ダウンタウンの一角に位置する、ちっぽけな廃ビル。  
その一室では、一見すれば、どこにでもいる成人男性のように見える、  
こざっぱりとした服装の男達が佇んでいた。  
糊の利いた皺の少ない高級品のスーツや、ロングコートに身を包んだ、  
長身痩躯、あるいは中肉中背の彼らは、それだけならば凡庸な様子だったが、  
傍らに置かれたアタッシュケースの中に収められている皺一つない札束や、  
何丁かの黒い艶消しを塗られた拳銃と、部屋の中央で、腕を後ろ手に、  
手錠によって拘束され、目隠しと口枷を噛まされた二人の少女と、  
手足をロープで縛られた少年の姿が、男達が、非合法に関わる連中で  
ある事を、滑稽なほど雄弁に語っていた。  
「いや、驚きましたよ・・・お嬢さんのような華奢で可愛らしい方が、  
こんな物騒な玩具を振り回せるとは・・・」  
男達の中でも、特に異彩を放つ青年が、ジョウの二挺の愛銃を弄びながら、  
彼女の元々、半裸同然であり、周りの取り巻き立ちによって、さらに  
破かれ、すでに服としてすら機能していないぼろ布から露出した裸体を、  
無遠慮に眺める。  
視線を感じたのか、ジョウの噛まされた球状の口枷が、歯に圧迫され、  
軋む音を僅かに立てた。  
 
その悔しげな姿を見て、青年は笑みを深める。  
「ああ、それでは返事が出来ませんね・・・取ってあげれますか?」  
「はい、血刀様」  
身かけだけならば、威厳の何もない、長身痩躯の優男の頼みに、傍らに控えた、厳つい黒い肌の禿頭の男が、素直に従っていた。  
やはり、血刀という青年が、この場を制しているらしい。  
「ぷはっ!・・・はあーはぁ――・・・ぉ、お前ぇぇ!!」  
目隠しと口枷を外されるやいなや、息を吸い込んだジョウは、激昂し、眼前の青年を睨み上げた。  
          「・・・黙れ」  
 
            ドスゥッ!  
 
          「かはっ・・・・・・!」   
先ほどジョウの枷の一部を解いた男が、無表情な顔のまま、革靴を履いた足で、ジョウの無駄な肉の一切ない、引きしまった  
腹に、軽く蹴りを入れた。  
「ああ、だめですよ、ブラインさん。女性の体は、我々と違って、とても繊細なのですから・・・  
丁重に扱って差し上げないと・・・」  
「申し訳ありません」  
誠意のこもらない、ひどく冷淡な物言いで、ブラインというらしい男をたしなめた血刀は、苦しげに喘ぐジョウ  
の傍らに、片膝を着ける。  
蹴り飛ばされ、致死量にいたらない程度の筋肉弛緩剤を投与されていたジョウは、  
ろくな反抗も出来ず、床に倒れ、苦しげに呻いている。  
それでも、血刀の姿を認めるやいなや、今にも噛み殺さんばかりに、睨み上げてきた。  
 
「ふむ・・・やはり、貴女のような方には、拷問は効かなそうですねぇ」  
「当、然だ・・・う、ぐぅぅぅ・・・早く始末しねえと、テメエのスカした面が、  
クソ不味いミンチになっちまぜ?」  
血刀の軟弱気な口調も手伝ってか、少しは余裕を取り戻したのだろう。  
ジョウは、口の端を歪め、ホラー映画の合間に見る、マカロニウェスタン風の西部劇からの、脅し文句を言い放った。  
しかし、武器もなく、四肢は満足に動かせず、服すらまともにないジョウの姿は、周囲の  
男たちには、滑稽に映り、中には、その強情で健気な態度に興奮し、股間を高く膨らませ、  
下卑た視線と笑みをジョウに向ける者もいた。  
「『黄昏の血まみれガンナー』・・・懐かしい作品の台詞ですね」  
「なっ!?」  
「いえ、これでも私は、過去の邦画の鑑賞が趣味の一つでしてね・・・はは、貴女とは案外、  
気が合いそうですね?」  
            ハハハッハァッハハハハハハ!!  
血刀の、明らかにジョウをおちょくるための言葉と共に、今までただ黙って事の成り行きを  
見ていた男達が、一斉に哄笑し出した。  
「畜生、畜生、畜生ぉぉ!お前らぁ、いい加減黙りやがれぇ!!」  
幾つもの耐え難い屈辱に、顔を歪め、恥辱により頬を紅く染めながらも、ジョウは必死に叫んだ。  
だが、地べたでもがき、目じりに僅かな涙を溜めた少女の言葉など、幾つもの修羅場をくぐって来た  
男達には通用せず、むしろ、その駄々をこねる幼児のような姿に、さらに快感を覚え、一人で肉棒をしごき出す奴までいる始末だった。  
 
「さて、お遊びはこの辺にしましょう・・・やはり、責めるならば、脆く弱い者を選ぶにが、セオリーというものですよね?」  
血刀の視線が、拳銃を突きつけられ、視界と発言の自由を奪われた、もう一人の少女の方へと向いた。  
その視線と言葉の意味を悟り、ジョウは、自分の置かれた状況も忘れ、必死に青血刀に縋った。  
「やめろ!メグには手を出すな!拷問は全て、オレとそこに寝てる役たたずが受ける!!だから―――」  
「え、えぇぇ!!?そんな!オレただのバイトなのにぃ!!勝手にきめな」  
「後で、殺すぞ・・・・・・」  
「ひ、ひぃ!?うあああ、すいません!ごめんなさいぃぃ!受けますから!ちゃんと受けますからぁぁ!!」  
「・・・だったら、いい・・・・・・悪いな、巻き込んで」  
「・・・・・・へ?」  
敢え無く脅しに屈し、号泣し、己の不運を呪っていた恭平だったが、ジョウのあまりにもらしくない謝罪の言葉に、  
思わず間抜けな声を漏らした。  
「ふふ、若いというのは、羨ましいことですねぇ」  
「・・・っ!だ、黙れ!!こいつはただのガジェット(小道具)、いや、ただの料理しか取り得のない  
童貞の下男だ!!勘違いするな!!!解ったか!!?」  
薬の効果が僅かに薄れたのか、ジョウは顔を真っ赤にしながら、慌てて抗弁した。  
普段の彼女からは想像もできないような姿に、恭平は呆然としていた。  
――――なんだ、けっこう可愛いところあるんだ。  
危機的状況にも関わらず、恭平はそんな間の抜けた考えを脳裏に浮かべた。  
適応か、よほどずれているのか、いづれにしろ、以外と大物であるのかもしれない。  
・・・ただの能天気という可能性も、有るといえば有るが。  
「おいお前!今変なことを考えただろう!!」  
エスパー並みの勘の良さだった。  
「ち、違う!考えてない!ちょっと可愛いじゃんなんてこれぽっちも・・・て、あああ!!?」  
「きぃさぁまッひあうぅぅ!?」  
「ジョ、ジョウ!?」  
激昂し、怒鳴ろうとした半ばで、唐突にジョウは嬌声をあげた。  
 
慌てて逸らしていた視線を向ければ、いつの間にか、血刀のグローブをはずした手の指が、  
ジョウの曝け出された秘所に、優しく、しかし、本人の意思を無視しして、弄んでいる。  
「は、くううっやぁ、やめろおおぉぉ!ぶっ殺すぞ、ひああああああっ!?」  
「はは、媚薬も少しだけ、混ぜておいたんですよ・・・気持いいですか?ジョウさん・・・」  
僅かに身を捩じらせ、尿以外のもので濡れ始めた秘所や、乳頭、汗ばみ、日に焼けたやわ肌を  
手馴れた調子で撫で回す手と指から逃げ出そうとするが、血刀の空いたほうの腕が、しっかりとジョウの細い腰を抑えており、  
ただ血刀の、か細い外見からは想像もつかないような、逞しい腕の中で、身悶えるしか出来ず、  
その艶かしい姿に、男たちの何人かが絶頂を向かえ、止めどなく迸った白濁液が、メグの体に降りかかった。  
「うぐぅうううぅぅ・・・・・・」  
入念な手入れをした髪を、剥かれた服から露出した、瑞瑞しい肌を伝うぬらぬらとした、  
液体とも個体ともいえない感触に、激しい嫌悪感を覚え、メグは苦しげに呻いた。  
「ううぅ、い、いやだぁ、も、もう、こんなのぉぉっ!ふあああぁぁぁぁ・・・」  
「・・・ふむ、そろそろですかね、ブラインさん」  
「はい」  
ジョウを責める手を休めぬまま、血刀はブラインを呼びつける。  
「そこの少年の拘束を解いてあげてください」  
「・・・開放するのですか?」  
いぶかしむように眉を僅かに顰めたブラインに、血刀は微笑みながら、言った。  
「いえ、これも何かの縁ですから、彼の筆おろしを手伝ってあげようと思いましてね」  
「「っえ!?」」  
その冗談としか思えないような言葉に、必死に体の芯から湧き出る劣情に耐えてながら、この状況を打破する  
手段をなんとか考えようとしていたジョウと、本能的にあそこを勃起させてしまい、猛烈な自己嫌悪を感じながら、  
手首と足首が擦り切れるのも構わず、焦りながらも縄をぶち切ろうとしていた恭平は、  
揃って疑問符の付いた声をあげた。  
見上げた血刀の表情は、邪心は見てとれても、冗談を言っているようにはとても見えなかった。  
「うううぅぅぅ―――――――!!!」  
メグの虚しい呻きが、室内に響き渡った。  
 
いやちょっと待て待て待て待て待ってくださいいぃぃぃぃ!!!」  
「ふ、ふざにゃうあぁ!? うぅ! ややめぇぇっあうううう!!」  
ブラインは二人の抗弁などまるで無視しし、恭平の拘束を手早く解いた。  
「立て」  
もう一人の男に銃口を向けられていた為に、逆らうことも出来ず、恭平はしぶしぶとブラインの命令に従った。  
「や、やめろおお! 恭平ぃぃ! 近づくな近づくな近づくなああ!!」  
「そういってもねえ・・・いい加減貴女もせつないでしょう? なぁに、犬に噛まれたとでも思って、彼を一人前の男にしてあげて下さいよ」  
そう、おもしろがるように言いながら、血刀は周りの男達にさりげなく目配せする。  
血刀の意向を察した男たちは、血刀が離れると共にジョウの腰を掴み足首と頭を抑えた。  
ジョウが体の痛みに呻きながらも、弱弱しく必死に罵声をあげるが、男達は一向に構わず、腕と足の戒めを解いた。  
 
「うぐ・・・お、お前ら何を・・・!?」  
薬と強制的な快楽で、力の抜けた体では、手を床に着けて支えることしかできず、腕と足を掴まれ、メス犬のような姿勢をさせられても、口意外の反抗手段はなかった。  
「あはは!まるで発情したメス犬ですね・・・ほぉら、彼も貴女の愛液でぐちゃぐちゃになった肉穴を見て、すっかり興奮してしまったようですよ?」  
「・・・・・・っ!」  
「なっ!?で、デタラメ言うなあああ!!」  
「・・・パーカーの裾をそんなに下げていては、全く説得力がありませんよ?」  
「あうううううう・・・」  
一通り若者たちで遊んだ血刀は、恥辱で顔を真っ赤にし、両の瞳に涙を溜めたジョウの尻の肉を押し広げた。  
「ほおぉら、お嬢さんはすっかり出来上がっていますよ? はは、貴方の肉棒が欲しくて、ヒクヒク震えながらだらしなく涎を垂らしていますよ・・・」  
「ふああ、あああああ・・・きょ、きょうへいいい、お、お願いだからあ、い、いれないでえええ、あたし、あたし、まだキスもお・・・」  
もはやまともに思考が働いていないのか、口調も一人称もめちゃくちゃになってしまっている。  
それでも恭平は耐えた。  
普段からは想像もつかないような、弱弱しく、可愛らしいジョウの痴態に股間はパンツを貫かんばかりに隆起し、汗で濡れた艶やかな肌や、艶かしく  
濡れそぼる秘所を見ただけで、射精しそうになった。  
それでも、恭平は、耐えた。  
歯を食いしばり、拳を握り締め、弱ったジョウに襲い掛かろうとする凶暴な本能と戦った。  
立派である。  
男である。  
ああ、今や、男としての恭平の尊厳は、十二分に英雄と等しきものとして―――  
「さっさと犯せ」  
ジャキンッ  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はいぃぃぃ」  
前言撤回。  
ああ無情、悲しむべきは、へタレパンピーの宿命か?  
 
「あうあああ・・・おねがい、おねがいだからぁ、それだけはゆるしてぇ・・・」  
「ご、ごめん・・・ジョウ」  
社会の窓から放り出された恭平の、意外にも皮の剥けた分身が、とうとう  
ジョウの第二の口に押し付けられる。  
「え、えと、ここかな? あ、あれあれ?」  
四つんばいになったジョウの腰を両手で掴み、自己嫌悪を銃への恐怖でごまかし、  
意を決してジョウの深き場所へ進みもうとした恭平だったが、悲しきかな、  
所詮は童貞。  
だらしなく愛液を垂れ流すジョウの肉穴へとなかなか分け入れられない。  
「・・・しかないですね、よっと」  
呆れながら、血刀が恭平の肉棒を掴み、ジョウの秘所あてがい、一気に腰を  
押した。  
「うええええええええ!?」  
「・・・・・・っ!!?うひゃあうああうあああぅあええああ!!?」  
唐突な激しい刺激に、二人は支離滅裂な嬌声をあげた。  
 
「だ、だめだああ! ジョウゥウ! ごめぇぇん!!!」  
柔らかで、キツク締め付けてくるぬるぬるとした肉壁の迎えに、恭平は全く耐えられず股間の肉銃に装填された、  
白濁した弾丸を、ジョウの腹の中にぶちこんだ。  
「ふああああああああ・・・あついぃぃ・・・おなかあついよおおおぉぉ・・・・・・」  
だらしなく口を開き、絶え間なく上と下の口から涎を垂れ流すジョウは、悦楽に脳を流し込まれた白濁液に  
、脳を溶かされたのかのように、とろんとした虚ろな目で、どこともしれない場所を見つめ、  
望まない心地よい刺激に、身を震わせる。  
ドプドピュリュドクドクグビュウゥゥゥ・・・・・・  
「ハア―――!ハア――――!!ハア――――・・・・・・」  
「あ――、ああ―――・・・・・・」  
しばらくジョウの子宮にまで溜まりに溜まった精を放ち、ようやく、少年と少女は一息ついた。  
「はい、よくできましたね、それでは次は初めての相手の目の前で、汚らしい男に  
輪姦されてもらいましょう―――」  
「ストォォォォォップ!!!」  
『!?』  
 
いまだ放心し、繋がったままのジョウと恭平を除いて、部屋中の男達が場にそぐわない朗々とした声の  
方へと慌てて振り向く。  
そこには、  
「この<フールジョーカー>が、目にはいらんかああああああああ!!!」  
精液に濡れたまま、得意げにアンチマテリアルライフルを両手で構えた、メグが仁王立ちしていた。  
「なに!? いつのまに・・・!」  
「ふふふのふ――んだ! このメグちゃんの七つ道具にかかれば! こんなチャチな拘束なんてちょちょいのちょいよ!」  
子供のように喜色満面に答えるメグを無視し、ブラインは冷静に彼女の周囲を観察する。  
1 股間を抑えながら失神している男。  
2 前のめりにぶっ倒れて痙攣している男。  
3 壊れた小机  
4 荒らされた横流しの銃器類。  
「・・・色仕掛けか・・・」  
「ギクギクゥ! あ、あんたまさかテレパス!?」  
「いえ、良く見れば解りますよ・・・」  
呆れたように呟くブライン、あほっぽく驚嘆するメグ、突っ込む血刀。  
「あひあああああ!きょ、きょうへいい!もっとぉ、もっとちょうだいいい! あたしのおなかにぶちまけてえええぇぇ!!  
あかちゃん! あかちゃんできてもいいからあぁぁ!!!」  
「うああああああ!止まらないよおおお!!ジョウウゥゥ!!!」  
「てぇ!そこおぉぉ!!なにさかっちゃってんのよお!!!」  
すっかり悦楽に囚われ、周囲のことなどお構いなしにまぐわる二人に、真っ赤になった顔を向け、  
メグが怒鳴った。  
カチンッ  
「え?」  
『あっ』  
とんでもない爆音が、ビル全体に鳴り響いた。  
 
 
 
 

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