「い、痛っ!?」  
 
リオンは余りの痛みに目を覚ます。  
そこには信じられない光景があった。  
己の服を捲り上げ、胸元を触る父親の姿。  
 
「と、父さん、何やってるのさ!?」  
 
突然の出来事にリオンの頭は混乱を期たしていた。  
リオンは男として育てられていた。  
それでも、これがどういうことなのかはわかる。  
 
「・・・とても大切な事なんだよ、リオン。」  
 
いつも見せる笑顔。  
それとは違う歪んだ微笑み。  
明らかに父親は普通の状態ではなかった。  
 
「やっ、やだっ! やめてよ、父さん!」  
 
体を走る激痛にリオンはもがく。  
 
「リオンは男の子なんだから我慢できるだろう?」  
 
あやすような優しい口調。  
それはいつもと変わらない。  
ただ、行動がそれを伴わない。  
父親が体を動かす度にリオンの体に痛みが走るのだ。  
 
「ほーら、痛くない。」  
 
父親は力を篭める。  
今の父親は明らかに異常だ。  
声を漏らせば、何をされるかわかったものではない。  
リオンは悲鳴を上げるのを必死で堪える。  
 
「もうすぐ終わるからね。」  
 
目を瞑り、痛みに必死に耐えるリオン。  
その声だけは優しげに聞こえる。  
しかし、その行為は少しも優しくはない。  
 
「リオン! リオン!」  
 
次第に激しさを増す行為。  
突然、リオンの名前を叫んだかと思うと、父親が動きを止めた。  
何かがリオンの中へと流れ込んでくる。  
 
「と、父さん・・・。」  
 
体に刻み込まれた苦痛。  
そして、その熱さにリオンは意識を失っていた。  
 
 

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