ファルネーゼの魔術の修行も初歩段階を終え、次からは  
より高度な術に挑戦する事になった。  
「では、これから四方の王の陣を描く為の訓練に入ります」  
指南役のシールケは、落ち着いた口調で言った。  
「! それはあの時の…!」  
そう、イーノック村で多くの村人を守り、海辺のあばら家で  
ワニ達の攻撃への防壁となった、あの魔術だ。  
「先生、ご鞭撻よろしくお願いします!!」  
これほどの高度な魔術を操ることが出来るようになるという  
からか、ファルネーゼは興奮気味だ。  
しかし彼女の魔術の師はこう付け加えた。  
「ですがあの、ファルネーゼさん、今日私がお教えするのは  
 四王のうちの一人を召還する技術で…」  
「あ、そうなのですか…」  
ファルネーゼはやや落胆気味のようだった。  
そんな彼女を、シールケは諭した。  
「一王だけだと言ってあなどるのは禁物です。そのようでは  
 王の強大なオドの流れに取り込まれてしまいますよ」  
「はい、分かりました先生。頑張ります!」  
ファルネーゼは元気よく答えた。  
 
「ところで、ファルネーゼさんは風、火、水、土、どの王を  
 召喚しようと思いますか?  
 魔術を行うとき、このような直感的な要素が実は大変重要なのです」  
シールケのこの問いに、ファルネーゼははっきりと答えた。  
「では、火の王を」  
「それでは、火の王を召喚することにしましょう。火の王だけに林の中では  
 危険なので、術は開けた場所で行いますね。それでは行きましょう」  
 
「ファルネーちゃんが火だってか!?こりゃヤバいんじゃねえか?」  
二人のやり取りを木陰からこっそり覗いていた、イシドロが言った。  
「そうですね…」やはり二人を覗いていた、セルピコが答える。  
「とりあえず、オレ等がついて行ってやるか!しゃあねーなもう」  
「…シールケさんがいる限り万一の事も無いと思いますが、とりあえず  
 行ってみましょうか」  
 
「この火を表す紋様が描かれた札を、火の王の司る南の方角に貼って下さい」  
シールケは札をファルネーゼに渡し、ファルネーゼはそれを南方の木の幹に  
貼り付けた。  
「それでは、私が以前術を行った時に御覧になった火の王を、しっかりと  
 イメージして下さい。火の王は幽界の奥深くにあらせられます。  
 決して自我を開け渡さないように、くれぐれも自らの術に溺れない様に」  
「はい」  
ファルネーゼは杖を取り、瞑想の体制に入った。  
 
 
―――沈んでいく。もっと奥へ、もっと深く。  
ファルネーゼの光体は、幽界の奥深くへと進んでいった。  
途中、たくさんの幽体や不思議な生き物が彷徨う世界を通り過ぎた。  
しかし今は相当奥まで来たのだろうか、今まで見た事の無いような世界が  
目の前に広がっていた。  
―――火の、王。どこに居るのだろう。  
 
…どれくらい経ったのだろう。  
ふと目を凝らすと、眼前に剣を持った燃えさかる人の姿が見えた。  
 
「火の…王!」  
 
ファルネーゼは王の、その激しい炎を従える神々しい姿に畏れと同時に  
恐怖を覚えた。  
あれに呼びかけると言うの?この私が?  
ファルネーゼは自らの足が竦んで、動けなくなるのを感じた。  
 
その瞬間だった。  
耳元に何者かが触れた。  
振り返ると、そこには蛇のような髪の毛をした、妖艶な女が一人立っていた。  
奇妙で、目を背ける事の出来ない何かを持った女だった。蝙蝠のような翼を持ち、  
はだけた豊満な身体は蟲惑的な輪郭で縁取られていた。  
彼女はファルネーゼをその扇情的な瞳でじっとりと見つめた後、ファルネーゼに  
両腕を絡ませて来た。  
「・・・・・・・・・・・・!!!」  
 
「……大丈夫ですか?」  
聞き慣れた声がする。  
…ここは?私はどうしたのだろう?  
瞼を開けると、まず自分を心配そうに見つめるセルピコ、次いでシールケと  
イシドロの顔が見えた。  
「あの…私は?」  
「残念ながら、召喚は失敗でした。危険な存在がファルネーゼさんを狙って  
 いたのです。私が間一髪ファルネーゼさんを幽界から引き上げなかったら…  
 何事もなくて本当によかったです」  
シールケは、疲れた顔を無理やり引き締めて、微笑んだ。  
 
「全く、ファルネーちゃんはよぉ!まーた迷惑掛けやがって!」  
「すみません…」  
「ファルネーゼ様、ご無事でいらして本当に良かったです」  
「心配を掛けて、ごめんなさい」  
ああ、また皆さんの迷惑になってしまったんだ。  
ファルネーゼは自責の念に駆られた。  
「…立てますか?」  
セルピコが聞いた。  
「ありがとう、セルピコ。もう大丈夫です」  
 
そういって立ち上がろうとした瞬間だった。  
ファルネーゼが脚の間に違和感を感じたのは。  
 
(何?これは…)  
ファルネーゼは下腹部に感じる奇妙な感覚に、動揺した。  
「ファルネーゼ様、どうかしましたか?」  
「いえ…何でもありません。  
 皆さん、先に帰っていて下さいませんか?  
 少し気になる事があるので、私は後から参ります」  
「大丈夫ですか?」とシールケが心配そうに聞く。  
「大丈夫です。さあどうぞ、どうぞ、お帰りになって」  
不思議そうな顔をしながら、皆はガッツ達のいる野宿の場所へ帰って行った。  
 
(何だろうこれ、変な感じがする・・・)  
ファルネーゼは近くの茂みに入り、キュロットを下ろして、その中をおずおずと覗き込んだ。  
 
 
「!!!!!!!!!」  
 
 
そこには本来あるべき物の代わりに、小ぶりのペニスがブロンドの陰毛に  
付け根を包まれ、鎮座ましましていた。  
ファルネーゼは目の前が真っ白になった。  
何が起こったのか、よく分からなかった。  
(こ、これは…  
 これは…男性の…「あれ」でしょうか?  
 なんでこんな物が私に?????  
 そうだ、昔セルピコを橋の上から蹴り落としてびしょ濡れにさせてしまった時  
 「風邪を引くから全部脱ぎなさい!!」と言って全部脱がせたら丁度こんな感じ  
 だったわ…私も酷い事をしたものね…それにしても何故私にこれが??  
 そうだ!あの術の際に奇妙な女がやってきて…そう、それに違いないわ!  
 でもどうしてこんな事になったのかしら?何故??どうして???  
 ああどうしよう?どうすればいいのかしら??  
 恥ずかしくて、こんな事人に言えない…!!!!)  
 
 
こうやってひとしきり迷ったあと、ファルネーゼは取りあえず皆の元へ  
戻る事にした。  
 
 
「あ、ファルネーゼさん、お帰りなさい」  
帰って真っ先に声を掛けたのは、彼女の魔法の師匠だった。  
「あ、遅くなって済みません…」  
「…魔術の事なら、気になさらないで下さいね。  
 私も修行中はよく失敗していましたし。  
 それに、イーノック村でも、力を制御し切れませんでしたし…」  
「そうよっ!シールケは今でこそこの歳で将来超有望の大魔女だけど、昔は  
 ボールを浮かせる訓練で間違ってマンドラゴラを根こそぎ引っこ抜いちゃって!!  
 フローラが防壁を張ってくれなかったらみんなあの恐ろしい悲鳴を聞いて  
 死んでた所だったんだから!!」  
「もうっ、イバレラってば!…でもファルネーゼさん、一度失敗したからといって  
 もう二度と出来ない訳ではありません。気を落とさないで下さいね」  
「…はい…ありがとうございます…」  
しかしシールケの話も、ファルネーゼの耳にはほとんど聞こえなかった。  
(どうしよう、これを…どうしたら…)  
ファルネーゼの頭の中は、その事で一杯だった。  
「おい、ファルネーちゃん!キャスカねーちゃんの世話見てやってくれよ!  
 オレがさっきから遊んでやってんだけど、結構難しいんだよな」  
「ちみの場合、遊ばれてるって感じだけどな」  
「…済みません…」  
「あうぅうう!」  
「ぎゃっ!つねんなって!!イテテテッ…!」  
「ほらね」  
イシドロとパックの掛け合いにも、ファルネーゼは殆ど反応出来なかった。  
(これを…何とかして…これを…  
 ああ、一体どうしたら…???)  
そこに、黒い甲冑の男が近づいて来るのが見えた。  
「よお、さっきは色々あったらしいじゃねえか。大丈夫か?」  
 
!!!!!!!  
ファルネーゼは全身の血が引き、反対に顔が真っ赤に火照り出すのが分かった。  
そして次の瞬間、ファルネーゼは山菜取りにいそしんでいたセルピコの手を取り、  
全速力でガッツの前からなるべく遠くへ、見つからないような場所へと逃げ出していた。  
 
「はぁ、はぁ…一体何があったんですか?  
 引っ張り回すのは理由くらい説明してからでもいいじゃないですか?」  
息を切らせながら、セルピコが聞いた。  
「はぁ、はぁ、はぁ……ごめんなさい。  
 少し、困った事情があるんです。  
 男の人にしか分からないと思ったので、お前を連れて来たんです」  
「男の人ったって、私の他にもガッツさんもイシドロさんもいるじゃないですか」  
「お前なら全て見せられるからです」  
この台詞に、セルピコは少しドキリとした。  
「相当困った事なんですね…  
 一体、何が起こったというんですか?」  
 
「多分さっきの魔術が失敗した所為だと思うのですが…  
 これから見るものの事を、誰にも言わないで下さいね」  
「はあ、分かりました」  
「では、恥ずかしいのですが…」  
 
こう言って、ファルネーゼはキュロットの腰周りを緩めた。  
「ちょっ、ファッ、ファルネーゼ様っ!?」  
しかし動揺したのも束の間、次の瞬間セルピコは元から小さい瞳を  
完全に点にしていた。  
 
「こ、これは…」  
 
セルピコは、主人の下半身に起こった奇妙な異変に、ただ呆然とするばかりだった。  
「…魔術が失敗して、この様になった、と」  
「そうとしか、考えようがありません」  
「じゃあ、シールケさんに話すのが一番手っ取り早い解決策じゃないですか?」  
「女性にこんなモノをお見せするのは気が引けまして」  
(こんなモノですか…)  
「はあ、では私を呼んでどうなさるおつもりだったんですか?」  
「…ちょっと、コレの具合を見て欲しいのです」  
「具合を見るって…私に…あの…ファルネーゼ様の…それを、拝見しろとでも??」  
「どうせお前にも同じ物が付いているのでしょう?  
 昔見た事を憶えていますよ…」  
(同じモノと言っても、昔は昔ですけど…)  
「あの…ファルネーゼ様、こういう事はご自分でなさった方がよろしいかと…」  
「私は、こんなモノに触れるのはちょっと…」  
(また、こんなモノですか…)  
「………仕方がないですね、ちょっと失礼します」  
そういってセルピコは、ファルネーゼの股間の辺りが丁度良く見えるように屈み込んだ。  
 
…それは、包皮に包まれ紅色をした、可愛らしいモノだった。  
なんでまたファルネーゼ様にこんな物が…  
セルピコは昔、自分に駆け落ちを迫った少女の、白く滑らかな裸体を思い浮べた。  
普段は回転を止める事のない自分の思考回路が焼き切れるような思いがした。  
 
「…もう少し奥の方も見てくれませんか?」  
「はっ?」  
 
「奥の方は、どうなっているのですか」  
「はあ…では、大変失礼しますが、これに手を触れさせて頂いてもよろしいでしょうか?」  
「…お願いします」  
 
セルピコはファルネーゼのペニスにそっと手を掛け、優しく掴んだ。  
 
その瞬間だった。  
ファルネーゼは今まで感じたことの無いような感覚が、両脚の付け根の間に屹立する  
塔の内部に走るのを覚えた。  
それは、自らの手でクリトリスを弄る時の快感にも似ていたが、より局所的で強い  
感覚だった。  
(何…これは…!!)  
 
セルピコはファルネーゼのものを手で左にずらし、中を覗き込んだ。  
(…何という事でしょう)  
ペニスの裏に陰嚢は見えず、奥には膣口の切れ込みが脚の間に深々と谷間を作っていた。  
ただ、本来なら陰唇に当たる部位に奇妙な膨らみがあり、その中に球状の何かが包まれていた。  
セルピコはファルネーゼの胸元を見上げた。  
そこには、豊かとは言い難いが、確かに丸い乳房があった。  
(両性具有、ですか…)  
 
セルピコはファルネーゼの顔の方に向き直り、冷静に報告した。  
「ファルネーゼ様、終わりました。  
 かなりやっかいな事になっているようです。  
 単刀直入に言ってファルネーゼ様の今の状態は、男性でもあり女性でもあると…」  
そしてセルピコはファルネーゼから手を離し、立ち上がろうとした。  
 
その時、ファルネーゼはセルピコのその手を掴み、自らの下腹部へと導いた。  
 
「お願い、ここから手を離さないで…」  
 
「あ、あの、ファルネーゼ様…何を?」  
セルピコは驚いて、ファルネーゼを見つめた。  
その明るい色をした双眸は、いじらしく潤んでいた。  
「お願いです…触れていて。  
 こんな感覚は初めて…  
 驚かないで…私を受け入れてくれますか?」  
そう言うと、ファルネーゼはセルピコの胸に崩れ落ち、その肩に手を回した。  
「…分かりました。貴女の望むまま…」  
「ありがとう  
 …手を動かして」  
ファルネーゼは、セルピコの手に自分の手をあてがい、自らのペニスを掴ませた。  
そして、ゆっくりと上下に動かした。  
「あぁっ…そう、そんな風に」  
ファルネーゼは嬌声を上げる。  
「はぁっ…ぁっ…  
 お願い、もっと…もっと激しく!」  
セルピコは、手を器用に小刻みに上下に動かし、握る力を強めて締め付けた。  
「あふっ…あぁん…はあぁあっ  
 いいわ…そう…はっ…うぅっ!!」  
ファルネーゼは、自分のペニスが硬くなり、熱く脈打つのを感じた。  
性器の先から何か液体のようなものが流れた気がした。  
意識は全て下半身の突端に集中して、他のことは何も考えられなかった。  
更にこの刺激の所為だろうか、ヴァギナが濡れそぼってくるのが分かった。  
息遣いが荒くなる。  
ファルネーゼは、セルピコを強く抱き寄せた。  
「あぁうッ…ハァッ…」  
頭がのぼせて来る。  
その時、男性器の中から何か抑えがたい衝動が突き上がって来るのが感じられた。  
「あァッ……あぁあああっ!!」  
ペニスの先から、白く半透明の液体が噴き出した。  
 
「あぁ…」  
ペニスからは、先ほどの圧倒的な快感が醒めていく。  
それに反して、ヴァギナはまだ熱を失っていない様だった。  
ファルネーゼは目の前のセルピコをしげしげと眺めた。  
よく見ると、先ほどの液体がセルピコの着衣に掛かったようだった。  
「…ごめんなさいセルピコ。今ハンカチで拭います。  
 それで、一体これは何なのですか?」  
「子供の種です…」  
セルピコの糸目は、微妙な表情を浮かべている様に見えた。  
「そうなのですか…」  
ファルネーゼはセルピコの服を拭いながら、ふとある事を思いついた。  
 
「お前のこれも、見てみたい」  
セルピコは、普段開かない目を大きく開けて、驚いた。  
「えぇ……!?」  
 
「恥ずかしいのですか?」  
「はあ……」  
セルピコは恥ずかしいと言うより、もはやどうしていいか分からなかった。  
「では、私が先に脱ぎますので、お前は後からで良いですよ」  
「え、ちょっ、ちょっと!!」  
呆気にとられるセルピコの前で、ファルネーゼは服を脱ぎ始めた。  
シャツのボタンを外すと、その中から紅潮した白桃色の乳房が現れた。  
そして身に着けていたものを全て取り払うと、ファルネーゼはセルピコの前に向き直った。  
奇妙な光景だった。均整の取れた女性の身体の臍の下方に、確かに男根が付いている。  
それはさながら異教の神のような、面妖ながらも美しさと威厳をそなえた立ち姿だった。  
「ファルネーゼ様…」  
セルピコは主人の姿に、心ならずも暫し見とれた。  
と、その瞬間、ファルネーゼはセルピコの首に腕を絡ませ、その薄い唇を  
熱い舌でこじ開けた。  
「!!」  
ファルネーゼの舌は、セルピコのそれを求めているようだった。  
セルピコはそれに応えた。柔らかな舌同士がお互いを探り合った。  
二人は唇から熱く溶け合っているようだった。  
長い接吻を交わした後、ファルネーゼの夢見るような瞳と目が合った。  
ファルネーゼはセルピコの風のフードに手を掛け、ゆっくりとそれを脱がせた。  
そして、今度はシャツのボタンを外しにかかった。  
「ファルネーゼ様…」  
「嫌なのですか?」  
「いえ…」  
主人の意向には逆らえない。  
「じゃあ、私を受け止めて。お前が欲しいの。もう止まらないの」  
「はい…分かりました…」  
そう言う間に、ファルネーゼはセルピコの上衣を全て取り去った。  
ファルネーゼはその細身の引き締まった身体を抱きしめた。  
初めて感じる男の肌は暖かく、心地良かった。  
いつか自分を抱いてくれなかった男を、今こうして自分が抱いている。  
ファルネーゼはセルピコの首筋に口付けた。  
「…っ」  
この無表情な男も快楽を感じるのだ。  
そして、自分がそれを与える事が出来ることが嬉しかった。  
ファルネーゼは、首筋から鎖骨、鎖骨から胸部へ、それから更に下へと接吻していった。  
セルピコの呼吸が乱れていくのが分かった。  
そんな様子に、ファルネーゼは愉悦を感じた。  
遂にファルネーゼは、セルピコのキュロットのウエストを緩め、それを下ろした。  
 
「え…?」  
ファルネーゼは目を丸くした。  
セルピコのものは、ファルネーゼのそれの倍近くあり、先端には釣鐘型の亀頭が包皮からはっきり頭を出していた。  
竿の部分はくっきりと浮き出た血管が網目模様を作っていた。  
「大きいものですね…」  
「…それ程でも」  
「はあ、そうなのですか」  
ファルネーゼはセルピコのペニスに触れた。  
それはやや上方を向いていた。  
「…お前でも興奮するのですね」  
「勘弁して下さいよ…」  
ファルネーゼは意味ありげに笑うと、握ったものの先を口に含み、舌で弄んだ。  
掴んだ手に血液の拍動が感じられ、性器が硬度を増していくのが分かった。  
「ファルネーゼ様、あの、そんな事まで…!!」  
セルピコはかなり動揺しているようだ。  
「あら、じゃあお前にもして貰いますから、それでおあいこでしょう?」  
「えっ…?」  
ファルネーゼはそう言うと、セルピコを押し倒し、自分の顔はセルピコの股間の前に据えたまま  
セルピコの顔の上に跨った。  
「これでお互い、出来るでしょう?」  
セルピコはもはや抗う気も無かった。それとも抗えなかったのだろうか。  
二人は、互いのペニスを互いの口で愛撫した。  
 
先程のように手でしごかれるのと、口淫とでは快感が比べ物にならない。  
(あァッ…いい…)  
しかし口は男性器で塞がれ、声にならない。  
セルピコはファルネーゼのものが大きくなるにつれて外に出てきた亀頭を丁寧に舐めた。  
(…頭がおかしくなりそう…)  
ファルネーゼも返すように、セルピコの先を唇で吸った。  
セルピコがファルネーゼの茎を横から唇でしごくと、ファルネーゼもそれをセルピコに返した。  
ファルネーゼは、セルピコのまるで男性器の扱いを教えるような口使いを器用に真似した。  
と、その時セルピコは、ファルネーゼの膣口に指を入れて、ピストンの動きを始めた。  
それは自分で指を入れるのとはまったく違う感覚だった。  
ファルネーゼの男女二つの部分が、共に熱くなっている。  
セルピコは今度は口の方でもピストン運動を始めた。  
ファルネーゼは足の力が抜けていくのを感じた。  
(あぁ…何も考えられない)  
そしてセルピコのする通り、口に含んだものに唇でしっかりと吸い付き、顔を上下に動かした。  
しかし性器が喉の奥まで達すると、強烈な吐き気がした。  
「うぇっ…」  
ファルネーゼはペニスを吐き出してしまった。  
「あ…ごめんなさい」  
セルピコは行為を止めて、言った。  
「気にしないで下さい。喉の奥に指を突っ込んだりしたら誰だって吐き気がします」  
「ありがとう  
 …ねえ、そろそろ頃合じゃないかしら。  
 お前が欲しい。  
 抱いて」  
そしてファルネーゼはセルピコの上から降りると、寝転んで両脚を開いた。  
「来て」  
 
「ファルネーゼ様…」  
セルピコは躊躇った。たとえこんな事になってしまっても、たとえファルネーゼが  
それを知らなくても、自分とファルネーゼには同じ血が流れているのだ。  
「そんなに大きくして、お前もしたいのでしょう?」  
「…………っ」  
「あら、頬が赤いわよ。お前、可愛いわね」  
主人のからかう様な調子に、セルピコはもはや思考を継続する事が出来なかった。  
(も、もう後の事なんか、知りません…!)  
そして、ファルネーゼの上に覆い被さると、そっと口付けをした。  
「やっとお前から来てくれた。嬉しい…」  
ファルネーゼは切ないような笑顔を見せた。  
セルピコはそれに返すように微笑むと、ファルネーゼの大きく開かれた脚の間をまさぐり  
熱く濡れた口を探り当てると、それに自分のものを強く押し付けた。  
男を受け入れたことの無い狭い入り口は、なかなかセルピコを通そうとはしない。  
「あッ…痛っ…!」  
ファルネーゼの顔が苦痛に歪む。  
セルピコはファルネーゼの右の胸先を舌で転がし、左手でもう片方の張りのある胸を揉みしだいた。  
「ぁあッ…ふぅっ…んッ…  
 あぁ…  
 ………  
 はぁッ…あぁァッ…!」  
膣の奥まで、何かが入り込んだのが分かった。  
痛みの中に、確かに自分以外のものが脈打っていた。  
セルピコも呼吸を荒げていた。そして今度は腰を前後に揺らし始めた。  
「ああぁ…はぁ…んふッ…  
 ……うぅッ………」  
抜き差しされている間に、やがて初めの痛みはただの痺れになり、遂には快感へと変わった。  
「…もっと…激しくして…」  
「…痛くないのですか…?」  
「……もう…大丈夫…  
 お願い…もっと…もっと…あぁッ!!!」  
セルピコは運動を加速させた。  
二人の脚と脚が当たってパシッ、パシッと音を立てる。  
ファルネーゼの中が熱く潤んで、セルピコに絡みつくのが分かった。  
セルピコの頭は、最早自分の下で喘ぎ声を上げるこの主人の事以外考えられなかった。  
今自分は、自分の総てをその下に組み敷いている…。  
「…ごめんなさい!少し止めて!」  
その声に、セルピコは我に返った。  
ファルネーゼの顔は赤く火照り、その瞳と唇は艶やかに濡れていた。  
ヴァギナから脚にかけて、愛液と血液の混じった、白と赤の液体が零れていた。  
「…これが先刻から当たって痛いの…」  
そう言って、ファルネーゼは自分の男根を見せた。  
「……後ろから、できますか?」  
「…分かりました」  
セルピコは、四つ這いになったファルネーゼの後ろへと回り込んだ。  
 
ファルネーゼはセルピコの手を取って自らの胸元へと導いた。  
「両手で…触って…」  
「…はい」  
そうして、セルピコはファルネーゼの両の乳房を掴み、ファルネーゼの膣口を探った。  
今回は、ヴァギナはペニスを簡単に受け入れた。  
「はゥッ!」  
中に入れられると同時に、ファルネーゼが声を立てる。  
セルピコは再び腰を動かし始めた。  
そして両手でファルネーゼの胸を掴み、その弾力のある柔肉を丁寧に揉んだ。  
「あぁ…そう…そうよ…あふッ」  
ファルネーゼはもう、脚がガクガクとなって、立っているのが辛いほどだった。  
セルピコは下半身を加速させていった。  
ファルネーゼの中はいよいよ熱く、強く絡み付き締め付けた。  
と、ファルネーゼが喘ぎ声を上げながら言った。  
「ここ…男の…部分が…淋しい…の…  
 手で…して…お願い…」  
こう言われて、セルピコは器用にファルネーゼの男根を右手でしごいた。  
そして、顔をその白い首筋に寄せると、深く深く口付けた。  
ファルネーゼの身体がビクリと動くのが分かった。  
(ああ…もう駄目…壊れそう…)  
二つの性器から、セルピコの愛撫から、体中に快感が走った。  
ヴァギナがヒクヒクと蠢くのが感じられた。  
いつ果てるとも知れない悦楽の波に、もう姿勢を保っているのがやっとだった。  
セルピコはファルネーゼのペニスの先から流れる先走りの液を潤滑液にして  
手早くしごき、紅い乳首を指で小刻みに回転させ、ファルネーゼの腰を深く深く突いた。  
「ああぁあッ!いいッ!もっと…もっと頂戴……!!!」  
ファルネーゼは上手く回らない舌で、セルピコを求めた。  
セルピコはそれに応えんと、いよいよ激しくファルネーゼを抱いた。  
二人は今迄共に在ってから初めての強烈な快楽に、身体の芯から恍惚となっていた。  
お互いへの想いは喘ぎ声に消えていくばかりだが、躰を預け合う喜びはたしかな物だった。  
二人はこの瞬間確かに、その想いを共にしていた。  
そして、その時、頂点に達した。  
 
「ああ…………ッ!!!」  
 
ふたつのペニスと、ひとつのヴァギナが、同時に果てた。  
 
「はぁ、はぁ……」  
ファルネーゼは、セルピコを抱き寄せ、その唇に自分のそれを合わせた。  
セルピコもファルネーゼの身体をしっかりと抱き締めた。  
「好き…」  
小声で呟いたファルネーゼの口を、セルピコは唇で塞いだ。  
二人はしばらく抱き合ったままでいた。  
お互いに、こんなに優しい気持ちになれたのは初めてだった。  
 
どのくらい時間が経っただろう。  
二人は、ゆっくりと躰を離した。  
 
 
「…では、皆さんの元へ戻るとしますか」  
セルピコは身支度を始めた。  
すると、ファルネーゼはそれを制止した。  
「待って、またこれが生き返ったみたい…」  
ファルネーゼは、セルピコに上を向いた自分のものを見せた。  
「はあ、じゃあ私がまた口で…」  
そういうセルピコの言葉を遮って、ファルネーゼはきっぱりと言った。  
「いや、お前の中に入れたい。お前をこれで感じたいの」  
「え……ちょっと待って…それって……!!!!」  
セルピコが唖然とする間に、ファルネーゼはセルピコの後ろに回りこみ、  
彼の腰骨を掴むと自分の物を臀部の間に押し当てた。  
「ちょ……それはどうかと……あの……ええと……  
 
 ………………………………………………………あ゛痛だっッ!!!!!!」  
 
 
「…そんな事になっていたのですか」  
ファルネーゼの話を一通り聞くと、魔術の師は溜息混じりにこう言った。  
「もう少し早く言って下さっても良かったのに…」  
しかし、そう言う彼女の頬は薄赤に染まっていた。  
「それで、これを直す方法は…」  
ファルネーゼに同伴して来たセルピコが言う。  
「正直に言って、かなり難しいと思います。  
 これは恐らく、ファルネーゼさんが術中に会ったという邪悪な存在に影響  
 されての事。それを倒してファルネーゼさんに及ぼしている霊的影響力を  
 元から絶つというのが理想的な解決方法ですが、生憎その存在は非常に強力な  
 魔力を持っている為、私達等では太刀打ちできないのです…」  
「そうですか…」  
ファルネーゼは呟いた。  
(ファルネーゼさんが伝えたその存在の特徴は、私がクリフォトから  
 帰ったガッツさんからかすかに見えたイメージと符合する…  
 ゴッド・ハンド級の相手では、今の私達にはとても…)  
シールケは思索の後、更に続けた。  
「他に、ファルネーゼさんが強く望めば、その姿を変えることは不可能ではありません」  
「そのような事が、可能なのですか?」  
「はい。ですが、元々自らの姿を変える術と言うのは、魔法の中でも非常に高度な技術。  
 自らの意思を幽界深くまで保つことが出来る者だけが行える術なのです。  
 霊樹の館での御師匠様の最期の姿を覚えていらっしゃいますでしょうか?」  
「はい。炎となられて私達を…」  
「…高級元素霊を従える存在にまで昇華する、あれ程までの高度な技術は  
 ファルネーゼさんの場合には必要ありませんが、やはりかなりの修行が  
 必要です」  
「はい、そうですか…」  
ファルネーゼは、残念な様な、ホッとした様な気分だった。  
もう一度、あの快楽を味わいたい…そういう思いもあった。  
一度覚えたら病みつきになりそうな、あの快楽を……  
 
その時、ファルネーゼの前をイバレラが横切り、彼女に喋りかけてきた。  
「でもさあ、ファルネーゼってこういうデリケートな話にまでセルピコを  
 付き合わせる訳?」  
「えっ!!っそっそれは…この者は幼少の頃から私に仕えておりまして、  
 今更このような話など…」  
ファルネーゼは頬が火照りだすのを感じた。  
「じゃあさ、何でセルピコまで赤くなってる訳??」  
横を見ると、確かに顔を赤くしたセルピコが、困ったような顔をしている。  
話の雰囲気を察したのか、シールケまでも頬をピンクに染めた。  
 
そこにひょっこりと、髪の毛の一部を残して全身黒ずくめの剣士が顔を出した。  
「よお、お前ら、こんな所で井戸端会議かよ」  
 
!!!!!!!!!!!!!  
ファルネーゼは、自分の顔が耳まで熱くなるのを感じた。  
そして、一目散にガッツの前から出来るだけ遠くへと走り去っていった。  
「ファルネーゼ様!!!!私にあそこまでしておいて、それはないんじゃ無いですか!!!?」  
セルピコが後を追う。  
「お前ら、一体何があったんだ?」  
ガッツは目の前の出来事をよく把握できない。  
「それは、あの……その……」  
シールケはみるみるうちに赤くなる。  
「何だそりゃ」  
「…秘密の話なので…」  
シールケの顔は最早真っ赤だ。  
ガッツはますます話が見えない。  
そんなシールケを見かねて、イバレラが言った。  
 
「そうそう、秘密。あの二人の秘密ってこと」  
 
 
 
.。・*・.▽劇終▽ .。・*・.  
 

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