…娘は夜の森の中を走る。こけまろびつつひた走る。侍の城を目指して。
お父様−−−いえ、長は言った。
「娘よ…森の抜け道を知るお前なら、奴らに捕まらず城に辿り着けるだろう…行ってくれ。村を救うために」
どんなに森が暗くて恐ろしくても、私は立ち止まるわけにはいかない。森からの近道は私しか知らないのだから。氷の魔導師の軍団に襲われた村の命運は、私にかかっているのだ。
ふらふらになりながらも走り続ける彼女の肉付きの良い肢体に、かつては衣服であったとおぼしきボロ布が纏わり付いている。
岩場を滑り降り潅木を掻き分ける際に擦り切れ、鈎裂きになったものだ。この非常時に服の事など構ってられない。枝にかかった布を外す一秒さえ惜しいのだ。
恥ずかしくはあったが、彼女は服を脱ぎ捨て下着姿になると再び走り出した。
もう少しで森を抜ける。森を抜ければ…!そうすればお侍様が村を助けてくれる!私達は助かるんだ!
あと少し、この木立を抜けたら…!その時、荒々しい咆哮を耳にして娘は竦み上がった。
今のは…?!森の奥から近付いてくる。どんどん近付いてくる…狼?いえ、違う。あれは…オーク!
『見付けたぞオーク!』
潅木の陰から甲冑を纏い、片手に斧、もう片方の手には何かの切れ端を握りしめた、見るも悍ましい異形の怪物が姿を表した。
ぎらついて血走った眼、飢えているのだろうか、しきりとよだれを流し舌なめずりをしている口。
恐怖に凍り付く娘から、何かを嗅ぎ取るかのように鼻がひくひく動いている。手に持った端切れを、確認するように己の鼻に押し付け、怪物は吠えた。
『同じニオイだオーク!』
獣が手に持っているものの正体を知って娘は愕然とした。あれは…私が脱ぎ捨てた服…。
「あぁ…」
張り詰めていた緊張の糸がプッツリ途切れ、娘はその場にへたりこんだ。
こんな事なら服を脱ぐんじゃ無かった…
自責の念に苛まれる彼女に向かってオークが追い撃ちをかけるように咆哮した。
『女はヤッてから餌だぁ!オーク!!』
「いやあああっ!」
残る力を振り絞り娘はその場から逃げ出そうとするが、体力は既に限界を越えていて、身体を動かす事すらままならない。
そのまま俯せに組み敷かれ、下着越しに男根を宛われる。
オークはそのまま娘の拳程の大きさもある先端で秘穴を貫こうとするが、なかなか上手く行かない。ただでさえ恐怖で身体が竦んで固くなっているうえに、
まだ男を知らぬ身体はそれを受け入れるための本能に目覚めていないのだ。
十重二十重に堅く口を閉ざしたそこは、いかにオークの剛直でもこじ開けるのは困難だった。
『オオォーク!!』
苛立ちを隠せずオークが吠える。咆哮が鼓膜を震わす度に娘の尻に熱く堅い汚物が押し当てられる。苦痛だった。こんな屈辱に屈し、怪物に処女を奪われるくらいなら、と舌を噛み切って自害しようともしたが、今にも助けがくるかもしれないと思うと出来なかった。
どれくらい時間が経った頃だろうか。不意にオークが娘の身体から離れた。諦めたのだろうか…今なら逃げられる!娘はそのまま四つん這いになって森の外れに向かおうとした。だが。
背後から乳房をわしづかみにされ、そのまま抱き起こされる。
「ひっ…!」
オークだった。
少ない知能と豊富な経験を総動員して考えたのだろう。オークは娘の背後から下卑た笑い声を上げ言った。
『人間の雌乳揉むとよがるよオーク』
「!」
オークの手が娘の乳房を掬い上げるように円を描いて揉みしだく。先刻の荒々しさとは正反対の緩やかな動き。
「あ…?」
揉まれる度に下腹にズクッとした重いような熱いような感じがして、身体の奥底から変な痺れが込み上げてくる。
娘は息を弾ませ、暗示にかかったように自分の乳が弄ばれる様を見ていた。乳首が完全にそそり立ち、秘裂は知らぬ間に蜜を滲ませ始めている。
いつしか娘は背中越しに触れるオークの物を跨ぐように太腿で挟み込み股間をこすりつけ、喘ぎ声を上げていた。
(あぁ…今なら逃げられるのに…身体が…今動いたらどうにかなっちゃいそう…)
「あ…あっ…はぁんっ…ふっ…うくっ…」
身をくねらせると痺れるような感覚が身体を駆け抜ける。体中でそれを堪能しながら娘は自問する。
(やだっ……あたしこんな事…してる場合じゃな…いのに…止められない…止まらないよ…誰か…)
そんな娘の胸中を察したようにオークの指が娘の乳首を弾いた。
「んふあっ!?」
どこからこんな声が出るのだろう、と思うような一際甲高い喘ぎ声が自分の口から漏れた。同時に下腹でズクズクと燻っていた何かが
尾てい骨のあたりから脳天を目指してはい上がってくる。
(ああああっ?やだっ何か来るぅっ!来る…あ…駄目駄目駄目えぇ!これ駄目だよおぉ…ダメなのにぃ…イクぅ……)
娘は爪先立ちになり背を反らす。秘所がふわりと緩む感覚に全身がうち震え、わななき…初めての絶頂を迎えた。
獣相手にイッたことすら失念し余韻に浸る娘。秘裂がひくつく度にトプリと蜜が溢れる。
(あたしのアソコ…ヌルヌルしてる…あたし大人になっちゃったんだ…)
夢心地の娘の股間で不意に何かがうごめいた。彼女のの腿に挟まれていた雄の剛直が角度を変え、陰唇を割り再び侵入を試みているのだ。
己の直面している恐怖に我に返る。
「いやっいやっ!それだけは止めて!」
もがく娘を片手で羽交い締めにすると、もう片方の手で下着を引きずり降ろし嘲笑いながらオークは言った。
『人間の雌は淫乱だオーク!これでイカなきゃ満足しないオーク!』
最後の砦も奪われ、それでも泣き叫びなおも抵抗する娘。だが意思に反して濡れた唇が、押し込まれる肉棒をくわえ込み膣内に迎え入れてゆく。
「あああああああっ」
(そんな…私の初めて…酷いよ…こんなの酷すぎるよぉ…夢なら覚めてよぉ…)
彼女のはかない願いも虚しく、体内でうごめく剛直は確実に存在したし、何より尋常ではないサイズが、それの持ち主が人間でない事を雄弁に物語っていた。
『いい締まりだオーク!』
最奥までたどり着いた肉棒がゆっくり抽送を開始する。
「いやああああああああっ!!」
挿入された時から痛みはなかった。ただ苦しかった。内を滑るように肉棒が出入りする度に、先刻達した時よりも激しい刺激を伝えてくるのだ。
(いやっ、い…やよぉ…オーク…にされて感じ…るなんて…)
無理矢理引き裂かれてショック死していた方がずっとマシだった。
『むっ…ぐっ、ぐふう…っ』
オークが抽送のピッチを上げた。呼応するように快楽の波が激しさを増してくる。
「やっ…あっ、だっ…しちゃ駄目ぇ…中、はぅっ…ん…やめて…ぇ…」
腰を強く掴まれ、打ち付けられる獣欲に意識を掻き乱され快楽に呑まれながら、人として最後の自尊心を守るべく娘は必死になって訴える。
『むふおおっ!』
「あっ?!」
内に自分の愛液ではない温みが混じる。宣告すらないまま、獣が放出を始めたのだ。
「いやあっ抜いてぇっ!抜いてよぉ!お願いどけてどいて止めてお願いぃ…あああうっ」
『ぐむ…ふっ…ぐふっふ…ぅっ』
「ああ…あぐぅ…」
(あぁっ…中に…された…出されて…イッちゃった…あたしもう…駄目…)
それから後の事はよく覚えていない。あれほど嫌悪した雄のモノをしゃぶり、溢れる精を飲み干すは言うに及ばず、およそ人とは思えない恥態を繰り広げていたような気がする。
だってあたしは人じゃないから。人の姿をした獣だから。
だから平気。こうして交わっていられればそれでいいの。
だから早くお願い。気持ち良くてイッてる間に私を殺して…
よがり狂い、息も絶え絶えに大地に横たわる娘が最後に見たのは、夜明けの薄光を浴びて煌めく斧の切っ先とお互い肉体を貧りあった雄の満足した笑顔だった。
それから数時間後。病み上がりの少年が、モノと化した彼女を見付けた。
彼はそれを保護者の少女に伝えるため城に向かって駆けて行く。
彼の中に眠る爆炎の征服者が目覚めるのは、まだしばらく先の事である…