髪の毛をわしわしと洗う手を止めると、タマキは手探りで蛇口を捻った。シャワーヘッドから勢いよく
お湯が出て瞬く間に泡になったシャンプーが流れていく。
「ふぅ」
シャワーを止め、顔を拭って一息つく。何気なく泡の混ざったお湯が排水溝に飲み込まれていくのを見て、
ちらりと愛用のシャンプーのボトルを見た。暫らく前に何となく目に付いて買ったのだが、香りが気に入っ
たのでそれ以来使い続けている。特にこだわってこれと決めたわけではない。
「みんなは色々気にして選んでるのかな……」
前髪を伝って落ちた滴が胸に当たった。起伏の少ない自分の胸を見下ろし、手を当てる。普段は気なるこ
ともなかったが、同世代の女の子達である先輩二人や同級生の二人と比べて明らかに薄い胸が、今日は何だ
か妙に気になった。ユージとの会話で改めて自分が世間知らずである事を痛感し、そういった面の子供っぽ
さが外見にも表れているような気がした。
視線は自然とその先にあるささやかな茂みへと移る。今日初めて存在を知った単語とその意味。
思わず視線の先にある大事な部分に手が伸びる。
ぷに
「……?」
突いてみても、特に何も感じない。確かに他の部分と比べれば敏感だとは思うのだが、別に気持ちいいと
かくすぐったいという事もない。首をかしげながらおかしいな、触り方が悪いのかなとあたりを擦ってみる。
「あっ……」
刺激が強くなって僅かな快感を覚えた。少しドキリとしたが、なるほどこういうことかと恥肉の周りをさ
らに丹念に擦る。こそばゆいような、何とも言えない小さな快感を楽しむように秘所の辺りを弄っていた時、
偶然滑った指が割れ目に押し入った。
「ひぁ!」
周りをなぞっていた時にはなかった強い刺激が腰の辺りまで走り、思わず声を出して指を離してしまった。
恐る恐る指先を見れば水とも汗とも違う、粘り気のある液体がついている。それを見てタマキは初めていけ
ないことをしているような、罪悪感に似た思いが湧いた。さらに未知なる感覚を知ることへの不安が混ざっ
て行為を続けることをためらわせる。だが、タマキはだんだん速くなっていく自分の鼓動を感じながらも、
再び下へと手を伸ばして行為を再開した。
(多分、同い年くらいの子は大体知ってるだろうし、やったことも、あるんじゃないかな……と思う)
自身の好奇心を、ユージの言葉が後押ししていた。
「……ぅ!」
秘所の割れ目に指を滑り込ませると、またも強い快感に襲われビクッと体が跳ねた。だが今度は指を離さ
ずにそのまま擦り続ける。
「ん……は……ぁ……っ……や……あん……ぅ……くぅ……」
指を動かし快感が生まれる度に勝手に身体が反応して艶ある声が出る。次第に膣から愛液が滲み出てくると、
それが潤滑剤となって動きもスムーズになっていく。その内に快感を味わうことにも慣れ、割れ目の中を蠢
く指はより強い快感を求めようと自然に奥へ奥へと侵入していった。気が付けばタマキは膝を広げ身体を仰
け反らせあられもない姿で行為に耽っている。
「はぁ……こんなカッコで……んっ……熱い……指、止まら……ぁあ……だ……だめ……っ!」
右手の指は愛液の溢れる膣をくちゅくちゅとかき回し、いつの間にか空いた左手はぷっくりと乳首の勃っ
た小さな胸を弄り続けていた。全身で快感を享受し、どんどん大きくなってゆく快感にたまらず高くなる声
を隠すために、ふらふらと手をさまよわせながらも何とかシャワーの栓を開く。
ザアアアァァァァァ……
お湯が床を叩く音の影で押し殺しきれない声と淫らな水音が響く。僅かにあった罪悪感にも今は何のため
らいもなく行為に浸り、感じ、声を上げている。ただひたすらに秘所に指を這わせ、胸の先端をつまみ、快
楽の波に身を委ねている内に、もう他の事が考えられなくなって意識が白く染まっていく。やがて――
「や、あ、あっ、ひ、ぁああああああ!!」
一際高い嬌声を上げ、タマキは絶頂を迎えた。荒い息をつきながらゆっくりと身体から力が抜けていき、
後ろに椅子から転げ落ちた。
「……痛い」
そう言いながらも、タマキは風呂場の床に寝そべったまま絶頂の余韻に浸っていた。タイルの冷たさが火
照った身体にはちょうどいい。呼吸を整えながら顔の前に掲げた右手は、たっぷりの愛液で生々しく光って
いる。そこからこぼれた愛液が一滴、顔に落ちた。それに今更ながら急に恥ずかしさがこみ上げてきて、慌
てて出しっぱなしだったシャワーで流す。ついでに身体の汗もさっと流すと、ちょっとぬるめになった浴槽
に浸かった。
「ふぅ〜……」
大きく息を吐いて気持ちを落ち着かせる。しかし、胸の鼓動はあまり収まっていない。
「凄かった……」
みんなはこんなに凄いことやってたのかな……それに、オナニーってセックスの代わりにするものだって
言ってたから……セックスってもっと凄いのかな……。私の指なんかじゃなくて……男の人の……お……お
……ぶくぶくぶくぶくぶくぶく……
「ぷはっ!」
いつの間にか顔の中ほどまでお湯の中に沈んでいた。慌てて身体を起こすが、頭が熱に浮かされたように
ぼーっとしてる。
「溺れちゃう……上がろう」
かくしていつもよりとても長いお風呂になったタマちゃんは、すっかりのぼせてしばらく下着姿のまま
ベッドの上でぐったりしてましたとさ。