「な、なんで僕が捕まえられなきゃいけないんですか!」  
「かすかだけど、いいニオイがするからだ。どこから発している?」  
 拘束した恭平の体臭を、鼻をこすりつけるようにして嗅いでいる、正体不明の少女。  
「うわっ、や、やめて下さい! 恥ずかしいですよっ!」  
「この行為は恥ずかしいことなのか? 理解できない」  
 感性がずれているこの雰囲気、どこかジョウに似ていた。  
「ここか。もっとよく嗅ぎたい」  
「えっ、ちょっと、そこは……って待ってよ! 脱がさないで!」  
 少女は何のためらいもなく、恭平のズボンとパンツをまとめて下ろした。  
 そして、茂みの中に鼻を突っ込む。  
「わわっ!?」  
「ああ、やっぱりこのニオイだ!」  
 目を生き生き輝かせながら、少女は嬉しそうに叫んだ。  
 そして恭平を見上げる。  
「そうか、おまえはジョウのモノなんだな。ならば、私もおまえが好きに……なっ!?」  
 一瞬にして鋭い目つきになる少女。  
「殺気をまったく感じなかった……さすがジョウのモノね、この状態で銃を突きつけるなんて」  
 銃? そんな物、恭平は持っていない。  
 だが確かに、その少女の意識は、喉元を警戒している。  
「ここは一旦引く。ジョウに伝えなさい。マリオが会いたがっているって」  
 驚くほどの身のこなしで、少女はその場から消えた。  
 
 後に残された恭平は、少女の一連の行動に唖然とし、そして……不覚にもギンギンになった股間の始末に困っていた。  
 
「誰かほどいて欲しい……けど、見られたくないよ、こんな格好」  
 結局、後でメグに散々からかわれる羽目になったわけだが。  
 

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