あの時、ジローに血を分けて以来、それまで以上に異性として気になるようになってしまった。
『レッドとブラック・・・・この差はどうやってもうめられないのよ、ミミコ!!』
そう自分に言い聞かせても気持ちだけがどんどん膨らんでいく。
ジローの艶やかな髪、切れ長の瞳、紳士的な仕草、声、そして・・・牙までもがミミコの気持ちを高ぶらせてしまう。
『もう一度、ジローさんに血を吸われたい・・・・』
なんて思ってしまう自分に嫌悪感が無いはずは無い。自分は調停員だぞ、何て事をかんがえてるの!!
しかし調停員としてでは無く、『女』としての『ミミコ』が彼を・・・ジローを求めてしまっているのだ。
彼に触れられたい、そっと髪を撫でて欲しい、優しくて甘いあの声で名前を呼んで欲しい・・・。
ミミコの指先は無意識に己の秘所へ・・・・。
『ジローさん・・・ジローさん・・・・。』
譫言のように繰り返し彼の名前を呼び続け、刺激を与える。
空いている左手で、まだ成長しきっていない柔らかな自分の乳房を揉みしだく。
一番敏感な先端をつまみ、堅くさせながら乳房全体もいやらしく揉む。
こんな自分を彼に見られたらどうしよう、そんな羞恥心が一層ミミコの欲望に火を付けてしまう。
『ああ・・・あたし、最低だ・・・。』
分かっていても、自分の指は止められない。
もっと強く抱きしめて。
もっと名前を呼んで。
もっと私を・・・・必要として・・・・。
ジローの血統が抱える、悲しい結末。この未来はどうやっても変える事が出来ない。
彼はあの時、今まで見たことのない・・・まぶしいくらいの笑顔で自分に打ち明けてくれた。
あれ以来、彼がいつか居なくなってしまうという恐怖が自分の中にあるのだ。
いつか、あたしを抱いてくれる日が・・・くるといいな・・・・。
ただの慰めでもいい。『彼女』の代わりでもいい。
その日が来るまで、ミミコは寂しい夜を自らの指で紛らわすのであった。