「もういちど 歌ってくれないか」  
BEBOPは地上に停泊中。空にはぼんやりとした暗闇が広がっていた。  
「夜風に吹かれて考え事とは、さすがロマニーだな」  
ハッチの外で空を見上げていたフェイの後ろに、スパイクが立っていた。  
「別になんも考えてないわよ」スパイクはフェイの隣に腰を下ろす。  
「それは失礼をいたしました」  
「あんたも眠れないの?」「まぁね。お前は?」  
「あたしも最近なんだか・・・ね」  
フェイは柵に頬ずえをつき、夜の闇を見つめた。  
「なぁ。頼みがあるんだが」「・・・高いわよ?」珍しい彼からの頼みごとを、  
こんな風に返すあたりが彼女らしい。  
「俺がヴィシャスの元から帰ってきたときに歌ってたあの歌・・・もう一度歌ってくれないか?」  
「・・・・今追ってる賞金首、取り分二割増し・・・ってとこかしら」  
 
「ジェットが何て言うかな」  
「音痴の歌でもよろしーんですこと?」フェイは嫌味っぽくスパイクの肩に腕を置いた。  
「そう言うなって」  
 
乾いた空気に彼女の歌声は拙く流れる。  
やる気のない鼻歌ではあったが、スパイクは聞き入った。  
目を閉じているので、聞いていないのかと途中で止めると  
「続けてくれ」  
と言った。  
まるで子守唄をせがむ子供の様に。  
 
ふっ・・・とスパイクの姿を見ると、フェイは息を呑んだ。  
なんて顔をしているのだろう。  
「・・・・・・・・どうした?」  
フェイはスパイクの小さく・・・小さく震える体を横から抱きし締めていた。  
「____あんたは、卑怯よ___」  
そのままデッキに崩れると、彼の唇をキスで塞いだ。  
何の抵抗もしない彼の身体を、愛しむ様に抱く。  
   
スパイクの様子がおかしいのには、気付いていた。  
多分この船の誰もが。  
おそらくあの日から。  
「もう一度歌ってくれないか」  
そう言ったスパイクの表情を思い出し、フェイの胸がチクリ、と痛んだ。  
 
さっきまでフェイが「まずった・・・?」と思うほどに何の反応もしなかった彼だが、  
もう一度キスをすると、彼の方から自然と舌を絡めてきた。  
「ん・・・・ふぅ・・・・・・・んぅ・・・」  
快感に酔いながら、フェイはスパイクの上着を脱がせると、  
シャツのボタンを二、三個外し、掌を彼の肌に這わせる。  
 
爪先が突起に触れると  
「ぅ・・・・・・」  
と、小さく声を漏らした。  
その瞬間のスパイクの表情は、女から見ても色っぽかった。  
(なによ・・・)  
ちょっとムッとしているフェイに、事が始まってから初めてスパイクが声をかける。  
「痛いんだけど」  
フェイのきれいに伸ばされた爪が、皮膚に食い込んでいた。  
「ごめん」でも手はどかさない。  
「いいさ」  
馬乗りになったフェイをどかすと、座ったまま向き合い、今度はスパイクの方からキスをした。  
どちらからともなく絡み合う舌と舌。  
スパイクの唇は、そのまま下へと降りていく。  
白い首筋に舌を這わせると  
「はっ・・・・・ぁん・・・」  
と、甘い吐息を吐いた。  
服のジッパーを下ろし、下着を外すと、月明かりにフェイの白い肌が浮かび上がる。  
上半身が露になったフェイを見つめるスパイク。  
「綺麗だ」  
 
フェイを床に倒すと、その雪のような肌を舐めた。  
首筋から鎖骨、鎖骨から胸へと位置をずらしながら。  
「・・・・っふ・・・・・・・・」  
   
『子供みたい・・・』乳房に吸い付く彼を見やりながら、フェイはスパイクを  
愛しく思った。  
だがやはり子供とは違う。今まで重ね合わせていた手の片方が解かれ、  
下腹部へと降りてくる。  
骨ばった指先の動きに、彼を感じる。  
「ん・・・・あっ・・・・!・・・・・」  
胸を舌で弄りながら下を指で攻めてくるスパイクに  
身もだえをする。  
 
スパイクはフェイの後ろへ回り込み、抱え込む体制になった。  
「ん・・・・ふっ・・・・」  
スパイクの薄い唇が、ついばむ様に胸の突起に触れる。  
そして大きな掌で、形の良い膨らみを包み込む。  
フェイはピクンと俯き、  
「冷たい手」  
とつぶやいた。  
スパイクは、片方の手を乳房から放し、スカートの中へと滑り込ませた。  
「これから暖めてくれるんだろ?」  
「・・・・っ・・・!!!」  
冷え切ったスパイクの指先が、フェイの最も熱い場所に触れた。  
「ん・・・あ、は・・・」  
スパイクの指先が、自分の中で徐々に暖まっていくのが感じ取れた。  
もう片方の手は、乳房を包んだまま、尖った部分を弄ぶ。  
「も・・・ぉ・・あんたばっかり・・・ずるいんじゃない?」  
 
「ずるくなんかないさ。  
・・・・・・そっちこそ、自分ばっかりずるいいんじゃないか?」  
スパイクは、フェイの中から指を引き抜いた。  
その指に付いたフェイの感じた証、テラテラと艶かしく光る液体を、  
彼女の耳元でわざとらしく音を立てて舐める。  
「・・・バカ」  
すかさずもう一方の手で、とろとろになった秘部をまさぐる。  
「ひぁ・・っ」  
感覚的な刺激と、聴覚的な刺激が混ざり合う。  
耳元でスパイクの吐息が漏れる。  
フェイの背筋が「ゾクリ」と震えた。  
もちろん、寒さのせいでもあるのだけれど。  
フッとフェイがスパイクの方を振り向くと、どこか苦しそうな表情を浮かべている。  
今二人は、フェイをスパイクが後ろから『抱っこ』する形になっている為、  
フェイの背中で、スパイクの大きくなったものが窮屈そうにしていた。  
「・・・・」  
フェイはスパイクの手にそっと触れ、動きを止めると、  
クルリと向きを変え、スパイクを押し倒す。  
今日、この体制になったのは二度目。  
 
「確かに、あたしばっかりずるいわね。」  
フェイはくすりと微笑むと、スパイクのズボンのジッパーを下ろした。  
そこには痛いくらいに張り詰め、膨らんだ男根があった。  
フェイは少しだけそれに触れ、優しくキスをする。  
「・・・・っつ!!!」  
スパイクの表情がゆがむ。  
この体制になると、決まって彼は無抵抗になる。  
歌をせがまれたときから、分かっていた事。  
彼の心は自分にはないと言う事。  
ただ、あんな表情見てられなくて。  
「・・・良い?」  
「今日はお互い、少し変だ」  
スパイクが息を付きながら答える。  
「−−−−−そうね。」  
スパイクはフェイのほほにそっと触れた。  
フフっと笑うと、自分から腰を下ろす形でスパイクのものを飲み込む。  
「んっ・・は」  
スパイクはフェイの両腕を掴んだ。  
最初はゆっくりと腰を動かす。  
夜の静寂にに、いやらしい音が響き、吸い込まれる。  
「っ・・・う・・・」  
スパイクが小さく声を上げる。  
少し、フェイの腰を振る速度が上がる。  
「ぁんっ・・あっ・・・は・・・・っ」  
スパイクの手がフェイの綺麗な曲線を描く腰を掴んだ。  
「!あぁぁっ・・いっ・・・あんっ・・!!!」  
ずぶっとより深く腰を引き落とす。  
フェイが動くたび、美しい髪が揺れ、豊満な乳房が上下に動いた。  
 
規則的な息づかい。  
周りの空気が冷たいのかどうかさえ分からなくなる。  
スパイクが薄く開けた瞳が、ぼやけた月の光に揺れた気がして、  
目を合わせる。  
とたんに一瞬眉をひそめる。  
「ぅ・・・・・っ」  
「はっ・・・あァぁあっ」  
ドクドクと、熱いものがフェイの中に放出された。  
ガにメデの濁った空気。  
ぼやけた空の遥か彼方。  
白み始めた夜に、  
星がひとつ消えた。  
 

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