タマキとコジローは二人してコジローの車に乗っていた。  
ハンドルを握るコジローの顔は冬空よりも青く寒々しい。  
「先生…大丈夫ですか?」  
たずねるタマキへ答えるコジローの声は、  
鼻水交じりでかつマスク越しなためうまく聞き取れない。  
「だいずーぶだって、家まではふぇきにんとって送ってやる」  
鼻水を止めるため鼻にティッシュを詰め込んだ状態で、  
コジローはゆがんだ笑みを無理に作って答える。  
「すみません…あたしのせいで…」  
謝るタマキの手には、ブレイドブレーバーのぬいぐるみが握られていた。  
「いいんだよ…タマはいっづも部活ではんばってうからな…」  
それにまぁ、もしタマに付き合わなきゃ俺がキリノとサヤにフクロにされてただろうし。  
コジローは心の中で溜息をついた。  
 
話は昨日に遡る。  
 
部活に顔を出したコジローが見たのは、  
いつものように先輩二人がタマキの髪を編んだり後ろから抱きついたりして遊んでいる光景。  
しかしいつもと微妙に違うのは、後輩をいじっている二人の顔が至福のものではなく、  
済まなそうな、残念そうな顔をしていたこと。  
「タマちゃん、ごめんねー。明日遊園地いけなくなっちゃったー」  
「ほんとごめん。いやーまさか二人して休日に急用が入るとは」  
髪の毛をキリノに手櫛で梳かされたり、後頭部をサヤの胸に埋めさせられたりして  
少し困った様子のタマキはそれでも先輩達に逆らわず無表情のまま  
「いえ…別に一人でも行けますから…」  
と答えた。  
 
しかしそんなタマキに猛反発するサヤ。  
「駄目駄目、タマちゃんみたいなかわいくて華奢な女の子一人じゃ、  
いつ変なおじさんに襲われるか分かったもんじゃないよ」  
(まあ、お前よかタマのほうが数倍強いけどな)  
すかさず相槌を打つキリノ。  
「そーそー、あたしが変質者だったら絶対襲うもん」  
(まあ、先輩二人に囲まれて身動きできない今の状態もある意味襲われてるといえるけどな)  
そんな風に心の中で連続突っ込みを入れていたコジローは、キリノとサヤの二人と目を合わせてしまった。  
と、次に二人はお互い顔をあわせ、小声でひそひそと呟き始めた。  
「アレにする?」「顧問だし」「送り狼」「腐っても教師」「腐りすぎ」  
なんだか色々失礼な単語が聞こえてくる。  
コジローが腹を立てていると、話し合いを終えたキリノがコジローに話しかけてきた。  
「どーせコジロー先生明日暇でしょ?タマちゃんに付き合って遊園地に行ってくれるよねー?」  
「…なんで高校生が遊園地行くのに保護者がいるんだよ。しかも教師が行くってのも変な話だろう。  
おんなじ1年誘ってきゃいーだろーが」  
そういって奥で稽古をしている1年の3人を顎で指すコジロー。  
「そんなの駄目だったから先生に頼んでるんすよ。もうあの3人に予定があるのは確認済み」  
「ってもなあ。俺ちょっと風邪気味だしなぁ」  
ガソリン代だって馬鹿にならんし、と本音を心の中だけでぶっちゃけるコジロー。まあ風邪も本当なのだが。  
 
そんなコジローを信じられない、といった目で見つめるサヤ。  
「ひどい、先生は教え子の安全より自分の命のほうが大事なの?」  
無茶を言う。  
「なこといわれてもな…来週じゃ駄目か?」  
来週の月曜には金が振り込まれるし、明日明後日と連休にじっくり休めば風邪も治るだろう。  
「今週じゃなきゃ意味無いんですよ」  
そういって教え子達が差し出したチケットの左下には  
『ブレイドブレイバーショー開催中。見に来てくれた皆にはぬいぐるみのプレゼントもあるよ!』  
という文字と明日までの日付が書かれていた。  
「明日までに行かなきゃお人形さんもらえないんだよねー。かわいそうなタマちゃん」  
そういって後ろからより強い力でタマキを抱きしめるサヤ。もうほとんど愛玩動物扱いだ。  
「でもほら、タマは道場の手伝いもっ…」  
いきなりコジローの眼前に2本の竹刀が突き出され、コジローの言い訳は止まる。  
「タマちゃんのお父さんは親戚のお家へ行っていてお留守なんで道場はお休みです。  
…だからあたし達が寂しくないように遊園地へいっしょに行ってあげようとしてたんです」  
「だけど結局二人とも行けなくなっちゃたからこうして先生にたのんでるんですよ。…行ってくれますよ、ね?」  
竹刀を突きつけられたコジローには、渋々頷く事しかできなかった。  
今断ったらマジでこいつらはボコってくる。部活内でのコジローとタマキの扱いはそれほどまでに違う。  
「良かったねータマちゃん。コレで交通費は浮くよ」  
「でも先生におかしな事されそうになったら、すぐあたし達に連絡するんだよ」  
「誰がするか!」  
往復のガソリン代を頭の中で計算しながらコジローは半泣きして叫んだ。  
 
次の日の昼前、タマキの家の前で車を止めていたコジローの前にタマキが姿を現した。  
下は白いフレアスカートに上は赤いパーカーというちょっと奇妙ないでたちを見て、  
コジローにはその配色が赤と白を基調としたブレイバーレッドの戦闘スーツを模したものとすぐに分かった。  
(こいつ、本当にブレイドブレイバー好きなんだな…)  
そのあまりに純粋な思いに、コジローの顔に笑みが浮かぶ。  
「先生、おはようございます。…本当に、今日はすいません」  
ぺこりと一礼するタマキに軽く手を上げ笑って答えるコジロー。  
「いーよいーよ別に。たまにはまあ、こういうのも悪くないかもな」  
薬のおかげで風邪の症状も少し治まってきた。  
なんとなく気分が軽く明るくなって、コジローは軽快に愛車を発進させた。  
 
そして二人は遊園地でのショー観賞を終え、めでたくぬいぐるみもゲットした。  
しかし、ショーを見終わり、正午を越えたあたりから本格的にコジローの風邪が悪化し始めた。  
鼻水がだらだら流れ始め、頭が割れるようにくらくらしはじめる。  
タマキがもう帰りましょうといったので、コジローは素直にその言葉に従った。  
しかし、帰りの運転は運悪く渋滞に引っかかり行きの運転の2倍近く時間が掛かってしまい、  
タマキの家に帰ってくるころにはもう暗くなり始めていた。  
「じゃあな……タマキ……また、げほっ、学校で……げほっ」  
「あの、先生もお大事に……」  
ほとんどまともにしゃべれぬまま別れ、そのまま帰宅の途に付くコジロー。  
右へ左へハンドルの定まらぬ運転をするコジローの車を不安そうに見送るタマキ。  
 
アパートに戻ったコジローは出かけるときのままにしてあった布団の上に倒れこむ。  
だるくて身体が動かなくて立ち上がることができず、  
はいずるようにしてコレも朝から出しっぱなしにしていた救急箱から薬を出して水も使わず飲み込む。  
そのまままた布団まで戻り、頭からかぶって寒さを防ぐ。  
少しの間眠ることはできたが、水を吸い込んだり吐いたりして太ったり痩せたりするチンピラや若ハゲの教祖や  
喋れないでかい男やポケットに手を突っ込んだチンピラとかが川の向こうで手を振る悪夢で目が覚めた。  
全身はぶるぶると震え、ますます頭痛はひどくなっていた。  
 
…マジで死ぬんじゃないだろうか。コジローは真剣にそう考え始めていた。  
一人暮らしをした人間が病気になったときに陥りやすい思考パターンだ。  
話し相手も、看病してくれる人もいない。病院へ行く体力もない。  
このまま目を瞑ったら、明日目を覚ますことができるとは限らない。  
そんなくらい想像ばかり浮かんでくる。  
 
するとドアをノックする音が聞こえた。今日この時間に人が尋ねてくる予定はなかったはずだ。  
新聞の勧誘かなんかだろうか。とにかく今は人に会える状況ではない。  
無視を決め込んで布団を頭からかぶるコジロー。  
 
「コジロー先生、いますか」  
聞こえてくるはずのない人物の声を聞き、驚き上半身を起こすコジロー。  
突然ドアが開き、ノックをした人物が入ってきた。どうやらコジローは鍵を掛け忘れていたらしい。  
部屋へ入ってきた人物は、タマキだった。  
「タマ……どう、して…げほっ……」  
すでに夜の帳があたりを支配し、ドアの外の逆光で入ってきた人物のシルエットしか分からなかったが、  
その細く小さく儚げなシルエットは確かに今さっきまで彼とともにいたタマキだった。  
タマキは質問に答えず、持ってきた荷物をそこらに置く。  
 
「先生……照明のスイッチはどこですか……」  
「げほっ……電気なら、つかねーぞ。止められてるからな」  
「え……」  
「まあ、その、恥ずかしながら。…先月から払ってねーンだよ。だから、付かない」  
「この寒いのに暖房も使えないんですか?」  
「いや、まあ、その。てーか、何しにきたんだお前」  
「先生……苦しそうだったから……大丈夫かなと思って……」  
コジローは嬉しかった。ついさっきまで、チラッとではあるが自分は死ぬんじゃないかと思って  
孤独に震えていたのだ。そんな自分を心配して、わざわざ訪ねてきてくれる人がいた。  
なんだか妙に身体の奥底から力が沸いて来るような気がした。まあ、単に薬の効果が出てきただけかもしれないが。  
「なんかさ……お前の声聴いてすごく元気出てきた……うん、もう大丈夫だ。  
だから、今日はもう遅いし帰れ」  
 
しばし沈黙が支配する。外は暗く、部屋に光源も無い。何も見えず、何も聞こえない。  
不意にコジローは、この部屋にはタマキなどおらず、自分は幻と話していたのではないかという錯覚に陥った。  
 
「迷惑ですか?」  
ようやくタマキが声を発した。  
「え、いや、迷惑というかだな、その、こんな時間に女の子が男の部屋にいたらその、問題だろう」  
「何でですか?」  
なんでって……それを、俺に説明しろと?そういやこいつ結構世間知らずだったなあ…。  
頭を抱えやんわりと説明をし始めるコジロー。  
「その…あれだ。なんつーかな、やっぱその、たとえば俺とお前のことを知ってるやつが、  
俺の部屋から出てくるお前を見たらだ、その、…に…」  
ああ、言いづらい。  
「その、肉体的な関係を持ってると、勘違いするかもしれないだろ?だから、そんなことないようにだな…」  
「…誤解を解けばいいだけです」  
「…いや、その、でも面白おかしくうわさを広げるやつもいるし。  
お前だって、教師と関係を持ってるんじゃないかとか噂されるのは」  
「嫌じゃありません」  
 
思わず沈黙するコジロー。  
 
「もし自分が潔白なら、そんな根も葉もない噂はいつか消えると思います」  
そう言うとすっと立ち上がるタマキ。  
本とヒーロー大好きなだけあって男前だな、こいつは。おまけに義理堅い。  
今日の礼にわざわざ来てくれんだろうな。ここは、お言葉に甘えるとするか。  
「お台所借ります。…いくらなんでもガスと水は出ますよね?」  
「ああ、一応な。この寒さでガスでないと食事なんてできねーし、  
水は料金払ってなくてもよっぽどのことないと止められねーしな」  
それを聞くと、闇の中手探りで歩きながら置いてあった荷物のほうへ移動するタマキ。  
一方コジローは、帰らないと言い切るタマキにどこかほっとしたものを感じていた。  
風邪でタウンしている今、心配してくれる誰かがそばにいる。タマキの存在が、今のコジローにはとても心強い。  
 
「レトルトのおかゆとお酒を持ってきました。先生、夕食はとってないでしょう?」  
「ああ、そういや食べてねーな。薬は飲んだけど…っておい、酒って?」  
と、突然ガスコンロが火を噴いた。青白い炎に照らされながら、  
いつのまにかエプロンをしたタマキが近くにあったなべに水をいれ沸かし始める。  
そしてコンロの明かりを頼りに入り口近くにあったビニール袋を取り出し、  
1カップの日本酒と卵とスティックシュガーを取り出す。  
「玉子酒です。うちでは風邪を引いたら必ず飲むことにしてるんです」  
そういや聞いたことがあるな…なんか風邪のときに飲むお酒があるとか。  
でも実物見たことも飲んだこともないんだよな…どんな味が…  
 
「ぶぇっくしょんっ!!」  
突然のくしゃみに上体を揺らすコジロー。  
「先生はゆっくり寝ていてください」  
そう言うと1カップとレトルトおかゆのふたを開け、なべの中の煮え立つ湯へ両方とも半分だけつけるタマキ。  
「ああ、すまん…」  
タマキが来たとき飛び起きたせいで、身体がすっかり冷え切っている。  
また全体を横にして布団にくるみこむコジロー。しばらく待っているとタマキが近づく気配がした。  
「玉子酒ができました。…どうぞ」  
言うや否や、何かを置いてまた台所のほうへ行ってしまった。  
(うーん、これか?)  
コジローは、手元にある1カップのビンを手に取る。  
 
タマキの失敗のうち一つは、500ミリリットルのという比較的大きな1カップを持ってきたこと。  
しかしコレはタマキパパの持ち物であり、タマキには他のサイズを選択する事ができないので、  
(未成年のタマキはお酒を買えない)仕方のないことだった。  
そしてもう一つの失敗は、玉子酒を作る際にあまった(最終的に黄身や砂糖と混ぜ合わせなかった)  
450ミリリットルの酒が入った1カップのびんを、  
風邪で判断力の落ちているコジローのそばへ持っていってしまったこと。  
そして最後の失敗は、コジローが玉子酒を知っていると思い込んだこと。  
真っ暗で部屋の様子が分からないコジローは、手に取ったビンのそばに  
本物の玉子酒が入ったコップがあることに気づいていない。  
手に取ったビンの中に450ミリリットルという『病人にはちょっときついんじゃねーの』  
という量の日本酒が入っている事にも気づいていない。  
 
(アー、鼻がきかねーから卵の匂いが全然しないや。まあ、考えてみれば  
昼からろくに飲み物も飲んでなかったし。一気にいかせてもらうか)  
そう心の中で呟くと、その1カップを鼻をつまみ一気に飲み干してしまった。  
「アー駄目だ。身体は暖まったけど味覚も馬鹿になったのか、全然卵と砂糖の味がしねー。  
つーか暖まるというか火照るというかー」  
そこへ、コンロの火を消したタマキがお食器へ移したレトルトのおかゆを持ってきた。  
「これ、さめないうちにどうぞ。…………………………先生?」  
「……うーん、おかゆ?あー、いいねー、食うぞー」  
 
コジローのテンションの変化に、戸惑うタマキ。  
「あの、これがスプーンです。あ!?」  
コジローが震える手で持とうとしたスプーンを落とす。  
「先生、大丈夫ですか」  
「あん、俺?だいじょうぶだろ、俺?あはははははははははははは」  
身体の機能が軒並み低下している時にしこたまアルコールをあおったせいで、壊れてしまったコジロー。  
タマキはスプーンを自分で持つと、おかゆを掬ってコジローの口元へ持ってゆく。  
「あの先生これを…!!!」  
すると突然、コジローが自らの舌で、スプーンを持つタマキの腕をぺろりと舐める。  
思わず硬直するタマキの足に何かが当たる。それは先ほどコジローが飲み干した日本酒のビンだった。  
それを見た瞬間、タマキはコジローがおかしくなった原因を理解する。  
 
するとコジローはおかゆの入った食器をいきなり持ち上げ、  
スプーンを使わず直接ずるずると一気に飲みこみ始めた。  
驚いてタマキが眺める中、15秒とたたずおかゆがコジローの口の中へ消えてゆく。  
呆然とするタマキの目の前でぺろりとたいらげたおかゆを脇へ置くと、  
その視線がタマキへ向く。暗闇なため視覚では分からないが、気配から酔っ払いの注意が  
自分に向けられたことを感じとるタマキ。  
「食欲の次は性欲かな…ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」  
 
次の瞬間、首筋に何かが吸い付いてくるのを感じた。  
それがコジローの唇と歯であると気づくのは、最初に首筋を攻められてから10秒経った後だった。  
「タマキもおかゆもおいしーなー」  
そう呟きながら酔っ払いはまるで音を立てること自体を楽しむようにちゅぱちゅぱと  
部屋中にいやらしい音を響かせながらタマキの首筋を執拗に啄ばんでいる。  
コジローは病気でかつアルコールにかなりやられている。  
タマキが本気を出して逃げ出そうとすれば逃げられただろう。  
しかし、病気なのに遊園地へ送ってくれたことや間違って多量のアルコールを飲ませた原因を作ったことが  
タマキの中に罪悪感を生ませているのか、タマキは全力で逃れようとしない。  
 
「先生…やめてください……」  
竹刀を握れば無敵の剣道少女も、竹刀がなければただの女の子である。か細い声で哀願するだけだ。  
コジローはある程度理性を失ってもうっすらと記憶は残っているらしく、そんなタマキの声を聞き興奮する。  
剣道着を着た時の凛とした、何者も寄せ付けない雰囲気をかもし出す少女と、  
自らの手の中で声を震わす少女のギャップに。  
コジローの手は、パーカーのファスナーを開こうとするが、アルコールで震えてうまく開くことができない。  
「あ…駄目です、服が伸びます…」  
業を煮やしたコジローは、そのまま両手をタマキの腹部へ持っていくと、  
パーカーや肌着ごと上半身の着衣を全てたくし上げる。  
 
そしてそのまま、未発達なふたつのふくらみをブラの上から力づくでこね回す。  
「あっ、……痛、い、痛い」  
「何だ、痛いのか?じゃあ良かったな。もっと胸は大きくなるぞ。将来が楽しみだなー」  
ははははと笑いながらコジローは刺激の仕方を変える。ブラを剥ぎ取り、  
舌や指で敏感な2つの頂点を優しく攻め始める。  
「やっ……せんせい、やっ」  
胸の上のコジローの頭に両手を回して否定の声を上げるタマキ。  
しかしその掠れるような声は今のコジローにとっては燃料にしかならない。  
フレアスカートの下から指を強引に差し入れるコジロー。  
胸を攻められ、そちらへ意識の集中しているタマキがその動きに対応できるはずもなく、  
その人差し指がいまだ何も生えそろわない割れ目の上に到達し、その筋に沿ってなで上げる。  
 
「ひっ……いああああ……」  
まるで身体の中を何かが通り抜けるような感覚にタマキの小さな身体が弓なりにはねる。  
しかしそんなタマキにはかまわず、うごめく指は何度も何度も肉穴の入り口を往復する。  
そのたびに、タマキはその小さな体にどれだけ力が残っているか不思議になるほど  
上に乗ったコジローの体を揺らすほど暴れまわる。  
そんな悪魔のような指の動きに2分近く翻弄され、剣道では決して流さない汗で全身を濡らすタマキ。  
しかしその指が不意に離れ、胸を攻めていた顔と手も離れていった。  
ようやく終われる−そう信じたタマキはがっくりと力を失った。  
しかしそんなタマキの腰をコジローの両腕ががっちり固定する。  
 
「じゃあ、行っくぞー」  
やたらと陽気にコジローは宣言して、ズボンのファスナーを下ろす。暗闇でタマキには見えない。  
しかし何が出て、それがどうなるのか。いくら恋愛経験、性経験のないタマキでも知っている。  
「や……先生、だめ」  
しかし、そのままコジローは腰を突き出した。  
「ひぃゃぁぁっ」  
そしてそのまま、少女の膣を貫き、純潔を散らすはずだった。  
しかし、コジローがどれだけ腰を打ち付けて来ても、タマキに肉のつぶれる痛みは訪れない。  
「?」  
不思議がるタマキ。しかしその謎はすぐに解ける。  
「タマってよー、体が小っちゃけりゃアソコもめちゃくちゃ小っさいンだなー。俺のが全然入んないや」  
(そうか……あたし、下着脱がされてないんだ)  
タマキの顔に広がる安堵。しかし、張力のある下着は肉刀を入り口までわずかに進入させてしまう。  
そしてその僅かな距離は、コジローの陰茎とタマキの中のある器官を接触させるには十分な距離だった。  
「あぁっ!?」  
今までに感じたどの感覚よりも甘く深く強い感覚にタマキの脳が焼ける。  
淫塊の笠の部分が、肉の芽をこすり潰したのだ。思わず腰が震え、その震えが全身へ伝わる。  
しかしその一突きで終わりではない。それからの浅い前後運動は、全てがその急所をねらうように行われた。  
「ひぃっ、いやぁ、いゃっ、やめてぇ」  
『いや』も、『やめて』も、今までの人生でタマキは使ったことはなかった。  
ヒーローには、ヒーローに憧れるものにはふさわしくない言葉だと思ったからだ。  
しかし、そんな矜持はどこかへ吹き飛んだ。守り抜くことなど出来なかった。  
そして、ついにタマキの肉体は快楽に屈した。  
「やめてぇ、やめっ、いやああっっっ」  
大きな叫び声をあげ、タマキは全身を痙攣させ果ててしまった。  
 
しかし、それを見下ろすコジローは不満そうだ。  
「アレ、もうイったのか。俺は全然だぞ」  
下着に邪魔されほとんど肉棒を先端ぐらいしかタマキの体に沈めていないのだ。仕方がない。  
最も下着の存在に酔っ払いは気づいていないが。  
「タマキは駄目な子だなー。おれがイくまで続けるからな」  
そういうと、いまだ絶頂の残り火の中にいるタマキの体に向かって、また前後運動を開始した。  
「いやっ…もう、いやあぁっ!」  
悲鳴を上げるタマキにかかわらずコジローは腰を動かし続けた。  
 
…こうしてコジローが射精することなく力尽きる明け方近くまでタマキはイかされ続けることになるのだった…  
 
 
次の日朝。  
 
アルコールが抜け正気に戻ったコジローはタマキの前で土下座していた。  
「ほんっっっとすまん……わりいことした」  
対峙するタマキは、姿勢正しく正座してコジローを見下ろしていた。  
そんなタマキの返答がなく、おそるおそる見上げるコジロー。  
その衣服はところどころが伸び乱れ、幼い顔は僅かに疲労が溜まっていて、全体的に痛々しい印象を与える。  
「…あたしを馬鹿にしないで下さい」  
そう、タマキが呟いた。  
「ああ…そうだな。やっぱ土下座だけじゃ駄目だよな」  
「別に、先生の謝罪が足りないって意味ではありません。  
…先生に謝罪される心当たりがないだけです」  
思わず顔を上げるコジロー。  
 
「だけど確かに俺は、昨日……」  
「確かにあたしは先生に辱められました…。  
でも、この部屋に来たのはあたしの意思です。  
先生にお酒を飲ませたのもあたしの行動です。  
それら全ての原因が積み重なって昨晩の事がおきたんです。  
だからそれらのあたしの原因をないものとして先生がひたすら平謝りするのは、  
あたしを同じ責任ある人間として扱わない馬鹿にした行為なんです」  
タマキにしては珍しい長口上を聞いて、コジローは思わずううんと唸る。  
 
「その…なんつーか、ホンとお前って……時々すごい男前だよな…」  
「ではそういうわけで、あたしは道場の掃除があるんで帰ります」  
まるでこの部屋で何事もなかったかのように、タマキの表情も口調もいつもどおりだった。  
「あ、うん。…送るか?」  
「先生は自分の風邪と二日酔いを治すことだけ考えてください。…それでは」  
そう言い放つと、ドアを半分開けていたタマキが歩を止める。  
「…もう一つ、あたしのせいで昨晩の結果を招いた原因があります」  
「なんだそれは?」  
「先生に押さえつけられた時、まだあたしは元気で対して先生はヘロヘロでした。  
だからいくらでも逃げようと思えば逃げられたんです。でもあたしは……」  
タマキはそこで口をつむぐ。  
「お前は……どうしたんだ?」  
 
タマキは、小声で −先生になら− と喋って、止めた。  
 
「ん、おれがどうかしたのか?」  
首をかしげるコジローに、ほんの少し頬を染めタマキは、  
「なんでもないです…」と短くいうと、そのまま足早で立ち去った。  
 
 
さらに翌日。  
 
「うおーいタマちゃーん、合いたかったよー」  
「わーい、3日ぶりのタマちゃん分だ。一杯補充しなきゃ」  
武道館へ入ったタマキを、二人の先輩が手厚く(手荒に?)迎える。  
そんな中、過剰なスキンシップを受けるタマキの後からユージが遅れて入ってくる。  
その時、ユージはタマキの首筋に目をやり、痛々しそうに顔をしかめる。  
「どうしたのタマちゃん?そんなとこに虫刺されができてるよ?  
もしかして遊園地行った時虫にでも刺されたの?あそこ山ン中だし」  
しかし、その言葉を聞いたとたんタマキの顔が今までないほど赤く染まる。  
「…今日は部活休みます」  
とほとんど聞き取れない声で呟くと、首筋の赤い斑点を隠しながら脱兎のごとく武道館から逃げ出した。  
「うわ、タマちゃんめちゃくちゃ足速い。ていうかなにがあったんでしょうね?」  
首を捻るユージが振り向くと、ぎょっとした。  
さっきまでタマキを愛でていた二人の先輩が、凶悪なオーラをまとって木刀を構えているのだ。  
「あのーお二人とも、何をするつもりなんでしょうか」  
「そりゃーもう」  
「大きな虫退治に決まってるでしょう」  
そう呟くとちょうど武道館に入ってきたコジローに木刀をダブルで振り下ろす。  
ダンはミヤミヤと先生の断末魔がうるさくて練習できないね、  
とかダン君こわーい内臓出てるーとか言っていちゃついている。  
そんな光景を見ながら、皆まじめに部活しようよ…とユージは遠い目で呟くのだった。  
 
 
終わり  
 

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