Next Sesson  
 
「え〜、次回のは、エドが出ま〜す。えへへっ」  
「えへへって、マジかお前」  
「え〜、ネタ紹介します。エドが嫌がる相手を縛りつけて、むりやり初体験しちゃうんだよっ」  
「すっげぇ流れだなぁ」  
「マジよコイツ」  
「流れは自分で決めました。かっこいい〜」  
「つぅか、だいたい縛るって何だよ?」  
「次回、『カミング・ウィズ・エドワード』」  
「えー……。ところで、相手は誰なんだ?」  
「見てね〜」  
 
 
〜カミング・ウィズ・エドワード〜  
 
 
「うにゅううぅ〜。んにゃ? うきょおぉお〜」  
「……またやってる。ほんと、よく飽きないわよねぇ」  
フェイがビバップ号のリビングに近づくと、中からは今日も幼い少女の奇妙な声が響いてきた。  
見るまでも無く、誰が何をしているのかを悟ったフェイは、呆れた様子で小さく呟く。  
部屋の中へ足を踏み入れると、彼女の想像通りに、エドが壁際の床へ置いた端末の前であぐらをかいている。  
超一流のハッカーである褐色の肌をした少女は、奇声を上げつつ軟体動物のように両腕をくねらせていた。  
「まったく、何がそんなに楽しいんだか」  
即物的な思考を持つフェイにとって、ネットに熱中するような人間はもはや別次元の存在だ。  
それでなくとも理解し難いエドの様子に小さく肩を竦めてから、フェイはその背後を通り過ぎようとする。  
しかしそこで、エドの姿が普段と少しだけ違う事に気付き、ふと足を止める。  
ツンツンと飛び出しているエドの赤毛の上には、それを押さえるような形でごついヘッドフォンが載っていた。  
「あら? アンタ、なに聞いてるの?」  
「おぉう! うきゅきゅ、うな〜、ふにいぃ〜」  
何となく興味を覚えたフェイは、エドの後頭部をつんつんと突付き、端末のモニターを覗き込んだ。  
けれど、エドは全く振り向こうともせず、デフォルメされた水族館のような画面からも内容は読み取れない。  
「……あにゃ〜、終わっちった」  
「ねえ、ちょっとってば」  
「うきょ?」  
焦れたフェイがひょいとヘッドフォンを奪い取ると、そこから妙に安っぽい音楽が洩れ聞こえてくる。  
それでようやく気付いたエドは、カクンと首を後ろへ仰け反らせ、掛けていたゴーグルを額まで押し上げた。  
 
「あ〜、フェイフェイだ〜」  
「その呼び方はやめろって言ってるでしょ? それよりアンタ、ゲームでもしてたの?」  
ニカッと歯を見せて笑うエドに一応文句をつけてから、フェイは最も可能性の高そうな予想を口にした。  
この少女が普通に音楽鑑賞などするとは思えないし、単調な音楽もゲームのBGMだとすれば納得できる。  
しかし、エドは逆さまになった顔をフルフルと横に振り、頭上のフェイに向けてにこやかに答えた。  
「ううん、違うよ〜。エド、おべんきょーしてたの〜」  
「勉強……って、何の勉強よ?」  
「ぱこぱこのおべんきょー」  
「はァン!?」  
訳の判らぬ返答に、フェイは片方の眉を跳ね上げて顔を歪め、訝しげな表情を作った。  
そんなフェイの反応を気にもせず、楽しげに身体を左右へ揺らしつつ、エドは尚も言い募る。  
「ぱこぱこ〜で、ぐりぐり〜で、いったりきたりするの〜。エドもしたいから、おべんきょーしてるの〜」  
「……あ、そ」  
フェイは『訊いた私が馬鹿だった』といった風情で、ぐったりと肩を落とした。  
それで詳しく説明しているつもりだろうが、はっきり言ってフェイにとっては、全くもって意味不明である。  
エドの手に取り上げたヘッドフォンを戻してやると、どこか疲れた足取りでその場を後にする。  
「何だか判んないけど、ま、頑張って」  
「うん、エドがんばる〜」  
のそのそと立ち去るフェイに大きく手を振って答えると、エドは再びヘッドフォンを装着した。  
新たな動画データを引き出し、ゴーグルの内側で展開される画像と耳へ流れる音声に、意識を集中させていく。  
エドの頬が普段よりわずかに赤味を増している事に気付ける者は、もうこの場には存在していなかった。  
 
                      ◇  ◇  ◇  
 
「夜ばい、腹ばい、松竹ば〜い。八百八町に灯がともるぅ〜」  
他の皆がすでに寝静まった頃、エドは歌うように節をつけて呟きつつ、船内の廊下をふらふらと歩いていた。  
片手にぶら下げた、長めのワイヤーで繋がれた手錠が四本、腕の振りに合わせてカチャカチャと鳴り響く。  
目指す個室を通り過ぎかけ、巻き戻しの如くトテトテと後ろ向きに引き返し、扉の前で立ち止まる。  
端末で引き出してきた暗証番号を手早く入力してロックを外すと、エドは部屋の中へスルリと忍び込んだ。  
「寝てますか〜? それとも起きてないですか〜?」  
「んごぉ、ぐぅ……」  
エドは声を潜めて囁きながら、豪快ないびきの聞こえるベッドの中をそっと覗き込んだ。  
そこには、腹の上に毛布を掛けた、ランニングと縦縞のトランクスという格好のジェットが横たわっている。  
「にひひっ」  
完全に寝入っている事を確認したエドは、にんまりと笑って用意した手錠の片輪をベッドの四隅へ嵌めていく。  
金具の閉じる小さな金属音が響いても、熟睡しているジェットは全く目を覚まそうとはしない。  
薄暗い常夜灯の下で準備を終えたエドは、続けてもう一方の片輪を、ジェットの手首へカシャンと取り付けた。  
「ん、むぉ……?」  
「えい、んしょ、うりゃ!」  
生身の腕を捕らえる硬い感触で、強引に眠りから引き起こされ、ジェットは寝惚けた声を上げた。  
ジェットがまだ状況を把握出来ていない隙に、エドは残り三本の手錠で、素早く彼の手足を拘束していく。  
「なっ、なんだどうしたっ!? うっ、この……!」  
完全に四肢の自由を奪われてから、ジェットはようやく意識を取り戻し、思い出したように暴れ出す。  
しかし、特殊鋼製の手錠はその程度ではびくともせず、肘や膝はわずかに曲げる事しかできなかった。  
 
「おい、エドっ! オメェ、こりゃ一体何のつもりだっ!?」  
ジェットは脇に立つエドの姿に気付くと、眠りを妨げられた苛立ちも含めて、きつく怒鳴りつけた。  
けれど、エドは厳しい怒声に怯んだ様子も見せず、壁際のスイッチを入れて部屋の明かりを大きくする。  
闇に慣れた目を刺す眩しい光に、ジェットが小さく目を細めるなか、エドは再びベッドの脇へと近づく。  
そして、シーツの上に両手を突いて身を乗り出すと、悪戯っぽい笑みを浮かべてあっさりと答えた。  
「えっとね、エド、ジェットとぱこぱこしに来たの〜」  
「ぱこ……? あのなぁ、それじゃ分からんだろうが! もっとはっきり言え!」  
一瞬呆けた顔になったジェットは、気を取り直してしかめっ面を作り、声を荒げて問い詰めた。  
エドの奇行には慣れているが、寝込みを襲われて笑って済ませられるほど、ジェットも無制限に寛容ではない。  
事と次第によっては尻の一つも叩いてやると言いたげなジェットに、エドは平然と言葉を返す。  
「だからぁ、裸になって〜、エドのこことジェットのここをくっつけて〜、ぱこぱこってするのっ」  
「なっ!?」  
互いの股間を指し示して、にこやかに告げるエドの台詞を受けて、ジェットは思わず絶句した。  
お気楽な口調からはとてもそうとは思えないが、そこまで説明されれば流石に誤解のしようがない。  
パクパクと声も無く口を開け閉めするジェットの姿を見て、エドは楽しそうに笑い出す。  
「にゃはは! ジェット、おさかなさんみたい〜」  
「じょっ、冗談じゃねえっ! エドっ、バカ言ってねえで、これ外せっ!」  
我に返ったジェットは手首に嵌った手錠をガチャつかせ、焦った声で訴えた。  
ろくに第二次性徴も出ていない子供に欲情するような趣味など、ジェットは一切持ち合わせてはいない。  
その上、幼い少女に拘束されて無理やり関係を結ばれたとあっては、大人の男としての面目は丸潰れである。  
だが、エドは困ったように人差し指を唇に当てると、ジェットの顔をじっと覗き込んだ。  
 
「え〜? でもこれ外したらジェット、イヤイヤしてエドのこと追い出すでしょ〜?」  
「当たり前だろがっ!」  
反射的に答えてから、これではむしろ逆効果だと思い至り、ジェットはしまったという顔をした。  
上手く言いくるめて手錠を外させれば、後はどうにでも対処できたはずだが、そう考えた時にはすでに遅い。  
ジェットが内心でほぞを噛むなか、エドはいつも通りの無邪気な笑みを取り戻し、朗らかに宣言する。  
「んーじゃ、エドも外すのはイヤイヤ〜」  
「ば、こっ、こらっ! エド、やめねえかっ!」  
「うん、エドやめにゃ〜い♪」  
エドはキーボードを前にした時のように両手の指を揺らめかせると、ジェットのトランクスに手を伸ばした。  
予想だにしなかった貞操の危機に、ジェットの顔がこれ以上はないほどに引き攣る。  
ジェットが必死に身をよじって制止しても、エドは気にも留めずに掴んだ布地をズリズリと引き下ろしていく。  
「よせって言ってんだろ!? なあおい、頼むから勘弁してくれっ!」  
「暴れちゃダメダメなのっ。そーれ、ごかいちょ〜!」  
「エドぉっ!?」  
ジェットは腰をシーツに押し付けて精一杯の抵抗を試みるが、エドの動きは止まらない。  
陽気な掛け声と共に太腿の付け根まで下着を剥ぎ取られ、ジェットは裏返った声でエドの名を叫ぶ。  
玩ばれる憤りと、自分の股間を勝手に曝け出された羞恥とに、禿げ上がった頭頂部までが真っ赤に紅潮する。  
脚を閉じて股間を隠そうにも、足首を捕らえた手錠が邪魔をして、内股を合わせる事すら叶わない。  
「あれ? ジェットの亀さん、ぐったり亀さん?」  
エドは黒々とした剛毛に覆われたジェットの下腹部をしげしげと覗き込むと、あてが外れたように首を傾げる。  
当然の事ながら、彼の陰茎は小さく縮こまったまま、脚の間で力無く項垂れていた。  
 
「おっ、おお、そうだ! オレのそいつはだな、ここ何年も使い物にならねえんだよ!」  
「はにゃ、そうなの?」  
天啓の如く閃いたジェットは、不思議そうな顔をするエドに向け、咄嗟に嘘をついた。  
こんな状態でその気になるはずが無いという事も判らないのか、エドは真に受けた様子で大きく目を見開く。  
その知識の欠如にわずかな望みを託し、ジェットは優しげな表情を取り繕って、懸命に説得を試みる。  
「ああ、だからその、オメェのしたい事なんざ、どう頑張っても出来やしねえんだ」  
「うにゅう、ほんとにー?」  
「おお、本当だって。だからな、今すぐこれを外してくれ。そうしたら、もう怒りゃしねえから、なっ?」  
「んむ〜……」  
似合わない猫なで声と、引き攣った笑顔を表に出して、ジェットはエドに翻意を促した。  
内心では情けなさに泣きたい気持ちで一杯だが、実際に過ちを犯すよりはまだましだと自分に言い聞かせる。  
腕組みをしてゆらゆらと身体ごと首を左右に揺らし、唸り声を上げるエドを、ジェットは必死に掻き口説く。  
「大体、こういう事はだな、もうちぃと大人になってから、年の近い男と……いや、それもまずいか」  
「……うん、わかった〜」  
「そっ、そうか! 分かってくれたか!」  
段々と取りとめが無くなってきたジェットの言葉に、エドはこっくりと頷いた。  
しかし、危地を脱した安堵に気を抜く暇もなく、エドは不意にジェットの腰の上へぴょこんと頭を乗り出す。  
「だったら、エドが元気にしてあげる〜♪」  
「なぁっ!?」  
エドは嬉々として告げると、小さな手で柔らかいままの陰茎を捕らえ、彼の股間に顔を寄せていく。  
渾身の説得をエドが全く理解していなかった事に、ジェットは危うく顎を外しかけた。  
 
「エド知ってるよ〜? ここをおっきくするには、こうすればいいの〜……あむっ!」  
「くっ!? ばっ、バッカ野郎っ!」  
萎えている肉棒を摘み上げたエドは、そう呟くと微塵もためらいを見せずに、その全てをぱくりと口に含んだ。  
温かな粘膜に敏感な部分を包み込まれ、ジェットの腰が無意識の内にピクンと跳ねる。  
ジェットの上へ横向きに伏せ、濃い陰毛に顎を埋めた体勢で、エドは得意げに目を輝かす。  
「ふぉれれ、ほうひゃっへ、ひられくふぐっへあえうの〜、んむ、るろっ……」  
「エッ、エド、やめろって……くそっ!」  
唇の間に陰茎を咥え込んだまま、エドはもごもごと聞き取り辛い声を出し、言葉通りに舌でくすぐり出した。  
少しざらついた舌が剥き出しの亀頭を舐め、エドの口の中で柔らかい幹がクニクニと曲げられていく。  
ジェットは刺激を受けた股間にじわりと血流が集まり出すのを、意識を集中して何とか抑え込もうとする。  
こんな異常な状態にあっても、素直な反応を示そうとする己の健康過ぎる下半身に、ジェットは短く毒づいた。  
「いい加減にしろっ! そんな真似しても、無駄だってんだよっ!」  
「んぷ、はぽっ、んう……。むにゅっ、んる、もむっ……」  
「おいこらっ、聞こえてねえのかエドっ!」  
まだ我慢できている内にどうにか諦めさせようとして、ジェットは語気を強めてエドへ呼び掛けた。  
本能とそれに抗う理性との葛藤が、胸の内で渦巻いているのか、彼の声色に苦しげな掠れが混じり出す。  
「んぷ……っ。でも、ジェットのこれ、さっきより少しだけおっきくなってるよ〜?」  
「うっ、いや、それはっ……」  
けれど、エドは口から離した陰茎を指で摘んでプルプルと振りながら、ジェットの顔をちらりと横目で窺う。  
些細な変化を明敏に察知されてしまった事に、ジェットはうろたえて言葉を詰まらせる。  
コリコリと揉み潰すように動くエドの指の間で、彼の陰茎はまたほんの少し、その体積を増していった。  
 
「にゃはっ。じゃあエド、もっとがんばるね〜? ちゅぷっ、ん……」  
「くっ……、が、頑張るんじゃ、ねぇっ……!」  
エドは小さく舌なめずりをすると、唾液に濡れた先端をつるりと吸い込み、口での奉仕を再開した。  
まるでキャンディーバーでも舐めるような調子で、舌をるろるろと動かして、含んだ肉棒を刺激していく。  
熱心に自分のモノをしゃぶるエドの横顔に、倒錯的な欲情を覚えかけ、ジェットは慌ててかぶりを振る。  
けれど、彼の陰茎は理性の手綱に完全には従わず、エドの口の中で徐々に力を漲らせていった。  
「んっ、む、ぷはぁ……。えへっ、どんどんおっきくなってくる……。ねえねえ、エドじょうず〜?」  
「バカぬかせっ……。それよりオメェ、こんな事、どこでっ……」  
「は〜い、ひとりでいろいろ調べました〜。歯は立てたらいけないの〜、んっ、はむ、ちゅ……」  
「ちっ、くそ、このマセガキがっ……!」  
普段とほとんど変わらぬ口調にわずかな艶を交え、エドは着実にジェットの反応を引き出していった。  
経験が無い代わりに、行為に対する禁忌や恥じらいも無いため、彼女の舌は滑らかに肉棒の周囲を動き回る。  
時折口を離して、次第に大きくなる様子を眺めるその顔には、紛れも無い『女』の表情がちらつく。  
「それで〜、ここをこうしてあげるとぉ……、んぅ、んんんっ……」  
「うっ、くぅ……!」  
「ほらぁ、またおっきくなるぅ……。にひっ、なんかおもしろ〜い。ちゅっ、んん……」  
尖らせた舌を突き出し、鈴口をえぐるように弄くると、硬くなりだした幹が脈動して、また一回り太くなった。  
その胸に込み上げる淫らな疼きを単なる楽しさと区別できるほど、エドの性に対する意識は成熟していない。  
けれど、彼女の幼い肢体は明確な異性の昂ぶりを感じ取って、それを受け入れる為の準備を開始する。  
胸の鼓動が速まり、身体が芯から熱く火照り出し、細めた瞳がしっとりと欲情に潤んでいく。  
腰の辺りで蠢き始めた情動に操られ、エドの奉仕はより激しさを増していった。  
 
「んむ、はふぅ……。んん、ちゅぱっ、ちゅぷ、んっ、ん……」  
「う、うぅ……!」  
エドはゆっくりとした動きで頭を上下に揺すり、大きく音を立てて半立ちの陰茎をしごき立て始めた。  
頬をすぼめて引き抜くように吸い上げ、雁首の辺りで唇を緩めると、空気と共に肉棒を口に含んでいく。  
小さな舌の腹がその動きに合わせてぬたぬたと側面を舐め、ジェットの性感を刺激する。  
歯を食い縛って堪えようとしても、一旦目覚め出した牡の欲望は、もはや理性の制御を受け付けなかった。  
「ふぁ、んぷ……。えへっ、もう、おくちにぜんぶ入りきらなくなっちった……」  
「エドっ、こんな事、やめろっ……」  
「はっ、んちゅ、むふぅ……。口ではいやがっても、身体は正直さ〜ん……。んんっ、ふぷ……」  
「オメェなっ……、くっ、ち、畜生っ……」  
やがて、ジェットの肉棒は雄々しくそそり立ち、エドの目の前で鋭く天を指すようになった。  
エドはどこで覚えたのか、挑発的な台詞を呟くと、根本から雁の裏にかけてを何度も舐め上げていく。  
ふざけた感じの口調とは裏腹に、ジェットの顔を横目で窺うその表情は、淫靡な悦びを隠そうともしていない。  
ジェットは、相手は子供だと何度も自分に言い聞かせるが、抗う声は次第に力を失い出す。  
快楽を抑える為に見ていたはずのエドの姿が、却って欲求を昂ぶらせ出した事すら、把握できなくなってくる。  
「んん……っ、はぷっ、むにゅっ、ん……。んーっ、んっちゅ、れろっ、ん、はぁ……」  
「くっそ、うくっ、う……。何で、オレが、こんなっ……」  
「ちゅ、んく、んむっ、ふぅ……。んっんっ、ちゅっんっ、んぅ……」  
舐めては咥え、吸っては擦り、エドはネット上の画像で学習した技をジェットの身体で再現していく。  
凄腕のハッカーとしての集中力と明敏さが、彼の快楽のツボを次々と暴き立て、肉棒を更に膨れ上がらせる。  
ジェットの赤黒い剛直は、その名にちなんだかのように、黒玉(ジェット)の如き硬質な艶を示していった。  
 
「ん、ぷぁっ、はぁ……。えへへっ、こんだけおっきくなったら、もう準備オッケーだね?」  
「う……あ、エド……」  
しばらくして、充分に滾った剛直から手を離すと、エドは熱い吐息と共にジェットへ問い掛けた。  
細い顎に滴った唾液をぐいっと腕で拭い、興奮に紅く染まった頬を期待に緩ませる。  
執拗な責めから解放されたジェットは、喉に絡んだ声で力無く呻き、身を起こしたエドを虚ろな眼で見返す。  
エドはくねるような動きでベッドの上に立ち上がると、腕を交差させてタンクトップの裾を手繰り寄せた。  
「じゃあ今度は、エドの番っ。んっ、しょ……」  
「お、おい……」  
ジェットがためらいがちな声を出すなか、エドは思い切り良くだぶだぶの上着を脱ぎ捨てた。  
まだ肉付きの薄い胸元が、ほんのりと女性としての丸みを帯び始めているのに、ジェットは初めて気付く。  
下から見上げてようやく分かる程度の淡い膨らみは、それでも健気にその存在を示す。  
艶やかな褐色の肌に、そこだけ色素の薄い桜色の乳首が並んで二つ、くっきりと鮮烈な彩りを添えている。  
半ば呆然と眺めるジェットの視線を受けながら、エドは続けてスパッツのウエストに手を掛けた。  
「んにゃ、んしょ……っと」  
「うっ……」  
小さく腰をくねらせ、上体を柔らかく前屈させて、エドはスパッツを下着ごと一気に引き下ろした。  
軽く足踏みして爪先を抜き、身体を起こしてジェットに向き直ると、未成熟な裸身を彼の視界に晒す。  
無毛の下腹部はつるりと滑らかで、左右から肉を寄せたような小さいスリットを隠すものは何一つない。  
ジェットもそれなりに女性経験は積んでいるが、これほど幼い少女の裸を見るのは、さすがに初めてである。  
細い肢体には、その手の趣味のないジェットでも思わずハッとするような、無自覚ゆえの色香が漂う。  
居たたまれないような、それでいて妙に惹きつけられる不思議な感覚に、ジェットの胸が大きくざわめいた。  
 
「にゅひっ。んじゃ、エドも準備じゅんび〜」  
「ぬおっ!? エ、エド……?」  
呟きと共にいきなり腰へストンと馬乗りに跨られ、ジェットは低い呻きを上げてエドの顔を振り仰いだ。  
反り返った剛直を尻に敷いたエドは、そのまま片膝を立てて更に大きく脚を開く。  
小振りな尻の谷間に押さえられた肉棒がジェットの下腹部に倒れ、その熱さと硬さを彼自身にも思い知らせる。  
エドは毛づくろいする猫のようにくるりと背中を丸めると、長く首を伸ばして己の股間を覗き込んだ。  
「んっ……あ、ちょっとだけぬるぬるしてる……」  
「うぐっ……」  
割れ目の両脇に指を添え、自ら左右へくにっと押し開くと、エドは感心したようにそう呟いた。  
頭をもたげていたジェットも、淡い桃色をした少女の秘所を目の当たりにし、短い唸り声を出す。  
あまりにも小さなそこは、けれど確かに女としての形を備え、ほんのわずかに湿った光沢を放っている。  
未発達な入り口は、綻び始めた蕾の如くゆるやかに開き、呼吸に合わせてひそかに息づいていた。  
「はぷ、ちゅ……。これなら、すこしいじったら大丈夫そう……、んっ!」  
「うっ……」  
エドはもう一方の手の指を咥えて唾液を充分に絡ませると、その指先を広げた花弁へ軽く触れさせた。  
その途端、細い腰が驚いたようにピクンと震え、狭い入り口がひゅくっと収縮する。  
薄い尻肉から直に伝わってくる細かいわななきに同調し、ジェットの剛直が大きく脈打つ。  
「にゃふっ、ん……。ふぁ、すごく、じんじんするぅ……、んん、きゅう……」  
人差し指と中指を互い違いに動かして、薄い外側の襞を何度もなぞり、エドは甘い喘ぎを洩らし始める。  
合わせ目から滲んできた新たな雫を指の腹で掬い取ると、それを馴染ませるように粘膜へ擦り込んでゆく。  
エドの指先はすぐに唾液とは違う潤いに濡れ、その動きをより滑らかなものへと変えていった。  
 
「んっ、にゅふぅ……。エドのここ、いつもより早く、ぬとぬとになってくるぅ……」  
「オ、オメェ、いつもよりって、いつからそんな事してたんだ……?」  
「えっとね、だいぶ前からだよっ……。こうすると、すごく気持ちいいの……、っん、くぅ!」  
快楽に息を弾ませながら、エドはジェットの問いへ半ば上の空で答え、熱心に秘所を慰め続けた。  
顔は股間に向けたまま、その意識が肉の悦びに没入している事を、声の響きと指の動きでジェットに指し示す。  
ひくつく襞へ指の腹を宛がい、くるくると円を描いて捏ね回し、湿った肉の擦れる音を響かせる。  
眼前で繰り広げられる少女の痴態に、ジェットの自制心は更に薄れ、視線はその場所へ釘付けになっていった。  
「んん……っ、ほら、見てぇ……? エドのここ、指ならもう、入るんだよっ……?」  
「う、んぐ……」  
どこか自慢げに告げながら、エドは中指を小さくうねらせ、濡れた肉の狭間につぷつぷと沈め出した。  
すでに何度も試した事があるのか、細い指はさしたる抵抗も無く柔らかな襞を掻き分け、奥へと進んでいく。  
その淫らな光景に、ジェットは無意識のうちに喉仏を大きく動かして、グビリと唾を呑む。  
「そんでねっ……、中をぐりぐりしながら、ここんとこをいじると……、んっ、にゃぁん!」  
「エ、エド……」  
「んきゅうっ! 頭がっ……、ふわふわしてっ、お腹の奥が、熱くっ……、んふぅっ!」  
第二関節の辺りまで埋まった中指が、きつい入り口を広げるように内部をまさぐり出す。  
同時に親指がその上にある豆粒ほどの突起を押し潰し、丸めるように刺激して、快楽を引き出していく。  
「あはっ、ジェットの硬いの……。おしりの下で、ぴくぴくしてるぅ……、あ、んぁっ……!」  
小さく腰を揺すり、尻に敷いた剛直の感触を味わいつつ、エドは手首を曲げて中指を根本まで挿入した。  
そのままスナップを利かせて膣道を攪拌し、包皮から頭を覗かせた陰核をくちくちと弄る。  
緩んだ襞の合わせ目から、少し泡立った蜜が手の甲を伝わり、つうっと糸を引いてジェットの腹に滴り落ちた。  
 
「はぁ、はぁっ……。このくらいしたら、もう入るかなぁ……?」  
「あ……、い、いや待て、エド……」  
しばらくして、エドは人差し指も秘裂の中へ潜らせると、具合を確かめるようにくぱっと割り開いた。  
程よく解れた幼い秘洞は、けれど指二本だけでほぼ埋め尽くされ、奥へと続く道はほんのわずかしか窺えない。  
自分のモノが入るとはとても思えない細い隙間に、ジェットは今更ながらに怯んだ様子で、掠れた声を出す。  
「待てないよっ……。エド、お腹の奥がうずうずして、もう我慢できないのっ……」  
「っておい、エドっ……」  
しかし、エドはふらりと上体を起こすと軽く腰を浮かせ、ジェットの股間に期待を込めた視線を落とした。  
続けて反り返った肉棒に手を掛け、大きくくつろげたままの入り口の真下へ、垂直にそそり立たせる。  
ジェットは抗うように腰を動かすものの、その動きはあまりに頼りなく、エドの手を振り解くには至らない。  
興奮に乾いた唇をチロリと舌で湿らせると、エドは小さな尻をぐっと下ろしていった。  
「ん、にゅうっ……! うにゃあ、ちょっと、きついっ……」  
「だっ、だから無理だっての……」  
亀頭の半ばを飲み込んだ処で、エドはつかえたように腰の動きを止め、少し苦しげに呟いた。  
いくら濡れ切っているとはいえ、やはり小さ過ぎる膣口は、太い剛直をすんなりと受け入れる事は出来ない。  
今にも裂けそうなほど突っ張った秘唇の痛々しさに、ジェットは気遣わしげな声色で告げる。  
けれど、エドは眉間に深い皺を寄せつつも、駄々をこねるようにふるふると首を振る。  
「だい……じょうぶっ、こうすれば……っ、んっ! ほらぁ、ちょっとずつ、入って、くっ……!」  
「おっ、おいおいっ……!」  
節くれ立った剛直をしっかりと掴んで腰を揺り動かし、エドは強引にジェットの肉棒を膣内へ押し込んでいく。  
上体の重みと腕の力を合わせ、きつく締まる肉襞の狭間をこじ開けるようにして、奥に導こうとする。  
硬い幹が幼い秘裂へずぷずぷと埋没していく様を、ジェットは信じられないといった顔で眺めていた。  
 
「んんっ、ふっ、んにゅっ! ……えへっ、これ以上は、もう入らないみたい……」  
やがて、根本までまだかなり余裕を残した処で、ジェットの亀頭はくきゅっと硬い肉壁へ辿り着いた。  
何度か腰をくねらせ、そこが終端だと確認したエドは、寄せていた眉を開いて小さく笑みを洩らす。  
内側から押されて浅く膨らんだ臍の下へそっと手をやると、満腹した後のように満足げに撫でる。  
「あはっ、ジェットので、エドのお腹ぱんぱん……。それに、中ですごくドキドキしてる……」  
「な……。エド、オメェ、痛くねえのか……?」  
「うんっ……。ちょっときつきつだけど、別に痛くないよ……?」  
「ぐっ……」  
訊ねるジェットへコクリと頷き、エドは下腹に当てた掌をぐりぐりと押し付け、中の肉棒の感触を確かめた。  
圧迫された内壁がその動きに合わせて剛直をぬたりと舐め、ジェットの背筋を悦楽の波動が駆け抜ける。  
成熟し切っていない細かな肉襞と、温めた蜂蜜のような潤いのぬめりが、痺れるほどに心地良い。  
思い切り握った時に匹敵する強烈な締め付けが、熱を帯びた粘膜の柔らかさをいやと言うほど実感させる。  
それだけで暴発してしまいかねない甘美な感触に、ジェットは喉の奥でくぐもった呻きを洩らす。  
エドはそんなジェットの表情を蕩けた視線で見下ろしながら、彼の胸板にぺたんと両手を突いた。  
「んじゃあ、エド、ぱこぱこするね……?」  
「ちょ、ちょっと待て、こいつぁ……うっ!?」  
「ん、っしょ、んしょっ、んっ……」  
慌てるジェットの台詞を無視し、エドはゆっくりとした動きで尻を上げ、小刻みに動き出した。  
軽く背を反らして腰を引くと、幹に吸い付いた外側の襞がちらりと姿を見せ、雁の裏が内部の段差を引っ掻く。  
静々と尻を沈めれば、引き出された陰唇がわずかにめくれ、先端が最奥にコツリと当たる。  
膣内を埋め尽くす初めての感触に多少のぎこちなさを見せながらも、エドは腰を上下に動かしていった。  
 
「はっ、ん、はぁ……! ジェットのがっ、エドの中、ずんずん、突いてるぅ、んっ、ん……っ!」  
「う、ぁ……!」  
額にうっすらと汗を滲ませ始めたエドは、ジェットの上でゆるやかに腰を使いつつ、うわ言のように呟いた。  
昂ぶった感情に後押しされ、狭い膣道には次から次へと淫らな雫が湧き出し、篭った水音を立てる。  
まるで無数の舌で嬲られるような、複雑で奥深い快楽に、ジェットの頬がピクピクと痙攣する。  
早くも要領を掴んできたのか、エドの動きからは次第に固さが抜け、その速度を増していった。  
「あ、んぅ……。それでっ、いっしょに、こうやって、ぐりぐりって、するのっ……、んっ、ふぅん!」  
「くっ、う!」  
「はぁっ、んっ、にゅうっ……! お腹、いっぱい、掻き回されてっ、くふ、んんっ……!」  
エドは切れ切れに呟くと、小振りな尻で左右へ螺旋を描き、単純な上下の動きに捻りを加え出した。  
硬い剛直が膣内での角度を変化させ、それによって強く擦れ合う場所も様々に移ろってゆく。  
腰を大きく振り下ろす度に、押し出された豊かなぬめりが溢れ、幹から根本へと伝う。  
膣内を縦横無尽に抉る肉棒の感触に身悶えるエドは、続けて華奢な肢体をゆさゆさと前後に揺らし始めた。  
「それっ、からっ……! こうしてっ、行ったり……っ、来たりっ……、してっ……!」  
「うっ、くぁ!」  
粒立った腹側の内壁に、張り出した雁の裏をぞるりと舐められ、ジェットは悲鳴にも似た声を洩らした。  
一際狭い膣口が、剛直のくびれから幹の半ばにかけてを、大きなストロークで何度も擦り立てていく。  
濃厚に漂い出した甘酸っぱい少女の蜜の香りが、ジェットの鼻腔に忍び込み、残り少ない理性を麻痺させる。  
「んにゅ、ふっ……! エドっ、だんだん、良くなって、きたぁっ……、んん、あっ……!」  
劣情をそそるエドの喘ぎ声と、ますます滑らかになってゆく粘膜のうねりに、硬い肉棒がピクピクと震え出す。  
やがてジェットの股間には、むず痒いような射精への欲求が宿り、じりじりとその圧力を高めていった。  
 
「あっ、んっ、はぁっ! エド、いいっ、すごくっ、んっ、きもち、いいよぉっ……!」  
「くっ、そ……! マズいっ、それだけはっ、いかんっ……!」  
淫らな睦言を放つエドの下で、ジェットは膨れ上がる衝動を押さえ込もうと、強く自らへ言い聞かせた。  
避妊という観点から見ればすでに手遅れであるし、そもそもエドに生理が来ているかどうかも疑わしい。  
けれど、このままエドの中で達するのは、彼女の行為に完全に屈してしまう事を意味する。  
もはやほとんど意地だけで、ジェットは疼く股間へ渾身の力を込め、弾けそうな欲求へ懸命に抗った。  
「あはっ、ジェットの、また、おっきくなるっ……! なかで、むくむくって、んっ、あ、にゃあん!」  
「ぐっ……、くうっ、ちぃ、くっ、そ……!」  
「ジェットも、きもち、いいのっ……? エドの、なかっ、きもちっ、んんっ、いい……のぉっ?」  
しかし、力強さを増したジェットの剛直に、却ってエドは興奮を深め、更に激しく腰を打ち振るい出した。  
張りのある内股がジェットの腰をたぱたぱと叩き、最奥の硬い肉壁が亀頭をごりごりと押し潰す。  
火がついたような勢いで注挿を繰り返しつつ、エドの声は天へ駆け上るかの如く高まってゆく。  
「ふあっ、んっ、エドも、いいよぉ……っ! あたま、くらくらしてっ、んは、んっ、んぅん!」  
「くぁ、はっ、くおっ、はぁ、ううっ!」  
「ここもっ、びんびんしてっ、ああっ! んくぅ、すごいっ、すごいよぉっ!」  
踊るように身をくねらせながら、エドは片手を秘所に伸ばし、ぴんと隆起した陰核を弄り始めた。  
細い指先が敏感な突起を捏ねる度、熱い秘洞がきちきちと締まり、強い摩擦を生み出す。  
エドは高らかに歓喜の声を上げ、艶やかな赤毛を振り乱し、相乗された肉の悦楽に酔い痴れていく。  
「ぐぅ、うぁ、だっ、駄目だっ、エド、もうっ……!」  
生理的な欲求を無理に堪える、脳が灼き切れるような狂おしい苦痛が、ジェットの意識を責め苛む。  
限界が迫った彼の亀頭は、取り巻く肉襞の中でひくひくとわななき、破裂しそうなほどに膨れ上がっていた。  
 
「あふっ、ん、ジェット、でそうっ!? エドの、なかでっ、しろいの、でちゃい、そうっ!?」  
「うっ、ぐあっ、くっ、そうだっ、だからっ……!」  
「んんっ、いいよっ、だしてもっ! エドもっ、もうすぐ、きそう、なのっ! んっ、あ、んふ、んっあっ!」  
「なっ……! このっ、クソバカっ、やめろ……っ!」  
とうとう自らの昂ぶりを認めたジェットに、エドは嵩に掛かったように動きを速め、最後の快楽を貪り出した。  
大きく背を反らし、ギシギシとベッドを軋ませて、小さな尻を小刻みに激しく上下させる。  
恍惚の表情で訴えるエドに、ジェットは切羽詰った口調で毒づく。  
けれど、もはやその言葉の意味すら理解できない様子で、エドは急速に極みへと昇りつめていく。  
ひくつく肉襞の連なりが、官能の昂ぶりに合わせて妖しく蠕動し、男の精を求める。  
「んふぅ、エドっ、くるっ、きそうっ、きちゃうのっ、ジェットぉ、んっ、ああ、あんっ!」  
「やめ……っ、ぐぬっ、おっ、くっあ……!」  
「きてっ、ジェットもっ、あっ、くるっ、きちゃうっ、あっ、……くるうぅぅっ!」  
「ぐっ、……うぉおおぉっ!」  
一際甲高い叫びと共に、エドは大きく天を振り仰ぎ、華奢な肢体を悦楽に震わせた。  
きゅんっと絞り込まれた膣内が、ふわっと脱力した拍子に、ジェットも獣のように唸って堪らず絶頂に至る。  
堰き止められていた反動で、脈動する剛直の先から、大量の白濁が止め処なく噴出する。  
狭い膣内に収まり切れない精の迸りがエドの蜜と混じり、結合部からコポリと音を立てて零れ出す。  
「はぁっ、はぁ、でて、るぅ……。あつくて、しろいのが、いっぱいぃ……」  
「おあ……、ぐっ、うぁ……」  
うっとりと呟くエドの下で、強烈な開放感とそれに倍する敗北感に、ジェットは虚ろな呻き声を洩らす。  
脱力した身体とは対照的に、膣内で力強く跳ねる肉棒は、溜まった精をエドの中に吐き出し続けていた。  
 
                      ◇  ◇  ◇  
 
「ったく、ジェットの奴、朝メシも作んねえで、何してやがんだよ……」  
その翌朝、スパイクは不機嫌な顔でブツブツぼやきながら、船内の通路を歩いていた。  
普段は彼が起きる前に朝食を準備しているジェットが、今日に限って一向に部屋から出てこない為だ。  
非常に珍しい事ではあるが、空きっ腹を抱えたスパイクにとっては、そんな事より先ずは食事である。  
スパイクは彼の私室の前に辿り着くと、まるで壊すような勢いでドアを叩き、大きく声を張り上げた。  
「おおい、ジェットさんよぉ! いつまで寝てんだ、もうとっくに朝だぞっ!」  
しかし、死者でも飛び起きそうな音を立ててドアを乱打しても、中からは全く返事が返ってこなかった。  
むきになって裏拳を打ち、蹴りまで交えて何度も怒鳴るが、いつまで経っても何の反応もない。  
苛立ったスパイクは、短く舌打ちして後ろに下がり、閉ざされた扉を親の仇のように睨み付ける。  
「くっそ、どうしてくれよう……。って、なんだ、鍵開いてるじゃねえかよ」  
扉のロックが外れている事に気付き、スパイクは決まり悪げに呟いて、脇にある開閉ボタンを押した。  
部屋にはいないのかも知れないと思いつつも、一応念のためにと、ひょいと身を乗り出して部屋の中を覗く。  
けれど、スパイクの予想に反し、ジェットは彼に背を向けて、ベッドの上で膝を抱えて座り込んでいた。  
「おいジェット! 起きてたんなら返事ぐらいしろよなっ!?」  
「…………」  
スパイクは憤然と苛立ちをぶつけるが、それでもジェットはまるで彫像のように、ピクリとも動かなかった。  
完全に無視された格好のスパイクは、こめかみに薄く青筋を浮かべ、大きく足音を鳴らして彼に近づく。  
「おいって言ってんだろ!? お前、一体何して……うっ!?」  
強引に肩を引き起こしかけたスパイクは、ゆらりと振り向いたジェットの顔を見て、思わず言葉を失う。  
その顔は地獄の幽鬼もかくやとばかりにやつれ、血走った目は死んだ魚のように虚ろな光を宿していた。  
 
「あぁ、スパイクか……。オレに何か用か……?」  
「い、いや、だから、朝メシをだな……」  
地の底から響くかの如き低い声に気圧されて、スパイクはしどろもどろに答えを返した。  
ジェットとの付き合いも長いが、ここまで徹底的に落ち込んだ姿を見るのは、スパイクも初めての事だ。  
たじろぐスパイクから視線を外し、再び膝の間に顔を埋めると、ジェットは力の無い声でボソボソと呟く。  
「オレはいらねえ……。とてもじゃないが、そんな気分になれん……」  
「そ、そうじゃなくてだな……。つうかお前、どうしちまったんだ? またフェイに身ぐるみ剥がされたのか?」  
「訊かねえでくれ……。思い出したくもねえんだ……」  
空腹を脇において、スパイクが気遣わしげに問い掛けても、ジェットはもう顔を上げようともしなかった。  
息が詰まるようなどんよりとした雰囲気が、身動きするのもはばかられる程の重圧となって部屋中に漂う。  
スパイクがどう対処したらいいものかと立ち尽くしていると、ジェットは深々と溜息をついて身体を丸める。  
「悪いが、しばらく一人にしてくれ……。もう少ししたら、何とか立ち直るからよ……」  
「おっ、おう。じゃ、邪魔したな……」  
ジェットの言葉にカクカクと頷くと、ジェットは足音を忍ばせて後ずさり、異界と化した部屋から脱出した。  
扉を閉めてジェットの姿を視界から遮ると、肺の中身を入れ替えるように大きく深呼吸する。  
改めて見ると、塞いだドアの隙間から、ドロドロとした黒いオーラが漏れ出しているようにも感じられる。  
「ふう……。ありゃあ、しばらく使い物になんねえな。しゃあねえ、今日の処は缶詰でも食うか……」  
妙に疲れた顔でガシガシと頭を掻くと、スパイクは肩を竦めてリビングへと戻っていく。  
結局、ジェットがどうにか精神的再建を果たしたのは、それから更に2日後のことであった。  
 
〜END〜  
 

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