銀色――だ。  
片目に天使を宿らせた少女は、目の前で満足そうに裸体をさらす銀髪の男、  
ダーク・シュナイダーをじっと見ていた。  
天使と悪魔の戦いに巻き込まれるという最悪の状況の中、突如として現れ、  
自分たち戦えない人間を悪魔の攻撃から護って身体がバラバラになった魔法使い。  
驚くべきことに、彼は身体を失い、首だけになっても死んでいなかった。  
たまたま生首状態のD・Sの近くにいた少女は、  
首だけになって騒いでいるD・Sを拾い上げ、彼の身体の代わりをしてやった。  
そのD・Sが天使長ミカエルの放った攻撃のエネルギーを取り込み、  
復活を果たしたのはついさっきのことだ。  
――光に透けて、銀色だ。  
少女はこの謎めいた男、D・Sに興味を持っていた。  
出合ってからまだほんのわずかしか経っていないというのに、どうしてこんなにも惹かれるのか。  
少女は、自分の中に芽生えたその疑問の答えを探すように、じっとD・Sを見つめた。  
 
銀色の男は美しかった。  
地獄の世界に射す光に透けて、銀色に光る彼の長髪に見とれてしまう。  
この数年間、ともに旅をし、自分を守ってくれた男、  
マカパインの容姿もまた端麗なものであると思っていたが、こんな気持ちになったことはなかった。  
「……綺麗……」  
唯一の肉親だった弟を悪魔の襲撃によって失って以来、心を閉ざしていた少女に、  
久しぶりに芽生えた人間らしい感情の高まりだった。  
少女は、D・Sが魔術で張った球状の結界の中にいた。  
自分たちだけではない。今、地獄には無数の結界が浮かんでいた。  
マカパインやシェラ、今までともに旅をしてきた仲間たちのほとんどが、  
数人ずつのグループに分かれて、結界に守られているのだ。  
これもD・Sの魔力のなせる業なのか。なんという強大な魔法力だろう。  
自分の知る他の人間たちにくらべ、彼はあまりにもにも強く、気高く、理不尽でなまでに美しい。  
――こんな人間を、魔法使いを、少女は知らなかった。  
   
しばらくの間、再生した自分の身体を満足そうに眺めていたD・Sだったが、  
やがて少女が自分のことを見ていることに気がつくと、少女に優しい笑顔を向けた。  
いたずらを思いついた子供のような笑みだった。  
「そういや小娘、お前には俺様を助けてくれた礼に、愛撫してやるって約束だったな」  
確かにD・Sは、首だけになった自分を少女が拾い上げた時、『愛撫してやる』と言っていた。  
しかし、少女には『愛撫』というものがなんなのか理解できない。  
「そうか……愛撫ってのが、なんなのかわからねえか」  
コクリ……と頷く。  
それが何かはわからないが、D・Sにされる行為なら体験してみたいと思った。  
その思いを感じ取ったかのように、D・Sは少女に手招きする。  
「こっちに来な。たっぷりとご褒美をやるよ」  
   
それは見る見るうちに膨れ上がり、むくりとその身を起こすと、天を突くように反り返った。  
(あ……大き……く?)  
少女はD・Sの身体の変化に突然のとまどってしまう。  
――あんなに張り詰めて、苦しくないのだろうか。  
驚く少女の目の前で肉棒は膨張を続ける。すっかり成長を終えたころ、  
それは天を突くようにそそり立つ巨大な肉棒となっていた。  
「さあ、小娘。俺様の肉棒を、その小さな両手で握ってみろ」  
「……え?」  
不意にかけられたD・Sの言葉に、少女は思わず声をあげてしまった。  
(だって……これは……)  
これほど逞しくなったモノを見るのは初めてだったが、少女もソレが男性の大事なものだということは知っていた。  
握った後、D・Sは自分に何をさせるつもりだというのか。  
小さい頃、まだ幼子だった弟がオシッコをするのを手伝ってソレを触ったことはあったが、まさかD・Sほどの大人が、  
一人で用を足せないから手伝ってほしいというわけではないだろう。  
赤黒く腫れ上がったソレは、少女にとって未知の物体で、さっきまで自分たちを襲っていた地獄の怪物たちよりも、  
グロテスクな生き物に見えた。  
恐る恐る顔を近づけると、かすかに熱を帯びているのが分かる。ムンとした熱気に少女は驚いて顔を離す。  
少女が自分を見つめているのが分かるのか、肉棒は時折ビクビクと脈打った。  
それはまるで意志を持った生き物の動きのように見えて、よけいに恐ろしくなる。  
それでも、少女は肉棒から目を離すことができなかった。まるで魅入られたかのようにじっと肉棒を見つめる。  
――息が苦しい。  
「恐がるこたぁねえ。お前は俺様が世界を征服した暁には、このD・S様の大臣になる女だ。  
今のうちから、俺様への尽くし方を覚えておかないとな。他の女たちより、いっとう可愛がってやるぜ?」  
そう言ったD・Sの口調は優しかった。  
 
『D・Sに尽くす』というのが何を意味するのかは分からなかったが、  
その言葉の中から、D・Sが自分を評価してくれているのだということは感じ取れた。  
少女は、その期待に答えようと思った。  
意を決すると、へそまで反り返ったD・Sの男の部分に、自らの両手をそっとあてがう。  
――熱い。  
「よーし、ちゃんと握ったな? それじゃあ、はじめるんだ」  
少女にはすでに不安はなかった。D・Sの指示に従いながら、我侭な王の半身を刺激していく。  
「そうだ、そのまま両手をゆっくりと上下させろ。しっかりシゴけよ?」  
動悸が激しい。  
しかし少女は、D・Sへの奉仕という行為に、この数年感じたことのない安らぎを感じていた。  
「どうした? もっと力を入れてもいいんだぞ」  
D・Sの望むまま、D・Sが感じるようにと、馴れない手つきで懸命に肉棒をしごく。  
やがて、肉棒の先から白濁とした先走り汁が滲み出てきた。  
「よし、いいぞ……そろそろ口でやってみろ」  
――ビクッ!  
手で奉仕することには慣れてきた少女だったが、男のモノを口に挟むという行為にはさすがに抵抗があるようだ。  
不安げな瞳をして、D・Sを上目遣いに見上げる。少女趣味のない男でも、その顔を見たら欲情してしまうだろう、  
そんな色気を帯びた表情だった。  
D・Sに奉仕するうちに少女には、さっきまではなかった女の色気が生まれていた。  
――こいつは将来いい女になる。D・Sは確信した。  
行為を強要することは容易かったが、D・Sはそれをしなかった。  
(こいつには無理矢理犯すってのは似合わねえな……)  
女にとって宇宙で最も幸福なことは、自分に抱かれることに他ならないと自負しているD・Sである。  
傲慢な男だが、気まぐれな男でもあった。最終的には少女を『幸福』にしたやれる自身はあったが、  
少女が自分からフェラチオを始めるのを待つことにした。  
 
「どーだ、お前の力で、俺のことを気持ちよくしてくれ」  
自分が、D・Sを気持ちよくする。その言葉の響きに少女の意識は朦朧としてくる。  
自分やマカパインたちの命を救ってくれた、美しく強い、大きな魔法使いに、何か恩返しがしたいのかもしれなかった。  
恐る恐る、といった具合に、少女のしたと唇がD・Sの肉棒に近づいていく。そして――  
――チュ  
ついに少女の唇が、D・Sの肉棒に口付けをした。  
キスさえもまだ体験したことのない少女の唇が、D・Sの男のモノを口いっぱいに含む。  
常人のそれよりずっと大きいD・Sの肉棒は、少女の口にはまるで入らない。  
少女は不安と恐怖、そして羞恥心に必死に耐えているようだった。  
D・Sは彼女の後頭部にそっと手を添え、長い髪を梳くように優しく撫でてやる。  
「どうした、何も怖えことはねえんだぞ。そうだな――まずは口全体と舌を使って、先走り汁を吸い込んでみろ」  
D・Sの声に少し不安が和らいだのか、少女は肉棒に口をつけたままコクリと頷く。  
滲み出てくる先走り汁の男の臭いが鼻をつく。  
はじめて嗅ぐ男の臭いに、ゾクゾクした快感が電撃になって少女の身体を走る。  
「ん、むぅ……は……んく……ッ」  
少女は音をたてて舌に触れるドロドロの液体を吸い込んだ。  
粘り、喉にからみつくそれを、身体全体を使うようにして、かろうじて呑み込む。  
「けふっ……か、はっ……あ……こふ……!」  
――酷い味がした。  
(でも――)  
不思議な感覚が少女の身体を支配する。  
それが性の快感であると、幼い少女はわからない。  
「お前には世話になったからな。未来の大臣であるお前に、王として褒美を与えよう。  
このD・S様のミルクを好きなだけ飲むがいい」  
大臣である少女は、王からの褒美を頂戴することにする。  
D・Sの肉棒を抱きしめるように身体に寄せ、積極的にしゃぶり始める。  
「ちゅ……く……ちゅば……は……あん」  
人一倍濃厚なD・Sの白濁液が少女の小さな口いっぱいに広がる。  
しかし少女にはもう恐怖はない。次々と溢れてくる液体を、喉を鳴らして飲むこむ。  
少女は、まるで赤ん坊が母親の母乳を飲むように無心に吸い込み続けた。  
 

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