このクソッ垂れなTOKYOで、ひどくくそったれな請け負い仕事をやってる。
シブヤの賭場荒らし、薬の売人探し、潜入、ドンパチ、なんでもありだ。
弾代とメシ代は稼がなくちゃならないからな、それに暴れるのは嫌いじゃない。
スポンサーのセイは爆裂天国…とかなんとか言ったか、物凄くバカみたいなチーム名を
つけたくってしょうがないみたいだったが、知ったこっちゃない。
やりたいことしか、やらないさ。
「ジョーウ、ジョウったら!」
部屋の中の唯一の光源、大画面の液晶モニタが横長の画面から色とりどりのビームをしきりに噴き出している。
激しく明滅する光に照らされたジョウの短い髪は、まだらに染まっているように見えた。
シャワー室からメグが、足りないタオルをとってと叫んでも、返事がない。
見るとジョウはやっぱり、所定の位置から一センチだって動いていなかった。
「もう、」
メグは濡れた髪のまま、ジョウの居るTVルームに踏み込む。
「なに観てんのよぉ…」
膝の上にあごをのせ床に直に座り込み、一心にモニタに集中しているジョウ。
《アパーム、アパーム! 弾持ってこい!》
答えもしない。メグがその肩ごしに画面をのぞいてみても、
やたらバカでかい銃撃の音や爆発音が鳴り響いてるばっかりで、
出ている役の人の台詞なんか聞こえやしない(字幕じゃなくって吹き替えのみモードだし)。
どうやらGIジョーみたいな兵隊さんが戦争をしているらしいんだけど、
それ以上の内容はまるでわからなかった。
っていうかこの大音響だけで耳と頭がじんじん痛い。
ジョウはあいかわらず、画面に集中しきっていてこっちを見もしなかった。
「ねえー、そのビデオおもしろいの?」
「……」
ジョウは、膝をかかえたままボソリと。
「おまえの顔よりは、面白い」
メグはあっさりとキレた。
「なによー、ジョウのバカッ!」
ぷんぷん、ぷんすかと怒りまくりながら、メグがベッドルームへ引っ込んで三時間後。
真っ暗いTVルームの真ん中につっぷして、モニタの砂嵐に照らされているジョウの側に、
パジャマ代わりのロングサイズTシャツを羽織っているメグが、再び近づいた。
指先でつむじのてっぺんをちょん、ちょんとつつくとジョウは首をあげて、「なんだ」と言った。
「眠れないのか」
「うーん、そういうわけじゃないんだけど…なんとなく、ねっ」
あいそ笑いで話すメグに、ジョウはそっけない。
「変な奴だな」
「ジョウだって」
メグは言いつつ、ジョウの隣に座りこむ。
「いま、寝てたじゃん。眠るんならちゃんとベッドに行きなよー」
「むー……」
ジョウは口を閉じたまま、視線を宙にさまよわせる。沈黙。
そのままがっくり首をたれると、また眠りこんだ。
「だから寝ないでよ、もー!」
その肩をメグが思いっきりシェイクする。
「なんだ」
むりに起こされたジョウは、半目を開けて面倒臭そうな声を出した。
「恐い夢でも見たのか?」
「ちがうよ、そんなんじゃないけど……」
メグは剥き出しのジョウの肩に、頬っぺたをつけてよりかかる。
「……ちょっと、さみしいから」
そしてすりよせていた肩に、そっと軽く歯をたてた。
「なんだよ……うっ」
ジョウがひとつ、うめいて身をよじる。
メグはジョウに体重をかけるようにして、細身の身体を両手で抱きすくめ、
反った喉にくちびるを当てて囁く。
「あいかわらず首すじが、弱いねぇー。ジョウ?」
「う……」
どっ、と仰向けに、カーペットに押し倒されたジョウは、メグを怒りの目で睨み返す。
「おまえ、……ふざけるなよ」
「はぁーい、ふっざけってまーす!」
メグが右手をあげ、能天気に声を出した。
そして顔をよせるなり唇を奪う。
「ン」
壁のモニターが放つグレイの砂嵐に照らされた、ふたりは長くキスを続けた。
のしかかるメグがジョウのシャツの下に腕をさしいれ、指の腹で胸のとがりを繰り返し撫であげるようにする。
指はさらになめらかな肌をさぐり、引き締まった下腹部に触れた。
ぴくり、熱を帯びはじめたジョウの体が軽く痙攣をする。
そして、変異は。起こりはじめた。
「う」
まずうっすらと、やがて明晰に、青黒い隈取りも鮮やかに。
ジョウの左腕一面と背中にかけて、炎をまとった蛇のような黒いタトゥー、紋様が浮かびあがる。
先史時代の呪いをかたちにしたような、魔物の黒い翼を思わせる、それは怪異の紋章だった。
「う……」
ジョウの体から服を脱がせ、腹筋の発達したお腹にキスをし、伸ばした舌でそこからさらに下へと
柔らかく舐め降ろしていたメグが、腰を包む下着の生地の上からかぶせるように指で触れると、
そこにある固く、熱く脈を打つものがハッキリと確かめられた。
「はいはーい、準備おっけー♪」
ぐったりと床へ横たわるジョウの下半身から、鼻歌まじりにスポーツショーツを引き剥がす。
押さえつけていた布の下から跳ね出すみたいに、たかだかとそそり立つ陰茎が現われる。
「この……メグ!」
ジョウは真っ赤な顔をあげて怒鳴った。
「無理しなぁーい。ほらほらぁ、もうこーんなに、おっきくなってるじゃない?」
赤黒く勃ちあがって天井を指す陰茎を、メグは微笑しながら手のひらで包み、その裏筋を撫で上げる。
「くぁっ……つ、つぁっ」
無抵抗のジョウは、ひたすらうめき、筋肉質の身体を弓なりにそらす。
「ほら、もう、濡れてるしぃ……。こうすると、気持ちイイでしょ?」
透明な滴のにじむ亀頭を、指先でつまむようにいじる。根元から握り、ゆっくりとこすりあげる。
ジョウは烈しく反応をした。
「くはっ! あ、ああ、ア……」
充血しきった異形のペニスが、小刻みに震えながらさらに反り返る。
充分なサイズのその陰茎は、もう少しでヘソにつきかけるほどきつく勃起している。
床にひじをついたジョウは、ひたすらに荒い吐息をついていた。
(はあ、はあ、はぁ……)
横たわり、茫然と天井を見上げていた紅い両の眼に、ふいに意志の炎が点る。
いきなり立ち上がり、メグの身体を振り払って、彼女の手首をとると力任せに身体ごと引き上げ、
後ろ手にまとめてひねり、強引に押し倒す。
「きゃあっ、ジョウ!」
黒の紋様の浮き上がっている腕で、カーペットにべったりと押さえつけた。
うつぶせて押さえ込んだ身体から、ゆっくりと、下着を引きずり降ろしていく。引き抜いた。
上を向いた白い尻の谷間に指をさしいれ、中指で濡れた肉を撫で上げる。
「ひゃっ、…いやぁっ」
Tシャツを背中からめくりあげた。腕を引き抜かせ、脱がせ終えると投げ捨てる。
「ジョウ…」
組み敷かれたメグは身をねじって後ろを見あげ、うるんだ期待の目をジョウへと向けていた。
ジョウは顔つきを無表情のまま変えず、メグの両手を押さえつけたまま、
目線を合わせてくる相手を見下ろし、吐き捨てるようにつぶやいた。
「お前が……悪いんだからな」
手のひらで押しやるようにして、太腿を大きく開かせる。
後ろから乗りかかり、腿のつけねにある肉色の秘所を、
すでに痛いほど勃起しているペニスの先でつ、つんと突いた。
お互いの位置を決めると、ゆっくりと腰を落としていく。
メグの白い肌が震えた。
「んっ、んん、ああああ……」
荒い息で背中からのしかかるジョウ。
亀頭が肉の襞をぬるぬると押し分けていく音が、ふたりの耳にのみ響いた。
「あ……あ、おっきい……」
メグの背中に、ジョウの汗の滴がしたたり落ちる。
腰を沈めて、めいっぱい突き通した。
亀頭の先が、終着点にコツンと当たり、
「く……」
ジョウも声を洩らす。
両腕で腰をかかえて抱き上げ、犬の交尾のようなポーズにした。
そしてさらに深く、肉棒を突き入れ続ける。
メグは床に手をつき、足を大きく広げた四ツんばい状態。
「やだ……うそ……きもちいっ、んっ……」
揺すぶられるリズムに合わせ、メグの肉感的な乳房がぶるぶると暴れている。
腰の動きにつれて歪む、熱い肉壁が肉棒にみっちりと纏わりつく。
ジョウは腕を前に回し結合部、メグのヴァギナの上辺に指で触れ、
びしょ濡れのクリトリスを手荒くまさぐった。
「あ、あ、そこやだっ、」
気付いたメグが悲鳴をあげる。
身をよじり、逃れようとするほど、はじけた肉芽がジョウの指のあいだで更に震える。
「そんなんしたら、も、もう、すぐいっちゃうよぉっ」
熱病か痙攣か何かのように、叫びつつジョウの下で暴れる少女と、
目を閉じ恍惚と腰を突き上げる蛇のタトゥーの主。
「ジョ、ジョオ!」
「はっ…」
一度抜き、仰向かせた正常位に変えた。
曲げた脚を両腕で抱え込み、腰の動きをさらに激しくリズミカルにする。
「あっ……あっ……あっ! あっ! あ! ジョウ! いっちゃうよぉ!」
メグの声もそれに合わせ間隔が短くなる。
ジョウは真っ白い思考の中で、ひたすら激しく腰を振る。
「あっ! あっ! んんッ! んっ! あっ、ああああ……ん、んん……」
思いっきり陰茎を押し込む。メグの声がカン高くかすれて、やがて
二人は同時に絶頂に達した。
汗じみた体で抱き締めあい、二人はカーペット上でぐったりと折り重なるように横たわっていたが、
やがて、ジョウがエアコンのスイッチを入れつつ起き上がり、
ベッドルームのクーラーからバドを二缶、抜いて戻った。
無言で相棒に一本を投げる。
「あのさぁー。スルたび、けっこう中に出しちゃってるけど…」
バドワイザーの缶を鎖骨につけて、しばらく冷たさを楽しんでいたメグが、ふと言い出した。
「ニンシンとか子供とか、どうなンのかなぁ?」
「そんなことは、」
夏休みなぜなに相談室みたいなまぬけな質問を受けた、ジョウは冷たく却下。
「知るか。元々、好きでこんな体になったんじゃない」
「そっかー、そうかもね。わかんないよね」
いかにもしょんぼりとうちしおれたメグの表情を横目で見、
「ま、責任ぐらいはとってやるから……」
ジョウは肩を寄せ、その耳にささやいた。
「浮気するなよ」
メグはぱっと明るい、百ワットの笑顔に変わる。
「うんっ! ぜったい、だいじょうぶっ!」
ハイパワースマイルでうなずくメグを前に、
(コイツ、明るすぎ……)
ジョウは肩をちぢめてバドワイザーを飲み干した。