「ふいー、今日の練習も終ったねぇ」
「ごくろーさまでしたキリノ部長」
新入部員のユージ、タマキ、ダン、ミヤミヤ
の4人が道場を後にした。
「はーい、お疲れさまー」
部長であるのキリノは待ち人は遅れていた。
「サヤー、まだぁ?」
本日サヤはキリノの家に来る予定になっている。
それでなくても最近はサヤが毎日部活に
来るので、キリノは常にテンションが高かった。
「ちょ、ちょっとまって…」
慌てたようなサヤの声が響いてきた。
ここでキリノにちょっとしたイタズラ心が芽生えてしまった。
「うーん、どおしよっかな?」
無論キリノにはサヤを置いていく気など無い。
「え、ちょっ…待って、待って…」
何やらシャワー室の方からドタドタと音が聞こえる。
「うおーい、キリノ!」
まだ乾ききらない髪を無視し、大慌てでサヤは出てきた。
キョロキョロとサヤは周囲を見回したが、人影がない。
「うそ…キリノ…」
サヤの表情に、にわかに不安の色が広がる。
「ワッ!」
「うぎゃあ!!」
不意の後方からの声にサヤは大声を上げてしまった。
「アハハハ、サヤかわいー」
「うぐぅ……」
息をひそめて驚かせたキリノは、恥ずかしがるサヤをしりめに
キリノは笑っている。
しかし、あんまり笑っているので……
「ふんっ…」
「あり?」
おもいっきりそっぽを向くサヤ。
「サヤ…あの…怒ってます?」
「怒ってる」
「あう……」
どうやら完全にへそを曲げてしまったようだ。
こうなると厄介なことをキリノは重々承知していた。
「ほら、冗談だよ、じょーだん。機嫌なおして」
「やだ、一人で帰る」
「わっ、わっ、」
キリノは慌てて出口に向かうサヤを止めた。
ダイレクトにすがりついた。
「待って、ゴメン、あやまる」
「ゆるさなーい」
当然このままではキリノの、
帰宅→部屋へ→にゃんにゃん
という計画がおじゃんになりかねない。
とりあえず何としてもサヤの足を止めねばならない。
キリノは精一杯考えて、サヤが興味を示す物をチョイスした。
「サヤ、お腹空いてない!」
前方へ向かうサヤの動きがピタッと止まった。
ある意味「はい?」という反応だったのだろう。
「ハンバーグ残ってるよ、好きでしょ?」
「うーん」
少し唸ってキリノを見やると、視界には上目づかいの不安気な姿が写る。
サヤは少し間を開け、イタズラっぽく笑みを浮かべた。
「いいよ」
その一言でニパッとキリノが笑顔に変わる。
「取ってくるね」
キリノが弁当箱を取りに行こうと背を向けた、その時
「いただきまーす」
キリノの耳におかしなセリフが聞こえた、恐らくタイミングが早い。
しかし、そんなキリノの疑問は一瞬で吹き飛ぶこととなった。
「うひゃあ!!」
「んーー」
背を向けたキリノに覆い被さるようにして、サヤがキリノの耳をはんだのだ。
「うぃ…あっ、…サヤ」
「んー……何?」
言いつつも手早くキリノの体を制服の上からまさぐる。
「何、何してんの!」
キリノは必死にサヤの腕から逃れようとしたが、うまく力が入らない。
「何って……キリノの味見」
ものすごく黒い笑いかたをながら、手慣れたように上着を剥ぎ取る。
一時的に解放されたキリノは、その場にへたり込み、サヤを見上げる。
立ちはだかるサヤに恐怖に近い感覚を感じた。
「サッ…サヤ、やめよ、ね?…ほらここ一応学校だし…」
無論そんなキリノの訴えはサヤの耳に入ってない。
乱れたワイシャツ姿で怯えているキリノのは、「襲ってください」と言っている。
サヤが一歩近付くとキリノもズッと後ずさる。
「何で逃げるの?」
「あのねぇ…」
キリノの背が壁についた
「さーて…観念して味見させてもらいましょうか」
「や、や…サヤちょっンゥ」
キリノの抵抗も虚しく、唇は塞がれた。
口内に舌を入れ、全体を刺激し、舌を絡める。
キリノの表情も、段々とトロンとしたものに変わる。
唾液が口内でやらしい音をたてる。
サヤの手はその間にキリノのシャツのボタンを外し始める。
「ふぁ……あ」
少し名残惜し気にキリノは舌を解放した。
「さて、キリノのハンバーグはドコかなー」
実に楽しそうにサヤは完全にはだけたキリノの体をまさぐる。
「や……サヤ、ちょ…」
動こうとするキリノの首筋に、サヤは舌を這わせた。
「ひゃうん!」
ざらついた舌がキリノにゾクゾクとした快感を与えた。
「ん、あっ、これかなー」
そう言ってサヤはキリノの双丘を揉みしだいた。
「やっ、あ、ちがっ…」
新たな快楽にキリノの顔が歪む。
サヤの舌は首筋から鎖骨、胸元へと下降する。
「何か尖ってるね、何だろ」
サヤはそのままキリノの乳房へと吸い付いた。
「あっ、はぁん」
キリノから甘い吐息が漏れると、サヤはさらに乳首を舌で舐めいじった。
「甘いなー、ハンバーグじゃなくてプリンだね」
キリノは顔を真っ赤にしている。
「サヤ……、恥ずかしい」
息をあらげつつも、哀願するように小さく言った。
サヤのキリノへの愛撫が中断される。
「恥ずかしい……へぇー」
サヤの手がキリノの秘所へ伸びる、そこは下着越しでも分かるほど潤っていた。
「恥ずかしいとこうなるんだ、キリノ……」
「ちがっ……」
「違わないよキリノ、キリノのココはどんどん濡れてきてる」
反論をねじふせられた、無論キリノにそんな性癖がある自覚はない。
だか、実際とは矛盾し、キリノは混乱する。
言葉に詰まるキリノ、だがサヤはそんなことに構わず続けた。
下着をずらし、直に秘所を刺激していく。
「あっ…あああっん」
グチュグチュと淫らな音をたてながら、
サヤの指先は器用にキリノの内部を弄ぶ。
「ふぁっ……サヤ、もうダ……」
飲み込みづらくなった唾液がつたう、情けない表情。
だが、今のサヤにはいとおしくてしかたがない。
「…感じてるね、いいよ。キリノが気持良いならあたしもっと
頑張っちゃうよ」
その言葉と同時に指の動きが激しくなる。
「あああんっ!やっ、サヤ、こんな…こんな…」
「キリノ…!」
サヤも自分の異変は感じていた。
今までキリノと行為に及ぶ時はいつも慈しんだはずだ。
今回はちょっとしたイタズラ心だったはずた、しかし
キリノの無理な快楽に歪む顔が
言葉だけの抵抗をしる声が
唯一、自分に好意的に動く身体が
今あえいでいるキリノの全てがサヤを加虐に向かわせている。
そしてそれはキリノも同じだった。
予定外のサヤの行為
少し前まで皆と剣道に勤んだこの場所
いつもと違う姿のサヤ
そしてこの状況で、さらにサヤを求める自分
本当は全て捨て去りたいジレンマ
全てがキリノの快感に変わる。
(何であたし我慢してるの……)
キリノの何かが
外れた
「あ、あああっサヤ、サヤっ!もっと……もっと強く」
キリノは今や完全にサヤに身をまかせた。
「キリノ…分かった」
サヤは短く言った。
「サヤぁ!んっ……」
キリノが自らサヤの後頭部に手をまわし、キスを求めた。
サヤも腕を腰にまわし、キリノを抱き寄せる。
キリノのと一体になる快感。
互いの汗や、熱や、呼吸を感じ取り、
何処からが自分で、何処からが相手なのか、混濁する。
そして
「あああっサヤ、サヤ、サヤあああっ……!」
「あっ…キリノ…」
キリノの快楽は頂点へと達した。
そのキリノを見た時に、サヤも言いようのない快感に捕われていた。
「……好きだよ」
「……あたしも」
どちらともなく交した。
後
「最っ低だよね…」
「ごめんなさい」
サヤがキリノに土下座している。
「サヤってそーゆーことする娘なんだーへぇー」
「本当にごめんなさい」
正気に戻った二人は、この問答を繰り返している。
完全にへこんでいるサヤはただただあやまるばかりであった。
「…何て言うか…ノリで…」
「ノリ!?ノリであんなことするの?」
「……ごめんなさい」
さすがに気の毒かとキリノも思った。
「…じゃあ、一つゆうこときいてよ」
「きく、きく、何でもきく」
ガバっとサヤが食い付いてきた。
「………うちに来て」
「………うん」
了