荊王に抜かれた奥歯がうずく。  
歯を食い締める事ができないのがこんなにつらいなんて……  
そうしてその回数を百まで八回数えていた時、カタリと扉の方から音がした。  
 
格子窓から菱形男が覗き込んだ男がニヤニヤしている。  
「お前のせいで俺は今夜は徹夜させられる羽目になった」  
そういうと、扉を開けて入ってくるなりズボンの前をカチャカチャしはじめた。  
「んんんんんんんんんっ(何を考えてるっ!!)」  
 
ソレは何度か目にした事がある。  
―SmCの連中に抑えられながら  
―母が乱暴される時……  
「口を開けろ」  
どうしてコイツ等はいつも同じ様な嘲笑いを浮かべるんだろ?  
後ずさりしながら妙に冷静な頭で考える。  
いや、沸騰寸前だったのかも知れない。  
「言う事聞かなきゃコレだ」  
そういって左手に錆付いたペンチ握り、振って見せた。  
「俺には荊王みたいなマネはできねぇからな、コイツを使う」  
だめだった。  
呼吸が荒くなる。  
目頭が熱くなり、鼻がぐずぐずしてくる。  
 
「さぁ」  
猿轡が外され最初に出た言葉が  
「許してよ、歯が痛いんだ……」  
掠れてる上に、鼻が詰まって女みたいな声が出た事に我ながら泣きたくなる。  
 
「大丈夫だ、歯があたらない様にして舌に乗せろ」  
猫なで声に促され、ソレが唇に押し当てられる。  
―なんかウサギの鼻みたい……  
 
ふいにこみ上げてきた泣きたいような笑い出したいような気持ちに押され  
自分体温とは違うそれをあやすように舌を這わせた。  
後頭部を抱えられるようにソレを咽喉奥へ入れてみる。  
鼻の頭と鼻の穴にはチクチクと毛が触れる感触がした。  
 
「そうだ、へへっウマイじゃねえか」  
奥歯に触れないように細心の注意をもってソレを刺激した。  
 
―コレハイキノコルタメ  
ソレが往復する度に先端のめくれ上がりが上顎と舌をなぞり喉奥を嬲る。  
男の手が髪に這わせた手に余裕が無くなり、髪を掴むように握った途端、  
口の中を占拠する、熱っぽくてヌルヌルしたモノが膨らんだ。  
 
「ッツ!!」  
ドロソロが傷口に触れ、体が跳ねる。  
男が握り締めた手を離し、頭を撫でる。  
もうあの嘲笑も気にならない。  
 
「もう少しガンバレ、な?」  
視界が滲む。  
口を閉じないようにしながらコクリと頷く。  
再び口内に塩味の液体が溢れ、流れる音を聞きながらそれを啜った。  
 
一部がボディスーツの中まで入ってきて肌を這う。  
あごから滴った分が膝の先に水溜りを作った……  
 

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