湿った音と肉のぶつかり合う音が、ふと途切れる  
自分の腰に跨ったまま手をつき息を切らす新妻を見上げる  
 
じゃれつく猫の様だと思ったが言わない事にした  
 
 
 
──上に乗ってしてみたい、そう言い出したのは彼女だった  
どこから聞いたんだなどと追求はせずに話に乗る事にした  
普段から自分より二回り半は小さな身体に覆い被さっている訳で  
何となく負担を強いているような罪悪感があったからだ  
 
勿論自分でも興味はあったが正直想像以上だった  
 
普段からは想像もつかない姿が今はさらけ出されている  
滑らかにくびれた腰を振るのも  
大振りではないが形のいい乳房が揺れるのも  
肩で切り揃えられた髪を振り乱すのも  
何より気の強さをすぐに出す顔が快楽に染まるのも  
全部見て取れる  
自分だけが見られるものだと思うと妙な優越感が湧いてきた  
 
「何…ニヤニヤしてるのよ」  
「可愛いなと思ったからな」  
「…バカ!恥ずかしい事言わないでよ」  
「キツくないか?」  
「大丈夫、よ…」  
「そうか、じゃあ少し激しくしてみるか」  
「え…ちょっと待っ…やあっ」  
 
潤んだ目と掠れた声で大丈夫だと言われてもな…と思ったが  
少し意地悪をしてみたくなって彼女の腰を掴んで揺らす  
 
かぶりを振るのにも構わず掴んだ腰を揺すり、突き上げる  
「ちょっ…ダメ…ぁんっ…やだ…奥にっ…当たっ…ぅあっ…」  
嫌がる口振りを、流れ出す程の濡れようと吸い上げる様に締め付ける身体が否定する  
「いやぁっ…深っ…のぉ…あっ…ふあっ…はっ…」  
その口さえももう喘ぎしか出て来ない  
髪を振り乱し、身を捩り、悶え叫ぶ  
深い、というのは自分でも感じていた  
いつもとは違う感触に限界の近さを悟り動きを速める  
「!…っやあっ、も、やぁ、ダメ、ぅあっ、ダメ、…っふあああぁぁんっ…!!」  
一際大きな声と共に繋がった所が締め付けられる  
外に零すまいと腰を押さえつけたまま、一滴残らず注ぎ込んだ  
 
お互いの荒い息遣いだけが部屋に響く  
彼女は繋がったまま自分の上に倒れ込んでいた  
汗に濡れた背中を撫でていると胸に頬ずりしてきた  
やっぱり猫みたいだと思う  
 
「落ち着いたか?そろそろ抜くぞ」  
「ん…もう少し」  
「このままでいいのか?」  
「あなたの心臓の音…聞いていたいの」  
 
そんな事を言われたら動けなくなってしまう  
まったく本当に猫のようだ  
好奇心旺盛で気が強くて時々人懐っこくて、いやらしい雌猫  
 
──でも、君が人間に生まれてくれて良かったよ  
人と猫じゃこんな風に愛し合えないからな  
 
そんな事を考えながら眠ってしまった妻の髪を撫でる  
朝までこのままだったらきっと怒り出すだろうな  
心地よい疲れの中でそう思いながら眠りに落ちていった  
 

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