「トレーネ。ケイオスはアタシたちが助けてみせる。
だから、あんたは安心して、ここで待ってな。」
(ありがとう、ノインちゃん・・・)
最後の戦いに赴く彼女達の背に向かって、トレーネはそう呟いた。
彼らを見送り、マックスに与えられた部屋に踵を返す。窓際に備え付けられたベッドに
腰を下ろす。
(彼の気持ちに、気付いてあげられなかった・・・)
ずっと見つめてきたのに。自分は、少しも彼の気持ちに気付いてやれなかったのだ。
そんな自分が恨めしく、今すぐにでも彼に謝りたかった。だが、それは今できないのだ。
トレーネには、ただフェルトやノイン達を信じ待つしかなかった。
彼の身を案じ物思いに沈んでいるうちに、窓の外はすっかり暗くなっていた。
「だめね、私。落ち込んでいてもしょうがないのに。今はノインちゃん達を信じて待つしかないんだわ。」
やっとベッドから腰を上げ、気分転換のために浴槽に足を運ぶ。
熱いお湯に浸かっていると、気分も少し和らいだ。良い香りのする石鹸で体を洗い、髪を洗う。ふと、鏡に映った自分の顔を見つめる。
「彼の妹さんは、一体どんな子だったのかしら・・・」
やはり、彼に似ているのだろうか。同じように黒髪で、深紅の瞳をしているのだろうか。
もう一度湯船に浸かりながら、彼の手記を思い出す。その手記を読んだだけでも、彼がどんなに妹を大切に思っていたのかが
ひしひしと伝わってきた。
リエーテさん、私はあなたが羨ましい・・・)
湯船から上がり、上品な下着に身を包んだままの姿でトレーネはベッドに横になる。
きっと彼は自分の事を、魅弟として、それ以上にも、それ以下にも見てはいなかっただろう。
彼の目には、たった一人の肉親しか映っていないのだ。それでも・・・
「好き、です・・・」
あなたが、好き。
「んっ・・・」
自然と指が足のつけ根にのびた。下着の上から突起を擦る。
「あ、あぁ・・・」
もっと強い刺激が欲しくて、下着の中に指を入れる。少し刺激しただけで秘部からは蜜が溢れ出してきていた。
その蜜を指に絡め、直接突起を擦り上げる。
「あ、あ、気持ちい・・・い」
クリクリと円を描くように擦っているうちにだんだんと息が上がってくる。
「ケイオス・・・ケイオス・・・好き、です・・・ん、はぁっ!」
思わず腰が少し浮く。我慢できずに下着を脱ぎ捨てると、細い指を蜜の溢れ出している秘部に埋め込む。
反対の手で小振りな胸を揉む。秘部に差し込んだ指は、少し動かしただけで、くちゅくちゅと音をたてた。
「はぁ、あ、ケイオス、帰ってきたら、私、あなたに・・・」
指一本では足りず、もうひとつ埋め込み、熱く火照った秘部を乱暴にかき混ぜる。
「んぁっ、あぁ!はぁ、あ、あなたに・・・ん、謝って・・・」
胸を揉んでいた手で突起を擦ると、腰がとろけそうなほど気持ちよい。
「謝って、それで・・・は、ん、んぁ・・・好きですって・・・っ」
もし彼に思いを伝えたら、彼はどうするだろうか。
「こんなっ・・・いやらしい娘は、嫌い、ですか・・・っ?」
彼の事を思いながら自慰にふけるのは、これが初めてではなかった。
もしこんな事が彼に知れたら、彼は自分をなんと思うだろう。はしたない娘だと軽蔑するかもしれない。そう思っても、指を動かすことを止められず、中と外の両方から刺激に、だんだんとトレーネの絶頂が近づいてくる。ベッドがギシギシと音をたてて軋む。
「ケイオス、あぁ、好き、なんです・・・っあなたの、事・・・あんっ、あぁ、ひぁぁ・・・」
秘部から溢れ出した蜜がシーツを汚していく。
「あ、あ、ケイオス、っ、ケイ、オスぅ・・・ひ、あ、あぁぁんっ・・・!」
しばらく余韻に浸ったまま、トレーネは窓の外の月を見上げた。美しい満月だった。身を起こし、壁にもたれかかり月を見つめる。
「どうぞ・・・」
トレーネの頬に一筋の涙が落ちる。
―どうぞ、ご無事で・・・