煩わしい。この暴れ狂う獣の悲鳴が。噴き出す塩辛い液体が。気持ちの悪い熱を持った皮膚が。  
意思があるなら間違いなく彼はそう思っている。  
彼は己の生体維持の為だけに補食活動…溶解液を分泌し、主食であるところの繊維を溶かして体内に取り込み分解吸収しているだけなのに。  
彼にとっては単なる食事に過ぎないこの行為が獣にとって羞恥極まりない拷問と化している事など知る由も無い。残り僅かな食料を求めて彼は獣に絡み付き、獣にとって最も大事な場所…ヒトで言う所の股間、所謂秘処に身体を食い込ませようとする。  
『ああぁぁぁっ!?』  
まただ…。この獣ときたらそこに挟まった餌を獲ろうとする度に必ず咆哮し、身体を振りほどこうとする。いい加減にしろ。黙って寄越せ。  
それがヒトの世界では快楽の極みに追い立てられた…限界まで乳首を勃たせ、火照り汗ばむ肢体をくねらせ、恥ずかしい程愛液を、それどころか本気汁すら滴らせ始めている秘裂を擦り合わせる…雄を知らない雌の反応。  
 
雄の味を知っているなら彼はこんな苦労などせずに最後の切れ端を獲られた事だろう。しかしこの雌、何より純潔、清らかである事をよしとする存在で、故にそこを守り通す頑なな気構えで快楽に飲まれまいと必死に耐えているのだ。  
そんないじらしい決意も本能のみで生きる…類からして異なるモノにとっては迷惑甚だしい行為でしかない。それを理解し気の毒に思う義理も筋合いも無い。そも知能は持ち合わせていないのだから。ましてや彼は飢えている。  
だから全身全霊をかけ彼は獣のそこに無理矢理身体を捩込んだ。  
『ひゃあああうぅぅ』  
ついに彼の侵入を許してしまい、限界までそそり立った肉芽を、充血し開き切った花弁を突如激しく擦られた獣が一際大きな甲高い悲鳴を上げ身を強張らせた。  
 
 
 
ヨーコ初めての絶頂の瞬間だった…。  
 

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