いったい何でボクはドラゴンなんかに生まれちゃったんだろう
と近頃思う様になりました。
その原因はビュウさんに彼女らしき人が出来た事です。
その「ふれでりか」とかいう人のせいでこの前は、日課のブラッシングをやってもらえませんでした。
機嫌を悪くしたボクにビュウさんが、
「フレデリカと約束が有るんだよ。ごめんな。」
とか言ってましたが納得出来ません。
前からずっと一緒のボクよりその「ふれでりか」とかいう人の方を優先するなんて!
これもボクがドラゴンだからです。
ビュウさんだってボクが人間になったら、きっと振り向いてくれる筈。
そんな思いを抱えていたある日の事でした。
夜、甲板でボクが羽を休めていると、目の前に人がいきなり現れたのです。
その人は普段、世話を見てくれているドラゴンおやじさんで有る様にも、
まるでドラゴンの様で有る様にも見える不思議な人でした。
不思議に思っているボクにその人は言いました。
「人間になりたいのか?」と。
その人がボクの願いをなんで知ってるかはわかりません。
ただ、この人なら知ってて当然、何故かそう思いました。
その人の問いにボクはゆっくりと答えました。
「はい」と。
すると、その人はこう言いました。
「お前の願いを叶える事は出来る」
それを聞いたボクは慌ててこう答えました。
「な、ならさっさとお願いします!」
そう答えたボクにその人はこう言いました。
「ただ二つ条件が有る。一つ、人間でいられるのはこの一晩だけ。そしてもう一つ。
チャンスは一回だけだ。一回だけしか人間にはなれない。
それでもやるのか…?」
条件もへったくれも有りません。ボクには一晩でもチャンスが有ればいいのです。
「はい」とボクは答えました。
そう答えを聞くとその人はゆっくりボクに手をかざしました。
そして、体が浮かんでいくような感覚と青白い光に包まれていき…
やがて、その感覚が終わるとボクは二本足で地面に立っていたのです。
「今晩だけだ。忘れるな。」
そういうとその人は現れた時と同じ様に消えて行きました。
ホントに人間になれたんだろうか、そう思って体のあちこちを見てみました。
赤い流れる様な毛。二本の手と二本の足。
それに胸の所もちゃんと膨らんでいました。
いっつも見てた「ふれでりか」という人とおんなじ作りです。
ボクは本当に人間の女の子になれたのです。
それを確認した時、ボクは後ろに気配を感じました。
その日、ブリッジで見張りをしていた俺は甲板に変な物を見た。
それは、激しく青白く輝き、そして一瞬で消えた。
慌ててそれを横のラッシュに伝えたが、寝ぼけていたと思われたらしく本気にはされかった。
しかし、艦への攻撃だった可能性を一応考え、見張り後、甲板へ様子を見に行く事にした。
甲板へ降りて、光を見た辺りを見回るが特に異常は無い。
いつものファーレンハイトの甲板のままだ。
やはり俺の勘違いだったようだ。そう考えて艦に戻ろうとした時。
一人の少女が甲板に佇んでいるのを見つけた。
女衆の内の誰かが外に出ているのか?、そう思いその少女をよく見てみたが、
どう見ても知らない顔だ。そして、もう一つ。
その少女は服を着ていなかったのだ。
これはあきらかに変だ。そう思ってその少女に声をかけようとした時。
その少女がいきなり振り向き、こちらに飛びかかって来た。
いきなり飛びかかられたせいで俺は地面に倒れ、その少女に上を取られてしまった。
ーやられる…!
そう思った時、俺の上のそいつはこう言った。
「ビュウさん!ボクもビュウさんと同じ体になりましたよ!!」と。
「は…はぁ?」
何がなんだかさっぱりだ。なんでこいつは俺の名前を知っているのか、
というか、それ以前にこいつは一体誰なのか。
わからない事だらけだった。
だが、とりあえずは。俺の上から降りてもらうしかない。
「おい、俺の上に乗っかってるそこのお前」
「?」
「とりあえず…降りろ…」
ようやくそいつの重みから解放され、俺は起き上がる。
「で…だ、あんたは誰なんだ?こんな所で全裸で何やってる?」
「ビュウさん…ボクが誰かわからないんですか…?」
「あたりまえだろ、お前なんて知るか」
そう言うとそいつは急に俯いてしまった。
「……どうした?」
よくわからないが少し心配になって声をかける。
「……どい」
「なんだって?」
「ひどいです!いくらボクの姿が変わったからって…!!」
「す、姿が変わった?」
「そうです!まだわからないんですか!!」
「わからん」
「カーナ所属の戦竜、サラマンダーです!いっつもビュウさんボクの面倒見てくれてるじゃないですか!!」
「…は?」
「あ、疑ってますね!」
「い、いや…疑うとかそういう話じゃなくて…ありえないだろ…」
「う…で、でも…ボクはサラマンダーです!信じてください!!」
そう言うとまたその少女は俯いてしまった。落ち込んでいる、というのが顔を見ずとも雰囲気でわかる。
この落ち込み様、まさか本気でこの少女はサラなんだろうか?
よくわからない。だが、ドラゴンが人間になるなんてありえない。
しかし、龍人という物が実在していた以上、もしかしたら…という事も有る。
一回、この少女を試してみるのもいいかもしれない。
「なあ、あんた…」
「な、何ですか…?」
「あんた、本当にサラなのか?」
「は、はい!」
「なら、教えてくれ。あんたの好きな食い物と嫌いな食い物」
「えーと、好きな物はあまあまハニーと…後はビュウさんのお下がりの装備品ですね。この前のドレッドノートとか最高でした。」
「嫌いな物は?」
「にがいものと、後は暗黒の草とかうにうじです。」
まったくサラの好みと一緒だったし、この前、俺があげた餌まで知っている。
この少女はやはりサラとしかいいようがない。
俺とサラしか知り様が無い事を知っているのだから。
「やっぱり、あんたはサラ…なのか?」
「そ、そうです!やっと信じてくれたんですね!!」
「うーん…まあ…な…」
そう言うと、そのサラらしき少女は大喜びしだした。
やった!やった!と叫んでいる。
「でだ、サラ」
「わーいわーい」
「サラ!」
「は、はい!」
「とりあえず俺の部屋に来い。そんな姿でうろつかれると困る。」
「そんな姿…?」
「お前、裸じゃないか。いくら冬じゃなくても風邪引くぞ」
「はだか…ってなんですか?ボク何か変な事してるんですか?」
それを聞いて、少し驚いたがすぐに当然だ、と思った。
サラはドラゴンなのだから。服を着る習慣が無くても当たり前だろう。
「いいから来い。ほらこれ羽織れ。」
そう言って見に着けていたマントをサラに羽織らせる。
「さ、行くぞ。ちゃんとついて来いよ」
そうして俺はサラを自室へと引っ張っていった。
部屋についてサラに適当な服を着せる。サイズが合わなくてダブダブだがこの際、
仕方が無い。
「さてと…サラ」
服に慣れないのかモジモジしているサラに俺は言った。
「どうやって人の姿になった?」
「いや、ボクもよくわからないんです。」
「よくわからない…だと?」
「はい、何かドラゴンおやじさんの様な、竜の様な人が現れてですね.…」
その後のサラの話からまとめると、おそらく前から睨んでた通り、
ドラゴンおやじは龍人だったらしく、
サラは体を貸してもらっているのだろう。
あのドラゴン好きオヤジの事だ。ドラゴンの幸せの為なら何でもするだろう。
何をどうしたらサラを人の姿に出来るのかわからないが、どうにかしてそれをしたらしい。
その犠牲か、サラが言うには今晩しかこの体ではいれないらしいが。
そして、今晩が終わればもう2度と人間にはなれない、とも。
「今晩だけか…」
思わずそう呟いた。月の高さからして夜もだいぶ更けた。
時間はあまりにも少ない。なのに何故、サラは人間なんかになったんだろうか。
「なあサラ。聞いていいか。」
「何ですか?」
「何故、人間に…?今晩だけだったら何にも出来ないと思うんだが…」
「え、えーと、それはですね、あ、あの、ビ、ビュウさんに」
「俺になんだ」
「振り向いてもらう為です!」
そうサラが叫ぶと同時に、さっきの様に俺をベッドに押し倒した。
そして、俺の上に乗り、俺の服をいきなり脱がし始める。
「ま、待て!」そう言うがサラは止まらない。
どんどんと俺の服を脱がし、ついに俺の下半身はあらわになってしまった。
そして、サラは俺の性器を自分の性器を挿入する。
当たり前だが、サラは処女だったらしく、サラが一瞬苦痛に顔を歪めるが、すぐに元の顔に戻る。
そして、サラはこちらを勝ち誇った様に見ながら言った。
「ビュウさん…ボクが何にも知らないと思ったら大間違いですよ…
ビュウさんとあの「ふれでりか」とかいう人がやってた事…
ボク…全部、窓から見てたんですからね…」
そう言って、サラがゆっくりと腰を動かし始めた。
サラの膣内が俺の性器を締め付け、確実に俺の神経を刺激してくる。
「サ、サラ…お前…見てたのか…っていうか…なんで…こんな…」
「理由ですか…?」
「そ…そうだ…」
「ボク…ずっとビュウさんの事…好きだったのに…ビュウさん…他の女の人とくっついちゃって…
ボクはドラゴンだからって諦めようとした時…
こんなチャンスが巡ってきたんです…でも…このチャンスすら今晩だけ…
ボクには時間が無いから…だから…」
「サラ…」
「ビュウさんの事…ボク…本当に好きです…ビュウさんの全部が好き…」
そう言って更にサラは動くスピードを上げて行く。
「…ッ!」
やがて俺の快感はどんどん増していく。
それが解るのかサラがこちらを見て、嬉しそうに言う。
「気持ちいいんですね…ビュウさん…ボク…ビュウさんに喜んでもらえて嬉しいです…」
「ううっ…!」
徐々に俺も声が我慢出来無くなってくる。頂点が近づいてくる。
それはサラも同じなのだろう、声が徐々に艶を帯びて来ている。
「あ…ああ…ん…ビ…ビュウさ…ん…」
「く…!あ…あ…サ…サラ…!」
「ボクも…!ボクも…!気持ちいいで…す…んんっ…!」
「サ…サラ!俺…もう…!!」
「ビュウさん…!ボクに…ボクに…全部ぶつけてください…!!」
その声を聞いて、俺の頭の中の箍が外れた。
サラの気持ちに応える為に、サラの一番奥で、俺は…果てた。
「もう…後少しで夜明けですね…」
事が済んで一緒にベットで寝転んでいたサラが寂しそうにそう言った。
「ねえ…ビュウさん…?」
「何だ…?」
「その…やっぱり…ビュウさんは…あの人が好きなんでしょう…?」
少し考えて、俺は答えた。
「そう…だな…」
「やっぱり…そうですよね…」
「すまないな、サラ…」
「いいんです…ボク…一晩でもビュウさんと一緒になれたんだから…それに…」
「それに…?」
「ボクの本当の気持ちも…伝えられたから…」
「……」
「夜明けまでは一緒にいて下さい…ビュウさん…お願いします…」
「ああ…」
俺はサラをゆっくり抱きかかえた。
次に目覚めた時には消えてしまっているであろうこの少女を、
今だけでも、繋ぎ止めておきたかったから。