「サヤはどこッ?」  
すりガラスを透過する弱々しい朝日だけが照明だから、  
武道館の中は人間の目には暗すぎた。  
広い空間の片隅で、影が動いて闖入者を出迎える。  
 
「よう、来たかキリノ」  
どこか人を小馬鹿にしたような口調で男は軽く手を上げ女を出迎えた。  
「サヤは……どこにいるの?」  
不快感と警戒心を隠そうともせず、少女は同級生をキッと睨む。  
 
「いるよここに。お前に送った写メのままの姿でな」  
 
口調と同じく他者に不快感を植えつける余裕の笑みを湛えた岩佐の背後に、  
荒縄で縛られた少女が制服を半分脱がされたままで床の上に転がっていた。  
 
「――――っ」  
 
親友の変わり果てた姿に、キリノは口を両手で押さえ思わず声を呑む。  
 
目隠しをされた顔は白濁した液体に濡れ、  
髪の毛はまるで台風の中を歩いてきたかのようにばらばらに乱れている。  
豊満な四肢と胴体には荒縄が食い込んでいて、  
同性がうらやむ大きな胸や異性が思わず唾を飲む柔らかな臀部の丸みを強調していた。  
 
シャツのボタンは全て外され皺だらけになり、口の中には白い布切れを突っ込まれていた。  
――――――大きく割り開かれた両足の根元、スカートの中に少女が  
何も穿いていないのを見てキリノはそれがなにか確信した――――――  
あれは、あの口にねじ込まれているのは彼女自身の下着。  
 
その姿が、彼女の身に起きたことを雄弁に物語っていた。  
彼女の体験したことを想像するにはもう充分だった。  
 
「サヤっ、サヤっ」  
叫びながら、半分涙目になりながらキリノはサヤに近づいた。  
その背後で扉が閉じる気配に気づく様子も無いまま。  
 
「キリ……ノ……?」  
口から下着を引き抜くと、衰弱した声が友の名を呼んだ。  
「サヤ、今すぐ解いてあげる」  
取り出したハンカチでサヤの顔とスカートの中を綺麗に拭きながら、  
キリノは縄を解こうとするが結び目が硬すぎて上手くいかない。  
 
「手伝ってやろうか?」  
「近づかないでっ!」  
鋭い声と視線で、キリノが近づこうとした岩佐の動きを制する。  
 
しかしその中にわずかな恐怖が含まれているのを感じ取り、  
卑劣漢の顔が益々喜悦で歪む。  
 
「そう言うなよ、同級生の、同じ部員のよしみだろ?」  
 
パンと乾いた音が響く。  
 
「……ひでーなあ、いきなり平手打ちかよ」  
「近づかないでって言ってるでしょ!もし近づいたら……」  
 
そう呟くと、キリノは縄を解こうとしていた手を止め、  
胸ポケットから携帯を取り出した。  
「……警察を呼ぶからね」  
 
「……そりゃねーな。お前は誰も呼ばない。もし呼ぶつもりなら、  
最初からケーサツかキョーインといっしょに武道館に入ってきてる」  
 
図星を突かれたキリノの顔が一瞬ひるむ。  
 
「キリノ……私はいいから……早く……けーさつを……じゃないと……キリノも」  
「サヤ、大丈夫だよ!……こいつが変なことしようとしたら、私がビンタで引っぱたいてやる!」  
「おいおい、部長になったからって部員を『こいつ』呼ばわりはないんじゃね?」  
芝居がかった口調で岩佐は戯れ言をのたまうが、  
キリノはそれには応えず岩佐を睨みつつサヤの束縛を解こうとする。  
 
もちろん危険なのは百も承知だろう。  
しかし警察を呼ぶということは目の前の親友の辱められた姿を誰かに晒すということなのだ。  
キリノはそれを恐れてか、携帯電話で人を呼ぼうとしなかった。  
 
「だめっ、キリノ……恐いのは岩佐君……だけじゃない……」  
「?……何のこと………………あっ!」  
後悔の色がキリノの顔に広がるが、誰も彼女を責められはしないだろう。  
 
親友が陵辱された現場を見て、その上目の前には危険人物が自分の体を値踏みするような  
目で眺めているこの状況で、冷静な判断が出来なくても仕方の無いことだ。  
目の前の男といつもつるんでいる悪友がどこにもいないという  
事実に今まで気づかなかったことを誰も責められはしない。  
 
ごめんねサヤ。  
 
キリノは小さく呟いて携帯に手を伸ばす。  
 
たとえそれが親友の悲惨な姿を第三者の目に晒すことになるとしても、  
それしかキリノには選択肢は残されていなかった。  
 
「よーやく決心がついたかい?」  
警察を呼ばれるかもしれないというのに余裕綽々な岩佐を見れば彼がどこにいるのかはもう明白だ。  
 
「全てが遅すぎだけどな」  
110を押そうとするキリノの手を、力強い男の手が背後から掴み、  
携帯を力づくで無理矢理奪い取る。  
観念して手の伸びてきた背後を振り向くと、そこにはあの男がいた。  
 
「外山君……」  
 
見下ろす男の目はまるで虫けらでも眺めるように何の興味の色も浮かんでいなかった。  
 
 
そして二人の悪夢と絶望の一日が始る。  
 
 
「さて、どうしようか?」  
にやにやと弛緩した笑顔を向けて、岩佐は自分の携帯を弄り始めた。  
「私達を……どうしようっていうのよ」  
後ろ手に縛られたキリノは、唇を噛み締めながら岩佐を睨み付けるが、  
その視線と口調は数分前とは異なりとても弱弱しい。  
キリノからすれば自分がどうなるのか、どうされるのかは親友の姿を見れば明らかだ。  
どうしてこの状況で虚勢を保つことが出来るだろうか?  
 
そんな打ちのめされた女性を眺めるのが楽しくて仕方ないのだろう、  
岩佐は顔の皺をより一層深くして嘲笑い、自分の優位性をアピールして更にキリノを追い込もうとする。  
「なんだ『私達』なんてらしくねえじゃねーか、  
そんな言葉使うのは……部活に始めて入ってきた時以来じゃね?  
いつもみたいに『あたし』ってくだけた言い方しろよ。それともなんだ、緊張してるのか?  
肩の力抜けよ、可愛がってやるから。なぁ、外山」  
 
話を振られた外山は岩佐と同じく手の平の液晶画面を見つめていたが、  
全く興味がないと言わんばかりに無言で岩佐を一瞥して携帯に視線を戻す。  
 
「なんだよつまんねーな、ノリ悪いぞ」  
興が冷めたのかやれやれと首を振って岩佐はぽりぽりと頭を掻いた。  
 
どこか白けた空気が武道館に満ちたのを感じ、キリノはすがるような思いで口を開く。  
 
「ねぇ………………もうやめさいよ」  
とたんに岩佐の顔が不機嫌になり、キリノを睨み返す。  
「あぁ!?何を止めろって?」  
 
「こんなことして、許されると思うの?あんた達は……女の子に…………」  
キリノの瞳に、また親友の姿が映る。  
先ほど拭き取りきれなかった精液を前髪から垂らし、半分開いた口はピンク色の舌を覗かせたまま閉じぬままで、  
生地の薄い夏服が汗で濡れて透けている少女の姿が。  
その無残な様がキリノの心にもう一度火をつけたのか、彼女の声はわずかに怒気を取り戻す。  
「女の子にあんなひどいことして、許されると思ってるのッ!!」  
 
「なんだよ、許さないってどうするつもりだ?  
これから犯された後イカ臭いナリでコジローにでもチクンのか?  
別にいーぜ。その代わりこいつの画像がどうなるかしらねーけどナ」  
くくくっと笑い岩佐は携帯の画面をキリノに指し示す。  
 
そこには、半分だけ制服を脱がされたまま、大きく広がった性器に直径10センチはある  
バイブが根元だけ飛び出した状態で突っ込まれ涙を流しながら叫ぶサヤの姿があった。  
 
「……酷い……それにこれ、あたしに送ったやつと違う……」  
「画像ならまだまだあるぜ。へへ、お前にも後で突っ込んだ時ちゃんと写してやるよ。  
穴兄弟ならぬ棒姉妹ってやつか?二人並べて写したら壮観だろーなぁ」  
 
憤怒かそれとも恐怖か、体を震わしていたキリノはふと眉をひそめた。。  
「……あれ……これ、なんかおかしい……」  
何かの違和感を覚えたのか画面を凝視するキリノは、疑問の原因を理解し思わず大声を上げる。  
「これ、……冬服じゃないっ!…………これ、いつ写したの!!」  
「あー、春先だったけなぁ。ま、何月何日かまでは詳しく思いだせねーけど」  
 
「……いつから」  
「ん?」  
「いつからこんなことサヤにしてたの!?」  
「憶えちゃいねーよ。まぁ……2ヶ月前ぐらいか?ほら、新学期になってからしばらくしてこいつ断りも無く  
ガッコこなかった時期あったじゃねーか。あの前ぐらいだったな」  
「じゃ、サヤが学校休んでたのって……」  
「……おいおい、俺のせいにしてんのか。こいつが学校休むのは良くあることだろ?  
どーせなんか嫌なことでもあったんだよ。例えば野良犬に噛まれた、とかな」  
 
げらげら笑いながら、岩佐は倒れているサヤの豊満な乳房を制服越しに素足で踏みつける。  
「やめなさ…………?」  
 
静止の声を上げようとしたキリノは、サヤの全身に浮かぶ悩ましげな反応に困惑し沈黙する。  
「あぁ……」  
サヤの声に、体に、表情に、悲しみや恥ずかしさを読み取れても嫌悪の感情を読み取ることが出来ない。  
卑劣な男に束縛されたまま足の裏で胸を捏ね回されているのに、だ。  
 
「サヤ…………?」  
「気づかなかったか、こいつの胸におもちゃ付けてんの?」  
確かに、そこにはおかしな膨らみがあった。  
制服の下に、『おもちゃ』があってそれが岩佐の足の圧力で服の上にその姿を現した。  
 
しかしキリノにはそんなものの存在など重要ではない。  
問題は、岩佐に無理矢理仕込まれたそんなもので、なぜサヤが嬌声を上げるかということだ。  
キリノが知っているサヤならば、けっしてそんな艶のある声は上げないはずなのだ。  
キリノが知っているサヤならば。  
 
鍵を閉めた入り口でいまだ携帯を弄り続ける外山は、そんな3人の様を眺めると出来の悪いコメディでも見るかのように  
「は」  
と仏頂面のまま鼻で笑った。  
 
「やめなさいっ」  
キリノの口から絶叫が迸る。  
それはまるで、これ以上その光景を見せつけられたら、  
自分が壊れてしまうのを予感しているようだった。  
そんな必死なキリノを岩佐は脂ぎった顔で見つめる。  
 
「ぎゃーぎゃー言うなよ、拘束された上半身に中の音を漏らさない扉。  
脱出も助けを呼ぶのもどっちも不可能だぜ」  
キリノは下唇を噛み締め吠えた。  
「それでもっ!」  
キリノは踵を返し外山の脇をすり抜け、猛ダッシュで扉に体当たりをかます。  
鈍く、腹の底に響く音が館内にこだまする。  
自らが衝突した反動でキリノは弾き飛ばされ、  
館内に背中から倒れこむが痛みに顔を歪めながらもすぐさま立ち上がろうとする。  
 
「外山止めろ!そいつマジだ!!」  
「キリノだめぇっ!」  
横にいた外山がよろめき立ち上がったキリノの襟首を掴み、  
再度鉄扉へショルダータックルをかまそうとする勢いを遠心力に利用し  
武道館の中央へ放り投げた。  
そしてサヤの上を離れた岩佐がキリノにのしかかりねじ伏せる。  
そして12分の間、武道館の中を静寂が支配した。  
 
外山が扉に耳を当て外界の様子を伺う。  
「誰も来ないな」  
岩佐は深いため息をはいた。  
「全くよぉ、無茶するぜ部長さん。あーあぁ、きれいな肩が真っ赤に腫れ上がってるじゃねーか」  
岩佐がわずかに制服をずらしキリノの肩を露出させると、  
キリノは小さな悲鳴を上げ岩佐の手を振り払う。  
「……だめだよキリノ。下手な抵抗したらキリノまで殴られたりしちゃうよ……」  
蚊の鳴くような声でサヤはキリノの身を案じた。  
目が見えなくても、音と気配でキリノの様子は手に取るようにわかるから、  
無茶をする部長の行動を諌める。  
 
「無理だよ……こんなサヤ、ほっとけないよ……」  
「キリノ……?岩佐君っ、キリノにひどいこと」  
「してねーよ」  
キリノのしゃくりあげるような呟きを聞き声を荒げるサヤに、岩佐は苛苛した声で答える。  
「泣くんじゃねーよ、サヤが心配してんだろうが」  
 
キリノは、何事かもごもごと呟く。  
「もっと大きな声で言え」  
「だって……こんな……あたし、サヤがこんなひどい目に遭ってるなんて……  
親友なのに、ずっと気づいてあげられなかった……」  
「だから肩壊す覚悟で助け呼ぼうとしたのか?いい話だな、それが本当なら。  
でも、そうじゃないだろう?罪悪感に苛まれてるのはそれだけじゃないだろう?」  
ニタリと哂いながら岩佐が続ける。  
「親友がレイプされてる間にてめえは恋人といちゃついてたからじゃねえのか?  
この場所で、ラブラブでハッピーなセックス三昧を送ってたからじゃねーのか、おい」  
岩佐がキリノの髪を引っ張り耳元で囁くと、キリノは目を逸らし  
「コジローせんせい……」  
と祈るように呟いた。  
 
一瞬間が空き、外山が誰にともなく問いかける。  
「どういうことだ……」  
そこに静かな驚きと、わずかな怒りを岩佐は読み取った。  
「どうもこうもねーよ、広くて防音もしっかりしてる場所をヤり部屋にして  
男と女がヤることヤってただけだ。ま、俺らと考えること一緒だな。  
それが生徒同士じゃなくて生徒と教師の違いだってだけで」  
外山の顔色を伺いながら岩佐が面白そうにまくしたてる。  
 
「うちのガッコーの他の部でも噂はあるし、  
学生が部室内でセックスなんてちょくちょく新聞や週刊誌にも載るだろう?  
考えてみろよ、なんせこいつとコジローはうぜえ1年どもが入ってくるまで  
放課後はこのシャワーまで完備された密閉空間で二人っきりだったんだぜ?  
お互いその気があればよお、毎日サルみたいにヤりまくってたって不思議はないんじゃねーの?」  
「ふん。そういうことか」  
外山が二人の方にゆっくりと近づく。  
 
「お、よーーやく火がついたか?ま、サディストには燃える展開だよなぁ、  
恋人のいる女を無理矢理なんてよ。……それともなにか、お前キリノのこと」  
そこで外山がギロリと岩佐を睨み、岩佐は肩をすくめて科白を止める。  
 
キリノは震えながらコジローの名を唱え続けていた。  
そんなキリノの腹に、外山の足が振り下ろされ、キリノはわずかに呻く。  
親友の痛みを、外山の暴力の気配を感じたサヤが狂ったように非難の声を上げた。  
 
「やめてよっ!約束違うっ!!あたし以外の子には手を出さないって」  
「言ったとも、『俺』はな。  
でもま、偶然ここにいた外山君が何をするかなんて俺の知ったこっちゃねーしな」  
サヤはその言葉で全てを悟り、がくりと全身の力を失う。  
「ああ……キリノ……」  
 
絶望に崩れるサヤ。  
俯き震え続けるキリノ。  
そのキリノをたぎるような目で見下ろし踏みにじる外山。  
「……生徒同士か生徒と教師か、って以外にも違いがあったなぁ」  
3人を眺めた後、岩佐は楽しそうにくくくっと笑う。  
 
「和姦か強姦か。この差はでけえな、全く」  
 
「じゃーま、早速キリノの歓迎会といこうか?  
とりあえずキリノもサヤに罪悪感かんじてるみてーだし、  
今までサヤにやったぶんと同じ事を同じ回数だけやってやろーぜ。  
親友同士不公平のないような」  
「やめてよ、やめてよっ!キリノに変なことしたら許さないわよっ!」  
「おーこわ、……しかしとたんに活きがよくなったなぁ、  
さっきまでは廃人みたいになってたのに。こういうの麗しき友情っていうのかねぇ」  
そう嘲ると岩佐はキリノの体を引き寄せようとする。  
「いやあっせんせいたすけてぇっ」  
「やめてっ、なんでもする、なんでもするからキリノにひどいことしないでっ!」  
 
二人の悲鳴が同時に上がった後、岩佐はキリノの傍から離れた。  
 
ぐすぐすと二人の少女が嗚咽交じりに泣き咽ぶ声だけが薄暗い空間に響き渡る。  
 
「なんでもする、そう言ったな」  
いきなり耳元で聞こえた声に、サヤはびくっと体を震わした後緩慢な動きで首を縦に振る。  
「じゃあ、そうだなぁ。今から言うゲームに勝てたらキリノを開放してやるよ」  
 
するすると、サヤの拘束が解かれ、  
戒めから開放された彼女はかすかな安堵のため息を吐く。  
「なぁに、簡単なゲームさ。お前らの友情が本物なら、な」  
「なにをすればいいの……」  
岩佐の手で、目隠しされたままのサヤは膝立ちにさせられる。  
「お前のでけえ胸で一発抜いてくれよ」  
 
上から聞こえる岩佐の声に苦々しい声でサヤが答える。  
「……それだけじゃないんでしょ……」  
「もちろんな。俺がてめーににパイずりされてる間に  
てめーは後ろから犯される。で、どっちが先に気持ちよくなるかって勝負だ。  
俺が先に出せばお前の勝ちだからキリノには手を出さないでいてやるよ。  
そのかわりお前のマン汁が床まで垂れればお前の負けだ」  
 
突然サヤの両肩が掴まれぐいと引き寄せられた。  
そのままサヤの上半身が前傾姿勢にさせられ、  
サヤの顔が岩佐の腹に、胸が猛々しい男根に触れる。  
自然と彼女の臀部は後ろに突き出されるような姿勢になり、  
その丸々としたお尻にやはり荒々しい茎が埋まる。  
「うぅ……」  
 
もう、サヤには選択肢はない。  
ならば、たとえどんなに屈辱的でも、岩佐の要求を呑むしかない。  
もし拒否すれば、力づくで犯されるだけだろうから。  
「ほらよ、お前の体は俺が支えといてやるからとっとと始めろ」  
 
岩佐が促すと、後方に押し付けられたそれがたどたどしく動き出す。  
まるですぐには胎内に侵入せず、焦らすかのような動きでサヤの入り口をなぞり始める。  
 
「っ……」  
覚悟を決めたサヤは、そのふくよかな双丘の左右を両手で掴むと、  
岩佐の陰茎を柔肉で挟み、そして上下にしごき始める。  
消して小さくないであろう岩佐の肉塊は、白く柔らかな肉の谷間に全身を埋め  
姿を確認することができなくなった。  
「ぅ……はは、無駄にでけえ胸もこういうときは役に立つ、な。  
じゃあ外山も、始めてやれよ」  
 
股間から立ち上がるえもいえぬ快楽にどもる岩佐の言葉で、  
割れ目の上を往復していたそれが、サヤの胎内にようやく入り込んでくる。  
「ふはぁぁ……ーーっ」  
解れ、仕込まれ、辱めれてきた躯は当たり前のようにそれを飲み込み、  
紅い唇から耐え難い悦びの吐息が漏れる。  
たとえそれが陵辱であろうと、それが友の目の前であろうと、  
開発された悲しい女の性は快楽を押しとどめる術を知らない。  
 
「お願い……っキリノぉ……目を瞑ってぇ……こんなあたし……見ないでぇ……」  
はかなく願うサヤの後背部に、突然熱い液体がこぼれ落ちサヤの体がびくりと震える。  
 
「やだぁ…………外山君、唾垂らさないでぇ…………」  
突然眼前の岩佐の腹筋が震える。  
くくくと笑ったため、その振動が額を押し付けているサヤに届いた。  
「涎じゃねえよ……外山はそんながっついたやつじゃねえ……」  
バックからの抽出運動が始まってからというものサヤの胸の動きは少し弱まったため、  
岩佐の声には余裕があった。  
 
「見てみろよ、目隠し取ってやるから」  
突然サヤの上半身の半分を支えていた岩佐の左手が外れ、  
少女はバランスを崩して胸を掴んでいた両手で岩佐に胸を押し付けながらしがみつく。  
「ちょ……ちゃんと肩掴んでよぉ……」  
岩佐が肩を掴まねば前傾姿勢の上半身を支えるものが岩佐の腹に押し付けた額だけになり、  
胸での愛撫などできるわけがない。  
 
「わりいな、その代わり後ろも止めてやるよ。おい外山」  
岩佐の呼びかけで律動は止まるが、なぜそんなことをするかわけがわからないサヤは  
呆然としていると突然視界が広がり、その細い首が岩佐の手で無理矢理捻られ後ろを向かされる。  
 
「キリノ…………?」  
背後で自分を犯す親友の姿に、唖然とするサヤ。  
サヤを貫いていたのは、ペニスバンドを着けさせられ、  
口にサヤの下着をねじ込まれ、サヤの背中にぽろぽろと涙を落としながら両腕を縛られた  
不自由な姿のまま背後から外山にがっしりと腰を掴まれたキリノだったのだ。  
 
「……いや、いやぁっ、いやああああああああああああぁぁぁぁぁぁ」  
サヤが叫ぶのを、舌を舐めながら岩佐が見下ろす。  
 
「じゃ、そろそろ勝負の再開といこうか」  
両手でまたサヤの肩を固定すると、行為の続行を促す岩佐。  
と、サヤの中で人工の男根が前後に動きを再開する。  
外山が、キリノの腰を無理矢理前後させ始めたのだ。  
「いやぁっ、いやあ、嘘つきっ嘘つき嘘つきぃっ」  
しがみついたまま騒ぎ続けるサヤの頬を、岩佐が平手ではたき乾いた音が響き渡った。  
 
「おいおい、パニくっていい加減なこと言うなよ、  
嘘なんて吐いてねーぜ。キリノがお前をヤってるけど、  
俺たちはキリノにひどいことは何もしていないし、  
手も出していない。約束は破っていないんだよ」  
「うぅ……うふぅ……うぅ……」  
嗚咽か嬌声か分からない声がサヤの口から漏れる。  
そんなサヤの両手が自らの胸をもう一度掴み上げ、  
そして岩佐への奉仕を再開した。  
 
まるで自らの胸をゴムまりのように捏ね回しながら、  
涙で潤みきった目で訴えるように岩佐を見上げながら  
サヤは岩佐の射精欲を高めようとする。  
尋常ではない質量が生み出す乳圧に追い詰められながら、  
岩佐は器用に片足立ちになるともう片方の足を伸ばしサヤの  
踝につま先を触れるとにやりと笑う。  
 
そこは、もうサヤの愛液でじっとりと濡れそぼっていた。  
「どうした、友達にヤられ、て、気持ちいいのか?この、淫乱」  
サヤが何かを言い返そうとした瞬間、  
背中に柔らかくて温かい何かが落下してきた。  
「……ごめんね、サヤ」  
それは、キリノの口を塞いでいた下着だった。  
 
「……あたし、動きたくないの、でも、外山君が無理や」  
そこで、サヤの背後の布の存在とともにキリノの声が消えた。  
もう一度外山が下着を口へ突っ込んだため、キリノの謝罪は途切れる。  
「……キリノぉ……あたし、こそ……ごめんっふうぅぅ……  
もう、あたし、駄目かもしれなぃ……あ、ぁぁ……」  
サヤの全身がぬめった汗で怪しく光る。  
 
そんな汗よりもっと粘性の高い体液が、  
彼女の膣口から足首までてらてらと垂れ流れている。  
「キリノぉ……気持ちいいよぉ……友、だちなのにぃ……  
このままだとキリノひどいめにぁうのにぃ…………  
きもひいいのとまんらいよぉ…………」  
口から涎を流すサヤを見て岩佐が外山に視線を送ると、  
外山が急にキリノの腰使いを速く、激しくする。  
 
「うひあぁっっ、ひぃ、ひゃぁぁああぁぁっ」  
自然のものとは全く異なる造型と、他人の手によって生まれる不思議な腰使いとで  
今までの経験にはない快楽を感じ、身悶えるサヤ。  
「だめ、だめっ、だめぇ、あひあああぁぁぁっ」  
汗が、涙が、愛液が戦慄く肢体の上で跳ね、少女の心と魂を蒸発させ雌に変えさせる。  
 
「ひっ、ひぃっ、うあ、あ、あっあっあっ、  
うあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ………」  
大きな鳴き声をあげて背を反らし、少女の友情は劣情に屈した。  
 
 
「ゲームオーバーだな。汁の垂れ具合なんか見るまでもねえぜ、  
友達よりも自分のアクメを優先させやがったぜこの淫乱は」  
岩佐はそう吐き捨てると、がくがくと痙攣するサヤの上体を直立させ、  
肩から手を離すとそのまま後ろに倒させる。  
泣いていたキリノは慌てて倒れてきたサヤの体を支えると、  
岩佐がサヤの上をまたいでその大きな胸を両手でがっしりと掴んで真ん中へ寄せ、  
そのまろやかな割れ目に自らの肉棒を突き刺した。  
 
絶頂を迎えたばかりの体は自らの両乳首が合わさるだけで  
「あひっ」  
と声を出して反応してしまうが、岩佐はかまわず肉棒を前後させて少女の胸を堪能する。  
岩佐の黒々とした異形の物体がサヤの美しい円形を描く乳房を蹂躙するさまを眼前で見せつけられて、  
キリノの目に新たな涙が溢れ出す。  
 
今まで我慢していたのか、それともサヤの愛撫で十分感じていたのか、  
岩佐の限界はあっという間に訪れる。  
うぉ、という低く短いうなり声を上げたあと白濁の飛沫が疲弊したサヤの顔を射ち汚す。  
 
キリノは口から下着を半分吐き出すと、  
泣きながら口を使いその下着でサヤの顔の精液を拭き取った。  
 
そんなキリノの肩を、外山が指を食い込ませるかのような力で掴む。  
びくっと震えたキリノは下着を口から落とし  
「せんせぃ……」  
と呟いた。  
 
キリノを見つめ、荒い息のまま岩佐は教える。  
 
「……これからが始まりだぜ、キリノ……」  

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