♪ アナタ〜 変わりはぁ〜 ないでぇすかぁ〜〜  
 
俺の名前はアイン。  
犬なんて生き物をやってるが、そんじょそこらの人間よりは上等な頭を持っている。  
縁あって、賞金稼ぎをやっている無法者どもと同じ宇宙船で寝食を共にしてる。仕方なく。  
今、何をやってるのかって?  
俺は今、心の中で大昔の歌手、ミヤコ・ハルミの歌を歌いながら、自分の寝床である大事の毛布を洗っているのさ。  
おいそこ、笑うな。  
俺のデータベースの中でも一番好きなんだよ、ミヤコ・ハルミ。  
ふと気付いて、『はるみちゃん』を探す。  
「ウォン!」  
と一声吠えると、はるみちゃんが嬉しそうにやって来た。  
はるみちゃんとは、どこからともなくここに入り込んで来た謎の生命体だ。  
こいつには1回、いきなり刺されてとんでもない目にあわされた。  
しかもなんと後日、トイレでこれと再会する羽目になるとは…思いもよらなかったぜ。  
トイレで再会した謎の生命体は、なんだか毒気が抜けて大人しくなっていた。  
その姿に思わず情が移った俺は、これに『はるみちゃん』と名付けこっそり飼っている。  
はるみちゃんと一緒にいると癒されるんだ、これが。  
なにせ、いつも一緒にいるのがとんでもない連中ばっかりだからなぁ。  
うん?どこがとんでもないのかって?  
OK、俺に付いて来な。  
俺の住んでいるこの船…BEBOP号乗り組み員の、奇妙キテレツな普段の様子を見せてやるぜ。  
 
まずは、ここのリビングにご案内しようか。  
あ…やばい。  
鼻がひん曲がるような匂いがして来た。  
これは…人間の雄と雌の発情の匂いだ。まぁ〜たヤってやがる。  
お前さんも見るか?ほら、あそこで凄い勢いで交配してるぜ。  
上に乗っかってるボサボサ頭の男が、スパイク・スピーゲル。  
武術は上手いし運動神経も良いんだが、後先考えないのが玉に傷。  
下で喘いでるおかっぱ頭の女は、フェイ・バレンタイン。  
美人でプロポーションも良いが、たまに情緒不安定な上がめついのがなぁ…。  
この2人、ふとした勢いで肉体関係になったらしい。  
それは全然構やしないが、いつもヤるのはこのリビングってのが、ちょっとなぁ。  
どっちかの部屋でヤって貰えないモンかねぇ…それともそんなに見られたいのか?  
人間ってのは何でこう、年中発情期なのかねぇ。しかも謹みってモンがない。  
さらにスパイク、いつも交配がしつこいんだよな。フェイもどこが良いんだろう。  
……よっぽどしつこいのが好きなんだろうか。  
「…あ、あんっ!…いいっ!もっとぉ、奥ぅっ!!」  
「ホラホラ、まだ音を上げるのは早いぜ…」  
そんな大きいシロモノでガンガン叩き付けて、壊れないのかねぇ?フェイは。  
まぁ、あれだけ結合部から涎垂らしてたら、痛いなんて事はないか。しっかしすごい匂いだな。  
こいつら、始まったら終わるまで長いんだよ。  
あ〜、こんなの見ててもつまらねぇだろ?次行こう、次。  
 
次は、俺の相棒でもあるエドの部屋だ。  
本名は何でも、エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー四世らしいが、長ったらしいのでエドと呼んでいる。  
この子は頭が俺と同程度なので、いつも目をかけて可愛がってやっているんだ。  
といっても『紙一重を超えた天才』な部分があって、日常生活では面倒な奴なんだけどな。  
いつも鍵をかけていないので、この子の部屋に入るのは簡単だ。  
軽い音がして扉が開く…あれ?いない。  
こんな夜中にどこ行っちまったんだ。またどっかで何かやらかしてるんじゃあるまいな。  
嫌な予感がした俺は、とりあえず匂いを辿ってエドを探す事にした。  
 
匂いを辿ると、ジェットの部屋に辿り着いた。  
なんでまた、ジェットの部屋になんか…。眠れなくてやって来たのだろうか。  
それとも、いたずらしに潜り込んだのか?  
エドならありえる。  
ジェット・ブラックは、このBEBOP号の良心というか、色んな意味で至極まともな男だ。  
ただし容姿がこわもての上片手が機械の為、あまり見た目はまともに見えない。  
だが性格は過ぎるくらい真面目だし、この船の中の事も良くやっている。  
そんなジェットをもて遊ぶのは、いくら子供でもやっちゃいかんだろう。  
よし!ここはひとつ、俺が何とかしてやらなくっちゃな。  
決意をして、俺はジェットの部屋の前に立った。  
軽い音がして扉が開く。  
…鍵がかかってない?ジェットらしくもない。  
次の瞬間、俺は顎が外れそうなくらい驚いた。  
 
エドが…エドが…ジェットの上で…っっ!!!  
な、な、なっっ、何やってんだよ、お前らぁぁぁ!!!!!  
ジェット、お前さんにはロリコンの気があったのかぁ!?見損なったぜ、俺は!!  
ふと傍らを見ると、床に転がっている空の注射器。  
…この匂いは…部分筋肉弛緩剤か?  
………。  
エドぉぉぉっ!お前、ヤリやがったなぁぁぁっっ!!!!!  
何も、こんな真似までして、大の大人をからかっちゃイカンだろうがっ!  
今まさに、エドは微笑みながらジェットの男性器を自分の中に納めようとしていた。  
いやいやいや!無理だから。サイズ的に著しく無理。無理無理無理無理ィッ!!  
あ、あ、あぁぁぁっ!!!!!  
………………入れやがった。  
う〜わ〜…半分しか入らねぇ。っつ〜かそのサイズ、よく半分でも納めたモンだよ。  
さっきリビングで見たスパイクのより、一周りはでかいぜ?  
スパイクの持ち物だって、俺のデータの中じゃ平均よりでかいんだぞ。  
エドもジェットも、俺が入って来たのに気付かないほど夢中になってるし。  
おい、エド。痛くないのかよ。  
俺のデータベースの中じゃ、処女は余程丁寧にしないと痛いってなってるんだが。  
まぁ、普段の軟体ぶりから察するに、こいつは性器も軟体なんだろうな。  
わ、わ、わ、わっ!初めての娘さんが、いきなりそんなに激しく動いちゃイカーーン!!  
し、しかも…段々奥まで入ってますよ?  
エド、お前結構奥行きが深…じゃなくて、身体大丈夫なのかよ〜?!  
こっから見ても、お前の腹がポッコリ膨らんでるのが判るんですが。  
なんか、俺、もう泣きそう。  
見ると、ジェットも泣きそうなツラしてるし。  
判る。判るとも。大の男が自分の1/3ぐらいの年の小娘に犯されてるんだもんな。  
せめて俺に出来る事といったら、武士の情けでこの場を立ち去る事ぐらいだよ…。  
何もしてやれない俺を許してくれ。  
せめて、明日お前にだけは優しくしてやるからな。  
<END>  
 

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