許されぬ事とわかっていてもこれが最初で最後の恋だから。  
 
 
「ん……っ、は…」  
「いいよ、桜庭くん…凄く綺麗だ」  
「本当、で、す…か…っ、あっ!」  
 
大久保大和と名前を変えた彼――――近藤さんとこうして身体を重ねるのは何度目になるだろうか。  
最近は夜を迎えるたびにこうして二人、誰よりも近くにいる。  
近藤さんの唇は執拗に私の茂み近くにある花芯を嬲り続けていた。  
舌先で弄ばれるだけで電気が走るような感覚が身体を支配する。  
ぴちゃ、と淫音を奏でられるだけでも感じてしまう。  
更に身体が素直に反応して中心を湿らせてゆく。  
 
「濡れてるよ、凄く」  
「や…ッ、だって、こんど、さ…んっんんっ」  
「こうされるの、好きなんだよねぇ」  
 
花芯を強く吸われながら、長い指が私の胎内へ押し入ってくる。  
挿入されたその指を知らず知らずにギュッと締め付けて。  
それでも近藤さんは嬲る事を止めずに更に厭らしい音を立てながら  
膣壁に包み込まれている指をゆっくりと出し挿れさせ始めた。  
最初の頃は痛くて慣れなかったその行為も今となっては快楽。  
いつの間にか私の身体は近藤さんによって「女」に変えられていたのだ。  
 
「力抜いてごらん?そう…ほら、もう一本」  
「ああっ…は…ぁ…ッ」  
「ほら、入った…」  
 
中が苦しい。  
中指と人差し指を同時に挿れられて、思わず息を呑む。  
膣壁を二本の指が執拗に擦りあげてくる。  
激しく動かされる指は徐々にその速さを増してきた。  
更に溢れる愛液と近藤さんの唾液が絡み合って大きな音を奏でてしまう。  
 
「や…っ、こんど、さん…のじゃなきゃ、嫌ぁ…ッ」  
 
いつから私はこんな淫らな事が言えるようになったんだろう。  
頭の隅でそんな事を考えながら、近藤さんを求める。  
今は私だけの彼(ひと)。  
それをもっと身体で知りたい、確認したい…  
 
「俺の?俺の…何が欲しいのかなー?」  
 
酷い人。  
近藤さんだって余裕が無いくらいに大きくなっているのに。  
指を中から引き抜き、ようやく唇を下肢から離すと私の両足を肩に担ぐような体勢を取る。  
もうぐしょぐしょに濡れ、待ち望んでいる私の入り口にわざと近藤さんは先端だけを押し付けてニヤリと笑う。  
 
「言ってごらんよ。何が欲しいんだい?」  
「や、だ…っいじわる、しないで…下さい…」  
 
近藤さんの言葉に顔が熱くなる。  
恥ずかしくて顔を逸らそうとすると、逃がしはしない、と彼の濡れた唇が私の唇に重なる。  
 
「ん…んん…」  
 
吐息を漏らし、腰を揺らめかせながら懇願する。  
 
「おねが…っ、こんどうさん…欲しいんです…」  
「…全く、仕方ない子だな」  
「…あ…あああっ!」  
 
突然楔に貫かれる身体。  
子宮の奥に近藤さんを感じる。  
突かれる度に中からどんどん愛液が溢れてくるのを自分でも感じて。  
折り重なるような体勢も手伝って本当に最奥に近藤さんがいるのがわかる。  
自然と締め付けてしまう下肢。  
喘ぎは止まらない。  
 
「あんまり大きな声出すと…トシに聞こえるぜ?」  
「だ、だって…っん、んん…あ…」  
 
土方さんの名前を聞いて思わず唇を腕で塞ぐ。  
それでも身体は素直だから、どうしても喘ぎは漏れて。  
懸命に堪えようとするのに、近藤さんは唇を塞ぐ腕を捉えて私の頭上に押し付けた。  
 
「は…ああ…っあ…」  
「ふふっ、可愛いねぇ…本当に愛おしいよ、桜庭くん」  
「わたし、も…っ、んん…こんど、さん…あ……ぁっ、す、き…」  
 
言いかけた言葉は唇で塞がれる。  
さっきまでは前後に動いていた腰が今度は上下と動きが変わって。  
突かれる快感が掻き混ぜられる快感に変化する。  
 
「んン…ッ」  
「ふ……」  
 
近藤さんも苦しいのだろうか、吐息を漏らす。  
彼の額に溜まった汗が雫となって頬に零れ落ちてきた。  
イイトコロばかりを攻められて、私はもう昇る寸前まで駆り立てられてゆく。  
 
「も、だめ、です…っ、私…ぃ…」  
「待って、もうすこ、し…ッ」  
 
近藤さんも絶頂が近いのか、腰を打ち付ける速さが増してゆく。  
しっかりと、奥深くまで繋がり合う。  
あまりの快楽に強く膣を締め付けて腰を振る。  
 
「あ…ああ…っ、もう…ッ」  
「桜庭くん…中に出すよ」  
「きて…、近藤さん…ッあ、あ、ああああ――――――!!」  
「…く…っ」  
 
ほぼ同時に達し、背中に爪を立てる程強く彼を抱きしめる。  
私の中で達したのか、ドクドクと脈打つのを感じて。  
そして熱いものが注がれてくる。  
そのまま暫く、余韻に浸るように繋がり合ったまま褥の上で瞳を伏せた。  
 
 
 
――――夜中、ふと目を覚まして隣を向く。  
私はしっかりと近藤さんの腕に抱かれている。  
いつも気を張って疲れているんだろう、もうぐっすりと眠りについていて。  
近藤さんを起こさないように少しだけ起き上がると  
寝息を立てる唇にそっと唇を重ねた。  
 
あとどのくらい生きられるか正直わからない。  
日に日に敗色が濃くなっていくのは目に見えていることだから。  
私たちがどんな最期を迎えるのかはわからないけれど  
近い未来訪れるかもしれない最期の瞬間だけはこの人と全てを共にしたい。  
 
奥様、ごめんなさい。  
私を憎んでくれてもいい、恨んでくれてもいい。  
けれど、最期までどうか近藤さんのお傍にいさせてください。  
きっとこの先私に訪れることは無いだろう誰かを愛し、愛される気持ちをあと少しだけ感じたい。  
我侭なのはわかってます…でも、それでも。  
 
 
 
どうか、近藤さんに残された時間を私にください。  
 

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