第1夜
「転校生のメグさんです、仲良くねー」
担任に促されて自己紹介をするメグ。
そのとき、全女生徒の憧れの的、ジョウのハートに突然の衝撃が走った。
(か、かわええ…)
これが二人の出逢いである。
第2夜
「みて、ジョウ様とイチャついて」
「いやらしい…」
中傷が飛び交うここは爆天女学園、乙女の園。
「あいつら…」
ジョウは地獄耳の性能をいかんなく発揮させ、それらを聴き逃さないのだ。
「しょうがないって、ジョウは人気あるから」
「メグ…」
(メグ、なんて優しいんだ。可愛いし。美乳だし。
あんなことや、そんなことを、お前にしたーい!!)
呼び捨てになったばかりだろ、おちつけ、もうちょっとだ(なにがだ)。と自制するジョウ。
翌日、メグの机のなかには菓子折りが入っていたという。
第3夜
セイ先生である。
なんというかまぁ、セイは先生で教師なのです。
ほかにポジションはありません。以上。
「テストをはじめます」
ざわめく教室。
「テストいやにゃお〜」
「最悪…」
メグたちも力なくうなだれるばかりだ。おっと例外がいるな、ジョウは余裕で妄想しているみたいです。
「テスト開始」
彼女たちの戦いは始まったばかりだ。
第4夜
ジョウ、学年2位。エイミー、学年1位。
メグは過激にスルーだ。
「アンタ頭ちょーいいじゃん!」
同族だとおもっていたのに。
ああメグ、哀れでさえある。
いっぽうジョウサイドは、いつものとおり大混乱。
「さすがジョウ様ですわ…」
「ええ、ほんとうに」
ちなみに、ジョウのファンは盲信的であり、1位の情報は脳内で抹殺されていたりするのだった。駄目だろそれ人として。
それはそれとして、本日のセイ先生は鬱入っていたりする。
長かった交際のピリオドに悲しみ、
焦っていた。
「独身独身…」
なにやらつぶやき、虚ろな目をしている。危ない。
「先生、どうしたの?」
「えはっ、」
あ、反応した。エイミーの呼びかけに。
「先生?」
「あ、な、なにかな」
「(おいおい来ちゃったよ、イジリ時だよコレ)
先生なにかあったの?心配だよぅ」
「ああごめんね、なんでもないの」
「でも先生…」
「なんでも、ないのよ」
「無理しないで先生、大好きな先生がそんな顔していると辛いの、とっても辛いの!」
「エイミー」
「先生、大好きだよ!」
じわぁ、とセイ先生の瞳から雫がこぼれおちた。それは渇いた心を潤し、癒したのだ。
セイ先生はエイミーの胸で泣いた。めいっぱいに切なさをぶちまけて。
いいさ泣け、君のその涙は美しいものだ。
「なにかしら」
「先生?」
「エイミーさん、先生はどうなさったの!」
ざわざわざわ…
「え、えぇっと」
その日、歴史が動いた。動いてしまった。
小悪魔がタブーに触れてしまったのであった。
その日の放課後。
「エイミー、先生のお家にこない?」
「え、遠慮するにゃ」
先生の鼻息は荒く、眼は血走っていた。
エイミーはイヤな予感というか、なにかを猛烈に感じ取っちゃうしかない。
「エイミー、じゃあせめて食事だけでも!」
「イヤイヤー!」
逃げ出したエイミー。追い掛けるセイ。
またひとつ、恋が走り出した。