「ねえねえ〜『キス』ってどんなもの?」
今日は何もすることがなくソファーで眠たそうにしているスパイク
にエドが問いかける。「ああ!?・・・最近のガキはすごいな」
「フェイフェイがいってたよ?」
ズルリ。。スパイクがソファーからずり落ちる
「最近してないんだって」
さらにあきれてスパイクがつぶやく。
「子供に何いってんだあいつは・・・」
「キスってとっても気持ちいーんでしょお?
ふわふわ〜ってしてぇ〜、とろ〜んてしてぇ〜、
とぉっても幸せ〜*なものなんでしょ???」
オーバーなアクションつきでエドが言う。
「それもあいつが言ってたのか?」
「うん!フェイフェイに教えてもらったの」
「へぇ・・・あいつがねぇ・・・・」
少し驚いた様に言うスパイクを、大きな瞳で、
まるで小動物の様に覗き込む。
「?なんだ?」エドの顔は明らかに何かを企んでいる時のものだ。
「ちゅっ」ドサドサっと二人はソファーから落ちた。ふいに迫ってきたエドの顔を、
スパイクがとっさにかわしバランスが崩れたのだ。
「痛って・・・・・なんだぁ!??」エドの唇はスパイクの顎に直撃していた。
「あぁ〜ん。避けちゃだめだよっっ!」「はあ??????」尚も状況がさっぱりわからないという様子の彼に、
エドは迫った。「おいおいおい。何だってんだまる」「エドもね、エドもふわふわ〜ってしたい〜!!」
スパイクはあきれた様な表情で、全てを悟った。彼女は今キスという行為に興味深々であり、
その探究心を満たすためのターッゲットに自分がロックオンされているのだと。
「ちょ、ちょっと待ておい!」
子供相手に本気で抵抗するわけにも行かず、スパイクは押し倒される格好になった。
「にゃはは〜、覚悟〜!」
(全くあの女・・・余計なこと教えやがって)
「でわでわ。ん〜〜〜・・・ふがっ!!???」近ずいたエドの顔を手のひらで受け止めると、
真剣なかおをして自分と向かい合わせて座らせた。そして彼女の顎に手をやり、
ぐいっと口ずけた。「!」・・・・・・・「やられっぱなしは性に合わないんだよ」
唇を離し、スパイクは立ち上がった。
「幸せ〜、ってのは好きなやつとのキスまで、とっとけ」
そう言うとスパイクは立ち去った。
「あらやだ、やぁーるじゃない旦那ぁ」通路ですれ違い様に声をかけたのはフェイだった。
「お前・・・・・」「あたしもふわふわとろ〜んなキスしてほしい〜」
わざとらしく猫なで声でスパイクの肩に手を回す。
スパイクは「はっ」っと鼻で笑い、すたすたと歩いていった。「ち、、ちょっとぉ!何よそれえ!あたしよりガキンチョのがいいってのぉ〜!??」
スパイクの言葉の意味を考えながら、座り込むエド。
ため息をつくスパイク。
一人モヤシだらけのチンジャオロースを食べるジェット。
アインに愚痴をこぼすフェイ。
フェイにつかまりうんざりなアイン。
BEBOPの悩みは深い。
完