鬱蒼とした森の中――。  
 微糸は今日も一人、オナニーに耽っていた。真夜中過ぎ、もちろん、キャンプで寝ている仲間たちからは離れてである。  
(ああ……穂荒……うっ!)  
 ぴゅっ、ぴゅっと勢いよく射精する。いつもどおりの寂しい、穂荒を想ってのオナニーだった。  
 空しさを感じながら、微糸はズボンを上げた。これからまた寝床に戻らなければならない。すぐ隣りで、穂荒が安らかに寝息をたてている状況というのは、彼にとって拷問にも等しかった。  
 そのときである。微糸はふと、誰かの視線を感じた。驚いて振り向く。  
 木立ちの間から現れたのは――木酢だった。  
 
「わっ、き、木酢……」  
「ゴメン微糸、驚かせるつもりはなかったんだ。――ちょっと話さないか?」  
 途端に微糸は赤面した。オナニーを見られただろうか。  
「……いつからそこに?」  
「まあ、座ろう」木酢は先に腰を下ろした。  
 気まずい沈黙があった。それを破ったのは木酢だった。  
「正直に告白しよう。ボクは穂荒の……」  
『穂荒のことが好きだ』と、微糸は勝手に先読みした。なので、続きを聞いて度肝を抜かれた。  
「ボクは穂荒の……パンツの匂いをかぎたい、絶対に」  
 
「なっ」  
「ねえ微糸、考えてごらんよ。この旅に出てから、彼女が下着を替えたり洗ったりするのを、キミは見たかい?」  
「そういえば――見てない」  
「彼女はね、《洗浄魔法》を使っているのさ」  
「……ああ、それで服やカラダをきれいに」  
「うん。で、結論をいうと、ボクはその魔法を《解除する魔法》を体得した。今度、穂荒の下着にしかけようと思っている。それにはまず、下着を手に入れなくてはいけない」  
 
「オレにどうしろと?」微糸は訊いた。  
「キミがとある商人から、強力な睡眠薬を仕入れたことは知っているよ。それを何に使うかも、ボクは知っているつもりだ。ただ、キミは躊躇っている……どうだい、一緒に夢を叶えようじゃないか」  
 微糸はうつむきながら、  
「何故オレを誘う?」  
「リスクを折半するためさ。彼女が目覚めたとき、ボクらは普通にふるまえばいい。そうすればコトは発覚しない」  
 木酢の甘言に、微糸は煩悶する。  
「オ、オレはただ……穂荒の、小さくて可愛いヘソを舐めたいだけだ」  
 
「先にいったとおり、ボクの目的は下着一点のみだ。別に、彼女をキズモノにしようというわけじゃない。――決まりだね?」  
 そこで微糸は、ゆっくりとうなずいた。悪魔に魂を売ったのだ。  
 
 決行は翌くる晩となった。  
 夕食のスープに薬を投じられた穂荒は、強烈な眠気を訴え、早々に床に着いた。カーニバルの始まりである。  
 木酢は手始めに、穂荒のデカいオッパイを揉みしだいた。  
「き、木酢――!」微糸がいさめる。  
 
「彼女が昏睡しているか、確かめるためだよ」と木酢。「どうやら大丈夫みたいだね。――それじゃあ、ボクは下着を失敬するよ」  
 悪魔は、穂荒の短いスカートの中に、おもむろに両手をつっこんだ。  
 するすると引き出されたパンティは、予想外の白さを誇っていた。いや、新品同様に真っ白だった。  
「見なよ、微糸。これが《洗浄魔法》の威力だ。コイツを解除してやれば、ククク、たちまちボロ雑巾さ」  
 微糸はもう、ついていけなかった。  
「じゃ、ボクはしばらく消えるから、キミも楽しんでくれ」  
 
 昏睡中の穂荒と二人きりになった微糸だが、何をどうすればいいものか、まるでわからなかった。  
 穂荒は、悪魔に下着を奪われたとはいえ、表面上は普段のままである。それを、あられもない姿に変えることなど、微糸にはとてもできそうになかった。  
(……そう、ヘソだ)  
 当初の目的を、微糸は思い出した。死ぬほど憧れ、すぐ近くにありながら、決して手の届かなかった場所。  
 そこに今、この舌を這わせることができるのだ――存分に。  
 
 微糸は思い立つと、服を脱ぎ全裸になった。すでにチ◯コは、痛いほど怒張している。  
 地面に横たわる穂荒に、彼はゆっくりと近づいた。  
 穂荒の露出したヘソ――その小さな窪みに、微糸は舌の先端を挿し込んだ。  
(やわらかい……それに、良い匂いだ)  
 むろん≪洗浄魔法≫には、香料としての効果はない。それは、紛れもない穂荒の肉の匂いだった。  
 急に、微糸はテンションが上がってきた。こうなったらもう、善人(?)ではいられない。穂荒の、恥毛が生い茂る丘を、そこの匂いを嗅がない手はない。  
 ミニ・スカートをめくり上げる――と、そこに、きれいに生えそろったデルタが現れた。  
 まるで理性を失った獣のように、微糸は彼女の茂みに鼻を押し当てた。  
「うぎぎ、うぐっ……」   
 微糸は、三こすりもしないうちに絶頂を迎えた。チ○コを穂荒の顔へもっていく。  
 その、あどけない寝顔に向けて、彼は大量の精液を放出した――。  
 
 
 翌朝、穂荒はいつもより爽快に目覚めた。  
「ふあー、なんかよく寝たわ。疲れてたのかしら……」  
 見ると、他の男二人は、妙にげっそりとしている。木酢なんかは、目が血走っている。  
「どうしたのよ、アンタたち。よく眠れなかったの?」  
「……あまりね」  
 木酢がぼそりと応える。そして彼は、心中でこう呟いた。  
(キミのくっさい、くっさいパンツで、三回もヌイてしまったからね)  
「ふーん、元気ないわね」と穂荒。「アタシは絶好調。お肌も、いつもよりスベスベだし。――なんでかな、微糸?」  
 その問いには、もちろん答えられない微糸だった。  
 
FIN  

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