ガラに連れ去られていた大神官の娘、ヨーコがメタ・リカーナ城に帰還した。 医師の診察によると、どこにも怪我はなく、精神状態も安定しているとの事。  
 ヨーコとは、同じような年頃というだけでなく、大神官の元で白魔術を学ぶ同胞でもある。それこそ、身分の差はあれども、幼馴染のように育ってきた相手だ。  
 その少女が無事に帰ってきた。本来ならば喜ぶべきことなのだろうが、なぜか喜べない自分がいる。  
 そのことに気がついて、シーラは愕然とした。  
(……一体どうして……)  
 …原因は凡そ見当がついていた。  
 爆炎の大魔導王。古の大魔法使い。  
…D.S…。  
 凶悪、好色、粗野、粗暴…。  
 自分の身の回りにはいなかった、自分が接してきた人間とはまるで正反対の側面を持つ男。  
(…ああ……何で…なんでこんなに体が疼くの……?)  
 自室の寝台に横になり、目を閉じると、思い浮かんでくるのはあの男の顔。声。身体…。  
(わたくしの、此処が…)  
 忍者砦攻略の途中で、始めて与えられた羞恥と屈辱。  
 思い出すだけで、担ぎ上げられた時に、薄い布越しに感じた、男の熱い指の感触がよみがえってくる。  
 そして、そのときに感じた快感も、身体は覚えていた。  
 
(…あの男の腕に擦れて………)  
 思い出しただけで、下腹部に甘い痺れが走り、シーラは激しい胸の動悸を覚えてしまう。  
 その動悸を沈めようと、胸を押さえた掌の下では、すでに乳首が固くとがり始めている。  
指先が触れるただけでしびれが走り、いやらしく指をうごめかしそうになるのを、シーラはぎゅっと夜着を掴んで耐えた。  
(いけない…そんなことしたら、もう、戻れなくなる……!)  
あれは、あの男に無理矢理快感を与えられたのであって、決して自ら求めて快感を得ようとしたわけではない。そう思いたかった。  
 けれど、熱くほてった体はいうことを聞かず、無意識のうちに片手の指が、薄い夜着の上から下着の線を辿っている。  
(ああっ…だめ…いけない…!こんなこと……!)  
 しかし、ついに左手が、夜着の裾をまくり上げ、白い肌を外気に晒し、すでに固く勃ちあがっている乳首をもて遊び始める。  
「んああんっ」  
もう片方の手が、ぐい、と強く下着を引っ張った。簡素な下着がしわくちゃになり、王女の花びらをはみ出させる。  
(だめ、だめぇ…っ…もうやめなければ……私…私……っっ!ああ…でも気持ちいい…)  
 あの時を…あの男の肩に担がれたときのことを思い出しながら、そのまま白い下着を細いヒモのようにまとめ、股間に食い込ませると、左右に振ってみる。  
「あふっ、あふうっ」  
たったそれだけの刺激で、クリトリスが充血し、胎内からは熱い蜜があふれ出す。  
(あ…ああ…声が…声が出ちゃう……っ)  
シーラの足は大きく開かれ、夜着はすっかりはだけられていた。薄闇の中、白い足が快感に震えている。  
けれど、追っても追っても、あの時ほどの激しさは得られない。シーラは夢中で下着を食い込ませる。  
(…もっと…もっと強くぅ…っ………)  
けれど、それらの単調な刺激は、彼女の焦燥を募らせるばかりだった。  
(ああ……私…わたくしは一体何を……こんな…こんなはしたない姿で…っ)  
 
 最早、夜着は腕に引っかかるばかりとなり、身に付けているものといえば紐のように細くなった下着だけ。  
 足を大きく開き、自分の乳首を自らの手で弄ぶ姿を想像し、シーラは死にそうなほどの羞恥を覚える。  
 しかし、身体を支配する欲望は、その羞恥すら快感に変えてしまう。  
(…もっと……もっと気持ちよくなりたい……)  
 熱に浮かされたように、シーラの右手が下着の中に潜り込む。  
 恥丘に生え始めた若草のような恥毛をかき分け、熱い蜜で潤う割れ目に指を這わせる。  
「あぁん!!」  
 充血し、固くなったクリトリスに、指先が軽く触れた瞬間、電流のように快感が身体中を走る。  
「あっ…あっ…あぁん!ああっっ!!」  
 蜜をなすりつけた指の腹が肉芽を擦り上げるたびに、身体がビクビクと跳ね上がり、押さえ切れない喘ぎ声が口から漏れる。  
「はぁ…っ…ああ…い、いい……気持ちいい…っ!!」  
 左手は乳首をこね回し、右手はクリトリスを弄ぶ。  
 初めて行う自慰の快感に、シーラは身を悶えさせる。熱に潤んだような瞳で、懸命に快感を追うシーラ。  
(ああっ……D.S…っ……D.S…っっ!)  
 いつしか、シーラは、自分の指の動きと、想像の中のD.Sを重ね合わせていた。  
「も…もっと……もっと強くイジってくださいぃ…っ」  
 きつく目をつぶり、変質的とも自虐的とも取れる呟きが、より一層の性的衝動を誘発する。  
 
もっと強く、もっときつく。  
本能が求めるままに、想像の中のD.Sの愛撫は激しさを増し、それに呼応して、現実の彼女の自慰も激しさを増す。  
 下着を取り払い、足を完全に開くと、身体の疼きを収めるかのように激しくクリトリスをこすり、スリットをかき混ぜる。  
 クチュクチュという湿った水音が羞恥心を煽り、更なる快感を呼び出すのに一役買っている。  
(イヤぁ…足りない……擦るだけじゃ足りない…っ)  
 しかし、弄れば弄るほど体の疼きは激しくなり、体内の熱は溜まるばかりだ。  
 そして、シーラはとうとう最後の一線を越えてしまった。  
「ああぁぁぁん!!!!」  
 泉のように、熱い蜜を溢れさせる膣穴に、彼女の指が挿入される。  
 1本…そして、また1本……。  
「あ…ああ……奥、にっ…っ…!」  
 熱に浮かされたような虚ろな瞳で、シーラはただ快感を貪る。  
 熱くうねる内壁が、指に絡み付いて締め付ける。  
(熱い……私の中が……こんなに熱いなんて…っ)  
 身体の奥から、何かが激しく湧き上がってくる。  
「ひぁっ…あっぁ…ああぁ…っ!!」  
 そして、想像のD.Sの動きが頂点に達した頃、シーラの身体の中で生まれた熱が臨界を突破した。  
「あ……ああっ!もうだめですぅっ、ああっ、イクッ、イッちゃう、いやああっあああぁぁぁぁっっっっ!!!」  
 絶頂とともにとびちる愛液。シーラは寝台の上に倒れた。全身はまだ痙攣を続けており、秘唇からは愛液がこぼれ続けている。  
「は……あ……あぁ…」  
ビクビクといまだ痙攣し続ける胎内から、ずるりと指を引き抜く。  
薄明かりの中でもわかるほど、てらてらと蜜に濡れるそれをそっと舐める。  
(…ん…ふ…ぅ……)  
 己の蜜は、苦くしょっぱい雌の味だった。  
 

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