9月、秋雨前線に覆われたトウキョウの空を、強風に煽られて雨粒が飛ぶ。
今朝の予報では一日中晴れる筈であった。しかし、10時を少し切る頃から
雲行きは怪しくなり始め、一時間も経たないうちに、強い雨がコンクリの上を
蹴るように降り始めた。雨足は徐々に弱まっていき、11時現在、
雨は地面に触れる程度に降り注ぐ。
薄暗い部屋。トレイラーの屋根甲板を打つ雨音に少女の溜め息が混じる。
冷たく沈んだ空気を、熱い吐息が暖めていき、少女は身体を熱く火照らせながら、
ダイニング・ソファにうな垂れている。
瞼の裏には宿る愛すべきヒトの淫猥な映像、少女は焚き付けられたように
それを愛でる。母性に満ちた厚い唇に顔を被せ、舌をまさぐる。
脳裏に浮かぶ女の、妖しく揺れる顔を舌で優しく愛撫しながら、
少女は小さな舌先を、張りつめた唇からねじる様にして、ちょこんと出した。
飛び出した舌で、自らの乾いた唇を濡らすと、まるで愛する彼女の、
まだ見ぬ秘部をなめ回している様な気がして、心がきゅっとなった。
少女の履く白いパンティからは切なさが溢れ、レースの端まで
不純な汁で滲んでいる。少女は秘貝から漏れる甘い痺れに誘われて、
その細い指先を下着の脇に這わせた。
背徳感で濡れそぼる股間。
触れていると、自分がどんなに彼女を愛しているかが分かる。
股は、布地に触れているだけでじくじくと液を吐き出している。
全身を這う甘美な感覚に少女は嫌悪しつつも、カラダは切なく火照り続けた。
触りたい。
自らが隠し続けてきた想い。それが彼女の底で泉のように沸き上がる。
競り上がる欲望に囁かれて、彼女はゆっくりと下着の脇を持ち上げた。
そうして、手の平をまるごとパンティにつっこんでしまうと、
僅かに残っていた背徳の念も、あっという間に失せてしまった。少女は脚を開く。
少女は脚を開く。
開いてしまえば、後ろめたい気持ちも嘘のように拭き飛んでしまう。
熱くたぎる柔らかな股間が手の平に熱い息を吹きかけているよう。
二指で肉唇をさすると、味わい深い痺れが背筋を覆い、
少女のやるせない気持ちが淫猥な声となって溢れた。
穴を押し広げると、花弁は、その濃厚な蜜液で満たされた膣口をくぱぁ、と開き、
少女の指を招き入れた。
愚かしい行為の虜となる少女。
耽る指は、欲望にずぷずぷと飲まれ、少女の心に甘く突き刺さる。
抜き差しを繰り返すと、肉と肉の間から汁が溢れ、それが潤滑油となって、
彼女の指をより深い所へと吸い込んでいった。押し込むと、指は悦楽に満ちた
肉膣に喰われ、引き抜くと細い指に熱い蜜が絡まり、蜜は膣口に垂れ、
恥丘を覆う密林をしっとりと濡らす。撫でる度、少女は悦び、そして堕ちていく。
陰核から伝わる女の感覚は、痛いくらいに彼女の幼い心を責め立てる。
少女は純真であった。純真であったから、これまで誰よりも彼女を護り、
そして愛してきた。それが今、こうして肉欲に負け、股間を手の平で擦りながら
嬌声を上げているのだ。
少女は、自らに沸いた背徳を埋めるように、虚空に向かって愛する名を呼んだ。
「メグ……」
ジョウは、 本能の赴くままに行為に興じていた。
指は、さらなる深い快感を得ようと、赴くままに全身を這う。
小さな胸元を探り、その頂上で桃色に咲く突起を虐めた。こりこりした乳頭を、
指の腹で擦ると、摩擦が性感となってジョウの乳より全身に広がっていく。
乳首をこね回せば身体をねじ切るような、摘まめば首を絞められるような
張り詰めた快楽。股より伝わる快感とは異なる、攻撃的で淫媚な感覚。
変態性を秘めた乳をなぶるという行為に、彼女の、秘めた雌の本能が
あらわになっていく。
イレイザーとして暗躍する彼女の密かな愉しみ。それが自慰であった。
快楽を得るためには、彼女は羞恥心さえ惜しまない。
ジョウはいつしか股を大っぴらに広げて、室内に潜む見えざる者に、
その恥肉を晒した。脳裏に浮かぶ這うような視線と嘲笑。
完全な性の奴隷となって、虜となって、女の本能を刺激する。
右手を股に挟んだまま、うねうねと腰を揺らしていじける彼女の痴れ顔に、
冷徹なヒットマンの表情はない。
理性が痴れる。脳から分泌されるホルモンが美酒となって少女を酔わせ、
顔を溶かしていく。正確に再現された愛のイメージを追いかけながら、
ジョウは、ただひたすらに快感にしがみついた。優しく微笑みかけるメグ。
それは、彼女の凍りついた心を溶かす甘やかな幻想。理想は揺れ、
秘部を熱く潤した。
彼女は知っていた。いずれ降りかかるであろう衝動。
刹那の快楽はどこまでも彼女を広げ、彼女を全てのものから遠ざけて行く。
墜落してしまうような快感にさいなまれるその時まで、彼女は股間をなぶる。
「……は…く…ぅ…ッ」
鋭い痴れがジョウの頭をはしり、ジョウは思わず鳴咽を漏らした。
絶頂が、近い。 彼女は尻を持ち上げ、指を縦にして穴をかき混ぜはじめた。
ぐちゃぐちゃとした、粘着でみずみずしい猥音が室内に響く。
彼女は乳をなぶるのを止め、その分を股間のスジに当て、肉穴を上下に引っ張る。
歪んだ割れ目を整えて、陰唇に指を這わせやすくするためだ。
「……んッ!ふぅ!」
いつものように絶望に向かう体制を整えるジョウ。立てた中指がジョウの中で
暴れて荒らして、膣壁を焦がす。擦る度、ヌルヌルとした甘い蜜が溢れ、
それは陰唇を擦るジョウの指を伝って、ソファの上に落ちる。
ジョウはこれでもかという程に背筋を張りつめ、快感に耐えた。
脳髄をえぐるような痺れは、確実に彼女を追いつめ、悦楽の渦へと突き落とそう
とする。ジョウは背骨が折れそうなほどに弓なりになった。
銃口をこめかみに当てられている時のような緊張感と、全身の皮が溶け、体内が
溶け出してしまうような快感。その二つが悶々と渦を巻いてジョウの身体から
蜜を搾る。
びくん。
ジョウは顎を振り上げ、背筋を震わせて悶える。ガラスの破片が背筋を裂くよう
に走り、快感が臀部から耳の奥までジョウを貫く。彼女は指を膣内に置き去りに
したまま、ぴくぴくと痙攣して動かない。耐えているのだ。
それでも官能はジョウの身体に容赦無く襲い掛かり、膣は彼女の制止を振り切って、
緊張と弛緩を繰り返す。
「嫌……まだ……」
唇を噛んで耐えるジョウ。しかし快感は彼女の脳内で今、爆発せんとする。
耐えしのぐ彼女の膣を尻目に、指はジョウの意思に反して、無闇に陰核を押し潰す。
「はぁぁッッ……くっふ、あぅ、あぅ……!」
ぐちゃ、くちゃ、くぱぁ。
灰の髪を振り乱して、ソファの上で踊るジョウ。熱く火照りきった身体の奥で、
不純な液を掻き回す音が淫らに反響する。滴る愛液のスコールが、氷の様に
冷たく張り詰めた革ソファを焦がし、沸き立つ蒸気が淫霧となって、
彼女の本能を狂わせる。蜜に濡れた股は、指が溶けてしまいそうな程に熱い。
「んんぅ、おぅっ、は、はぁぁ、き、きちゃう……きちゃうよぉぉ……
メグ、めぐッ、メグぅぅ!」
競り上がる開放感。
悦楽の先に広がる世界を覗こうと、ジョウがその眼を見開いたその時。