴れた指先の動きと、目の前のふたりの行為に刺激され、  
しびれるような快感が、絶頂を極めようとしている時、  
ファルネーゼの背後から、冷たい指先が丸い尻に触れた。  
思わず声を上げて振り向くと、無表情なセルピコが、  
両手で丸みを確かめるように撫で回していた。  
「セッ、セルピコッ!何をしてるのっ?あっちへ行きなさい!」  
冷静さを失わずに、セルピコは口許に人差し指を立ててみせると、  
「お静かに、ファルネーゼ様。聞こえてしまいますよ、ガッツさん達に。」  
一瞬茂みの向こうに視線を向けたファルネーゼだったが、  
ふたりがまだ、無我夢中で行為に没頭していると見ると、  
すぐに振り返り、きつい眼差しをセルピコへと向けた。  
「いいからあっちへお行きなさい!」  
恥ずかしい姿を見られたファルネーゼは、精一杯の強がりで言い切るが、  
そんな虚勢はセルピコには効かなかった。  
黙って顔を伏せたセルピコは、ファルネーゼの腰を掴むと、  
丸い谷間に鼻先を埋め、舌を尖らせて、しとどに濡れた部分を掬い上げる。  
「いっ、や、やめなさい!何をするの!」  
「……お手伝いですよ、ファルネーゼ様。  
指だけでは、ご満足出来ませんでしょう?」  
鼻先を埋めた状態で囁かれ、その僅かな刺激にも、  
敏感になっている部分が、びくびくと感じてしまう。  
「……やめ、なさい……何を、今更……  
……一度は、私を、拒んだくせ、に……」  
「……その、お詫びも兼ねて、お手伝いさせて、下さい……」  
それだけ答えると、もうセルピコは言葉を返さなかった。  
柔らかな肉に指先をめり込ませ、がっちりと固定してしまうと、  
合間の襞を、突起を舌で舐め、奥深く挿し入れては抜き出して、  
溢れる体液を啜り、丁寧にというよりも、執拗に舐め回した。  
 
ファルネーゼを味わいながら、セルピコは熱く滾る脳内の片隅で、  
わずかに残った理性で考え続けていた。  
本来なら身分違い、それ以前に腹違いの妹であるファルネーゼ。  
いつかは誰かのものになる、手の届かない高嶺の花。  
ならば、目の前に咲いているこの時、この機会に手折ってなんで悪かろう。  
幽体での繋がりだけなら、肉体に変化はないはずと、自分に言い聞かせて、  
セルピコは超えてはならない一線を越える気になった。  
香木の匂いがそうさせるのか、それとも夢の中と言う、  
現実ではない空間がそうさせるのか、  
例えファルネーゼのどんな姿態を見せられたとしても、  
いつもなら信じられない我慢強さで耐え切るセルピコの、  
理性の糸がぷつりと切れてしまった。  
 
すでに腰だけを高く突き上げ、上半身は支えきれずに芝生に突っ伏して、  
ファルネーゼは荒い息をつきながら、  
初めて感じた粘膜の快感に酔い痴れている。  
無防備にひくつく秘所を、愛しいものと眺めて、  
セルピコは下半身を包むものをゆっくりと引き下ろすと、  
ガッツ程ではないが、それでも充分な大きさと、  
硬さを持った分身を露にし、先端の濡れた部分を秘所へと宛てがった。  
ぐったりとして、呼吸だけを辛うじて繰り返していたファルネーゼが、  
未知の感覚にびくっと躯を震わせる。  
「セル……ピ、コ……もう、やめなさ……」  
「……いいえ、やめません。」  
言い返そうとしたファルネーゼが、体内に侵入する異物に反応し、  
上半身を仰け反らせる。  
幽体では破瓜の痛みはないらしく、ただ違和感だけが感じられた。  
「……どうですか、ファルネーゼ様。もう、根元まで入りましたよ。」  
冷静に伝えられる言葉に、ファルネーゼは羞恥に顔を赤らませる。  
「……ああ、とても、熱いですね、ファルネーゼ様のなか、は。」  
「……いちいち、言わないで……」  
「いいえ、言わせて下さい。  
どんなに貴女が熱いのか、きつく締めつけてくるのかを……」  
「……ばか、セルピコ、覚えて、なさい……  
……後で、鞭を、くれてやる、から……」  
徐々に早まる動きにつられて、ファルネーゼの躯は前後に大きく揺らぐ。  
揺らぎが内部を刺激して、荒い息はますます苦しく、喘ぎに変わって行く。  
犬のように口を大きく開け、舌を出して喘ぐファルネーゼを、  
セルピコは無表情で、しかし、明らかに興奮から来る紅潮に頬を染めて、  
腰を掴んで繋がった部分を引き離し、そして激しく打ち付けていた。  
 
犬の姿勢で達したファルネーゼを芝生の上に寝転がして、  
セルピコはもう一度、まだまだ力を保った分身を秘所に挿入する。  
半開きの口は上擦った声しか出せず、セルピコの舌先に寄って征服される。  
片腕でファルネーゼの足を持ち上げ、  
大きく拡げさせた股間に腰を打ち付けながら、  
セルピコの唇は耳朶を齧り、首筋を這い回り、硬く尖った乳首を吸う。  
快感に我を忘れ、理性すら失ったファルネーゼが、セルピコに与えられる、  
僅かな刺激にもいちいち敏感に反応して、半開きの口の端からは、  
喘ぎ声とともに唾液がつうっと流れ落ちた。  
いつしか両腕はセルピコの首に絡み付き、  
刺激を待ちわびる仕草さえ見せ始めて、  
セルピコはやっと、表情を柔らかな笑顔に変える。  
「……ファルネーゼ様、なかに、お出ししますよ……」  
ファルネーゼの頬を撫でて、セルピコは優しいキスをすると、  
一気に腰を突き上げて、完全な高みへと登り詰めるスパートをかけた。  
 
 
絡み合いながら達するふたりを、シールケが呆然と眺めていた。  
ガッツやキャスカとは違う声と気配に気付き、  
そっと近づいてきたシールケだったが、  
こちらでも獣のような行為が繰り広げられていると知り、  
思わず眺めてしまった。  
『……知らなかった、セルピコさんとファルネーゼさんも、  
恋人どうしだったのね……』  
少女らしい誤解をして、うっかり秘め事を覗き見してしまったと、  
我に返ったシールケは徐々に後ずさりして、その場から立ち去ろうとしたが、  
背後から肩を叩かれて、危うく大声をあげてしまいそうになる。  
慌てて口許を押さえたシールケに、同じく慌てて身を縮めたイシドロが、  
きょときょとしながら躯を引き寄せる。  
「大きな声出すなよ。気付かれちまうじゃねえか。」  
「……出しかけただけで、まだ出してません。」  
「まあいいや。あっちもまだ、夢ん中ってとこだろうしな。」  
馴れ馴れしく肩を抱き寄せる手に気付き、  
シールケは思い切りイシドロの脇腹に肘鉄を食らわせる。  
「いってえ!何すんだよ!」  
「それはこっちの言い分です!馴れ馴れしく私に触らないで下さい!」  
自分もうっかり大声を出し、シールケにも怒鳴られたイシドロは、  
慌てて口許に人差し指を立て、辺りの様子を伺う。  
幸い、どっちのカップルも、お互いしか見えてないらしい。  
「だから大声出すなっつの。……お前に相談があるんだよ、  
こっち、こっち。ここじゃうっかり話も出来やしねえから。」  
手招きをして、木陰に隠れたイシドロに、訝しく思いながらも、  
シールケはガッツ達、セルピコ達に覗き見を見つかるよりはと、  
その後を離れてついて行った。  
 
木陰に入ると、イシドロがそわそわと落ち着かない様子で、  
ポケットに手を入れ、何度かシールケの顔を盗み見していた。  
「相談とは何ですか?早く言って下さい。」  
つんとそっぽを向いて告げると、イシドロは頭をぼりぼりと掻いて、  
言い難そうに、口籠りながらシールケの顔を見る。  
「んーと、あのよ、俺さー、考えたんだけどよ。」  
「だから、何ですか?」  
「んー……俺たちもさ、やってみねえ?」  
「はぁ?」  
「だからー、ガッツの兄ちゃんとか、キャスカ姉ちゃんとかが、  
やってたよーなこと。」  
シールケの顔がみるみる真っ赤に染まり、耳から首筋まで赤くなる。  
「ばっ、バカな事を言わないで下さいっ!  
あれは、大人がするものです!私や、イシドロさんにはまだ早いんです!」  
相手が動揺したとみて、イシドロはにやにやとからかい顔になり、  
「何言ってんだよ、俺が住んでた村の、隣の家の姉ちゃん、  
お前と同じくらいで嫁に行ったぞ。  
そりゃ、赤ん坊出来たのは、何年かしてからだけどよ。  
でも、嫁に行けるってことは、やれるってことじゃねえか。  
他の街でも、お前と同い年くらいの娼婦はごろごろいたぞ。」  
「やめて下さい!」  
くるっと背中を向けたシールケに、イシドロは懲りずに近づいて、  
そっと耳許に囁きかける。  
「……お前だって、興味あんだろ?  
さっき、ガッツの兄ちゃん達見て、股、いじってたくせに。」  
シールケの赤い顔から、一瞬のうちに血の気がひいた。  
見られていたのだと顔色を変えたシールケに、イシドロが説得を続ける。  
「お前がガッツの兄ちゃんを好きなのは知ってるよ、俺だってさー。  
見てりゃー解るもんさ。でもよ、お前も見ただろ?あのでかさ。  
そりゃガタイもでかいんだから、ナニもでかいのはしょうがないけどもよ。  
あれ、お前のあそこに入るかー?ぜってー無理だろ?」  
動揺しているせいか、イシドロの直截的な言葉にも怒りを覚えず、  
ただシールケは、それもそうだと素直に頷いた。  
「まだ子供だもんな、お前は。キャスカ姉ちゃんくらいに育ちゃー、  
入るのかもしんねえけども。で、お前も興味あんだろ?  
いっぺん、試してみてもいいと思わね?  
俺くらいのサイズなら、試すにはいいと思うんだけど、どうよ?」  
確かに、まだ子供っぽいイシドロなら、あれほど大きくはないだろうと考えて、  
シールケは自分の考えに慌てふためき、頬をぺしぺしと叩く。  
「な?今、ここでやっちゃってもよ、身体は別になんも変わんねーんだろ?  
幽体とかだから。だったらお前は処女のまんまで、  
育ってからガッツの兄ちゃんとやればいいじゃん。初体験ってやつをよ。」  
シールケは迷いつつも、明らかにイシドロの提案に興味をひかれていた。  
ガッツやキャスカだけでなく、いつも冷静沈着なセルピコや、  
お嬢様然としたファルネーゼまで、人が変わってしまうほど、  
あの行為は素晴らしいものなのか、自分の身で味わってみたいと。  
 
ガッツ達、セルピコ達に散々見せつけられた挙げ句、  
イシドロは自慰に飽きてぶらぶらと歩きながら、  
自分も童貞からおさらばしたいとぼんやりと考えていた。  
そんな時、シールケが無意識に自慰に近い行為をしてる姿を垣間みて、  
ふと考えついた。  
いくら自分が盛っていたとしても、キャスカやファルネーゼでは、  
相手にもしてもらえないだろうし、例え相手にして貰ったとしても、  
ガッツとセルピコが怖い。  
万が一怒らせたら勝てる相手ではないと、今までの経験で身に染みている。  
残るはシールケ。イシドロの趣味からすると、まだまだ幼過ぎるが、  
それでも一応女だと失礼な事を考えて、ずっと様子を伺っていた。  
シールケもイシドロ程ははっきりとした欲望を感じてはいないようだが、  
少なくとも興味はあるらしいと判断して、  
その肩を背後から叩いてみたのだった。  
 
「なあ、どうするよー。」  
イシドロにせっつかれ、シールケは俯いて唇を噛み締める。  
「……一度、だけですよ?」  
ぽつっと呟かれた微かな言葉を聞いて、イシドロはぱちんと指先を鳴らした。  
「そう来なくっちゃ。んじゃ、さっそく。」  
シールケの帽子を掴んで放り投げ、細く小さい躯を芝生の上に押し倒し、  
イシドロはスカートの裾を掴んで、無理矢理に引き上げた。  
「ちょっと、ちょっと待って下さい!服が破けちゃう!」  
「だいじょーぶだって。ほら、じゃあ自分で脱げよー。」  
唇を尖らせたイシドロは、恥ずかしそうに目を伏せたシールケの上からどくと、  
自分もまたさっさと服を脱ぎ捨て、あっという間に丸裸になった。  
シールケは恥ずかしさから視線を逸らして、服を破られまいと急いで脱ぎ、  
観念したように、もう一度芝生の上に寝転んだ。  
背中がちくちくして痛いと考える間もなく、イシドロの痩せた躯がのしかかり、  
まだ膨らみ始めたばかりの、乳房とも言いがたい胸をきつく掴んだ。  
「いたっ!」  
「ちょっとくらい我慢しろよ。まずはおっぱい揉むんだろ?  
ガッツの兄ちゃんだって、そうしてたじゃんか。」  
ぎゅっと両手に握り拳を作り、シールケは返事もせずに目を瞑る。  
 
イシドロは逸る心を抑え、どうにかリードしようと躍起になって、  
ガッツがしていたのは、どんな手順だったかと思い出しながら、  
小さな乳首を口に含む。  
「きゃぁっ!痛い、痛い、そんなにきつく、吸わないで!」  
シールケの手に顔を押しのけられ、イシドロは軽く舌打ちをする。  
「何だよ、すぐ痛い痛いって。こんなの痛い訳ねえじゃんか。」  
「痛いんです!もっと優しくして下さい!」  
「優しくって、ガッツの兄ちゃんは……」  
「ガッツさんの真似しか出来ないなら、もうやめて下さい!」  
シールケに怒鳴られ、イシドロは頭を殴られたようなショックを受けた。  
まるでお前は童貞丸出しだと怒鳴られた気分になり、  
空に向かって頭をもたげていた、  
まだまだ発達途上の分身が、しょぼんと項垂れてしまう。  
それでもやりたいと思う気持ちだけは萎えず、気を取り直したイシドロは、  
今度こそはと鼻息も荒く、ゆっくりと舌先で乳首を掬うように舐め上げると、  
ひゃっと声を上げて、シールケの躯が強ばった。  
嫌がられてないとみると、イシドロはもう一度乳首を吸ってみる。  
今度はそっと、きつくならないように気遣って吸うと、シールケの唇から、  
甘いため息が漏れ始める。  
『そっか、こういうのがいいんだな。』  
何となくコツを掴んだ気になって、  
イシドロは小さな胸を指先でゆっくりと揉みしだく。  
これもまたシールケには気持ちよかったらしく、  
顎を反らして声を漏らしている。  
『よっしゃあ、この調子!』  
左右の乳首を交互に舐め、吸って、  
イシドロはゆっくりと舌を下半身へ移動させた。  
 
味わった事のない、不思議な感覚に翻弄されていたシールケは、  
ぼんやりと霧がかかった頭をもたげ、うっすらと目を開けてイシドロを見遣る。  
いつの間にか、臍を通り越した辺りまで舐めているのを見て、  
慌てて止めようとしたが、声は掠れて上手く出ないし、手は力が入らない。  
もがくうちにも顔はどんどん下がっていき、とうとう秘所にまで達していた。  
ぴったりと合わさった部分を指先で開き、まじまじと見詰めている。  
「へ〜、こんなんなってるんだ。……何か、すげーな。」  
無遠慮な独り言を耳にして、シールケは恥ずかしさに両手で顔を覆い、  
身を捩ってイシドロから逃げようとしたが、両足を掴み直されて逃げられない。  
イシドロはさらに大きく秘所を押し拡げ、  
何かを探すように指先で触れて確かめている。  
『えーっと、確か三つ穴があって、真ん中に入れるんだよな。  
一番上がこれで、次がこれ、で、尻の穴がこれだろ?  
じゃあ、ここか。よーし。』  
必死で挿入すべき箇所を探す指先は、ちょうどいい刺激となって、  
またシールケを未知の感覚へと誘った。  
そこへ、道筋をつけようと考えたのか、指先を挿入しかけられ、  
シールケは自分でも驚く程の声を上げた。  
「きゃあぁぁぁぁぁ!」  
「ちょ、おい、びっくりすんじゃねーかよ!そんなにここ、気持ちいい訳?」  
指先は第一関節すらも入ってはいないが、  
それでもシールケに衝撃を与えるには充分過ぎた。  
「いやっ、怖い、もうやめて!」  
「やめてって、今さらそんな事いわれても、無理だって。」  
さっきの落ち込みはどこへやら、  
すぐさま元気を取り戻した分身に一度視線を落とし、  
秘所に指先を挿入しかけて、イシドロははたと思い出した。  
『そう言えば、ここは濡れてねえと入んねーって、  
どっかの親爺がいってたよな。』  
イシドロは顔を秘所に寄せると、その複雑な構造に感心しつつ舌を這わせる。  
他人の秘所を舐める行為に多少抵抗はあったが、やりたい気持ちが先に立ち、  
幽体なんだからとの思いもあり、ただ潤滑油になればいいとばかりに、  
むしゃぶりつくように秘所を舐めては、時々具合を見るように指先で確かめる。  
そんな一連の動きはシールケの躯を抵抗も出来ずに、  
びくびくと跳ねらせ仰け反らせ、  
いつしか顔を被っていた両手は、芝生に食い込んでいた。  
 
確かに気持ちがいいものだとは、思う。  
しかし、生殖活動としてしか知識のないシールケには、  
例え拙い動きだとしても、愛撫という行為はあまりにも刺激的過ぎた。  
乳首とは赤ん坊が授乳の為に吸うもの、秘所とは生殖活動に必要なもの。  
それを男が、当たり前のように吸ったり舐めたりした上に、  
指先でまで内部に侵入しようとするのだとは知らなかった。  
たぶん、生身ではこれ程までに快感を感じはしないのだろう、  
幽体であればこそ、苦痛よりも快感を直に感じてしまうのかもしれない。  
だとすれば、生身でこんな行いをしたら……そう考えてシールケはぞっとなる。  
最後には生殖器というものが、自分の中へ挿入されるのだ。  
指先よりもずっと太いものがと、ぼんやりとした頭でシールケは考える。  
指先だけでもあんなに怖いのに、生殖器が入ったらどうなってしまうのだろう。  
苦痛は少ないだろうが、快感だけでも充分な恐怖を呼び起こすだろう。  
我を忘れてしまうのは、魔法を使いこなすシールケにとって、  
命取りとしか思えない行為だ。  
いつか使った術の最中のように、自分を見失ってしまったらどうしよう。  
なぜか夢の中には、イバレラもパックも現れない。  
助けてくれる人はいないのだ。  
 
全身で快感を味わいつつ、ぼんやりと考え続けていたシールケの秘所に、  
とうとうイシドロの分身が宛てがわれた。  
「……っと、ここでいいんだよな……」  
おそるおそる宛てがった分身の根元をつまんで、  
イシドロはゆっくりと腰を進める。  
先細りの先端がじわじわと秘所を拡げ、肉色をした内部に侵入していく。  
その感触はイシドロを驚かせ、シールケの怯えにも似た焦りが湧き上がった。  
『やっべぇ、なにこれ。すげー熱いし、きついでやんの。  
これじゃすぐ終わっちまうぜ。』  
初めて味わう粘膜の感触に、イシドロの分身は根元まで挿入されるなり、  
どっと熱い迸りを吐き出してしまった。  
「うわ、なんだよー。ちっくしょー!」  
自分のものではない物のように、びくびくと内部で跳ねる分身に焦りまくって、  
取りあえずイシドロは腰を引き、シールケの中から引き抜いた。  
「悪ぃ、出ちった。」  
頭を掻くイシドロを、シールケはじっと睨んで見上げる。  
「……ちゃんと、してくれなきゃ、困ります……」  
薔薇色に頬を染め、潤んだ瞳で見つめるシールケが、  
無意識に腰をくねらせると、イシドロの顔もまた、  
激しい運動や初体験の緊張からだけではない赤みが差した。  
「えっと、あの、それって……続けていいってことか?」  
「……もう、言わせないで下さい。」  
ぱっと両手で顔を隠した癖に、両足を大きく広げたシールケに、  
イシドロは元気を回復しまくり、白い体液が溢れる秘所へ、  
もう一度トライしていた。  
 
大木の枝に腹這いで寝そべって、パックが眼下の狂態に視線を落とす。  
「人間って、大人攻撃が好きだよな。」  
「大人攻撃ってなによ?」  
大あくびをしたイバレラが、素っ気なく答えて目許を擦る。  
「ほら、ああいうの。」  
「しょうがないでしょ、人間は獣と違って年がら年中発情期なんだから。」  
「面白いのかなー。」  
「さあね、私、やってみたことないし。  
それより、いつまでやってるのかしらね。見てるの飽きちゃった。」  
「んじゃ、そこらへんで遊んでこよっか。」  
「そうねえ、人間の繁殖活動見てるよりは、散歩の方が楽しいわね。」  
パックとイバレラがふわりと飛び、そのまま空へと消えて行った後も、  
三組の人間達が続ける『大人攻撃』は、果てる事なく続いていた。  
 
 

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