ふとスパイクが目を覚ますと、そこにはぺデキュアをしているフェイがいた。  
いつも彼が昼寝をしているソファーの前の小さな椅子で、テーブルに足をかけて熱心に足の指を彩っている。いつもならエドがぺデキュアの担当だが、今日はジェットと食料の買出しに行っている。多分二人とも夜にならないと戻らないだろう。  
(全く熱心な事で…)  
気にせず寝返りをしようとした時だ。  
上げられた足の付け根の部分が微かに見える。  
フェイはゆるやかな短パンをはいて下着を着けていない。奥のうっすらとした茂みが少し見えている。スパイクはそこの部分に目が釘付けになってしまった。  
フェイに恋愛感情は無い。それでも彼は健康な男子である。それは正直な反応だ。  
(やべえ…)  
このままでは泥沼にはまってしまう。スパイクは欲望を振り切るように  
寝返りをうとうとした。その時だ。  
 
「あんた、なに見てるのよ」  
フェイが密かな彼の視線に気が付いた。  
「見てたのは知ってるのよ、スケベ」  
スパイクは自分から覗いた訳ではない。まったく勝手な女だ。睨みつけるフェイを前にとぼける事も出来なくなった彼は仕方なく起き上がった。  
「何だよ、何も見てねぇよ」  
大袈裟にぼりぼりと頭を掻く。  
「分ってるんだからね、男ってまったくしょうがない」  
その言い方にスパイクはカチンと来た。  
「なに、言ってるんだよ、勝手にそこにいたのはお前だろ?」  
「ほらやっぱり、見てたんだ〜」  
「見てたと言うか見えたんだよっ!お前も見られたくないんならこんなとこでそんな格好でするな!パンツもつけてねぇくせに!」  
フェィが一瞬驚いた顔をする。そしてにやりと笑った。  
 
「しっかり見てるじゃん、じゃあここは?」  
フェイが素早くテーブルを越えて彼に近寄った。そして彼の股間に一瞬触れる。  
「ふふふ、しっかり反応してるんじゃん」  
とぺろりと舌なめずりをした。スパイクの頭に警鐘が激しく鳴る。  
「少しは恥ずかしがれよ…」  
そんなスパイクの反撃も力が無い。  
「したいんでしょ?」  
目の前で身をかがめているフェイの胸の谷間が彼女の言葉に合わせて揺れる。スパイクは目の前がぐるぐる回る気がした。  
フェイは下着を着けていなかった。それはいつもの彼女の習慣だ。  
今までそれを気にした事は一度も無かった。いや、それが元々妙な事だったのかもしれない。いい歳をした男と女が近くにいて何も起こらないのは。  
スパイクには心に留めている女がいる。だが、心と体は別なのかもしれない。  
 
フェイの手が熱い彼自身の戒めを開放しようとした時も彼は止めはしなかった。  
ズボンのファスナーが下げられ、押し込められていたものが露わにされる。  
赤い口紅が塗られたフェイの口がそれに触れる。  
ぞくぞくとした感触。スバイクは背筋を走るその快感に一瞬身をさらわれた気がした。  
「…こっちにケツを向けろよ」  
フェイは何も言わず彼の言う事に従った。スパイクは彼女の短パンを下げた。  
彼女は彼の顔に跨り、一心に彼の高まりを口で慰める。そして彼も昂ぶった小さな  
彼女を舌でいじめる。お互いの快感を高めてそして深みに入っていく。  
 
いつもの二人の軽い様子とは違う、何かにすがるようなそんなひたむきなものがある。どこにも帰る所が無い二人、誰にも頼れない二人。スパイクとフェイはどこかが似ている。  
スバイクは手を伸ばして彼女の乳房に触れた。手に余るような柔らかなたっぷりとした質感だ。その頂点の固く引き締まった所を指先で捏ねまわす。  
「あっ」  
思わず口を離したフェイが声を上げる。  
「ズボンを脱がせろよ。きつくて仕方が無い」  
スパイクが彼女に言った。  
フェイはかちゃかちゃとスパイクのベルトをはずし、ズボンを下ろした。  
「入れてやろうか」  
立ち上がる彼自身を愛撫するフェイにスパイクが言う。  
「あんたが入れたかったらね」  
 
冷静なフェイの声。スパイクからは彼女の表情は全く見えない。  
一体どんな顔をしてこんな台詞を吐くのか。可愛くない女だ。  
スパイクは身をずらせて体を起こすと、濡れている彼女の泉に後ろから突き入れた。  
「あっ、ちょっと、あああっ!」  
さすがのフェイも突然の彼の侵入に驚いたようだ。熱く大きな塊が遠慮もなく奥まで入り込む。  
そしてもう一度手前まで引き戻されてそして奥まで突き上げられた。  
「やぁっ!ああ、ん!」  
彼女の背が弓形になる。  
「ス、スパイク、ちょっと待って…」  
苦しい息の中からかろうじて彼女が言う。  
「待てねぇよ」  
フェイの腰を掴み、男の力で突き上げる。彼女の中の自分がきつく締め上げられ、  
それを感じ取った彼は一度彼女の中から自分を抜き、フェイを仰向けにさせた。  
 
「スパイク、いや、この格好は」  
「どうして?」  
彼は彼女の足首を掴み、その奥へと入り込む。ぬめった水音が激しく続く。  
「いや、ああっ!」  
フェイは自分の顔の前に腕を上げた。恥ずかしいのだろうか。スパイクはその腕を掴んだ。  
「いつもと違う顔を見せてみろよ」  
フェイはうっすらと目を開けて、すぐにぎゅとつむり顔を背けた。  
眉をしかめて上気した顔。スパイクが突き上げるたびに声が洩れる唇。  
「お前、案外と可愛いな…」  
彼女の耳元に唇を寄せてスパイクが囁いた。  
フェイは彼の首筋に腕を絡めた。スパイクの動きが早まり彼女を追い詰める。  
そして強く包み込む彼女の中でスパイクははじけた。  
 
「バカ、もう、中出ししてっ!」  
フェイはかんかんに怒っていた。  
シャワーを浴びてさっぱとした二人は何事も無かったかのように別々の所に座る。  
今ジェットとエドが帰って来てもさっきまでのことは気が付かないだろう。  
「悪い、悪いなあ」  
にやにやとスパイクが笑った。  
「でもまあなかなか良かったぜ。また今度しような」  
その今度がいつなのかフェイにも想像がつかなかった。だがスパイクが囁いた一言が彼女の心に残る。  
(私に可愛いなんて)  
スパイクには本当の自分を見られた気がする。彼は私の事を分かってくれるのかもしれない。  
だがフェイはこの男の心に誰かがいるのを感じていた。胸が少し痛む。  
「今度はお金、よこしなさいよっ!」  
素直になれない自分。でもそれもいいのかもしれない。  
フェイは塗りかけのぺデキュアの続きを始めた。今度は彼からは見られない階段のところで。  
 
 

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