シャーー  
 
珠姫「ユージくん、ユージくん」  
勇次「なに? タマちゃん」  
珠姫「出張ホストってなに?」  
勇次「なんだろうね。オレも知らないや」  
 
                        チリンチリン  
 
珠姫「お父さん」  
珠父「なんだい、珠姫」  
珠姫「出張ホストって、なんですか?」  
珠父「な、な、なにを言っているんだ珠姫。どこでそんな言葉を覚えたんだ」  
珠姫「知っているんですか? 教えてください」  
珠父「う、む、それはだな、珠姫」  
珠姫「はい」  
珠父「いいや、まだ早い! まだ早いぞ珠姫! お前はまだ知らなくていいんだ」  
珠姫「そうですか」  
 
 
珠姫「先生」  
虎侍「なんだ? タマ」  
珠姫「出張ホストってなんですか?」  
虎侍「はぁ!? そんなの知りたいのか」  
珠姫「はい」  
虎侍「あー、まあなんだ。ホストってのはー……接客業だな」  
珠姫「ホストは接客業のことなんですか」  
虎侍「つっても、タマがやってたのとは違くてだな、女の場合はホステスだし」  
珠姫「はあ」  
虎侍「あー、まあ、女が利用する特別な男の接客業者だな、ホストは」  
珠姫「そうですか。特別って、どんなことをするんですか?」  
虎侍「あーーまあ、なんだ、何か客を楽しませるらしい。オレも詳しくは知らないが」  
珠姫「そうですか」  
虎侍「で、出張ってのは、客が店に出向くんじゃなくて、好きな場所に呼べるってことだ」  
珠姫「なるほど。なんとなくわかりました」  
虎侍「ちなみに酒や煙草と同じで、大人にならないと使っちゃダメだからな」  
珠姫「そうなんですか? 知らなかったです」  
虎侍「スゲー金かかるらしいしな。説明はこんな感じでいいか?」  
珠姫「大丈夫です。ありがとうございました」  
 
珠姫「ただいま帰りました」  
珠父「おかえり、珠姫。……ああ、昨日の質問のことなんだが」  
珠姫「はい。大丈夫です。先生に聞きました」  
珠父「先生に、聞いたのか」  
珠姫「先生に、聞きました」  
珠父「先生に、教えてもらったのか」  
珠姫「先生に、教えてもらいました」  
珠父「……先生の、名前は、なんというのかな?」  
珠姫「石田虎侍先生です。剣道部の顧問の先生です」  
珠父「そうか、そうか」  
 
後日の室江高校に、ちょっと頼りない感じの教師が鬼神の如き気を放つ保護者と対面する姿があったとかなかったとか。  
 

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